概要
年に一度行われるポケモンの公式大会「ポケモン・ワールド・チャンピオンシップス(WCS)」。
その2014年大会。大会会場は驚愕の念と歓喜の声に包まれた……。
当時、レーティングでもその名を馳せていた韓国のsejun(パク・セジュン、박세준)氏。
見事優勝を果たした彼の使用したポケモンは、ガブリアス・ファイアロー・ギャラドス・サーナイト・ゴチルゼル……。
そして、パチリスである。
「何だマスコットか」と思ったそこのあなた……それは間違っています。
パチリスさんの武勇伝
このパチリス……否、パチリスさんのステータスは以下の通り。
性別 | ♀ |
---|---|
性格 | わんぱく(ぼうぎょ1.1倍・とくこう0.9倍) |
個体値 | C(とくこう)抜け5V |
努力値 | H(HP)・B(ぼうぎょ)各252、D(とくぼう)4 |
特性 | ちくでん |
わざ | このゆびとまれ・ほっぺすりすり・いかりのまえば・まもる |
持ち物 | オボンのみ |
さすがにB種族値70でぼうぎょ特化させても…と思うが、パチリスさんは徹底的にエース格となる相方をサポートすることによって衝撃的な活躍を見せたのである。
実例を挙げると以下の通り。
- 「このゆびとまれ」で味方を守る。その際……
さらにヤバいのはそのありえない耐久性。
- いかくが入っている+ダブル補正とはいえ、バンギラスの「いわなだれ(一致技)」が僅か1/4程度。
- タイプ不一致とはいえ、いかくの入っていないローブシンの「じしん」でもHPが半分削れるかどうか。
- オボンのみでの回復を挟みつつ、カットロトムの「リーフストーム」+バンギラスの「れいとうパンチ」+すなあらしダメージ3ターン分喰らってもまだ生き残っている。
- バンギラスの「いわなだれ」+ボーマンダの「りゅうせいぐん」を喰らってもまだ(ry
- 「いかりのまえば」で最終戦のトドメの一撃に貢献する。
(相方のガブリアスは相手のボーマンダの「がんせきふうじ」によってすばやさが下がっていた+ガブリアスの「ドラゴンクロー」が相手のカットロトムの急所に当たりダウンしたことにより見事優勝した)
動画で確認できる2戦だけでコレなので、大会中ひっくるめにすると多分まだある。
↑だいたいあってる。
その活躍ぶりから、決勝戦ではパチリスがフィールドに登場しただけで観客席から歓声が上がり、大盛り上がりとなった。
そして前述の通り、セジュン氏はそのまま優勝。パチリスが世界の頂点に立ったのである。
数々の見せ場を作り大活躍したがために、このパチリスは畏怖と敬意をこめて「パチリスさん」と呼ばれるようになったのである。
その影響は大きく、pixivでもファンイラストが続々投稿されることとなった。
なお、pixivのイラストではオスとして描かれていることが多いが、パチリスさんはメスであるためファンアートを描く際は注意されたし(パチリスはオスとメスでは額の模様の長さが違う)。
解説
WCS2014、第6世代最初の大会ということでルールはカロスダブルであった。
実はこのルールにおいて、パチリスはこの上ないサポーターになれるのである。
- このルール下で攻撃技を引き寄せる「このゆびとまれ」を覚えるポケモンはパチリス・オオタチ・ルカリオのみ。さらに使用率の高い「はやてのつばさ」ファイアローの「ブレイブバード」を半減で受けられるのはパチリスだけ(オオタチとルカリオは等倍)。
- パチリスの弱点であるじめんタイプの主流技「じしん」は、全体攻撃故に威力が分散する...つまり決して高いとは言えないパチリスの耐久をカバーできる。
- さりとて単体攻撃である「だいちのちから」を覚えるのはフライゴンやナマズン、マッギョやサザンドラ、マグカルゴの5体と少なかった。
なお、やはりと言うかその後のWi-Fiダブルでパチリスは数を増やしたものの、碌な理由も無いまま使われ、その殆どが『ウッウの真似をするヤミカラス』で終わった事も付け加えておく。
その後の活躍
その後もセジュン氏といえばパチリスというイメージは根強く残ったものの、残念ながら第8世代でリストラを食らってパチリスは登場せず、しばらくはパチリスの活躍も聞かれなくなったが…。
満を持してBDSPで彼らは帰ってきた。
第4世代(ダイヤモンド・パール・プラチナ)のリメイクとなるBDSPは四天王やシロナの持ち物や技構成がガチ勢仕様に変更された挙げ句、なんと努力値すら最大まで振られているという、初心者はおろか古参ファンですら苦戦するほどの歴代最難関クラスとなっていたが、セジュン氏は戦闘中のアイテムを全て使用禁止にした上で6体全てをパチリスにするという縛りプレイを自らに課し、見事優勝をもぎ取ったのである。
そして新型コロナウイルスの影響により開催が延期され、3年越しにガラル地方のモデルとなったイギリスのロンドンで開催された8世代最後のPWCS2022。
そのオープニングセレモニーで流れたPVでは「咆哮するバンギラスと宙に舞い迎え撃つガブリアス、りゅうせいぐんを放つボーマンダ、そしてこのゆびとまれで引きつけるパチリス」というあの伝説の名シーンが再現されていた。さらにパチリスのぬいぐるみを右手で高々と掲げ、喜びを爆発させるセジュン氏の映像も挿入された。
……ちなみにこのPV、4体の位置関係まで実際の対戦時(下記)とまったく同じである(ラストシーンが分かりやすい)。
ガブリアス | パチリス |
ボーマンダ | バンギラス |
そして迎えた第9世代。1世代置いたものの、パチリスさんは無事パルデアへの内定を貰えた(それどころか、世界を制したパーティ全員がパルデア入りを果たしている)。
セジュン氏もパチリスだけで旅をしたり、ランクマッチが解禁されると、世界を制した時のパーティを再構築したりと楽しんでいるようである。
2024年ハワイで開催中されたPWCS。セジュン氏は出場しておりそのメンバーの中にはなんとパチリスさんも居た。
出した瞬間会場が湧いたのはご想像通りだろう。
今回の環境ではミライドンがトップメタであり、フェアリーテラスちくでんで相手のミライドンを完全封殺しながら自分のミライドンのパラボラチャージで回復することができるパチリスさんは環境との噛み合いもよかったが、惜しくも5-3でDAY2進出はあと一歩届かなかった。
余談
- セジュン氏の出身国・韓国限定で、ORAS発売直前(※韓国も日米と同日の2014年11月21日)の2014年11月15日・16日の2日間限定でパチリスさんが配信された。もちろん親名は「박세준」(パクセジュン)なのだが、個体値すらもセジュン氏が使っていたパチリスさんそっくりそのままのC抜け5Vという愛にあふれた仕様であった。
- 実はセジュン氏はWikipediaに個別項目を持っている。それも複数言語で。ノーベル賞受賞者でさえ個別記事が削除される場合があるのに、セジュン氏は個別記事が認可されていることは驚きに値する。
- なおセジュン氏はポケモンのみならず、大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALでもデデデ大王使いとしてトップクラスの成績を収めている生粋のゲーマーである。
- セジュン氏の影響かは不明だが、ポッ拳ではパチリスは「このゆびとまれ」を使用するサポートポケモンになっている。
……影響力でかすぎだろ。
- 元々好きだったのかそれとも大会での活躍に彼自身が惚れ込んだのかは分からないが、セジュン氏はパチリスが推しポケである様子が窺える。好きなポケモンを活躍させた好例だと言えるだろう。
- 前述の通りSVでも世界大会で採用しており、そこには推しポケを活躍させたいという気持ちは間違いなくあるだろう。一方で結局内定しなかった剣盾においては、セイムビートで乱心している姿が見られたり…
- レジェアルではパチリスでの戦い方を教えて欲しいというミッション(しかも報酬はオボンのみ)やLINEスタンプでもオボンのみを食べるパチリスが作製される等公式からも認知されている模様。尚、その事を知ったセジュン氏はLINEをインストールしたようだ。
関連イラスト
関連タグ
パンダ(鉄拳)…韓国人プレイヤーがマスコットキャラクターで革命を起こして世界一になった例。
お騒がせチューザ(デュエルマスターズ)…こちらも全国大会でプレイヤーを優勝に導いたネズミ。サポートと言うよりかはメタ的役割で使用された。