ゲラグ
げらぐ
『小説 仮面ライダークウガ』に登場する、グロンギの残党であるクラゲ種怪人。警察の発表では未確認生命体48号。
超古代においてクウガ・プロトタイプにより封印されていたが、ン・ダグバ・ゼバの絶命後(小説本編より少なくとも7年以上前)にラ・バルバ・デにより復活。自分たちより先に活動していたメンバーがゲゲルに相次いで失敗し壊滅したことを教訓に、リント(=現代日本人)の社会にひっそりと潜伏し、彼らの社会構造を学習して完全に溶け込む(一条薫曰くグロンギが人間に近い存在になった)と、人間の持つ心の闇を巧みに利用して着々とゲゲルの下準備に取り掛かっていた。
階級は不明であるが、ファンの間では実行したゲゲルの複雑さやその能力から、ゴ集団に所属しフルネームは「ゴ・ゲラグ・ギ」ではないかと推測されている。(ただしモーフィングパワーの能力を使ってないことや、下記の敗因を考えると一概にゴ集団であると決めることはできない。)
「『RIN伽部』……『リン・トギベ』……『リント・ギベ』……これ、人間なんて生きてる価値ないから死んじゃいな、ってことなんだ、ふふっ」
人間社会では「山野愛美(やまのまなみ)」という少女に成り済まし、老若男女に絶大な人気を誇るアイドル歌手「伽部凛(とぎべりん)」として活動していた。物語の始まる2年前には『1万人のメイド宣言』なるものを掲げ一躍有名になっている(おやっさんこと飾玉三郎も彼女の熱烈なファンであった)が、これもゲゲルの準備の一環であった。
誰にでも優しく語り掛け、笑顔を振りまく心優しい娘を演じているが、その裏では素性の知れない自分をお金になるからというだけで簡単に受け入れてくれた事務所の社長やマネージャーたちをあざ笑いながら利用し続けていた(本人曰く「ゲゲルの下準備の為に2年間我慢していた」とのこと)。
陰湿かつ残忍な性格の持ち主で、「本当の山野愛美」の母親である「山野ゆかり」を利用し、愛美をゆかりに殺させて成り変わっていた。
なお、生前の愛美は素行が悪い不良少女で日頃から母親にDVを行っていたが、内心では自堕落な自分に嫌気が差していたらしく、仲直りのためのプレゼントを渡そうとした矢先に母親に殺害されてしまった。
決して自身の正体を掴ませない様に細心の注意を払っており、潜伏先やアイドル事務所の関係者を上手く利用し、周りの人間やファンたちを欺き続けていた。
手の先などから触手を伸ばす事ができ、その先に付いた毒針で対象者を刺してクラゲ毒を注入する。このクラゲ毒は分子構造的に不安定な構造をした特殊なものであり、この毒が体内に入れば人間の持つ免疫グロブリンと結び付きいてアレルギー物質に変化し、アナフィラキシーショックで対象者を殺すことが可能。
またこの毒は水道水に含まれる硫酸アルミニウムと結び付くと、皮膚に付着しただけでアナフィラキシーショックを引き起こし死に至る猛毒セシドヒルビリンに変化するという恐ろしい特性を持っている。
劇中でクウガを巨大な水槽に誘い込もうとしていたため、クラゲ種怪人だけに水中戦を得意としていると思われる。
そのほか、触手の先からプラズマを発生させる能力を有していると思われ、劇中ではプラズマから発生される衝撃波で西武ドームの硬い天井を粉砕している。
また、母親のゆかりが「愛美そっくり」と感じ、昔の知り合いも彼女が山野愛美である事を疑わないほど容姿が酷似していた事から、擬態かそれに類する能力をも持っていたと推測される(偶然そっくりであった可能性もあるが)。
ゲゲルのルールはアイドルとしてデビューした時に世に出したデビューシングル「シークレット・シグナル」の歌詞にそって「アカ」「アオ」「キ」が名前(本名だけでなく、あだ名やハンドルネームでも可)につく人物を順番に、毒針で刺してクラゲ毒によるアナフィラキシーショックを起こし殺すというもの。
しかし、これはリハーサルであり、最終的には順番が2周目に突入した時点でライブを開き、ライブの終盤のメインイベントで使われる水槽内の水に予め自身の毒を混入することで硫酸アルミニウムをセシドヒルビリンに変化させ、イベントのクライマックスで会場に詰めかけた観客32805人(グロンギが用いる九進法で数えると50000人)に浴びせることで全員を纏めて殺害しようとしていた。
劇中、彼女の正体に気付き、ゲゲルのルールを見抜いた一条や夏目実加に自身の凶行について肉薄されるも余裕の態度を崩さず、逆にワザと挑発めいた態度を見せ、その場をやり過ごす。
ライブの直前には警察から自身を庇っていたマネージャーの小川を殺害、会場に潜入していた実加に景気づけとして正体を明かし、触手で絞殺しようとする。しかし実加がクウガ・プロトタイプに変身した事に驚愕して拘束を解いてしまい、戦闘を開始する。
クウガはグローイングフォームのままであったため戦いを有利に進めてはいたが、想定外の出来事によっぽど焦っていたのか、自身のホームグラウンドである水中戦に持ち込もうとしたのか、触手で天井を崩落させるが、その時落ちて来た破片で大ダメージを負い、グローイングキックを受け爆死した。
しかし爆発の直前に人間態に戻り、その首がクウガの前に飛んでくるという事態が発生している。この出来事はゲラグが狙って行った最後の嫌がらせなのか、偶然の出来事であったのかはわからないが、初めてグロンギを殺した実加に大きな衝撃を与えている。
その後、実家のアパートで白骨化した本物の愛美が発見され、娘の本心を知ったゆかりはその場で泣き崩れていた。
その様子を目の当たりにした実加は結果的にグロンギに魂を売ったゆかりに対して怒りを露にしていた。
劇中でも言及していた通り、芸名の「伽部凛」は「リント・ギベ」のアナグラムであるが、これをグロンギ語の規則に従い直訳すると「リント、死ね」(あるいは「リント、逝け」)となる。
劇中ではこの事件後、アイドルとして死亡扱いとなったために彼女の墓が作られたのだが、その墓が西洋式の墓であったために刻まれた名前の苗字と名が入れ替わっており、この名に込められた悪意がよりいっそう強調されてしまっている。(なおその墓石は「リントとして葬られるなど最大の侮辱だ」としてバルバが破壊した)
なお以前にも、クラゲ種のグロンギである「未確認生命体33号 クラゲ種グロンギ メ・ゲグラ・ギ」が出現していた。(設定で存在が示唆されている。22話と23話の間に事件を起こし、紫のクウガに倒されている)
バヅーやバダーのように、ゲグラとゲラグも血縁関係にあるかは不明。(一条達が33号の事件を想起する描写はなかったので、少なくとも能力は別物であると思われる。)
ちなみにネズミ種怪人にも第12号Aズ・ネズマ・ダと第12号Bズ・ネズモ・ダの2体が存在している。(こちらも設定のみの存在。)
因みに「48号」で「アイドル(しかも元々は数十名のグループに所属していた設定)」であるため、某アイドルグループとの関連を指摘するファンもいる。