円盤生物
えんばんせいぶつ
概要
『ウルトラマンレオ』番組後期「恐怖の円盤生物シリーズ」、及び『ウルトラマンメビウス』等に登場した一群の怪獣の総称。
レオが放映された1970年代中期は、ちょうど日本で「UFOブーム」が爆発的に広まった時期であり、そのムーブメントをウルトラシリーズも積極的に取り入れようとした事から考案された。
宇宙怪獣や侵略宇宙人が当たり前に存在する中で「宇宙からやってきた未知の円盤」をそのまま出しても珍しくも何ともないので、空飛ぶ円盤に変形する怪獣という独特のギミックを持つ新しい怪獣たちが考えだされた。それがこの円盤生物である。
また、当時はオイルショックの影響で未曽有の不景気であり、あらゆる製作費やギャラを削減しなければならないという危機的状況に陥ってしまったため出来る限り製作費を浮かすために「怪獣との対決を操演用の人形で行う」「着ぐるみも元となった生物そのまんまにデザインして造形を簡単にとどめ、出来る限り演出で視聴者を引き付ける」というスタッフの苦肉の策の産物だった(尚、それが功を制したのかスタッフが頑張りすぎたのか、それまでのレオに比べてミニチュアワークや演出がパワーアップしている)。
地球侵略を目的とするブラック指令の命令を受けてブラックスターから地球に飛来、侵略活動及び、その障害の元となるウルトラマンレオの抹殺を目的に活動を行った。
円盤生物が登場した時期がMAC壊滅後だった為、後年の『ウルトラマンメビウス』においてレオに登場した個体群は「ドキュメントMAC」ではなく「アウト・オブ・ドキュメント」として登録されている。
全体的にあまり怪獣らしくない、不気味でつかみどころのない外見が特徴で、海洋生物を連想させるデザインが多い。その内何体かは「ブラック○○」というネーミングで存在する。
星人ブニョ以外は皆何らかの生物と宇宙生物を合成したものである。基本的に皆円盤形態に変身でき、人間が持てるぐらいの大きさまで小さくなれるものもいる。これを利用して神出鬼没な行動を取り、レオの気づかぬ間に人間社会へと潜伏し、襲撃等を行った。
ブラック指令亡き後もノーバの別個体が登場したり、エンペラ星人がブラックスターの破片からロベルガーを誕生させ、他の宇宙人がレオに登場した円盤生物の別個体を率いていた事から、ある程度の数が存在していた事と量産可能であった事が伺える。なお、ウルトラ怪獣大百科によれば円盤生物は宇宙に住むカニやクラゲなどといった生物が改造された存在という説が語られている。
円盤生物の中でもたった1体で防衛チームMACをモロボシ・ダン(=ウルトラセブン)を含めて全滅させ、主人公おおとりゲンの恋人らをはじめ主要登場人物まで殺害した『最悪のトラウマ怪獣』シルバーブルーメと、赤いテルテル坊主そのものといった余りにもシュールな容貌を持ちメビウス、大怪獣バトルにも登場したノーバが特に有名。
また、蟹のような姿で肩書きの円盤という名を示すような形のブラックドーム、ラスボス扱いのブラックエンドが児童向けの雑誌に取り扱われる事が多く、それなりに知名度が高い。
それぞれの個体は特殊能力に長けており、個体差はあるが知能も高い。
シルバーブルーメ~アブソーバまでは自らレオに挑んでいった訳ではなく、あくまで自身達の邪魔をしたレオと戦うのみであったが、自身達の脅威がレオのみ(MACは全滅、ダン隊長もこの時点では消息不明、MACの代わりの防衛軍も円盤生物に歯が立たない)と判明した為か本来の目的の地球侵攻と同時に邪魔なレオを倒す事も視野に入れて行動するようになり、その過程で人間の存在に興味を持ち変化、進化し始めた。デモスからは通常の襲撃のみならず人間の心を支配、利用した策略が増えていきゲンを精神的に苦しませていく。
円盤生物は空中に浮遊しながら戦闘するタイプが多いが、普通の怪獣より小さめの体形も相まって、レオキック等の格闘技は打撃を与えても後ろに下がって威力を流されたり、当てにくいので効き目が薄く、殆どの円盤生物はそれまで使う事が少なかった光線技で倒されている点も特徴。後に80やメビウスを苦戦させたロベルガーのように決して円盤生物の戦闘能力自体は低いわけではないが、円盤生物相手のレオは今までの戦闘の経験や修業の成果故か、多少苦戦する事があってもかなりの差で倒してしまう場合が多く、カラータイマーが点滅する事も殆どなかった。唯一レオ自身が倒せなかったのはハングラーのみ(倒したのはアストラ)。
円盤生物紹介
ブラックスター出身の円盤生物
第40話『恐怖の円盤生物シリーズ!MAC全滅!円盤は生物だった!』に登場。
クラゲやイソギンチャク等の軟体生物を思わせる姿をした円盤生物第1号。
円盤生物のデビューを飾ると共に、前述の鬼畜な所業で視聴者に多大なトラウマを残した。
映像作品への登場は、今のところこの一度きりだが、これ故円盤生物の中ではノーバと並んでダントツの知名度を誇っている。
第41話『恐怖の円盤生物シリーズ!悪魔の惑星から円盤生物が来た!』に登場。
カニやカブトガニ等の甲殻類を思わせる姿をした円盤生物第2号。
宇宙蟹と宇宙怪獣を合成して作られた。小型形態が妙に可愛らしい。アホの子属性。
第42話『恐怖の円盤生物シリーズ!レオが危ない!暗殺者は円盤生物』に登場。
クラゲに似た姿をした円盤生物第3号。
小型化しているところを動物好きな少年に保護されるが…こちらも割とトラウマメーカー。
第43話『恐怖の円盤生物シリーズ!挑戦!吸血円盤の恐怖』に登場。
クモヒトデに似た姿をした円盤生物第4号。
複数の小型円盤生物に分裂し、人間から吸血をして無差別に殺害した。
第44話『恐怖の円盤生物シリーズ!地獄から来た流れ星!』に登場。
カメやカエルのような姿をした円盤生物第5号。
初の二足歩行型円盤生物であり、火花を散らしながら飛ぶ隕石に擬態して地球に潜入した。
第45話『恐怖の円盤生物シリーズ!まぼろしの少女』に登場。
ヒトデのような姿をした円盤生物第6号。
同じくレオに登場したアシュランの様に、前後対照の青(氷属性)と赤(火属性)の面を持つ。
第46話『恐怖の円盤生物シリーズ!戦うレオ兄弟!円盤生物の最後!』に登場
脚の生えたチョウチンアンコウのような姿をした円盤生物第7号。
頭部の触角を信号機のように擬態させ、巨大な口でクレージーゴンのごとく車を喰らう。
第47話『恐怖の円盤生物シリーズ!悪魔の星くずを集める少女』に登場。
二枚貝に似た姿をした円盤生物第8号。
桜貝そっくりの姿をした分身『テリナQ』をばら撒き、それに触れた人々の心を支配した。
第48話『恐怖の円盤生物シリーズ!大怪鳥円盤 日本列島を襲う!』に登場。
鳥や翼竜のような姿をした円盤生物第9号。
円盤形態が存在しない珍しいタイプであり、新宿にある高層ビル群を襲撃した。
第49話『恐怖の円盤生物シリーズ!死を呼ぶ赤い暗殺者!』に登場。
タコやてるてる坊主に似た円盤生物第10号。
シンプルかつシュールな外見が特徴的で、トオル少年に取り付いて人々を赤いガスで狂わせた。
星人ブニョ
第50話『恐怖の円盤生物シリーズ!レオの命よ!キングの奇跡!』に登場。
アメーバのようにドロドロとした円盤生物第11号であり、同時に宇宙人でもある珍しい存在(本記事では便宜上円盤生物に分類されているが、これに含めないとする意見もあり、ファンの間では見解が分かれている)。
レオを氷付けにして死体をお墓に捨てた恐ろしい奴。人間態を演じる蟹江敬三氏の怪演は必見。
第51(最終)話『恐怖の円盤生物シリーズ!さようならレオ!太陽への出発』に登場。
球体状の体から鋭い刺や尻尾が生えている、円盤生物第12号。テントウムシやヘビトンボの幼虫などを思わせる姿をしている。
最後にして最強の円盤生物であり、レオの名を呼びながら各地を破壊して回った。
『ウルトラマンメビウス』第31話『仲間達の想い』に登場。
アウトオブドキュメントにも記載されていない新種。
円盤形態から怪獣形態へと変身し、激しいアクションや光弾攻撃でメビウスを追い詰めた強敵。
『ウルトラマンメビウス』第41話『思い出の先生』に登場。
ロベルガーの亜種であり、体色が黄色くなったほか頭部の角が2本増えている。
ウルトラマン80に追跡され、そのまま地球に飛来。80とメビウスを相手に立ち回った。
その他
第40話『恐怖の円盤生物シリーズ!MAC全滅!円盤は生物だった!』~第51(最終)話『恐怖の円盤生物シリーズ!さようならレオ!太陽への出発』に登場。
黒服を身に纏った宇宙人であり、ブラックスターから円盤生物を次々と呼び出して指令を与えている存在。
見た目は地球人とほぼ同じだが、肌が不気味な青白い色をしている。
第40話『恐怖の円盤生物シリーズ!MAC全滅!円盤は生物だった!』~第51(最終)話『恐怖の円盤生物シリーズ!さようならレオ!太陽への出発』に登場。
ブラック指令の要請を受けて、次々と円盤生物を送り込んでいた悪魔の星。
後に『ザ・ウルトラマンメビウス』にて、惑星自体が円盤生物の生産工場を兼ねた巨大な円盤生物だったのではなかったのかと推察されている。
その他
ノルバーグ
『ウルトラマンG』第10話『The survivalists(第47格納庫)』に登場。
狂信的な自然保護主義者であり、自らが人類の支配者となるべく活動しているエコテロリスト。
休眠していたUF-0を兵器として利用しようと企むが…
レオの前番組である『ウルトラマンタロウ』にて初登場した宇宙人。
小説「ザ・ウルトラマンメビウス」において、円盤生物軍団を率いていた。
エンペラ星人の尖兵でもある。
『ウルトラマンメビウス』にて遂に姿を現した暗黒の皇帝。
光の国の天敵と言える存在でもあり、多数の配下を従えている。
配下の中には円盤生物が存在するほか、上記のロベルガー誕生にも深く関わっている。
『大怪獣バトルシリーズ』における黒幕宇宙人であり、全てのレイオニクスの父的存在。
エンペラ星人と同様に多数の配下を従えている。
ゲーム及び漫画版では、シルバーブルーメを利用してレイオニクスのパワーを吸い上げていた。
『大怪獣バトルシリーズ』にて初登場したウルトラマンゼロの宿敵であり、ウルトラマンジードの父親。
こちらも多数の配下を従えている。
ウルトラ銀河伝説ではベリアル怪獣軍団の中にノーバとロベルガー二世の姿が確認できる。
円盤生物の中でも屈指の知名度を誇るシルバーブルーメとノーバが擬人化された他、彼らを従えていたブラック指令までもが擬人化されるという予想の斜め上の展開がなされた。
デザインは全員爆天童氏が担当している爆天童氏によると、最初にノーバがデザインされ、その後2体の円盤生物をラインナップに加えることとなった模様。一応すべての円盤生物のデザインを考えており、その中からブラック指令とシルバーブルーメがチョイスされた。爆天童氏のツイッター上では惜しくも没になった他の円盤生物たちのラフ画やブラック指令の没案が公開されている。
なお、漫画『ギャラクシー☆デイズ』の最終回では、新たにブラックエンド、デモス、ブニョと思われる3体の円盤生物の怪獣娘が登場しているが、この回限りの特別出演だったのか、今後発表される予定のキャラクターを先行登場させたのかは今のところ不明(一応、上記のリンク先で公開されているラフ画とは異なるデザインになっている)。
メディア展開においては、2018年公開の劇場版作品『怪獣娘(黒)〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜』で3人揃ってメインキャラクターに抜擢された(当然ながら円盤生物たちを主役とした作品が作られるのは今回が初めてである)。
担当声優は、ブラック指令役が新田ひより、シルバーブルーメ役が高橋未奈美、ノーバ役が石原夏織となっている。主題歌も、OPはこの3人にペガッサ星人/平賀サツキ(声-八木侑紀)を加えた『ブラックスターズ』が担当するほか、EDをノーバ役の石原夏織が担当する。
なお、最初はTV版と同様GIRLSたちを主体とする話を考えていたが、既にTVアニメ版で活躍や成長の過程を描いていたこと、1時間という短い尺の中ではメンバー全員の活躍を描くのが困難であったこともあり、それならばシリーズで新しい動きを展開するためにも新しいキャラクターたち(特に正義の味方に敵対する小規模な組織)をメインにした方がよいのではないかということになった。
監督を務めた山本靖貴氏によると、その過程で漫画『ギャラクシー☆デイズ』の番外編に登場した円盤生物たちが目に留まり、作品の方向性に条件が合致していたこと、監督自身が彼女たちに愛着を抱いたこともあり、晴れて映画の主役に抜擢されたとのことである。
また、映画の公開を記念してdアニメストアで「恐怖の円盤生物シリーズ」の全エピソードが期間限定公開され、平成最後の年に思いがけない形で円盤生物たちにスポットが当たることとなった。
余談
第39番目のスーパー戦隊『手裏剣戦隊ニンニンジャー』には円盤生物同様にレトロチックな円盤状のUFOに変形するUFOマルが登場する。
ちなみにニンニンジャー忍びの26にて『アカニンジャー超絶がウルトラマンレオのポーズをとって巨大化』という珍事を果たした。(なお超絶のモチーフの獅子つながりかは不明)