東方心綺楼
とうほうしんきろう
概要
正式なタイトルは『東方心綺楼 〜 Hopeless Masquerade.』。意訳すれば「絶望の仮面劇」といった意味。
Hopelessは「hope(希望) less(…のない)」という語であり、「どうにもしようのない・(病気が)直らない、無駄な・無益な」という意味もある。Masqueradeは「仮面舞踏会・仮装、見せかけ・虚構・…のふり」。
上海アリス幻樂団と黄昏フロンティアが共同で制作した『東方Project』第13.5弾。時系列は『東方神霊廟』の後。2012年10月5日に黄昏フロンティアのサイトで発表された。
コミックマーケット83で体験版頒布、2013年5月26日の博麗神社例大祭で製品版頒布。
後にサウンドトラックCDとして「暗黒能楽集・心綺楼」がコミックマーケット84で頒布された。
黄昏フロンティアとの共同作品であり、弾幕アクションゲームとしては4作目。
東方の本家作品としては、初の16:9比率の画面となっている。
本作では異変の所為で登場人物(むしろ幻想郷中)が精神的影響を受けており、普段より好戦的かつ派手好きになっているのが特徴。おかげで暴走しているキャラも多く、彼女たちの違った一面などを垣間見ることが出来る。
ストーリー
(『東方心綺楼 〜 Hopeless Masquerade.』公式サイトより)
里には重苦しい空気が渦巻いている。
しかしながらそれは絶望感では無い。
何をしても人間の未来は変わらないという閉塞感に近い物であった。
『ええじゃないか!』
誰が発したのだろうか、そんな声が聞こえて来る気がする。
そうだ、何も変わらないのなら、何をしても良いんじゃないか?
次第に里の人間の心は解放され、それと同時に秩序が乱れていった。
その様子を別の視点から見る者達が居た。 宗教家達である。
宗教家は乱れた人心を掌握しようと考えた。
秩序を取り戻すと同時に、自らの信仰を集める良い機会だからだ。
幻想郷にお寺を建立した僧侶、俗世を捨て不老不死を目指す道士、
そして復権を目指す巫女。
彼女達は決意する。こういう時こそ「私の出番」だと。
さあ、それぞれの信念を武器に、魅力的に闘い、人気を奪い合え!
- 「ええじゃないか」は1867〜1868年(慶応3〜4年)にかけて、江戸から四国に広がった大衆的狂乱。伊勢神宮への農村からの集団参詣「おかげ参り」と、民衆の不満が結びついたもの。老若男女は「おふだが降った。仏像が空から落ちて来た」といい、「ええじゃないか」を歌って踊り狂乱した(『百科事典マイペディア』)。
- 民衆は地主・富商の家に入り込んで物品や酒食を強要した。幕府(中世〜近世日本の軍事政権)の倒壊を目前にした、世直し的な風潮を反映した騒動(『大辞泉』)。倒幕派の志士たちはこの現象を利用して秩序を混乱させ、運動を有利に展開する手段とした。明治維新の政体転換の頃消滅した(『ブリタニカ国際大百科事典』)。
システム
基本的な物は『東方萃夢想』と似ているが、大幅なシステム変更がされている。
- 空中戦
前作『東方非想天則』までは「地上」と「空中」の2つの状態が存在したが、
今作では地面が存在せず常に空中戦が繰り広げられる。
ただしフィールド中央を横に走る不可視の基本ラインがあり(画面には表示されない)、上下に移動しても自動的に基本ラインまで引き戻される。
つまり上下にジャンプができるようなもので、これにより立ち回りのバリエーションは大きく増えたことになる。
- 人気度
今作最大の特徴。「人気度」という特殊なゲージが戦闘中の行動によって上下する。
積極的な行動(攻撃を当てる・スペルカードを使う等)を取れば人気が上昇し、消極的(逃げまわる他、カウンターを食らう等)であれば下降する。
当然人気が高ければ戦局は有利になり、低ければ不利になる。
ラストワードの発動条件にも影響する。
- カード
必殺技のコマンド入力が廃止された。
「方向キー(上下左右)+C」 もしくは 「方向キー(上下左右)+Z」
の8つの入力がカードスロットとなっており、この8スロットに必殺技カード、アイテムカード、スペルカードを割り当てる。
前作同様に1プロファイルにつき喜怒哀楽の4つの装備セットを作成可能。
他にも様々なシステムが存在するが、詳しくは外部サイト等で確認されたし。
登場キャラクター
web体験版では博麗霊夢、霧雨魔理沙、雲居一輪を操作できる。
特技:「万有霊力の法則」 霊力最大値がアップする程度の特技
霊力ゲージが他のキャラより長くなっており、霊力最大値が上昇している。
射撃攻撃や必殺技をより多く使用でき、攻撃をガードして多少霊力を減らされても余裕をもって扱いやすい。
ラストワード:「夢想天生」
構えを取って相手の打撃を受け止め、隙を作り大量のお札で包囲して圧殺する霊夢の最終奥義。
0距離なら問答無用にガード不能で発動するため、カウンターを恐れて萎縮する相手を突き崩すことも容易。
- 人間代表の魔法使い 霧雨魔理沙
特技:「三度目の粉飾魔」 大技を三回使うと次の大技が強化される程度の特技
強射撃や必殺技を使うたびに星が一つずつ点灯していき、 全ての星が点灯すると一度だけ強射撃や必殺技が強化版に変化する。
威力の増加、範囲の拡大、無敵時間の追加など、攻撃ごとに異なる性質が強化する。
総じて、全ての星が点灯している魔理沙は危険なので、流れを読む力が相手には求められる。
ラストワード:「サングレイザー」
乗っている箒で周辺をなぎ払って相手を打ち上げ、無防備なところに最大推力で突進打撃を見舞う大技。
なぎ払いは攻撃範囲が広く、攻撃中の魔理沙は無敵という頼れる超必殺技。
特技 : 「静かなる怒気」 被弾すると怒り心頭する程度の特技
一輪がダメージを受けると「怒」ゲージが蓄積されていき、「怒」が頂点達すると攻撃力が増大する怒りモードに突入。
ラストワード:「華麗なる親父時代」
観客の人気の声に応え、雲山が戦闘に本格介入。
この間は一輪ではなく雲山を操作し、圧倒的なスケールの攻撃を行う。
胸元の一輪は一見無防備だが、雲山に守られているため仰け反り無効かつダメージ軽減の状態で、迂闊な反撃をしてきた相手には高すぎる釣銭を返せる。
特技 : 「超人の血統」
必殺技を出す前に詠唱が必要という特徴がある。
一度必殺技を入力すると使用回数をチャージする詠唱を行い、
再び同じ必殺技を入力することで使用回数を消費して必殺技を使用。
使用回数は必殺技ごとに個別で、他の必殺技を使うときは改めて詠唱が必要。
詠唱のために必殺技の使い分けが難しい代わりに、必殺技自体は強力なものが多い。
ラストワード:「アーンギラサヴェーダ」
突進で相手を弾き飛ばし、レーザーの集中照射で焼き払う連続攻撃を仕掛ける。
超高速突進は相手の弾幕をすり抜け、離れた相手も瞬時に捕える。
強力なプレッシャーと心をへし折るほどの高い威力を持つ、まさしく超人の本領発揮。
特技:「蠱毒皿の積重」
フィールドに置いた皿を自ら割る「儀式」を行うことで自身の仙力を増大させていく。
仙力が充実すると様々な攻撃が強化される。
仙力はラウンドをまたいでも初期化されないので、試合が長引くほど有利な状況を構築できる。
ラストワード:「大火の改新」
周囲一帯に火を放ち、フィールドを火の海にする。
布都は火の海の影響を受けず、相手は火の海に近づくとじわじわと体力を削られる。
火の海に近づくほど体力減少が加速する。
特技:「天職の為政者」
人気を獲得するたびに観客の欲を吸収していき、たくさんの欲を吸収するとあらゆる攻撃が強化される。
逆に人気が喪失すると集めていた欲も放出され、欲を失いすぎると攻撃が普段よりも貧弱になるので、人一倍衆目に気を使う必要がある、ガン攻め一辺倒のキャラ。
ラストワード:「詔を承けては必ず慎め」
全仙力と観客から集めた人気を勺に乗せ、巨大な光剣と化して戦場を叩ききる。
攻撃範囲はフィールド中央周辺に限られるが、光剣はグレイズもガードもできず、間合いの内であれば全てを捻じ伏せることができる。
特技:「水妖エネルギー」
強力な兵器の数々で武装しているが、兵器を使うにはエネルギーが必要。
エネルギーが足りないと兵器の性能が低下したり、使用不能になったりする。
エネルギーの残量はラウンドをまたぐまで回復しないので、ペース配分を考えた運用が要求される。
ラストワード:「スーパースコープ3D」
光学迷彩マントで姿を消して退避し、場外から一方的な空爆を見舞う。
移動キーで照準を動かし弱打撃キーで砲撃、放たれた砲弾は照準地点で爆発。
数発周期でダメージと爆発範囲が強化された砲弾を発射する。
特技:「超反応センス」
強打撃、強射撃、必殺技を入力すると、ポーズを取ると同時に 攻撃がセットされ、
相手の位置関係や時間の経過など、発動条件を満たしたときに強制的に発動。
セットできるのは強打撃、強射撃、必殺技それぞれ一つずつで、攻撃をセットすると
ゲージ内の対応したアイコンが点灯。
ラストワード:「ブランブリーローズガーデン」
相手をバラ弾幕の海に引きずりこむ。
バラ弾幕はガードで防ぐことができず、触れた相手を緩やかに引き寄せるため、
ある程度の距離であれば問答無用で相手を引きずりこむ。
- いつも驚きを提供する化け狸 二ッ岩マミゾウ
特技:「狸穴の大将」
妖怪に化けた狸が援護をしてくれる。
攻撃されると狸の変化が解けてしまい、葉っぱが一枚減る。
全ての葉っぱがなくなると一定時間技が使用できなくなる。
ラストワード:「八百八狸囃子」
複数のマミゾウが相手をタコ殴りにする。
さんざん殴った後は止めに巨大花火をお見舞いする。
※ストーリー以外でプレイヤーキャラに使えるようになったのが、Ver1.20以降である。
特技:「変幻自在の感情移入」
必殺技を使用すると「喜」「憂」「怒」の三種の感情をこころが放ち、これらの感情が有効になっている間こころが「喜=道」「憂=神」「怒=仏」に対応する性能に変化する。
発動中の感情は固有ゲージの表示やこころのスカートの放つ色で確認が可能。
感情は被弾か一部の技の使用で解除される。
ラストワード:「仮面喪心舞 暗黒能楽」
相手に面を押し付けて、見えなくなっているところを能楽を舞うかのように連続攻撃を放ち、
最後は薙刀で一閃する。
ステージ
書籍作品にみる『心綺楼』
本作では先述のように書籍作品に登場する小鈴などのキャラクターが背景登場ながらゲーム作品に初登場しており、同時に本作で語られたエピソードは同時期に連載が進行する『東方茨歌仙』や『東方鈴奈庵』においても関連したエピソードが語られているなど、ゲーム『心綺楼』は東方Projectの各書籍作品と互いに連動している。
例えば『茨歌仙』では『心綺楼』の最中のエピソードとして「 宗教ブーム 」の様が語られ、実際にその中で行われた決闘の一つと思しき博麗神社における霊夢と白蓮の一戦が語られている。
また『心綺楼』では参戦のみられなかった守矢神社の面々の動向が語られるなどその他の勢力がどのように『心綺楼』の一件を捉えていたかも描かれている。
『鈴奈庵』では小鈴とこころ、マミゾウなどを通して『心綺楼』のその後が描かれ、小鈴の奮闘とも並んで『心綺楼』後のこころがどのような経緯をたどったかが語られている。
『心綺楼』に参戦したキャラクターを見る時、前者作品では神子や白蓮が、後者作品ではマミゾウやこころが各々のエピソードに特に関連し、霊夢と魔理沙は両作品いずれにおいてもそれぞれのキャラクターや場面を通して関連している。
また両作品のいずれにおいても『心綺楼』の熱狂の裏で人々の間で何が行われていたのかがそれぞれの視点で語られているなど、本作で語られたエピソードは他作品によってもさらに深く、あるいは多様な視点で描かれているものとなっている。