『どこだ!?ゴキブリ共!!』
機体データ
型式番号 | MS-06J |
---|---|
所属 | ジオン公国軍 |
製 | ジオニック社 |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 17.5m |
本体重量 | 56.2t |
全備重量 | 74.5t |
出力 | 976kW |
推力 | 48,500kg |
装甲材質 | 超硬張力鋼 |
固定武装 | Sマイン |
追加武装・携行武装 | ザク・マシンガン、ザク・バズーカ、ヒート・ホーク、クラッカー、シュツルムファウスト、マゼラ・トップ砲、脚部3連装ミサイルポッド×2 |
概要
型式番号MS-06J、地球降下作戦の発動に伴ってザクⅡF型から姿勢制御バーニアなどの宇宙用装備を取り払い、軽量化による地上運用適性の向上やコストダウンを図った派生型(メディア媒体によっては『ザクⅡJ型』とも呼称される)。
中期量産型のF型や『THE ORIGIN』におけるC-5型、C-6型といった初期量産型でも地上での運用は問題なく可能だったが、改設計の結果地上での性能はF型を上回っている。
ただ宇宙空間ではコクピットの気密性こそ確保されているものの、姿勢制御バーニアが無く空間機動用のモーションパターンも入力されていないため「溺れて」しまうという欠点がある。
戦線への投入は第二次地球降下作戦から開始され、制圧したキャリフォルニアベースでも生産がされた。
地球の変化に富んだ環境は湿地戦用や寒冷地仕様、局地戦仕様といったマイナーチェンジの他、多数のバリエーション機を生み出した。
しかし軍部はザクの性能の限界を早期に察知しており、陸戦型ザクを再設計し格闘戦に特化させた高機動MS『グフ』の開発に着手していた。
映像における初出は『機動戦士ガンダム』とされるが地上用のJ型という設定が追加されたのはムック『ガンダムセンチュリー』からであり、劇中では特に描き分けによる差別化などはされていない。
後年F型との外見上の差別化として『第08MS小隊』版では旧MGのふくらはぎに開口された姿勢制御バーニアにパネルや装甲板で蓋をする解釈が取られた。
MG Ver.2.0やそれに準じた解釈の『MSイグルー2 重力戦線』では脛に新たに設定された小型バーニアも含めパネルラインを残さない形で埋めており、ランドセルは上部の小型バーニアをオミットしメイン推進ノズルもランドセル本体から飛び出ない程度まで小型化されているという解釈になっている。
両者に共通する特徴として足裏のバーニアがオミットされ、爪先と踵を繋ぐ単なる関節パーツになっている点が挙げられる。
劇中での活躍
初代では先述の通りF型との差別化はされていないのでどれがJ型と断定することは難しいが、地上でもザクはやられ役として多数登場していた。
地球上で登場した機体までに限定するとセイラ・マスの搭乗するガンダムのメインカメラを破壊し鹵獲寸前まで追い詰めたコズン・グラハム機や、徒手空拳や岩石の投擲などで戦う脱走兵のククルス・ドアン機(TV版同エピソードのリメイク映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』ではF型と設定)など印象的な活躍を残した機体もそれなりにいる。
『機動戦士ガンダム08MS小隊』では前半に登場。序盤には登場した機体は片手を失いながらも抵抗するが、シローの乗る陸戦型ガンダムに撃退されている。3話ではノリス大佐が搭乗して性能差のある陸戦型ガンダムに優位に戦っている。後半はキキの村を襲ったトップ小隊の機体が登場する。
『MS IGLOO -1年戦争秘録-』では2話で地球連邦軍のセモベンテ隊に鹵獲された6機がジオン軍の物資集積所を襲撃して回っていたが、第603技術試験隊のヒルドルブと相討ちという形で全機撃破されている。
3話ではオデッサから宇宙へ敗走する機体が多数登場。無防備なHLVを襲うボールやジム相手にHLVから出て抵抗を試みたが、宇宙空間では碌な戦闘機動も取れず撃破されるだけで、ヅダの救援を待つしか無かった。J型という呼称が映像作品で公式に使われたのはこれが初めてである。
『MSイグルー2 重力戦線』ではザクといえばやられ役という扱いから一転、モビルスーツの本格的な配備が始まる前の地球連邦軍に立ちはだかる強大な敵として描かれており、特に2話では対戦車戦で多大な戦果を挙げたエースパイロット、『ホワイトオーガー』ことエルマー・スネル大尉の搭乗する白塗りの指揮官機が登場した。
漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』では南洋同盟所属の機体が登場、流出したリユース・P・デバイス技術の新たな器として利用されていた。
サンダーボルト宙域仕様特有の強烈な存在感を放っていた大型バックパックが外され、サブアームの他にスラスターが2対配置されている以外はシンプルなザクⅡの形状のランドセルとなっており、ふくらはぎのアポジモーターも上方8基がオミットされている。
動力パイプや関節部は皺のできにくい硬質ゴムでシーリングされており、足底部にも同様の処理がされた。
また、胸部装甲はF2型に酷似した形状となっている。
関連動画
バリエーション機
記事が存在しているものは下記参照
・ザクタンク ※主に地上で運用されたが、現地改修機なので原型がJ型とは限らない。
・グフ
陸戦型ザク局地戦仕様
型式番号MS-06JC。
アニメ「機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場。
当初はこれも単なるJ型として設定されていたが、後に陸戦型ザクⅡのマイナーチェンジ型という設定に改訂された。
J型との主な外見的な差としては灰色の動力パイプとスパイクの付いた右肩部シールドが挙げられるが、トップ小隊所属機など必ずしもこの特徴を持っているという訳でもない。
概要で述べた姿勢制御バーニアに装甲板で蓋をするという解釈から、宇宙仕様への改修が容易になっているとされる説がある。
胸部中央ブロック左下のハッチから乗り込む形式からコクピットの搭乗機構が改良されており、胸部中央ブロックのT字状のパネルが上に開いてそこから昇降用ワイヤーが下ろされる仕組みとなり、ハッチのある左側と計器類の配された右側のスペースを往復するスライド式だった座席も中央で固定された。
これによりモビルスーツの手や搭乗用リフトに乗るといった大掛かりな動作からモビルスーツへの乗り降りが簡便化されている。
色指定の都合であろうが、緑の明度がやや低く若干黄色に寄っている。(FZやハイザックほどではないが)
また、見た目こそ普通のザクⅡそのもののボルジャーノンは、ザクIに似たタイプにまでこのJC型でしか確認されていない搭乗機構が採用されている。
それもその筈、企画当初はこのJC型のデザインを流用する流れだったらしく、コックピットハッチの搭乗機構が同一なのはその頃の名残と思われる。
ザクⅡ地上戦仕様後期生産タイプ
型式番号MS-06Je。
模型企画『U.C.HARD GRAPH』に登場。
J型の後期生産型で、地球の環境についての戦訓を取り入れた改修が加えられた。頭部以外のデザインは設定されていないため詳細は不明だが、モノアイ部のワイパーや整備用と見られるフックなどが増設されている。
ランバ・ラル隊にも配備されていた模様。
湿地帯戦用ザク
型式番号MS-06J。
書籍『劇場版 機動戦士ガンダム アニメグラフブック』に登場。
湿地帯での戦闘向けに改修されたJ型。5色迷彩の塗装を特徴としており、南米や東南アジアで運用された。
運用時期や環境によって仕様差もあったようで、現地改修キットによる空冷装備化を行った機体や、各部に防湿加工を施した機体があった。防湿加工は水中戦能力ももたらしたとされるが、水中活動への適応はザク・マリンタイプほど本格的なものではないと思われる。
ザクMS工兵仕様
型式番号MS-06J。
ムック『GUNDAM GAMES』に登場。
各装甲工兵大隊のMS工兵小隊で運用されたJ型の改修機。火炎放射器を主武装としており、ランドセルには液体燃料と圧縮ガスを納めた円筒型タンクが増設されている。その他、サイドスカートに対MS地雷2発を、胸部に3連装スモークディスチャージャー2基を有する他、脚部にはツィメリットコーティングが施されている。
なお、知られている仕様はオランダに展開した第26装甲工兵大隊所属機のもの。
ザクⅡ寒冷地仕様
型式番号MS-06J。
ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記』に登場。
寒冷地向けの小改修が施されたJ型のバリエーション機。関節部が防寒カバーで覆われるなどの措置が加えられるとともに、塗装も運用環境に合わせた白系に改められている。また、側頭部へアンテナを追加するなど、通信機能の強化を図った機体も存在する。
ガンプラ
そもそも「MS-06 量産型ザクⅡ」としてF型と一緒くたにされて発売されることが多く、陸戦型としてわざわざ差別化されて発売されることは少ない。
旧HGUCの量産型ザクⅡ系バリエーションキットでは陸戦型ザクⅡが主に使用する武装の立体化には恵まれており、量産型には脚部3連装ミサイルポッド、ガルマ専用ザクⅡおよびEXモデルのマゼラ・アタックにはマゼラ・トップ砲、61式戦車5型とワッパが2輌ずつに兵士のミニフィギュアなども同梱された「ザク地上戦セット」では、量産型のミサイルポッドに加えてシュツルムファウストとクラッカー、発射ガスエフェクト付きザク・バズーカの弾頭がそれぞれ2発づつ、Sマインの発射口を再現可能なデカールが付属している。
また、明確にJ型と言えるHGUCのリデコ品としては、松戸市に存在した「バンダイミュージアム」限定品としてセモベンテ隊仕様が発売されていた。
最初に差別化された旧MGでは足裏がスラスター付きで共通しており、ふくらはぎの小型バーニアのパーツが外装パネルと選択式になっているに留まる。
武装はザク・マシンガン、MMP-80マシンガン、ヒート・ホーク、クラッカー、脚部3連装ミサイルポッドが付属。
旧MGのダウンサイジング版としての側面も持つ旧HGではJC型が陸戦型ガンダムとのセットの他に、追加ランナーで旧MG準拠のF型として組めるコンパチ仕様の単体キットで発売された。ただしこちらは旧MGとは逆に足裏がスラスター無しで共通で、陸戦型がJ型ではなくJC型となっている都合上F型として組む場合動力パイプの塗装が必要。劇中同様に若干緑の色相が暗く黄色寄り。
武装はザク・マシンガンとザク・バズーカ(劇中の弾倉付きタイプ)
、追加ランナーの方にヒート・ホークが付属する。
地味な差異だが、90年代に発売されたザクⅡのガンプラ(旧MG、旧HG、PG、FG)において主流だったスラスター上下方向の空間が広めに取られたランドセルの形状で、この旧HGのみ08小隊劇中に準じ外装を縦に走る小さな2枚のフィンが存在しない。
MG Ver.2.0ではシャア専用ザクやF型に先んじてJ型固定仕様で登場、旧MG以上にリデコを考慮したパーツ配置になっており、以降のバリエーション機の雛形になっている。差異については概要で述べた通り。
武装についてはザク・マシンガン、ザク・バズーカ、ヒート・ホークが共通で3連装ミサイルポッドがJ型限定、ザク・バズーカをジャイアント・バズへ組み替えるオプションパーツがF型限定となっている。
エルマー・スネル機にはそれに加えザク・バズーカの弾頭ケースが2つ付属している。
また、成型色が鮮やかになった重力戦線イメージカラーVer.が過去にプレミアムバンダイ限定で発売されていた。なお、付属品は一般機と変わりない。
U.C.HARD GRAPHの「ランバ・ラル独立遊撃隊セット」には、1/35スケールのヘッドモデルとしてJe型の頭部のみが含まれている(そもそもJe型自体がこの商品のために設定されている)。