概要
森田徳之助こと森繁久彌・伴野孫作こと伴淳三郎・坂井次郎ことフランキー堺主演による東宝の喜劇映画シリーズ。
井伏鱒二の『駅前旅館』を豊田四郎監督によって映画化したのが原点だが、好評だったことから3年の沈黙を経て喜劇映画としてシリーズ化された。以降は、原作付きも含め長瀬善伴らのオリジナルストーリーになった。
都会的モダン志向の東宝では珍しい地方や下町を舞台にしどちらかというと松竹が得意とした作風が特徴で、我らの徳之助・孫作・次郎の「駅前トリオ」がお浮気や恋愛沙汰も絡んだ騒動を起こしたり町の大掃除等の活躍を描いている。
また製作も東宝ではなく傍系の東京映画だったため、東宝生え抜きの俳優よりも他社から移籍してきたりフリーランスの俳優の出演が多い。また『社長』シリーズの出演経験者も、加東大介やレギュラーメンバーになるのり平さんらも出ていた。
舞台となる駅…町は毎回異なっており、メインとなる駅前トリオの役柄も異なっている。故に、東京をメインに時としては東北から四国や九州等の地方ロケも多かった。
また『宇宙大怪獣ドゴラ』の併映だった『喜劇 駅前音頭』では、シリーズ唯一の海外ロケを敢行した。
前期5作品を手掛けた久松静児監督は『安宅家の人々』・『警察日記』・『クレージー作戦 先手必勝』を手掛けたが、中でも『喜劇 駅前温泉』は東宝クレージー映画の原点である『ニッポン無責任時代』と同時上映され封切興行はメガヒットを飛ばした。
シリーズのメイン監督である佐伯幸三監督はサイレント映画時代からキャリアを持つベテランで、本シリーズの『喜劇 駅前万貫』が遺作となった(併映は東宝クレージー映画との最後のコラボとなった『クレージーだよ天下無敵』)。
シリーズ
【全作ともシネマスコープ+カラー作品】
タイトル | 公開日 | 監督 | 脚本 | 主な舞台・ロケ地 | 舞台設定 |
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駅前旅館※ | 1958年7月12日 | 豊田四郎 | 八住利雄 | 上野駅 | 旅館業界 |
喜劇 駅前団地 | 1961年8月13日 | 久松静児 | 長瀬喜伴 | 西生田駅、百合ヶ丘駅 | 土地問題 |
喜劇 駅前弁当 | 1961年12月24日 | 久松静児 | 長瀬喜伴 | 浜松駅 | 駅弁屋 |
喜劇 駅前温泉 | 1962年7月29日 | 久松静児 | 長瀬喜伴 | 岩代熱海駅 | 温泉旅館 |
喜劇 駅前飯店 | 1962年12月23日 | 久松静児 | 長瀬喜伴 | 関内駅 | 中華料理店 |
喜劇 駅前茶釜 | 1963年7月13日 | 久松静児 | 長瀬喜伴 | 茂林寺前駅 | 寺院 |
喜劇 駅前女将 | 1964年1月15日 | 佐伯幸三 | 長瀬喜伴 | 両国駅 | 飲食業 |
喜劇 駅前怪談 | 1964年6月11日 | 佐伯幸三 | 長瀬喜伴 | 勝沼駅 | 土地問題 |
喜劇 駅前音頭 | 1964年8月11日 | 佐伯幸三 | 長瀬喜伴、新井一 | 千歳船橋駅・ハワイ | 商店街 |
喜劇 駅前天神 | 1964年10月31日 | 佐伯幸三 | 長瀬喜伴 | 上野広小路駅 | 町内会 |
喜劇 駅前医院 | 1965年1月15日 | 佐伯幸三 | 長瀬喜伴、斎藤良輔 | 登戸駅 | 病院 |
喜劇 駅前金融 | 1965年7月4日 | 佐伯幸三 | 長瀬喜伴 | 金融業 | |
喜劇 駅前大学 | 1965年10月31日 | 佐伯幸三 | 長瀬喜伴 | 三島駅 | 大学 |
喜劇 駅前弁天 | 1966年1月15日 | 佐伯幸三 | 長瀬喜伴 | 岡谷駅 | 商店街 |
喜劇 駅前漫画 | 1966年4月28日 | 佐伯幸三 | 長瀬喜伴 | 百合ヶ丘駅 | 商店街 |
喜劇 駅前番頭 | 1966年8月14日 | 佐伯幸三 | 長瀬喜伴 | 強羅駅 | 旅館業 |
喜劇 駅前競馬 | 1966年10月29日 | 佐伯幸三 | 藤本義一 | 府中競馬正門前駅・大井競馬場 | 競馬 |
喜劇 駅前満貫 | 1967年1月14日 | 佐伯幸三 | 藤本義一 | 恵比寿駅 | マージャン屋 |
喜劇 駅前学園 | 1967年4月15日 | 井上和男 | 井上和男、新井一 | 青葉学園高等学校(昭和63年廃校) | 学園 |
喜劇 駅前探検 | 1967年9月2日 | 井上和男 | 藤本義一、井上和男 | 古文書 | |
喜劇 駅前百年 | 1967年11月18日 | 豊田四郎 | 八住利雄、広沢栄 | 上野駅 | 旅館対ホテル |
喜劇 駅前開運 | 1968年2月24日 | 豊田四郎 | 広沢栄 | 赤羽駅 | 商店街 |
喜劇 駅前火山 | 1968年5月25日 | 山田達雄 | 池田一朗 | 西鹿児島駅 | 鹿児島 |
喜劇 駅前桟橋 | 1969年2月15日 | 杉江敏男 | 池田一朗 | 高松駅 | 高松 |
※=映画のタイトルは『駅前旅館』だが、公式ポスターのタイトルは『喜劇 駅前旅館』となっている。
関連タグ
エースコック:『喜劇 駅前飯店』でタイアップし、後に「駅前ラーメン」という即席ラーメンを販売。CMにフランキー堺が出演した。
オバケのQ太郎:『喜劇 駅前漫画』に新規製作のアニメパートでゲスト出演し、映画『ドラえもん』シリーズばりの大活躍を見せた(声:曽我町子)。