概要
かつて鳳ツルギの作戦参謀として彼と共に宇宙幕府ジャークマターと戦ったカラス座出身の戦士。小太り体型で2本の釵を武器に持つ。
ラッキーに似た性格で、ジャークマターとの戦いで仲間が次々と戦死していく中、ツルギに励ましの言葉を掛け続けていたが自身もドン・アルマゲの攻撃からツルギを庇い命を落とした。
これにより心に傷を負ったツルギはかつての自分達と同じくジャークマターと戦おうとする現代のキュウレンジャーを守るべく、『俺様の盾になれ』と言う相手を逆撫でさせる発言をしてまでも戦いから遠ざけようとした。
上記の逸話から解かる様にツルギの思い入れが深い仲間で、Space.25でもツルギの記憶の一部として彼が現れた(ただその際、クエルボの方からツルギに攻撃していたが理由は不明だったが……(詳細は下記))。
Space.38の回想では、かつてケフェウス座星系・惑星アチョルクの試練で足手まといになりツルギに助けて貰っていた事が判明。
己の弱さに意気消沈しツルギの元を去ろうとするが、「強くなくてもいい。お前の長所はその頭脳だ。お前にしかできない戦い方があるはずだ」と諭された事でツルギ達の作戦参謀になり、後に何度も知略でツルギ達を救ったとの事(この話を聞いたショウ司令は、自分にしか解らない点から襲ってくる仲間達が偽物と確信し、カロー・デスゴンの策略を破った)。
Space.44で二人の初めての出会いが明らかとなる。
ジャークマターの強制収容所があったカラス座系惑星ベローナにて、一度脱獄に失敗して失意の中にあったクエルボが囚人として潜入していたツルギと出会った…という物で、後にクエルボが立てた作戦をツルギが実行し同様に収監された住人達も救い出す事に成功する。
もともと長期的戦略を練る事に長けており、クエルボの計画をツルギが現状に合わせた形に落とし込む事で二人は無敵のコンビとなっていた。
余談
演じる浪川氏はスーパー戦隊シリーズで初代デカレッド(候補)レオン星人ギョク・ロウ(特捜戦隊デカレンジャー)や炎神スピードル(炎神戦隊ゴーオンジャー)など正義サイドの役を多く演じているが、魔法戦隊マジレンジャーではラスボスの絶対神ン・マを演じている。
戦隊シリーズへの参加はタンクトップシャドー(烈車戦隊トッキュウジャー)より3年ぶりとなる。
また、ツルギ役の南圭介氏とは同じ役を演じた事があるという共通点がある。即ち!それを踏まえて本編を見るとまた縁を感じるところである。
名前の由来はスペイン語で「カラス」を指す「Cuervo(クエルボ)」。
関連タグ
オライオン(キュウレンジャー):同じくツルギの元、333年前のジャークマター討伐に参加した88星系の英雄仲間。
【警告】これより先、真実が記載されている為閲覧には注意されたし
衝撃の再登場
Space.43でドン・アルマゲの正体を見たツルギは浮かない顔をしていた。
するとカラス座系の惑星がアントン博士の実験で次々と爆発する異常事態が発生し、キュウレンジャーは直ちにカラス座系へ向かい、ツルギと彼が出会った惑星ベローナへ着陸する。
博士が品種改良して生み出したボスワームを撃破したラッキー達は直ちに爆発の原因であるモライマーズを破壊しようとするも、そこでドン・アルマゲの襲撃を受け変身解除に追い込まれてしまう。
ベローナの民間人を避難させていたガル、バランス、チャンプとしばし戦線を離脱していたツルギがラッキーの元に向かう中、アルマゲはあのローブの姿でキュウレンジャーの前に現れる。
今まで聞かせた事がない声色で「ツルギ。僕の正体、ちゃんと伝えてくれたかい?」とツルギに問うアルマゲ。
ツルギがアルマゲの正体を隠していたと知りラッキーも「どうして言わなかったんだ!」と驚くが、
「信じたくなかった……。すなわち、今のドン・アルマゲは、“俺様の知っている男”だ……!」
というツルギの言葉に動揺するラッキー達。
そしてその光景を見ていたアルマゲは、着ていたローブを脱ぎ捨てた。
「そう。僕はツルギのかつての仲間…」
「クエルボさ!」
なんとそこには死んだはずのクエルボの姿が………!!
そう…彼こそが宇宙全土を支配するジャークマターのショーグン「ドン・アルマゲ」の正体だったのだ。
333年前のツルギとの戦いで大ダメージを受け瀕死の状態だったアルマゲは、ツルギを守る為に自ら盾となり死にかけていた彼の肉体に憑依し、現在のアルマゲの器となって生きていたのだ。
「これが今の僕の姿だ…」
正体を明かしたクエルボは眩い光で自身を包み込み、白い甲冑と(Space.43でツルギに正体を明かした際に広げた)6つの翼を持つ、色こそ対照的だがアルマゲに酷似した姿……『ドン・クエルボ』へと変貌を遂げた。
「また会おうキュウレンジャー。君達の大切な場所で待っているよ」とキュウレンジャーに伝え、ついに限界を迎え壊滅するベローナから飛び立っていった。
飛び立つ際、「俺様が、お前に取り憑いたドン・アルマゲを倒してやる!」と叫んだツルギに対し、「取り憑く?誰が?誰に?僕がドン・アルマゲだ!」と発言しており、今までのドン・アルマゲが他の生物に憑りついて操っていたのとは勝手が違う模様。
※後の顛末を考えると、実際は憑りついたアルマゲが自分に干渉してこないのを都合良く解釈、かつてのツルギをも凌ぐ強大な力を自由に奮える事を見せびらかす幼稚な台詞でしかなかった模様。
何とかカラス座系から脱出したキュウレンジャーは、クエルボの発言から宇宙を消滅させるのに十分に豊富なプラネジュームが存在し、メンバー全員に関わりのある惑星チキュウにクエルボが向かうと推測。
その後ホシ★ミナトから超弩級サイズのビッグモライマーズがチキュウへ配備されたと知り、キュウレンジャーはクエルボの野望を止めるべく再度チキュウへと向かうのだった。
そして、続くSpace.45でチキュウへ超弩級ビッグモライマーズを突き刺したクエルボもといドン・クエルボは、プラネジューム爆弾で宇宙を滅ぼした後自身がそれへ憑依、新たな宇宙と化して生まれ変わり全てを救うと言うカルト宗教じみた最終目的を語る。
当然それを知って黙っていないキュウレンジャーはSpace.46で全力を向けてドン・クエルボと決戦。激しい攻防戦の結果超弩級ビッグモライマーズはキュウレンジャーに破壊された上、ドン・クエルボもツルギやラッキーに追い込まれて必殺技を喰らってしまう。
しかし直後、自ら取り込み力にした筈のドン・アルマゲが抜け出し、クエルボはかつての姿に戻ってしまう。長年の計画の頓挫、そして全ての力を失い元の無力な自分に戻ってしまったことで半狂乱になったクエルボは、ツルギの謝罪も聞き入れず、「宇宙は…宇宙は僕の物だぁぁぁ〜!」と釵を振り上げながら、歩み寄ってきたツルギへ斬りかかろうとする。
だが、友への情はあれど未練は捨てたツルギはすかさずホウオウブレードを抜刀、それで斬り捨てられたクエルボは崩れ落ちて死亡。その身体は灰と化して朽ち、風に攫われて行った。
しかし次の瞬間、クエルボから離れたアルマゲはツルギに取り付きその身体を獲得してしまう。
キュウレンジャーの前に敵として立ちふさがった者の中にはキュウレンジャーの身内も少なくは無かったが、力の無い自分自身に対する絶望感と親友への誤解と嫉妬から、悪への囁きを受け入れて優れた頭脳を悪の為に使い、自らも最強の戦士として立ちふさがるという彼らの集大成とも言える男、それがクエルボだった。
しかし、何らかの形で人としての心を失っていなかった彼らと違い、クエルボは最後までツルギへの誤解と嫉妬の心を持ったまま死んでいった。尤も、誤解や嫉妬という負の感情もまた、人間らしい心ではあるのだが。
【真実】
退場時の展開を見ればわかる様に、クエルボに憑りついていたドン・アルマゲは最後の最後でクエルボを切り捨てた。クエルボの最終目的は自分がアルマゲになった事、つまりアルマゲの憑依能力を使える事を前提とした物だったのだが、これによりその前提が崩れてしまった。
しかも直後、ツルギの身体を乗っ取ったアルマゲはそれを介してプラネジュームを摂取、不死の力を得ようと言うクエルボの物と真逆の方向になる目的を明かした。
即ちクエルボがドン・アルマゲの依り代に選ばれた真意は、不死の力を宿す器となるツルギを誘き出すべく彼の親友に対する情を誘う“囮”として使う為だった。
更に最終話で判明したドン・アルマゲの正体から最も思念を集められる存在と判断された模様。
クエルボが得てしまった破滅願望とカルト思想を果たすためにジャークマターが動く事も、その過程で宇宙中の人々が苦しめられる事も、そしてクエルボ自身が宇宙その物になると言う妄想を膨らませても憑りついたアルマゲの方は全く干渉しなかったが、それはツルギを誘き出す時までクエルボが自身を手放さない様にするアルマゲの方策だったと言う訳である。
またこれは、クエルボがジャークマターの組織維持に使った“権力層の好き勝手にさせて堕落、飼い殺す”(※)方法でもあり、結局クエルボ自身が一番ドン・アルマゲに飼い殺されていたと言う皮肉となっていた。
※好き勝手の一つとして“有事の際の保険”も仕込んでいたらしく、本編で作っていた分身を発展させた『予備の身体』や、それへ注ぐ高濃度のプラネジューム=ハイパープラネジュームを密かに用意していた様子。この保険がクエルボやアルマゲの死後勝手に動き出し、自我に目覚めた『予備の身体』が『ドン・アルカゲ』を名乗って“アルマゲを超える最強の影武者”となるべく独自行動を開始。このアルカゲの暗躍をキュウレンジャーが並行宇宙を跨ぎ追跡したのが、ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャーの発端である。
そして、アルマゲが本当に求めていたのはプラネジュームでは無く、その過程でジャークマターに脅かされる者達の嘆きと苦しみであった。宇宙を壊して作り替える目的の為にプラネジュームを求めたクエルボだったが、アルマゲから見ればとんだ茶番劇に過ぎなかったのだ。
一方その過程で、アルマゲから実質明け渡されたジャークマターの規模を拡大、歪んだ形でだが宇宙のほぼ全てを手中に納めたクエルボの手腕は間違いなく本物だった。だがそれへ価値を見出さずアルマゲより提示された目的に執着した結果、自分が元々持っていた物も造り出した物も全てアルマゲに良い様に使われて奪われた上、最後は何も出来ない頃の姿に戻されて切り捨てられる惨めな結末を迎えてしまった。
余談(ネタバレ)
ドン・クエルボの姿がカラスモチーフの割に白い体色なのは、からす座の元になった太陽神・アポロンの使いである白いカラスに準じている物と思われる。
身に付けている胸当てに刻まれた模様は地動説を模しており、果実を咥えたカラスに見える形に配されているが、これは対の存在である天動説(アルマ宇宙観)をモチーフとするドン・アルマゲに惑わされ悪に堕ちる事を暗示している。
現状を打破する力に優れる革新者のツルギに対して、クエルボは今ある物を受け継ぎ、発展させ守る為の長期的な計画を組める『治世者』として非凡なリーダーの才能を有していたと言えよう。
現に、彼の造り出したジャークマターの合理的な組織システムとその実績がその才を歪んだ形でだが証明している他、革新者としてのリーダーであるツルギが『宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』でジャークマターが滅んだ後の平和になった宇宙を守ろうとして周りの都合に雁字搦めとなり、悪い方向へと流されていった点からも解かる。かつてはクエルボのプランニング力で自分が進む方向を大まかに見定め、それを実現する為にリーダーシップを奮っていたツルギだったが、クエルボが死んだ後プランニングも自分1人でやらなければならなくなり、それが上手く回らず破綻した結果と言えよう。
ここからして、ツルギがクエルボに向けた親友の情は、リーダーとして自分が持てなかった面の才能を持った男への大きな敬意も含んでいたと取れる。しかし心の底にあった自己嫌悪を晴らせなかったクエルボへ、ツルギの敬意が伝わる事は無かった。
ドン・クエルボの記事内で詳しく述べているが、結局クエルボの生涯は『目立たなくて無力な自分』を嫌い、受け入れず否定し続ける事に費やされたと言え、ツルギの『親友』として彼を助け続ける善行を積み上げたのはそれで得た優越感で嫌いな自分を見下す手段だった様子。その歪みを見抜いたアルマゲは、『ツルギに代わって宇宙を救う力を与える』と唆す事で一体化したクエルボをコントロール、彼の長所である頭脳を使う事で全宇宙の命がジャークマターに苦しめられ負の感情を出し続ける環境を作り上げた。
なお、『優越感を得て嫌いな自分を見下す』精神構造は、前作『動物戦隊ジュウオウジャー』に登場したジニスと同じである。ストレートに他者を脅かす暴虐を行って優越感を感じたジニスに対し、歪んだ善意を積み重ねる形で優越感を得ていたクエルボは表向きの態度からツルギら周りが歪みに気付けず、より行動がエスカレートした節がある。そしてそこをアルマゲに付け込まれた結果、独善に走り道を踏み外したとも考えられる。
関連タグ(ネタバレ)
七嶋葵:こちらも黒幕に体を器にされたあげく死亡してしまった正義の戦士つながり。又、友人との嫉妬や誤解をして友人と仲たがいしたあげく黒幕に体を利用されると言う共通点が存在する。こちらは精神世界で親友と和解出来たのが救いともいえる。
博多南無鈴:3年後の戦隊の登場人物。兄に隠れて目立たない物の、他人への行き届いた気遣いが出来る縁の下の力持ちで、それが一国を預かる王の目に留まり『戦士の後ろでサポートする事の出来る本当の戦士』と評され、“困った時は必ず助けに来る”との約束を交わされた。
そして彼はその評価を素直に受け取り、自分なりの努力を続けながら年を取った結果、戦隊を強力にバックアップする組織を作り上げる力を持った人物に成長。更に本編内において交わした約束を実現させ、王と長い年月を経ての再会を果たした。
呉島光実:クエルボ同様、兄貴分や憧れの人に純粋な好意を向けていたが、同時に家族や学校等との軋轢から目を逸らす目的でも大事な人との関係に拘っており、『大事な人達の為なら“汚れ役”になってもいい』と言う捻くれた価値観を抱えていた。
その価値観故に、彼を都合良く利用しようとする者達に嗅ぎ付けられて関わられた結果、あっと言う間に地獄へ転がり落ちて行ってしまう。
だが彼を利用しようとした者達は全員、光実とは別の要因で破滅。その流れで彼自身も自棄になり命を捨てようとしたが、兄貴分の身を挺した行動によりギリギリの所で地獄から生還した。
そして失意の中で自分のやって来た事を振り返り、自らの価値観を再構築した後、世界を救って去っていた大事な人達に代わり自分がヒーローになる事を決意。
最終回でその一歩を踏み出した後、後日談でも実践を続けている。
呉島貴虎:実は弟とほぼ同じ価値観(『人類を救う為なら多くの人々を抹殺した罪を被ってもいい』)を抱えていたのだが、こちらは根幹の人の良さがブレなかったので周りに散々翻弄されたが辛うじて悪には堕ちなかった。