カブトムシワルド
かぶとむしわるど
「フハハハハハ……! みんなよく働くカブトムシ…。 これは、オレからの楽しいプレゼントカブトムシ…。 ビートルトルーズ!!」
「ハハハッ、オレの所為だが何かカブトムシ?」
データ
身長/201cm
体重/302kg
世界/カブトムシトピア
名物/カブトムシ捕り放題
名産/ビートルトルーズ
概要
トジテンドが人間界侵略の為に、カブトムシの世界「カブトムシトピア」を閉じ込めたカブトムシトジルギアをクダックに組み込んで、樹液に誘われて誕生したワルド。
頭部はそのまんまカブトムシの頭部を模しており、後頭部には加速ブースターが仕込まれている。更に右手はヘラクレスオオカブト、左手はコーカサスオオカブトを象ったクロー付きガントレットを嵌めていて、両腕の先端がそれぞれハサミ型と三叉型のクローとなっている。
胴体がクダイターなのは他のワルドと同様だが、全体的に黒光りで重厚な往年のロボットの様な面構えも含めて、非常にヒロイックで男心をくすぐられる外見で纏められている。
カブトムシトピアの力を悪用する事で、頭部から発せられる幻覚ビーム『ビートルトルーズ』を放射し、対象を虫捕り少年の格好に変えた上で夏の森の幻覚に引き込み、周囲の物体がカブトムシに見える状態に陥らせる能力を行使する。
対象者の目に入るカブトムシの幻覚は一般的に知られるカブトムシだけでなく、海外に生息する種類も含む多種多様なカブトムシの幻覚が展開される。
前回のワルドの能力が効果範囲、発動時の絵面ともに強烈過ぎて過小評価される所もあるかもしれないが、幻覚に陥り童心に帰った人々は日常生活を放り出して幻の虫捕りに夢中になり、反抗勢力は実質無力化可能。
しかも、一度でもビームを浴びた者は再度ビームを浴びても幻覚は解除されないし悪化もせず、カブトムシワルドが居続ける限り永遠にカブトムシを追い続ける、楽しい“カブトムシ捕り放題”の幻覚に魅せられたままになってしまう。
更に混乱にも気づかず、戦闘等命の危険に晒される状況も認識できなくなる為、一般人を傷つける訳にはいかないゼンカイジャーにとっては極めて厄介な状況が生まれうる(ただ、その気になればその者を盾にしてビートルトルーズを回避する事は可能)。
とはいえ、何度か見慣れた侵略成果しか出せない事へ憤慨したボッコワウスに生み主兼上司のバラシタラは癇癪をぶつけられるも、ゲゲの取り成しから『幻覚はいつでも解除出来るから、幻覚に陥れた人々は必要になったら労奴として使える』とボッコワウスが(一方的に)活用方法を捻り出した事で、何とかボッコワウスの機嫌を取って作戦の継続を維持した。
上述の様に、幻覚のコントロールはカブトムシワルドに握られており、任意で解除可能との事。ただし虫捕りに関する印象的な記憶を持っている人物なら、そこを起点に自力で幻覚を突破される可能性もある。
カブトムシの世界の力を備えているだけはあってパワーと防御力も優れていて、それを用いた直接戦闘にも自信を持つ。後頭部のブースターで加速して放つ頭部の角を用いた頭突き攻撃を得意とする他、両腕のガントレットに内蔵されたマシンガンで、クローで組み付いた相手へ近距離から不意打ちで発砲する攻撃も使える。
この戦闘力をもって一度はゼンカイザーをも圧倒したのだが、運の悪い事にすぐさま自身以上のパワーと防御力を誇るスーパーゼンカイザーが登場してしまうのだった…。
自身の実力を確信しているのか、「~カブトムシ」と落ち着いた口調で話しつつ余裕を持った立ち回りを見せる冷静豪胆を気取った性格で、自分の侵略行為は「今のあくせく働く民間人に楽しめられる場を与えてやっている」と善行だと考えているので悪びれる気は一切無い。
その一方、本能の一部がカブトムシになってしまっており、高い所によじ登ったり、樹液の匂いに引き寄せられてしまう少々困った習性も獲得してしまっている。
活躍
バラシタラの手で誕生後、早速街中で能力を行使してカブトムシ捕りの幻覚にスーさんら人間界の人々を捕らえ始める。
程無く異常を察知・出動して来たゼンカイジャー相手にクダック部隊と共に交戦するも、相手は幻覚によって戦っている最中へお構いなしに割り込んでくる一般人の動きに怯んでうまく戦えない。
「みんな幻の虫捕りに夢中だから、気を付けた方がいいカブトムシ?」
ブルーン「幻の虫捕り!? 貴方、カブトムシワルドさんですよね? やはり、全部の虫がカブトムシなのですか!?」
「フンッ…。自分の目で確かめろカブトムシ…。ビートルトルーズ!」
こうして、相手の隙を突いてビートルトルーズを浴びせた事で、いきなりゼンカイジャーの無力化へ成功し、ゼンカイジャー達を含む人々がカブトムシ捕りの幻影に踊らされる様を「喜んでくれてよかったカブトムシ…」と皮肉交じりに見物していた直後、遅れて上空より現れたツーカイザーに襲撃されたので、奴も同じく幻覚に取り込もうとビートルトルーズを連射するが、相手は街中を動き回る人々を盾にしつつかわしたので埒が明かないと判断、相手を回避に集中させ気が逸れた所を突いてその場より姿を晦ました。
因みに直後に幻覚を見せられたゼンカイジャー達から網を被せられ、ややギリギリの会話が生まれていた。
ゼンカイジャー一同「捕まえたーーー!!!」(歓喜)
ゾックス「おい、お前ら。何してんだ…」
セッちゃん「あぁ! またカオスな事になってるチュン…!」
異変に居ても立っても居られず駆けつけたセッちゃんが止めようにも、幻覚を見せられている介人達はセッちゃんを巨大なカブトムシと思い込んで追いかけ始めて説得できず、このようにゼンカイジャーが無力化された状況で唯一対抗出来るゴールドツイカー一家は自分達だけでカブトムシワルドの討伐を目指す事に。
その具体的な策を考えつつ昼食のパンケーキを食べていた際、パンケーキにかけたメープルシロップ≒樹液がカブトムシの好物である事を思い出したのでそれを使ってカブトムシワルドを誘き出す事を思い付く。
このアイディアを実行するべく、フリントはセッちゃんより知恵を貰う為カラフルへ向かうも、ちょうどセッちゃんの方も急にどこからか製造データを受信した新装備の実現の為フリントの手を借りようとしていた所だったので早速両者とも協力し合い、カブトムシワルドを倒す準備と手立てを整えた。
その後、ゾックスはセッちゃんのアドバイスでフリントが調整したアバレンジャーギアを使い、アバレキラーのウイングペンタクトを召喚、特大サイズのメープルシロップを容器ごと描き出す。
これをギアダリンガーで銃撃して破壊、中身を手近なビル壁へ塗り付けた事で樹液代わりに。
そして甘ったるいシロップの匂いに誘われ、予想通りカブトムシワルドが近くの街灯に掴まった格好で登場する。
「クンクン…甘い匂いがするカブトムシ…。 何と大量の樹液! オレの大好物カブトムシ!」
ゾックス「掛かったな、カブトムシワルド」
「げっ! ツーカイザー!?…さては、罠だな?」
ゾックス「今頃気づいた? ちゃちゃっと倒されな」
そこをツーカイザーにチェンジして仕留めようとしたゾックスだったが、ここでボッコワウスをなだめ前線に出て来る余裕の出来たバラシタラが割り込んで加勢して来た為、カブトムシワルドは2対1でツーカイザーを圧倒。しばらく後バラシタラに足止めを行って貰う事で任務に復帰しようとする。
介人「あっ、そうだ…。今は父ちゃん母ちゃんもいなくて…トジテンドにいるかもしれなくて……そう、トジテンド! 俺、今、カブトムシワルドと戦ってたんだ。虫捕りに夢中になってる場合じゃない!」
しかし、カブトムシ捕りの幻覚に浸ったのを切っ掛けに、両親と最後に外出した過去の思い出を思い出した介人が自力で幻覚から復帰。カブトムシワルドが場を立ち去ろうとする今その瞬間で乱入し、走って来た勢いも乗せたドロップキックをまともに喰らい怯んでしまう。
そのままゼンカイザーと交戦、自慢のパワーで有利を取るが、程無くフリントとセッちゃんが共同で開発したゼンカイジュウギアを携えてクロコダイオーより降下。それをカブトムシワルドの攻撃を搔い潜りつつ用いたゼンカイザーはスーパーゼンカイザーに強化変身を遂げた。
パワー勝ちしていた先程までとは一転、重量のあるゼンカイテンランスを振り回す相手の攻撃を捌き切れず重い一突きを喰らって転倒。これへ「よくもやったな…。 お返しカブトムシ!」と怒って今度はブースターを吹かしての頭突き、両腕のクローやマシンガンと言った攻撃を矢継ぎ早に繰り出すも相手の強固な装甲に全て弾かれた挙句、再び一突きで吹っ飛ばされた所をワイヤー射出されたゼンカイテンランスの先端で絡め捕られ、自身を軸に回るスーパーゼンカイザーが放ったギアトリンガーの銃撃をまともに浴びた上に強引に引き寄せられた末、そこにゼンカイテンランスの下突きが直撃して大きく吹っ飛んでしまう。
そして最期は、「超ゼンカイスーパーバスター」を喰らって胴体を貫かれ爆散・敗北。
これを以ってカブトムシ捕りの幻覚は消え、正気に戻ったキカイノイド組は大急ぎで介人の元に駆け付けたのだった。
バラシタラ「スーパーゼンカイザーか…面白いのである。クダイテスト!」
クダイテスト「お呼びですね、バラシタラ様!」
また、残されたカブトムシトジルギアはバラシタラが後詰めで呼び出したクダイテストが踏み付け、ダイカブトムシワルドを誕生させた。
余談
近年のカブトムシはヒーローのモチーフというイメージが強いが、カブトムシモチーフの戦隊怪人としては『特命戦隊ゴーバスターズ』のハイパーバトルDVDに登場したにせビートバスター以来9年ぶりとなる。
ただしこれは『敵幹部が正規の戦士の装備システムを乗っ取って悪用した』特殊なパターンの悪役でもあるので、そうしたイレギュラー要素を含めないならば『獣拳戦隊ゲキレンジャー』の臨機兵ブトカ以来、14年ぶりのモチーフ採用となる。
名物の「ビートルトルーズ」の由来はおそらく、『虫(ビートル)捕り』と「だらしない・たるんだ」の英訳『Loose(ルーズ)』、有名なイギリスのロックバンド『ビートルズ』を混成した物と思われる。
劇中でもビートルズの12枚目のアルバム・アビーロードのジャケットを模したシーンが流れている他、同じオマージュのある『爆竜戦隊アバレンジャー』のEDも意識していると思われる。
声を演じる近藤氏は『宇宙戦隊キュウレンジャー』のユメパックン以来、4年ぶりの戦隊出演となった。
また、五色田功を演じる川岡大次郎氏は過去にカブトムシのヒーローを演じている。
因みに介人らゼンカイジャー5人が幻惑によるカブトムシ捕りを楽しんでいる場面で快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャーに登場したカップラーメン『宮古タンメン谷本』のカップが登場している。
関連タグ
ビートルカンス、カブトギン、トルバドー、臨機兵ブトカ:歴代戦隊におけるカブトムシモチーフの怪人達で特にドルバドーは巨大ロボ、ブトカは強化変身など戦隊パワーアップ回の要素も併せ持っている。
キーラー(ベーダー怪物):『電子戦隊デンジマン』に登場したカブトムシと虫取りに関係した作戦を行った怪人。ただしこちらは、カブトムシ好きな人々に『無敵超人ザンボット3』の有名なトラウマエピソードである『人間爆弾』と同じレベルのトラウマを与える作戦内容である。
GOD_SPEED_LOVE:15年前の仮面ライダー映画。この内2体のダークライダーの両腕がカブトムシワルドの両腕を模しており更に超高速移動も使える事から言うなれば、映画に出てきたカブトムシライダーがキメラ化した存在とも推測できる。
ビートルアンデッド、コーカサスビートルアンデッド:17年前の仮面ライダーに登場した、それぞれがカブトムシの始祖たる存在。
この怪人のどちらかがバトルファイトに勝ち抜いたらカブトムシトピアの様になっていたと思った人は多かっただろう。
カブタック:『メタルヒーロー』シリーズの作品「ビーロボカブタック」の主人公。同じカブトムシモチーフのロボットであり、スーパーゼンカイザーの変身時の掛け声が「スーパーチェンジ全開!」だった為、彼を連想する視聴者がいた様だ。
また因みに、オーレンフォームのモチーフである『超力戦隊オーレンジャー』の同期は、同じくカブトムシモチーフの戦士が主役を務めるメタルヒーロー『重甲ビーファイター』である。