スーパーファミコン
すーぱーふぁみこん
スーパーファミコンとは、任天堂が1990年11月21日にファミコン(ファミリーコンピュータ)の後継機として発売した据え置きゲーム機。略称はSFC、スーファミ。
海外版のスーパーファミコンの名は「Super Nintendo Entertainment System」。略称はSNES。
概要
16bitCPU搭載、32768色(15ビットカラー)から選択可能な多数の16色カラーパレット、それらのカラーを適用可能な16色スプライト、数十個以上のスプライト同時表示数、背景の多重スクロールと拡大・縮小・回転表示機能、ソニーのDSPによるPCM音源などなど、ファミコンから大幅に向上した性能が売り。
特に回転機能はラスター操作と組み合わせてパース表現が可能で、本体と同時発売の『F-ZERO』でそれが大いに活かされている。それまで「コースに沿って自動で方向転換、任意なのは加減速とコース内での左右の位置どりだけ」が普通だったレースゲームが「方向転換完全任意、逆走すら可能」になったのはスーパーファミコンの登場によってである。
そのインパクトから、この背景モードの番号であるMode-7は海外で回転+ラスター操作によるパース表現を表す言葉として定着した。
メモリ容量も大幅向上しており、メインRAMの容量はファミコンの2Kバイトから128Kバイトと64倍、ビデオRAMの容量も2Kバイトから64Kバイトと32倍に向上。
しかし意外なことにCPUのクロック周波数はファミコンのたった2倍(CPUの性能はクロック周波数だけで計れるものではないが)。
処理能力が足りずカートリッジ側に本体以上に高性能なCPUを積むことすらあった。
バッテリーバックアップ搭載のソフトはファミコンでの「リセットボタンを押しながら電源を切る」の作業が終了時に必要がなく、そのまま電源を切るだけ・・・と、改良がされている。
なお本機は開発中の段階ではファミリーコンピュータとの互換性が検討されていたがファミコン用カセットのスロットの増設やBIOS用ROM数の増加により、発売開始時メーカー希望小売価格¥25,000という任天堂の目標値を超えてしまうことが予測された為に最終的に互換性は排除された。
発表当初はファミコン用ソフトを使用するための「ファミコンアダプタ」という周辺機器も発表されていた。ただしこれがファミコンエミュレーション機能を使用するための拡張機器なのか、スーパーファミコンとデザインを合わせただけの互換機なのかは、発売されなかった今となっては不明である(一応だが、プロトタイプとされるものに電源とリセットボタンがある事から後者の可能性もありうる)。
なお、ACアダプタとRFスイッチは互換となっていたので、もっともファミコン所有者はそのままSFCに移行できた事もあったからと見られる。
後にSFCのAVケーブルを流用できる形でニューファミコン(AV仕様ファミリーコンピュータ)が発売された。
多人数プレイができるソフトは多かったが任天堂タイトルには実はSFCでは4、5人の多人数プレイできるタイトルが出ておらず、全てサードパーティのタイトルだけである。その為パッケージに「マルチプレイヤー5」と周辺機器名が書かれていても任天堂からはその名前のマルチタップは発売されていない。
カートリッジ
- SHVC-006
通常のカートリッジ。正面に溝があり本体の電源をオンにすると連動してロック機構が溝にかみ合う事でゲーム中のカートリッジ脱落を防止する。
特殊なチップを搭載したソフトの場合はコネクタ部分に左右に切り欠きを挟んだ端子が追加されている。
ファミコンと違い、ごく一部を除き全て統一されたデザインになっており、海賊版や非公認カートリッジが動かない様に起動用の認証チップを搭載している。
ちなみに海外版であるSNESとの差はカートリッジ形状のみで、内部基板のみにするか下駄(変換アダプタ)を噛ませることで海外版の起動が可能であった。厳密に言うとアメリカのSNESのみカートリッジが異なり、ヨーロッパのSNESはスーパーファミコンとほぼ同じだった。ただし、アメリカと日本は同じテレビの映像方式であるNTSCであるので基板剥き出しもしくは下駄で本体に挿すとそのまま動くが、ヨーロッパの場合は異なる方式のPAL等である為スーパーファミコンに挿しても動かない。
通常販売されたゲームの最後は1998年4月に発売された『ロックマン&フォルテ』が最後となったが、
近年ではゲーム制作界隈において「ファミコンやスーファミソフトを自力で開発する」という
趣向が存在しており、再びスーパーファミコン実機でプレイ出来る新作ゲームがこの媒体で登場したりもしている。
- SHVC-027
ゲームボーイ用カートリッジを差し込むスロットの付いたカートリッジ。
- SHVC-042
スーパーゲームボーイ2
通信端子が追加された。
- SHVC-028
- SHVC-040
衛星放送対応カートリッジ
サテラビュー付属のBS-Xを始めとした8Mメモリーパックが装着できる大型カートリッジ。スーパーゲームボーイとサイズが同じで形状も似ている。
- SHVC-041
ニンテンドウパワー用のカートリッジで、ソフトの書き換えが可能となっていた。
容量の許す限り複数のソフトを入れる事が可能。
最終タイトルは2000年12月より配信された『メタルスレイダーグローリー ディレクターズカット』で、
2002年8月31をもってローソン店頭から書き換え用の端末が撤去されるまでの間入手でき、
正規ルートで入手できる作品としてはこれが最後となった。
サテラビュー
1995年に発売されたスーパーファミコン専用の周辺機器。詳細はサテラビューの単独項目に詳しい。
何をする為のものかと言うと、現在の言葉で言う所の衛星放送受信用モデムユニットである。
ラジオ番組と連動し様々なサービスを提供しようとしたものの、
今ひとつ認知度や普及率は上がらず、次世代機の投入等もあって1999年までには終了していった。
その他
ファミリーコンピュータの愛称だった「ファミコン」を正式名称に取り入れている。
なお、任天堂は「スーファミ」の愛称は公認しておらず当時のゲーム雑誌には「スーパーファミコン」と呼称するよう注意を呼びかけていた。
日本市場ではPCエンジンやメガドライブなどの競合機が存在していたが、ライトユーザーにも対応したソフトやファミリーコンピュータからのサードパーティの取り込み等を行う等圧倒的なシェア率を誇っていたが、北米等の海外市場ではメガドライブ(北米版はジェネシス)に先行されていたため、ほぼ互角のシェア率で留まっている。
SFCではAVケーブルが用意され、テレビに接続しやすくなった。ステレオAVケーブル・モノラルAVケーブル・SビデオAVケーブル・RGBケーブルの4つのうちRGBケーブルのみはN64以降では非対応となる。
なお、N64に関しては一部ロットの映像・音声出力コネクタ内部で結線改造するとRGBケーブルが使える個体があった。
初期型本体に限るが、内蔵音源は基板とは別のユニットとして存在し単独で取り外す事が可能で非公認だが必要な機器を用意するとその音源ユニットを利用して演奏できる。
兄弟機・派生機種
スーパーファミコンJr.
小型化した廉価版。イジェクトスイッチや外部拡張コネクタが無く、
S端子とRGBへの対応がオミットされている。改造で映像出力機能を元に戻すことは可能。
また、コントローラ端子の間隔がオリジナルと異なり、当時のワイヤレスレシーバーの接続には延長ケーブルを介する必要がある。この問題は『8BitDo』などの現行商品では解決している。
後述する北米版SNESに対する廉価版である北米版SNES Jr.も存在しており、
そちらはソフトの差込口が北米版SNESソフトに合わせて幅広で角ばっているのが特徴。
スーパーファミコンボックス
有料プレイ用のコインボックス付きと無しの二種類がある。カートリッジはSFCとは異なり大型でコネクタに互換性がない。
大量のソフトを格納していたファミコンボックスに対し、こちらではレギュラーカートリッジとオプションカートリッジの2本にまとめられており、レギュラーカートリッジがないと起動しない。
レギュラーカートリッジの収録タイトルは『スーパーマリオカート』『マリオコレクション』『スターフォックス』という強力打線で、
オプションカートリッジは『ワイアラエの奇跡』&『SUPER麻雀2』、『スーパーテトリス2』&『ドンキーコング2』の2種類があった。
「『ワイアラエの奇跡』だけ知らない、名前的にファンタジーRPG?」という人も多いかもしれないが、
この作品はゴルフシミュレーションの『遙かなるオーガスタ』の派生作品で、
ワイアラエカントリークラブ(ハワイのゴルフ場)のコースを入れたバージョンである。
ゴルフと麻雀という激渋なチョイスはビジネスホテル需要等を意識したものと思われるが、
現在聞かれる目撃談などでは、オプションは後者で動いている事が多いようだ。
その他、詳細は外部リンクへ。
SF-1
任天堂と提携したシャープが発売したスーパーファミコン内蔵テレビ。
サテラビューは物理的に接続不可能。ちなみにテレビ自体はモノラルで映像はSビデオ出力相当。
外観は上部にもっこりとスーファミ部分が突き出した箱型ブラウン管テレビで、
コントローラーコネクタ部分は互換性があり、通常版の周辺機器なども使える。
14型と21型の2機種が発売されたうち、21型にはケーブルが長いコントローラーが付属した。
なお、上記のスーパーファミコンボックスという業務用機がありながら、
こちらも宿泊客へのサービスとして旅館やホテル等の客室に設置される事が多かったようである。
そのためか、地デジ移行した現在でも「(大本で地デジチューナーを噛ませているために)まだ映るから」という理由で客室に置かれたままの宿泊施設があったり、
「ソフトの貸出はフロントまで」という案内表示がつけっぱなしになっていたという目撃談も(本当にゲームができるか、まだソフトは貸してくれるかは不明だが)。
Super Nintendo Entertainment System(SNES)
NESと呼ばれていたファミコンの後継機として、海外で発売されたスーパーファミコン。
通称「スーパーニンテンドー」。
北米版とヨーロッパ版で仕様が大幅に異なるのが特徴で、後者の外観が日本で発売されたものに
近いのに対し(前述のように各国のテレビ仕様などに合わせて細部は異なる)、北米で発売されたものは角ばったデザインで、
色も灰色と青紫を基調としており似ても似つかない見た目になっている。
前述のように北米版と他地域のカセットは物理的に互換性が無いほか、
ヨーロッパ版のカセットは外観が同じだが、CICの形状が違う為に日本版との互換性は無い(ただし、非正規商品の変換アダプターや改造で無理やりプレイする事は可能)。
スーパーコンボイ
韓国で発売されたモデル。長らく軍事政権が続いていたという政治的な事情から、
国外ゲーム機を入手するのが難しかった韓国では1985年に大宇(デウ)電子社が発売した「ゼミクス」という廉価MSX系ハードが日本で言うファミコンのような立場に収まっていた。
1989年に現代(ヒョンデ)電子産業社から1989年にヒョンデコンボイ(コムボーイ)という名称でやっとファミコン互換機が発売され、
1992年には「ヒョンデスーパーコンボイ(コムボーイ)」という名称でかなり急ぎ足気味にスーパーファミコン互換機が発売された。
本体の仕様は電源と出力周りが異なる点と、ハングルの印字がある以外は日本で発売されたモデルとほぼ同じ(この電源仕様の差で日本版のACアダプタは使用できない)。
ソフトのCICも日本版と同じ仕様のため、日本版と韓国版のソフトには互換性があり、
当時韓国版が発売されなかったソフトの日本版をなんとかして入手して遊ぶマニアも居たという話があったり、
日本のレトロゲームショップ等でも稀に韓国版のソフトが紛れ込んでいる事がある。
ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン
ニンテンドークラシックミニシリーズ第二弾として登場。2017年10月5日発売。
ファミコンのクラシックミニ同様にスーパーファミコンの本体をコンパクトなサイズに仕上げ、さらにスーパーファミコン用ゲームの中から21タイトルをあらかじめ収録している。また今回は着脱式のためコントローラーは当時のサイズを完全再現したものとなっているとのこと。このコントローラーは過去にクラブニンテンドーのプラチナ会員が会員特典としてもらえた「Wiiリモコン用スーパーファミコンコントローラー」と同等であり、コネクタ形状が多少違うがWiiリモコンの接続コネクタに繋ぐ事ができる。
さらに収録ゲームの中には世界初リリースとなる当時開発されたものの未発売に終わった幻のタイトル『スターフォックス2』が収録されている。
なお、オリジナルであるスーパーファミコンそのものをそのままコンパクトにしたものではなく、『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』同様に現在の技術でエミュレートしているものと思われる。
幻の兄弟機
PlayStation(未発売)
任天堂とソニーが共同開発していた試作機の一つ。SFC用カセットと、スーパーディスクと呼ばれるCD-ROMソフトの両方を扱える互換機になる予定だった。しかし、諸事情(※)で計画が頓挫した事で販売品としては完成しなかった。この時のノウハウからプレイステーションが誕生した。
試作機にはグレーのものと白色のものが存在する。後年発見された後者は実際にスーパーファミコンのソフトが起動できている。
※…これは諸説あるが、CD-ROMドライブの読み込み速度が不十分だったという説と、スーパーディスクソフトのロイヤリティに問題があったとされる説、ハード開発のみを担当するはずだったソニーが無断でソフトまで開発したために破談になったという説もある。
代表的なソフト
随時追加お願いします。
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