概要
『仮面ライダー響鬼』に登場する古来よりその姿が伝承される存在。
本作における怪人枠だが、ミラーモンスター同様に等身大の人型の個体だけではなく、もはや怪獣のような巨大な個体もいる(等身大の仮面ライダーとの合成のため、着ぐるみではなくCG)。
テーマ曲は「魔化魍」(作曲:佐橋俊彦)など。
魔化魍発生の前には必ず魔化魍の育ての親となる男女一組の怪人である「童子」「姫」が出現して人間を捕まえ、食べやすい形に加工して魔化魍に与える。
つまり、童子・姫・魔化魍の三体一組の存在と言える(例外もあるので後述)。
また、体を稼働させたりする時に発する音や鳴き声の類は「特徴音」と呼ばれる。
彼らの名前は大半が妖怪に由来するが、一部を除き、大抵は2種類の動物を混ぜたキメラのようなフォルムで、名前の元になっている妖怪とは大きく異なったビジュアルである事も多い。
また同種の個体が複数存在するため、発生した場所の地名と合わせて区別される(例:屋久島のツチグモ)。
森や山などで発生し、人里に下りては人間を襲い捕食する。中には植物を食べる個体も確認されている辺り、人間以外も食えなくはないらしい。
基本的に育て親である姫や童子とは協力関係であり、彼らのピンチに助けに入ることもあるようだが(十三之巻)、基本的に魔化魍は獰猛であるので場合によっては自分を育てた姫や童子であっても捕食対象にしてしまう…が、乱れ童子にとっては逆に捕食対象にされる事がある。
基本的には不死身の存在で、清めの音を浴びせて浄化しないことには倒せず、倒されると土塊や枯葉のような破片が残る。
その一方で、鬼棒術・烈火剣で足を切断するなどの部位破壊は普通に通用したり、上述のように乱れ童子に食い殺されたり、音撃武器をぶっ刺されただけで倒されたり(※1)、オロチ現象の発生する終盤や客演作品では無視されるなどの例外は多い(※2)。
加えて魔化魍ごとに有効な音撃が異なる(※3)他、一部の魔化魍には特定の音撃が通用しない(※4)。
終盤では魔化魍が人類を滅ぼしかねない規模で増殖する現象「オロチ」が発生しつつある事が明かされたが、流石に人類が滅びるとそれを餌とする魔化魍も滅びる他ないので、魔化魍を操る洋館の男女がオロチ現象の回避を目的に動いている。
ちなみに彼らも完全に魔化魍を制御できているわけではないようだ。いかに怪人といえど、自然の力を完全にコントロールするなんて無理だという皮肉だろうか…?
なお、出現地は作劇の都合上、関東地方が中心だが、劇中では屋久島や岐阜(江戸時代の記録でのみ言及)などの全国各地に出現している。
これに対し、猛士は各支部ごとに所属する鬼戦士でシフトを組み、討伐対象に有効となり得る鬼戦士を出動させるという形で対処している。
ただし、鬼戦士が別の任務で出向いた先で魔化魍が出現したなどの場合はそのまま討伐する事も(一之巻〜二之巻)。
蛇足になるが、日本国外にこれに類する存在が出現しているかについては本編の描写はおろか、該当する公式設定が確認できないので詳しいことは不明。
発生要因
その発生要因には謎が多い。現代ではクグツを擁する勢力が一枚噛んでいると見られるが、更に上位の存在が最終話で登場したり、明確な魔化魍の支配者は未登場だったりと未だに謎が多い敵でもある。
公式サイトの解説によると自然界にあるメタモルフォーゼ(変化)の力を使って童子と姫が作り出す存在とされているが、物語中盤からは童子と姫に依らない自然発生型の個体や他の魔化魍の能力や容姿を与えられた個体も散見される。
なお、姫と童子はクグツによって動物の体組織をもとに作られる描写がある為、魔化魍が動物の姿に似るのと何か関係があるのかもしれない。
上記のように基本的には自然界に依拠した存在のために自然破壊で姿を減らした魔化魍もいるようだが(カッパなど)、都会にも出現する魔化魍は一定数存在する(オオナマズ、ウワンなど)。
加えて正体や起源には諸説あり、メディアによって様々な記述が見られる。
- かつて公式サイトでは動物や人が成る存在という記述も見られた。
- 小説『仮面ライダー響鬼』においては元はただの土塊だが、それが悪気に当てられ、自然界にある謎の力で妖怪と化した存在だという。
なお、劇場版に登場する人型魔化魍は人間が戦で纏うような鎧などで武装しているなど他の魔化魍とは一線を画する存在として描かれており、こちらの発生要因は全くもって不明である。
ワニュウドウなどの存在の示唆から、メタモルフォーゼの力は生き物や土塊以外にも作用するのであろうか…?
伝承との関連
魔化魍は伝承に則った外見のものとそうでないものが存在し、彼らの生態や外見が妖怪伝承の元になったとされる。
同種の魔化魍でも環境によって姿が異なるのでこれもまた伝承の成立に一役買ったり、バケネコが猫又、ヤマビコが呼子(※5)といったように地方によって別の妖怪として伝承されるケースがある。
また、原典となる伝承を特撮作品らしい荒唐無稽な解釈で味付けしたものもあり、例えばオトロシであればおとろしが髪に覆われた姿で伝承されるのは黒煙を発する姿を見間違えたからとしている。
さて、伝承の中には人間の姿や人間大でないと成立しないものも存在する(※6)。
そうした伝承は姫や童子の仕業だったということで一応の理由付けを行っており、以下に列挙する(参考:テレビ朝日公式サイトより)。
名前 | 伝承 |
---|---|
ツチグモの童子と姫 | 土蜘蛛が美女や法師に化けた伝承 |
ヤマビコの童子と姫 | あまのじゃく、山姥、山母などの妖怪が山に入って山彦になるという伝承 |
バケガニの童子と姫 | 蟹坊主が侍や坊主に化けたという伝承 |
イッタンモメンの童子と姫 | 一反木綿が一反の木綿の布の姿をしているという伝承 |
アミキリの童子と姫 | あみきりが蚊帳を切るという伝承 |
バケネコの姫 | 化け猫が女に化けるという伝承 |
テレビに登場した魔化魍
大型魔化魍
- ツチグモ/ヨロイツチグモ/カエングモ
- ヤマビコ
- バケガニ
- イッタンモメン
- オオアリ
- オトロシ
- ヌリカベ
- ウブメ
- ヤマアラシ
- オオナマズ
- アミキリ
- ナナシ(ウブメとヤマアラシの合体)
- カマイタチ
- ノツゴ
- ロクロクビ(オオムカデの能力を持たせられた個体)
- バケガラス(イブキの会話で名のみ登場)
等身大魔化魍
劇場版にのみ登場した魔化魍
仮面ライダーディケイドに登場した魔化魍
その他
小説にのみ登場した魔化魍
ゲームのみに登場した魔化魍
- オオクビ(テレビではオトロシの正体発覚前に言及)
古文書の示唆のみ
響鬼探究のみに登場した魔化魍
※響鬼ファンのプロ作家(加門七海、東雅夫、京極夏彦他)による二次創作。
その他解説
- 基本的に個体名の表記は民俗学に基づいてかカナ表記であるが、牛鬼のような例外も存在する。
- 魔化魍の名前の由来は不明。"摩訶"不思議と"魍"魎からか?
- なお、「魍」には「すだま」(大自然の精霊)という意味があるのでそれらが"魔"と"化"したとも解釈できる(参考))。
脚注
(※1)バケガニが煌鬼、西鬼、羽撃鬼の音撃武器で腹部を抉られて爆散している。
(※2)響鬼の力を使うにしても音撃ではなく、「鬼棒術・烈火弾」で倒されたり、タキオン粒子、フリーエネルギーなど清めの音とは異なるエネルギーで倒されるなどの例が確認できる。『仮面ライダーディケイド』ではミラーモンスターと捕食し合う様子が描かれた。
(※3)例えば飛行するイッタンモメンには「管」、硬い装甲を持つバケガニには「弦」が有効といった具合。
(※4)例えば夏の魔化魍には太鼓の音撃しか有効打が無いなど。
(※5)ヨブコはのちにヤマビコとは別の魔化魍として登場。
(※6)ただし、ヒトツミが人間に変身し、人語を話す描写があるので外伝作品は例外のようである。
関連タグ
妖怪(ニンニンジャー):モチーフが同様。
仮面ライダースラッシュ:音銃剣錫音の力で聖なる音を操る力を持つが、魔化魍に有効かは不明。
ドツクゾーン、地底冥府インフェルシア:ニチアサ同期の敵対勢力。