カナタ「怪獣…!?」
ムラホシ校長「電波障害…!あの怪獣の傍では、遠隔操作は不可能に…!」
データ
概要
『ウルトラマンデッカー』第1話「襲来の日」で初登場。
『エピソードZ』での事件以降、怪獣災害が途絶えていた地球で7年ぶりに確認された怪獣。
宇宙怪獣としては、その『エピソードZ』で出現したゲネガーグ以来でもある。
宇宙浮遊物体スフィアの母機キングスフィアから投下されて出現した、謂わばスフィア配下の怪獣で、その実態はアメーバ状になった複数のスフィアソルジャー同士が融合し怪獣化したもの。
その役割はスフィアが侵略した惑星に降りたち、惑星に両脚から根をはることでエネルギーを吸収、一定量の吸収に伴いスフィアが惑星に張ったバリアを収縮させることで、より巨大なスフィア本体に惑星を飲み込ませる下準備を行うことである。
この出現経緯と役割から、『ウルトラマンダイナ』に登場した宇宙球体スフィアが別の物体や生物に寄生して誕生するスフィア合成獣とは異なる、ソルジャーやキング同様の正規兵といえる存在であることがわかる。
また、スフィア同士の融合という産出方法故、相応の時間とエネルギーを費やすことで新たな個体を生成できるのが利点であり、外的要因によってこのスフィアザウルスが倒された場合には、スフィア側はその再発生を優先した戦略に基づいて動く習性がある。
背中の突起から衝撃波を放って、周囲を壊滅させる事が出来る。
更に衝撃波にはEMP(電磁パルス攻撃)が付与されているため、電子機器の通信を無効化するという厄介な特性を持つ。
この衝撃波によって、無人化されていたGUTSファルコンやナースデッセイ号の遠隔操縦も通信障害により無力化。さらにその直後にはスフィア軍団によって地球全体が完全に包囲されてしまったため、結果としてGUTS-SELECT保有戦力の有人化が急がれる一因となった。
カナタ/デッカーの最初の敵としてだけではなく、良くも悪くも『デッカー』の物語において大きな爪痕を残した、まさに「始まりの敵」に相応しい怪獣と言えよう。
容姿
一見するとトカゲやイグアナなどの爬虫類に近い見た目の四足歩行怪獣だが、前脚が異常なほどに肥大化しクリスタル状に発達している。
この巨大な前脚を用いて相手への踏み付け攻撃を行ったり、逆に相手からの攻撃を防いだりと、これ自体が攻防一体の強力な武器となっている。また、足先には赤い爪がX字状に伸びている。
頭には角張った剣のような赤い角が生え、肉食恐竜のように大きく裂けた口には尖った歯が生え揃っている。
眼には瞳がなく常に青白く発光していて、生き物らしい生気は感じられない。
頭部から背中にかけてスフィア状の無数の突起が生えており、爬虫類に似た容姿ながらも、全体的に地球上の生物らしさがほとんどない禍々しい姿をしている。
その特徴から、前脚の形状はダランビア、全身の突起はネオダランビア、眼の色はジオモスなど、『ダイナ』に登場したあらゆるスフィア合成獣を彷彿とさせる。
活躍
第1話「襲来の日」
キングスフィアから突如投下され、ソラフネシティ宇宙港に出現。
出現後すぐさま衝撃波を放って周囲を壊滅させ、電磁パルス攻撃でGUTSファルコンとナースデッセイ号を機能停止に追い込んで墜落させた後、エネルギー吸収を開始する。
デッカー降臨直後は周囲のスフィアソルジャーを差し向けたが、悉く撃破された上に自身も顔面に強烈なパンチを受けた為、エネルギーの吸収を中断し自ら交戦。
巨大な前脚でデッカーの攻撃をものともせず、頭部の角と重量に任せた前足での攻撃で逆に圧倒。
前脚で押さえ付けてピンチに追い込んだが、牽制技で怯んだところにすぐさま頭部の角に空手チョップを叩き込まれ、角をへし折られる。
最後は、セルジェンド光線を受けて爆発四散した。
結果的に撃破こそされたが、戦闘後にカラータイマーが点滅し始めるほどデッカーの体力を消耗させており、キングスフィアが地球全体にバリアを張るための時間稼ぎには成功している。
上記の大規模な電波障害も踏まえると、むしろ十分な戦績を残したと言えるだろう。
さらに、第12話では新創融合獣スフィアネオメガスが複数のスフィアソルジャーと融合して前肢をスフィアザウルスと同じ形態に変形。スフィアザウルスとは逆に地中に根を伸ばしエネルギーを注ぎ込んでいたが、この行動は第14話での展開に向けた下準備であったことが後に判明する。
第14話「魔神誕生」
第1話以来となる再登場。
スフィアソルジャーの動きが活性化するなか、宇宙港のかつての戦いの跡地に残されていたスフィアザウルスの細胞が第12話にてスフィアネオメガスが地中に送り込んだエネルギーによって復活。
スフィアネオメガスの送り込んだエネルギーによって前回よりも強化されており、スフィアソルジャーを操るだけに留まらず、新たに頭部の角から拡散式追尾型のビームを発射したり、スフィアネオメガス同様にスフィアソルジャーと合体しての傷の修復も可能になっている。
前回同様に宇宙港の地中に根を張り、エネルギーの吸収を開始する。
テラフェイザーを怪力で圧倒しGUTSグリフォンを再生能力とソルジャー展開能力で墜落に追い込む。
だがカナタはデッカーに変身、テラフェイザーとのコンビネーションで形成逆転し、とどめのTRメガバスター発射すべく銃口を構える……
…だが、突如アサカゲ博士が戦場に現れ、テラフェイザーを乗っ取ってしまう。
強化されたスフィアザウルスのみならず味方であるハズのテラフェイザーに攻撃されデッカーは敗北。テラフェイザーに庇われることになったスフィアザウルスは再びエネルギー吸収を再開する。
変身が解けたカナタに対しアサカゲ博士は直接とどめを刺さんと彼の前に姿を現し銃を向ける。
だが天より謎の男が現れ博士の前に立ち塞がる。
彼を前にして博士は再びテラフェイザーに搭乗、そしてなぜかその男の元にデッカーの変身能力が移ってしまう。
事情もわからず呆然とするカナタをよそにスフィアザウルス対テラフェイザー対謎の男が変身するデッカーの三つ巴の戦いが開始。途中からデッカーの召喚したミクラス、ウインダム、アギラのディメンションカード怪獣3体の相手をすることになったが、エレキングのディメンションカードを使ったテラフェイザーによって一掃された。
第15話「明日への約束」
アサカゲ博士改めバズド星人アガムス操るテラフェイザーに庇われ、デッカーやナースデッセイ号、GUTSグリフォンも出撃できない状態のまま地中にさらに深く根を張って地球からエネルギーを吸収し続ける。
デッカーに変身した男より、スフィアザウルスが担う上述の役割がカナタに語られ、言葉通り吸収し続けたエネルギーをバリアに送り込み、スフィアソルジャーやバリアをより増大させる。
だが、負けられない決死の覚悟に応えるようにカナタだけの、この時代の地球を守るための新たな姿になったデッカーによってデッカーシールドカリバーでスフィアソルジャー達を一掃され、最後はそのままデッカーフラッシュダイナミックを喰らい大爆発した。
派生作品での活躍
NEW GENERATION THE LIVE ウルトラマンデッカー編
STAGE1、STAGE2のラスボスとして巨大な姿で登場。現行作品の一話怪獣ながらまさかのポジションとなった。
STAGE1ではオリジナルのスフィアザウルスを遥かに上回る強さでスフィア合成獣を倒したデッカーミラクルタイプを変身解除させ、ウルトラマンエースとも渡り合う強さを見せつける。しかし、ウルトラチャージをトリガーダークが持っていた壺で増幅させ、最終的にウルトラ戦士達に届けることで形勢が逆転。最後はウルトラ戦士達の合体光線を受けてイシリス共々撃破された。
STAGE2ではレイブラッド星人が憑依する形で登場。ここでもオリジナルを遥かに上回る強さでウルトラマンゼロと言った歴戦のウルトラヒーロー達を圧倒する。しかし、スフィア合成獣に破壊されたはずのマウンテンガリバーⅡ-Ⅴのスペシウム砲を受け、中にいるレイブラッド星人共々動きが鈍る。ここで形勢は逆転し、最後はウルトラ戦士達の合体光線を受けてレイブラッド星人共々撃破された。
余談
着ぐるみは完全新規造形。コンセプトは「とにかく巨大な怪獣」。
情報公開当初は、ウルトラディメンションカードで判明したのが顔だけでまだ全体像が明らかになっていなかった事もあり、そのデザインからシェパードン、あるいはスネークダークネスの改造ではないかと推測する声もあった。
また、後に登場するスフィアゴモラ共々「スフィア○○」という名称である点と、スフィア合成獣とは別枠でスフィア配下の怪獣が存在する点が、特に名称に統一感がなかったがスフィア配下がスフィア合成獣しか居なかった『ダイナ』のスフィアとの最大の違いとも言える。
その名称から、情報公開当初はスフィア合成獣の一体だと予想されていた。
Uキラーザウルス以来となる、名前に「ザウルス」が付く怪獣である。
なお、存在が明らかになった直後は一部で「恐竜に関係する怪獣なのではないか?」といった憶測もあった(尤も、ウルトラ怪獣には名前に「ザウルス」と付きながら、恐竜とは関係のない怪獣がしばしば登場している)。
別名に入っている「精強」は飛び抜けて強い事を意味する言葉で、スフィアソルジャーの別名にも含まれている。
また、自衛隊の資料などでも度々使用されている。
第1話に四足歩行怪獣が登場するのは、 『ウルトラマンマックス』のグランゴン以来となる。また、新規の四足歩行怪獣は『ウルトラマンR/B』の ホロボロス以来である。
四足歩行怪獣は後ろ脚の膝を地に付いて歩く、所謂ハイハイ型が主流であり、絵面的にどうしても不自然になってしまうという難点があったが、過去にはステゴンのように前脚に下駄を履かせるという手法も取られる事があった。
スフィアザウルスの場合は、それに加えて前脚を極端なまでに大型化させるという斬新な発想で問題を見事に解決している。
前脚が大きくなった事で、これを支えにしてスーツアクターも二足歩行怪獣と同様に直立姿勢を保ちながら行動する事が可能となっており、アクションの面でも制約が少なくなった。
撮影や演出の上で色々と苦労の多い四足歩行怪獣だが、スフィアザウルスはある意味そうした傾向に一石を投じた存在になるかもしれない。
ちなみに、スーツアクターの高橋舜が四足歩行怪獣を担当するのは、ホロボロス以来二種類目である。
咆哮の一部は、初代ダランビアやネオダランビアの流用と思われる。
そして、通算4体目の「スフィア関連の1話怪獣」となっている。
劇中に登場する「コロニー開発用新型ロケット」は、『ウルトラマンメビウス』のイザナミのミニチュアの流用。
また、スフィアザウルスの被害を受けた宇宙港を映すニュース映像の中に、アランダス号が映り込んでいる。
関連タグ
ダランビア、ネオダランビア、サンダーダランビア:スフィア関連の一話怪獣達
ゴルバー:前作の第1話に登場した新規怪獣(ただし、デザイン・着ぐるみ共に基になった怪獣が存在する)。
ゲネガーグ:前々作の第1話に登場した、独特なスタイルのウルトラ怪獣。こちらは骨格以外は完全新規怪獣である。
キングザウルス三世:四足歩行かつ名前に「ザウルス」が付く怪獣繋がり。
ディノゾール:過去作品の劇中で約25年ぶりに出現した一話怪獣。
ガラン:『デッカー』から丁度50年前に放送されたウルトラシリーズ作品に登場した超獣。こちらは有人飛行メカや武器を無効化する能力を持っていた。
ギガイアス:その見た目から、こちらを思い出す人も居た模様。
キングジャイグラス:「巨腕怪獣」という肩書き通り、スフィアザウルスと同様に腕が巨大な怪獣。こちらはウルトラシリーズと同じ会社の特撮作品の一話怪獣。