概要
本大会の表題は「SMBC日本シリーズ2024」。
2014年以来、11年連続で三井住友銀行(SMBC)がタイトルスポンサーを務める。
シーズン91勝・貯金42かつ2位・日本ハムに13.5ゲーム差をつけ、独走でパ・リーグ優勝を果たした小久保裕紀監督率いる福岡ソフトバンクホークスと、セ・リーグ3位、貯金2・勝率.507ながら、阪神と巨人を破ってクライマックスシリーズを制覇した三浦大輔監督率いる横浜DeNAベイスターズ ※1が日本シリーズで相まみえ、日本一を賭けて激突した。
この2チームによる組み合わせは、2017年以来、7年ぶり2度目となる。なお、7年前の日本シリーズでもDeNAはレギュラーシーズン3位でありながら阪神と広島を撃破(対戦相手のソフトバンクに関しても、今回と同じく圧倒的な強さでリーグ優勝を果たしている)しており、出場した時の順位も前回の対戦時と全く同じである。
なお、第6戦が開催される予定だった11月2日(横浜スタジアム)は、雨のために翌3日に順延となった。日本シリーズが雨で順延となるのは20年ぶりのことであった。
2連敗した後に4連勝した横浜DeNAベイスターズが、26年ぶり3度目(前身の大洋時代も含む)の日本一を掴み取った。
※1 この年のDeNAは1シーズン通算最低勝率での日本シリーズ出場となる。かつては1975年の阪急(.520)がこの記録を保持していたが、これをDeNAが更新する形となった。ちなみに、この年の阪急も広島を倒して日本一に輝いている。当時のパ・リーグは前・後期の2期制が導入されており、阪急は75年シーズンの前期では優勝したものの、後期は最下位に沈んでいた。後期で優勝した近鉄バファローズとのプレーオフでも、初戦は落としたが第2戦以降は立ち直ってリーグ優勝を果たした。
出場選手
※太字は前回対戦時(2017年)にも出場していた選手
横浜DeNAベイスターズ
首脳陣
役職 | 背番号 | 名前 |
---|---|---|
監督 | 81 | 三浦大輔 |
オフェンスチーフコーチ | 72 | 靍岡賢二郎 |
チーフ打撃コーチ | 75 | 石井琢朗 |
打撃コーチ | 77 | 鈴木尚典 |
打撃コーチ | 76 | 田代富雄 |
バッテリーコーチ | 80 | 相川亮二 |
チーフ投手コーチ | 79 | 大原慎司 |
投手コーチ | 94 | 小杉陽太 |
内野守備コーチ | 97 | 田中浩康 |
外野守備コーチ | 71 | 小池正晃 |
投手
背番号 | 名前 | 投打 |
---|---|---|
11 | 東克樹 | 左左 |
12 | 伊勢大夢 | 右右 |
14 | 石田健大 | 左左 |
16 | 大貫晋一 | 右右 |
19 | 山﨑康晃 | 右右 |
20 | 坂本裕哉 | 左左 |
24 | 吉野光樹 | 右右 |
26 | 濱口遥大 | 左左 |
38 | 森唯斗※1 | 右右 |
41 | 佐々木千隼 | 右右 |
42 | アンドレ・ジャクソン | 右右 |
45 | 森原康平 | 右左 |
48 | 京山将弥 | 右右 |
49 | J.B.ウェンデルケン | 右右 |
53 | 中川颯 | 右左 |
62 | アンソニー・ケイ | 左左 |
92 | 堀岡隼人 | 右右 |
93 | ジョフレック・ディアス | 左左 |
※1:森は前回はソフトバンク側で出場。
捕手
内野手
外野手
福岡ソフトバンクホークス
首脳陣
役職 | 背番号 | 名前 |
---|---|---|
監督 | 90 | 小久保裕紀 |
ヘッドコーチ | 92 | 奈良原浩 |
チーフ投手コーチ | 94 | 倉野信次 |
投手コーチ | 72 | 若田部健一 |
打撃コーチ | 78 | 村上隆行 |
打撃コーチ | 93 | 村松有人 |
二軍監督 | 74 | 松山秀明 |
二軍投手コーチ | 73 | 小笠原孝 |
二軍投手コーチ | 76 | 寺原隼人 |
二軍打撃コーチ | 88 | 明石健志 |
二軍内野守備コーチ | 82 | 髙田知季 |
内野守備コーチ | 80 | 本多雄一 |
バッテリーコーチ | 84 | 髙谷裕亮 |
投手コーチ補佐 | 71 | 中田賢一 |
二軍外野守備コーチ | 96 | 城所龍磨 |
二軍バッテリーコーチ | 83 | 清水将海 |
投手
背番号 | 名前 | 投打 |
---|---|---|
2 | カーター・スチュワート・ジュニア | 右右 |
11 | 津守宥紀 | 右右 |
14 | 又吉克樹 | 右右 |
16 | 東浜巨 | 右右 |
17 | 有原航平 | 右右 |
26 | 大津亮介 | 右左 |
27 | 岩井俊介 | 右左 |
29 | 石川柊太 | 右右 |
35 | リバン・モイネロ | 左左 |
39 | 尾形崇斗 | 右左 |
40 | 杉山一樹 | 右右 |
47 | 大関友久 | 左左 |
49 | 松本晴 | 左左 |
51 | 前田純 | 左左 |
54 | ロベルト・オスナ | 右右 |
59 | 長谷川威展 | 左左 |
63 | ダーウィンゾン・ヘルナンデス | 左左 |
68 | 木村光 | 右左 |
捕手
※2:嶺井は前回はDeNA側で出場。
内野手
外野手
試合結果
☆は勝利投手、★は敗戦投手、Sはセーブ。
第1戦
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ソフトバンク | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 5 |
DeNA | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 |
- 【バッテリー】
ソフトバンク: 有原☆、ヘルナンデス、オスナ - 甲斐
DeNA: ジャクソン★、中川颯、坂本、佐々木、山﨑、堀岡 - 戸柱
- 【本塁打】
ソフトバンク: なし
DeNA: なし
戦評
ソフトバンクの先発はシーズン最多勝の有原、DeNAはエース東が故障明けから間もないため、ジャクソンが先発を務める。
2回、ソフトバンクは有原が自らタイムリーを放って、幸先良く2点を先制。本業のピッチングでも要所を抑えてDeNA打線に得点を許さなかった。
9回には今宮の2点タイムリーヒットと栗原のタイムリーヒットで3点を挙げてDeNAを突き放した。
DeNAは再三チャンスを作るも、有原の好投の前にあと一本が出ず、8回まで無得点に抑えられ、9回にも3点を奪われて5点差とされる。
最終回でもオスナの前に早々と二死まで追い込まれたが、7番梶原から森敬、代打・筒香、桑原と4連続安打で3点を返し、2アウトながら一・三塁で牧を迎える。
本塁打が出れば逆転サヨナラの場面だったが最後は中飛に倒れ、ソフトバンクが先勝した。
第2戦
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ソフトバンク | 2 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 |
DeNA | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 |
- 【バッテリー】
ソフトバンク: モイネロ☆、尾形、ヘルナンデス、オスナS - 甲斐
DeNA: 大貫★、佐々木、濵口、中川颯、坂本、伊勢 - 戸柱、松尾
- 【本塁打】
ソフトバンク: 山川1号(1回表2ラン・大貫)
DeNA: なし
戦評
ソフトバンクは初回、山川の2ランで幸先よく2点を先制する。
3回には一死満塁から牧原の適時打で2点を挙げ、DeNAの先発大貫をKO。
続く甲斐が2番手・佐々木から犠飛を打って5点目を挙げ、4回には山川が3番手で登板した濱口からタイムリーを放ち、序盤で6点を挙げて試合を優位に進めた。
DeNAは4回まで先発・モイネロの前に1安打に抑えられていたが、5回には一死二・三塁のチャンスを作ると桑原が左翼へ2点適時打を放ち2点を返す。しかし、3番牧は併殺に倒れ、リクエストも覆らず2点止まりに。
7回には二死ながら一・二塁のチャンスを作ると、牧がソフトバンクの2番手・尾形から左翼線へ適時打を放ち1点を返し、なおも二死二・三塁と追加点のチャンスだったが、続く筒香は遊ゴロに倒れ1点止まりに。
DeNA救援陣は5回以降ソフトバンク打線をすべて三者凡退に抑えたが、序盤の大量失点が最後まで響き、8回・9回と三者凡退に倒れ、ソフトバンクが2連勝。2018年から続く日本シリーズでの連勝記録を14に伸ばした。
第3戦
10月29日(火)@ みずほPayPayドーム福岡
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
DeNA | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 |
ソフトバンク | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
- 【バッテリー】
DeNA: 東☆、伊勢、森原S - 戸柱
ソフトバンク: スチュワート・ジュニア、大津★、岩井、前田純、杉山、長谷川 - 甲斐
- 【本塁打】
DeNA: 桑原1号(5回表ソロ・大津)
ソフトバンク: なし
戦評
DeNAは怪我で一時戦列を離れていたチームの絶対的エース・東克樹が復帰。
ソフトバンクはスチュワート・ジュニアが先発。
試合は初回からいきなり動いた。
DeNAは先頭の桑原が二塁打を放ち、二番梶原が犠打を決めて一死三塁とすると、三番牧の遊ゴロの間に桑原が生還しわずか7球で先制する。
その裏ソフトバンクは二死一・三塁からDHに入った近藤が左翼に適時打を放ち、直ぐ様同点に追い付く。
その後、4回までは両先発が走者を出しながらも要所を抑え膠着状態が続いていたが、5回表、スチュワートの後を受けた2番手大津から桑原が左翼へ本塁打を放ちDeNAが勝ち越す。さらに安打と四球2つで無死満塁とすると、筒香が犠飛で追加点を挙げDeNAが2点をリードする。
さらに8回表には一死一塁から戸柱が適時二塁打を放ち、ソフトバンクを突き放した。
東はソフトバンク打線を7回1失点に抑える快投を見せ、8回は伊勢、9回はクローザーの森原が無失点で抑え、DeNAが一矢を報いた。
ソフトバンクは6安打のDeNAを上回る10安打を放つもDeNA投手陣の前に1点に抑えられ、この敗戦によって2018年から続いていた日本シリーズでの連勝が14でストップした。また、2011年から前回の2020年まで続いていた本拠地での日本シリーズ連勝記録も16でストップした。
第4戦
10月30日(水)@ みずほPayPayドーム福岡
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
DeNA | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 5 |
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
- 【バッテリー】
DeNA: ケイ☆、坂本、ウェンデルケン - 戸柱
ソフトバンク: 石川★、尾形、岩井、松本晴、木村光 - 甲斐、海野
- 【本塁打】
DeNA: オースティン1号(4回表ソロ・石川)、宮﨑1号(7回表ソロ・尾形)
ソフトバンク: なし
戦評
ソフトバンクは石川、DeNAはケイが先発。
ケイは3回まで一人も走者を許さずに三振を6つも奪うという完璧な立ち上がりを見せる。
試合が動いたのは4回表。球数が嵩んで来た石川からオースティンがソロ本塁打を放ちDeNAが先制する。
ソフトバンクは4回裏、栗原が安打性の打球を放つも牧の好守に阻まれ、6回にはケイを攻め立て二死ながら二・三塁と逆転のチャンスを作ったが、山川が中飛に倒れて無得点に終わる。
続く7回表、ここまで打率0割8分3厘と苦しんでいた五番・宮﨑がソロ本塁打を放ち待望の追加点を挙げると、ここからDeNA打線が繋がり、一番桑原の2点適時打と四番オースティンの適時打など打者一巡の猛攻でこの回4点を挙げるビッグイニングを作り、ソフトバンクを突き放した。
ケイは7回無失点という文句の付けようのない投球内容を見せ、8回は坂本、9回はウェンデルケンがそれぞれ無失点に抑える完封リレーで連勝。2勝2敗の五分に戻し、PayPayドームでの胴上げを阻止した。
一方のソフトバンクは再三チャンスを作るも得点が奪えず、2017年第4戦以来の完封負け(なお、本拠地で完封負けを喫したのは、ダイエー時代の2000年第5戦以来24年ぶりで、ソフトバンクとしては初めて)、第3戦2回から17イニング連続の無得点と、不安を残す結果となった。
第5戦
10月31日(木)@ みずほPayPayドーム福岡
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
DeNA | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 7 |
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
- 【バッテリー】
DeNA: ジャクソン☆、伊勢、中川颯 - 戸柱
ソフトバンク: 大関★、松本晴、前田純、杉山、尾形、津森、木村光 - 海野、嶺井
- 【本塁打】
DeNA: 牧1号(4回表3ラン・前田純)
ソフトバンク: なし
戦評
ソフトバンクは大関、DeNAは中4日でジャクソンが2度目の先発。
DeNAは初回、2回と一打先制の場面を作るも内野ゴロに抑えられソフトバンクも2回にチャンスを作ったが海野が三振に倒れ、先制点を奪えなかった。
3回表、DeNAは先頭の牧が中前打で出塁すると、その後二死一・二塁の場面で筒香が中前適時打を放ち、DeNAが3試合連続で先制し、ソフトバンクの先発・大関を降板に追い込む。
DeNAは4回、この回から登板した3番手の前田純から桑原と梶原の連続安打で無死一・二塁とすると、牧が左翼へ3ラン本塁打を放ち、リードを4点に広げた。
4点の援護を受けたジャクソンは第1戦の借りを返すかのようにスコアボードに0を並べ続ける粘投。7回は自身の暴投も絡んで二死二・三塁のピンチを招いたが、周東を二ゴロに打ち取り7回無失点と役割を果たした。
DeNAは9回、二死満塁で桑原が津森から死球を受け、押し出しで追加点を挙げると、続く梶原が代わった木村光から中堅へ駄目押しの2点適時打を放った。
DeNAは8回は伊勢、9回は中川颯が無失点で抑え、DeNAが敵地で3連勝し、26年ぶりの日本一に王手を掛けた。
一方のソフトバンクは本拠地でまさかの3タテを食らってしまった。しかも、2試合連続の完封負けかつ26イニング連続無得点となり、2011年(対中日)以来13年ぶりの日本シリーズ3敗目を喫し、令和における絶対王者が崖っぷちに追い込まれた。
第6戦
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
DeNA | 0 | 3 | 1 | 0 | 7 | 0 | 0 | 0 | X | 11 |
- 【バッテリー】
ソフトバンク: 有原★、尾形、スチュワート・ジュニア、岩井、杉山、ヘルナンデス、津森 - 甲斐
DeNA: 大貫、濵口、坂本☆、森原 - 戸柱
- 【本塁打】
ソフトバンク: 柳田1号(4回表2ラン・大貫)
DeNA: 筒香1号(2回裏ソロ・有原)
戦評
王手を掛けたDeNAは第2戦でKOされた大貫がリベンジ登板。
後がなくなったソフトバンクは第1戦で投打に渡る活躍を見せた有原に託した。
2回裏、先頭の筒香が先制のソロ本塁打を放つと、その後二死二・三塁から桑原が左翼へ2点適時打を放ち3点を挙げる。
3回裏には二死満塁から森敬が押し出し四球を選び追加点を挙げた。
4回表、ソフトバンクは無死一塁から柳田が中堅へ2ランホームランを放ち、ソフトバンクの連続無得点は29イニングで止まった。
そして5回裏、DeNAの打線が大爆発した。
ソフトバンクの3番手として登板したスチュワートから連打と四球で一死満塁とすると、桑原が四球を選び押し出しで1点、梶原も適時打で続き1点を挙げてスチュワートをKO、4番手の岩井が登板する。
牧は二直に倒れたが、オースティンは死球で押し出し、筒香が走者一掃の3点二塁打を放ちこれで10点目。打線が一巡して宮﨑がとどめの二塁打を放ち、かのマシンガン打線を彷彿とさせる打者一巡の猛攻で一挙7点のビッグイニングを作り出した。
DeNA投手陣は大貫は柳田に2ランを浴びるも4回2失点にまとめ、5回は濵口、6回と7回は坂本、8回は伊勢へと繋ぎ、9回は森原がきっちり締めてゲームセット、横浜DeNAベイスターズが26年ぶり3度目(前身の大洋時代も含む)の日本一に輝いた。
4年ぶりの日本一を目指していたソフトバンクは、先発の有原が大誤算となり、5回裏にも7得点のビッグイニングを作られて力尽きた。
総評
ペナントシーズンでの苦戦や戦力差もあり前評判では劣勢と見なされていたDeNAであったが、CSを下克上で突破した勢いをそのまま維持。打線は全試合で3点以上を叩き出し投手も3試合目以降はソフトバンクを翻弄し失点を3に抑え、投打ともにかみ合いソフトバンクに2017年の日本シリーズのリベンジを果たすことに成功した。
一方の盤石に見えたソフトバンクは1戦目から中継ぎや抑えの脆さが露呈。
3戦目以降は四球で走者をためたところをDeNAに押し出しされたり痛打されて先発陣が降ろされ中継ぎも勢いを止められず大量失点を許す試合が続出。
打線も3試合目以降はほぼ沈黙し29イニング連続無得点という不名誉な新記録を打ち立ててしまい、6試合目も柳田の2ラン以降は再び抑え込まれ圧倒されてしまう。
2試合目までは打ててた主砲の山川穂高は三試合目以降ほとんど抑えられたのも痛かった。
また、後述のように小久保監督や村上隆行打撃コーチの公の場での失言も目立ち、更には第6戦目で有原が崩されリードを許しながら継投する羽目になるというこれ以上の失点は防ぎ追撃したいという場面で好調だったヘルナンデスを出し惜しみし彼らよりも打たれていたスチュアートや岩井を投入。結果、彼らは四球からの押し出しや痛打を浴びて7失点して、その後の勝敗がほぼ決した7回に今更ヘルナンデスを投入するなどファンだけでなく『プロ野球ニュース2024』解説者の真中満氏からも疑問符を投げかけられる采配もあった。
DeNA側のモチベーションの高さによる快進撃が光った一方で、ペナントレースを貯金42の圧倒的一位で通過しCSも日本ハムを完封したとは思えないソフトバンク側の低迷ぶりが目立ったシリーズでもあった。
表彰選手
- 最優秀選手(MVP): 桑原将志(DeNA)
- 敢闘選手賞: 今宮健太(ソフトバンク)
- 打率.375、2打点。第1戦では9回表に追加点を挙げるタイムリーを放つなど、ホークス打線が沈黙する中で孤軍奮闘の活躍を見せた。
- 優秀選手賞: 筒香嘉智(DeNA)
- 打率.286、1本塁打、6打点。本年の途中でNPB復帰となったが、第3戦で追加点となる犠飛、第6戦では自身7年ぶりの本塁打となる先制ソロ、加えて5回には満塁のチャンスで走者一掃のタイムリーツーベースを放つなど、4打点を挙げる大活躍を果たした。
- ちなみに、この年のDeNAは「筒香がホームランを打った試合では全試合DeNAが勝利する」という流れが出来ており、第6戦でもチームを勢い付かせるホームランを放ち、ベイスターズの日本一に大きく貢献した。
- 優秀選手賞: アンソニー・ケイ(DeNA)
- 福岡での第4戦に先発。7回被安打4、7奪三振、無失点の快投で勝利投手となった。
- 優秀選手賞: アンドレ・ジャクソン(DeNA)
- 横浜での第1戦と福岡での第5戦に先発。第1戦では敗戦投手となったものの5連続奪三振を記録し、第5戦では7回被安打3、8奪三振、無失点の好投でシリーズ初勝利を挙げた。
- SMBCみんなの声援賞: 牧秀悟(DeNA)
- X(旧Twitter)でファンから最もタグ付きのツイートをされた選手が表彰される。打率.222、1本塁打、2打点。シリーズ全体としてはかなり苦しんだものの、第5戦ではホームランを放っており、チームの若きキャプテンとしての意地を見せた。
トピックス
- DeNAは1998年以来26年ぶり3度目の日本一となったが、レギュラーシーズンでは3位だったため、リーグ優勝回数より日本一の回数が上回るという珍事が発生した。
- レギュラーシーズン3位からの日本一は2010年の千葉ロッテマリーンズ以来14年ぶり2度目、セ・リーグ球団では初となる。
- 先述した通り、ソフトバンクは貯金42、DeNAは貯金2であり、貯金40差をひっくり返しての日本一は1971年の巨人対阪急(巨人18、阪急41)の貯金23差を上回り、NPB史上最大の大逆転勝利となった。
- DeNAの三浦大輔監督は1998年にも選手として出場しており(2017年は既に引退しているため不出場)、前身の大洋ホエールズ時代を含めても、選手と監督の両方で横浜球団で日本一を経験した初の人物となった。さらに横浜球団で投手出身の監督が日本一になるのは、1998年の日本シリーズでベイスターズを優勝に導いた権藤博氏に次いで2人目。
- DeNAの勝利によって、日本シリーズの通算成績はセ38勝、パ37勝となってセ・リーグが勝ち越す形となったが、セ・リーグ勢が2年連続で勝利したのは2000年~2002年(2000年・巨人、2001年・ヤクルト、2002年・巨人)以来22年ぶりである。
- 一方のソフトバンクは、ダイエー時代の2000年以来24年ぶり、かつ球団の親会社がソフトバンクになってからは初の日本シリーズ敗退を喫した。奇しくもダイエー時代に出場した2000年と同じく、2連勝からの4連敗となった。さらに、前身の南海・ダイエー時代を含めても、読売ジャイアンツ以外のセ・リーグ球団に日本シリーズで土をつけられたのは史上初。
- 第3戦では、ソフトバンクの村上隆行打撃コーチが「東(この試合のDeNA先発)よりも宮城(宮城大弥、オリックス・バファローズの投手。ちなみにこの年のオリックスはシーズン5位だった)の方が断然良い」と発言したが、ここから4連敗を喫して日本一を逃した。
- これは35年前の1989年(巨人対近鉄、この時は巨人が勝利)に於ける加藤哲郎氏の「巨人は(この年は最下位だった)ロッテより弱い」を思い起こさせるような発言だった。当時の村上コーチは近鉄に所属しているが、先述の加藤氏本人はX(Twitter)上で「お前、いらんこと言わんでええねん」と苦言を呈している。詳しくは巨人はロッテより弱いを参照。
- また、この試合ではホークスファンの指笛が東の投球を妨害していたとして東が審判を通して抗議を行い、観客に指笛は控えるよう警告のアナウンスが流れた。試合後に小久保監督は指笛について聞かれると「大爆笑した」と話したため炎上した。東はXで炎上覚悟で抗議した理由について説明し藤川球児次期阪神タイガース監督らが理解を示し、藤川と野口寿浩氏は指笛を使って球種を伝えていた可能性があることをほのめかしてもいる。
- TBSが第1戦を中継していた裏でフジテレビがワールドシリーズ(ロサンゼルス・ドジャースVSニューヨーク・ヤンキース)の"録画再放送"を強行していたことが発覚。これを受けNPBがフジテレビに与えていた取材パスを没収したことが報じられた。なお、第3戦についてはフジテレビが放映権を取得していたため、これも没収されるかと思われたが、第3戦の中継元であるテレビ西日本がフジテレビとは別会社ということで、放映権の没収は見送られた。
関連タグ
2017年の日本シリーズ - 前回の同カード対戦
【前年】2023年