喰われたくないなら 抵抗しろ
お前はいつ 大人になる?
概要
川口勇貴の漫画作品。
週刊少年ジャンプ2021年30号から連載中の狩猟ファンタジー。
外国では『The Hunters Guild:Red Hood』と表記される。
「狩人VS人狼」「人VS怪物」の戦いを綴った物語が描かれている。
" これは二人の狩人の物語 "
登場人物
狩人組合
CV.田村睦心(ボイスコミック)
本作の主人公。カソカ村に住む赤桃色髪と三つ編みが特徴の少年。過去に両親を人狼へ喰われた悲劇に遭う。そのためまだ幼いながら人狼討伐を夢見て、野生動物の狩猟で経験を積み力を磨いてきた。その甲斐あって咄嗟の洞察力や知的な判断力に優れる。また初めての人狼を前に恐怖したが、狩人の女性・グリムとの交流や「お前はいつ 大人になる?」といった言葉をきっかけに、子どもながら単身で怪物へ立ち向かう勇気と決断力を発揮する。
CV.沢城みゆき(ボイスコミック)
主要人物の1人。狩人組合に所属している狩人。赤頭巾を纏った普通の子どもに見えるが、狩りの際には容姿端麗の大人へ変身する。
怪物退治の豊富な知識と経験、気配だけで人狼を察知できる、冷静沈着な判断力を有するといった相当な玄人(プロフェッショナル)。これらの技能と、所持している狩猟用の多彩な道具・武器を駆使して、確実に怪物を追い詰める。
普段子どもの姿なのは魔女に呪いを掛けられた為。大人の姿になれるのは1日で3時間程の制限がある。
狩人連合のアイアンワークス車掌兼教官である、筋肉質の元気な女性(体育会系)。そして色んな意味でデカイ。左目に眼帯(アイパッチ)を当てている。常にホカホカと体が熱い人。
その他、狩人組合と関連のある人物
※年齢は2021年10月「週刊少年ジャンプ」45号の巻末目次コメントより出典。
チルチとミルチ
牽引ヤドカリの運転士として登場した兄妹。兄は剣技、妹は射撃を得意としている。
2人とも相当な強者で狩人候補だったが選考落ちしている。ベローが合宿へ参加する今期に、兄妹も再び選考合宿へ挑戦している。
名前の由来は青い鳥のチルチルとミチルと思われる。
ビックジョー=ボンカース
合宿参加者の1人。顎と首を覆う保護具(プロテクター)を付けた巨漢の男性。23歳(…!?)。
見た目通りの怪力を有する。実は20代だが老け顔であり、(本作を『読む者たち』も含め)ベローとポルッツェンからは「おっさんじゃなくて20代なんだ…」と、密かにごもっともな感想を抱かれた。
組合の選考合宿にはベローもいる今期を合わせて5回も参加している古参。つまり4度も選考落ちしているが、その反面から体力・胆力が頑強に鍛えられてもいる。
本名はケレンケン=ボンカースで、名家・ジンモートの出身。その過去から『物語(せかい)』へ背を向けて逃げるような言動をみせていたが…。
ブレーメン
合宿参加者の1人。過去に妻と子どもを人狼に襲われた怨恨から、組合参入の意を固めていた老人。
しかし意気込みは十全であったが、やはり高齢と老体からか過酷な合宿へついていくことが出来ず途中離脱した。
合宿参加者の1人。通称・メリオ。34歳。
メガネをかけた長身痩躯の男。ヌメッとした雰囲気の人物だが、利口的な言動をみせる大人の男性。また〝食べかけ恐怖症〟という欠点を持つ。
メリオは菌類学者であり、上着の内側には『百門粘菌(スライムズ)』という多種多様の菌類を入れた容器を常備している。霧吹きなどを活用して、状況に応じた菌類を吹き付け多彩な効果を発揮する奇抜(トリッキー)な技をもつ影の実力者。
ミガエル=ガギャ
合宿参加者の1人。顔に布(フェイスベール)を付け、中東風(アラビアン)の聖職者みたいな装いのお姉さん。26歳。
長身であり、思わず「ふくよか」を想起させる容姿(スタイル)をしている。信仰深い人物だが、組合の選考合宿に最後まで残っただけあり、現実的な対応もする大人の女性。
「神殿巫女流 防衛術」という魔術(ミガエル曰く『神のご加護』)を使い、指先から障壁(バリア)を発現させる事ができる。
ヌーロ・サウ
合宿参加者の1人。中華風の装いをしたお兄さん。26歳。
秘伝霊薬『柳風香(リュウフェンコウ)』を服用する事で、口から大柄の女性を怯ませる程の突風を吹ける妙技を使う。また『香』を使わずとも、体術で応戦する姿もみられる。
合宿参加者の1人。ベローぐらいの低身長な童顔の25歳。
顔へ菱形(ダイヤ)の化粧(メイク)に、髪を4つ結びした特徴的な髪型、引き締まった体型(スタイル)を強調した装いの女性。「天空技劇(てんくうサーカス)団式 操縄術(そうじょうじゅつ)」という巧みなロープ捌きの使い手、身軽で器用な一面、そして曲芸師のような風貌から曲芸(サーカス)の出身と思われる。
利己的な言動もあるが、そのために協力関係を惜しまなかったり、他者へ助言を送るといった善良な人物だと窺える。
モスコ・コブス
合宿参加者の1人。右目に眼帯(アイパッチ)を付けちょび髭を生やした、禿頭(スキンヘッド)の壮年男性。
強面の大柄な風貌の通り横暴な性格で、金と暴力を信条としている経営者(ビジネスマン)。
「働く男の処世術(ワークマンズ・アーツ)」という独特(ユニーク)な体術を使う。
ターパン
縦縞の服を着た長身で、赤みがかった鼻が特徴的な男性。
合宿参加者の1人だが、実は…。
クルサ
角みたいな耳みたいな被り物?が特徴的な女性。猫っぽい服装をしている通り(そして彼女もにゃかにゃかにゃ恵体)、語尾に「にゃ」と付けて話す人(にゃ~)。
合宿参加者の1人だが、実は…。
ローレル
IW(アイアンワークス)の車掌を務める1人。選考合宿の最終試験「ケイドロ」では、屋上にある檻へ待機する看守(解錠係)を担った。
合宿参加者の1人・チルチとは面識があるようで…。
人狼
ミャイリ
CV.青井怜(ボイスコミック)
カソカ村の老婆。実は村長を喰い殺した人狼。グリムを呑み込むもベローに斧で腹を切り裂かれ、グリムに腹の中へ時限爆弾を仕掛けられ爆死した。年を取っている為牙が無く人狼の中でも弱い方だった。
ナラオイア
まん丸に太った体型の人狼。ミャイリが殺されて嘆き悲しんだ。カソカ村を襲い家を破壊していたが、グリムに村の大鐘を落とされて気絶する。ドドーに足手纏いと見なされ心臓を潰され死亡した。
ドドー
すらりとした体型の人狼。ナラオイアの兄。弟が村を荒らしている間に人間へ擬態し、避難した人達の皆殺しを企んでいた。だがベローにより正体をバレされてしまう。
身バレした後、ベロー達の前で失態を犯した弟のナラオイアを痛め付け、これ見よがしに自身を引っ掻いて傷付け再生能力により十数メートルの巨大人狼へ変化。残酷にも力を増した状態で弟の心臓を潰した。
弟を粛清した後にベロー達へ襲い掛かるが、痺気貝(ガス・シェール)で噎(む)せて嗅覚を封じられるも、聴覚でグリムを見付け飛び掛かるがベローの不意打ちによる銃撃に遭う。だがこれでは死なないと挑発するが、その傷が再生しない事へ気付いたグリムに追い打ちを掛けられ、待ち伏せしていたベローが仕掛けたガス引火による煙突の大砲で胸(心臓)を撃ち抜かれ死亡した。
血の目録(レッドリスト)
リュカオン
巨大化したドドーより更に大きく、50メートルくらいある巨体。人狼の首領。ドドーとナラオイアの親を名乗っている。この他に服を着ていたり、普通の人狼とは目付きが異なるといった別格の存在感を醸し出している。
『物語(せかい)』の進行に目を配らせる言動をしていたが…。
名前の由来はリカオンと思われる。
リュカオンの右腕。リュカオンと共にカソカ村に現れた魔女。人間を見下している。ワープゲートの魔法を使い移動する。吸血犯罪者と異世界から来た人間を絶滅させる存在を足して2で割ったような容姿。
「逆さ散り菊」と言う線香花火のような魔法を使い、カソカ村の辺り一面を焼き尽くし壊滅させた。
その他の人物
カソカ村の村長
CV.拝真之介(ボイスコミック)
名はヘック・オーロック。ベローにとって、自身の両親を殺した人狼を退治してくれた恩人でもある。好物は鹿肉。
村の人狼被害に対処するため、村長の自宅売却などをして資金を工面するといった人格者。そして、宿無しの身から「誰か家に泊めてくれ」と言い出すなど豪快な人物でもあった。
死亡したかに見えたが……?
実は『物事を書き換える「加筆」の能力』を使う、物語の重要人物(キーパーソン)。
作風・物語の世界観
本作「レッドフード」の世界には空想的かつ中世風の特徴がみられる。物語序盤では燃料で薪や石炭といった原始的な面と戦車など機械的な技術面といった社会の一端が登場している。
物語には多彩な「知性」を持った生き物(キャラクター)が登場しており、人狼や魔女といった人外も存在する幻想的な世界観が描写される。魔女の呪いといった魔術の他に、人それぞれがもつ超能力や神技の技術をもった武芸者もおり、強者揃いの面々がお話へ刺激的(スパイス)な彩りを加えている。
だが、これら以上に強調されるのは「知恵を巡らせた知能戦」が繰り広げられていること。
それは「狩り」の如く―
- 獲物の習性や痕跡を観察し状況を推理して、
- 確実に仕留めるための戦略会議や戦術を組み立て、
- 時には罠を張ったり勝つための要素(ピース)を揃えたり、
- 囮を使った作戦も考慮に入れて、
- 仕留める瞬間(タイミング)に今までの準備を活用し全力で狩猟(ハンティング)へ行く
これは野生でも行われる草食動物と肉食動物の弱肉強食に通ずるものがあり、狩りで重要な事の一つである「知性」の闘いに力を入れた作風が窺える。なおこれは「人 VS 怪物」だけに限らず「人間 VS 人間」の騙し合い・疑心暗鬼も垣間見える。
これらの展開(シナリオ)から、主要人物の女狩人・グリムがいう「狩りとは 人と獣の知恵比べ」が物語で注目される魅力(ポイント)の一つなのだろう。
また「狩り」の題材(テーマ)へ注力するため、数話に渡って大事な『ページ』を消費しやすく、展開の伏線回収・辻褄合わせに「溜め」が起きやすい創作へなりやすいと思われる。さらに能力や技能の応酬よりも、やや「知的な駆け引き」が目立つ作風から、掲載誌の傾向「力や技のぶつかり合いなど」からみれば少し特異な物語かもしれない(本作「レッドフード」は、いわば「知と知の鬩ぎ合い」といった感じか)。
上述で触れたように運命(シナリオ)へ張り巡らせた糸(伏線)が物語に垣間見え、これを辿るための意図的に追加される『ページ』の数々、それを魅せるために迫力ある攻防戦(アクション)や個性的な画力で読者を惹きつける御伽話の世界(また妙に刺ささりまくる「性的嗜好(フェティシズム)」の意味も含めて)も注目(ポイント)であろう。
これらの加筆で次々と振り回される登場人物(キャラクター)たちの奮闘・思惑・暗躍といった群像劇も見所(ポイント)である。
動物
物語には独創的(ファンタジック)な生き物たちが登場する他、おとぎ話に登場する定番の種族も散見される。
巨人
ベロー達が目撃した巨人は大きな木のような姿をしていた個体。ボンカースの回想では、一つの胴体に二つの頭部があるような姿をしていた事から、体型に個体差のある種族だと思われる。また種族名の通りに、大木を軽々と運べるほどのがっしりした巨大な体躯をしている。
習性の一つ『通過』は(その名称や内容から、巨人としてはただ歩いているだけの行動と思われる)、人が暮らす街を襲う天災級の被害をもたらし、組合が出動するほどの大惨事。
作者のTwitterでは、カラーで描かれた巨人が投稿され、その様子は木属性の個体×2が悠々と歩いている画。
牽引ヤドカリ
人を乗せる車(台車の上に荷箱と人が寝起きする小屋を一体化したような乗り物)を背負ったヤドカリ。個体名はアンバー。
運転手がアンバーの前に吊るした魚を操って移動する(その構図はなかなかユニーク)。
因みに、作者・川口勇貴の自画像(マイキャラクター)は家を背負ったヤドカリが描かれる。
背負い蟹(カーニ・アルマート)
周りの物を背負い装甲にする蟹。泡を吐き出し砂と混ぜ接着剤にし色んな物を背に貼付ける。
6話で登場した巨大な個体は戦車を武器にしている。
器用蟹(プライヤ・クラブ)
用語
人狼
(作品奥にいるギョロ目をした怪物)
ある日突然人間から変化し人間を喰らう存在。
一度人を喰べた人狼は一生人間を襲い続ける。
その他の特徴として―
など姿以外の性質はかのジャンプ漫画の人を喰らう存在に近い。弱点は心臓で、これが潰されると再生出来なくなり死んでしまう。また、火で焼かれたり狼鉄鋼(ヴォルフォニウム)と言う特殊な金属で出来た銃弾を受けると再生出来なくなる。
狩人組合
伝説の狩人・赤ずきんが設立した怪物退治専門の傭兵組織。依頼金を支払うことで怪物退治の傭兵が派遣される。
狩人組合へ参入する希望者は経歴が様々に大人数おり、そのため組合では厳しい訓練が何日も続く選考試験を設けている。
人狼狩り616ツ道具
狩人組合が人狼を殺す為に作った616個の秘密道具。普段はいくらでも物が入る鞄にしまわれている。
猟犬の鼻(ハウンドマズル)
CV.常盤昌平(ボイスコミック)
犬の鼻型をした道具。銃に装着して使う。血や骨の臭いを嗅ぎ分けどんな生物のモノなのか判別する。そして喋る。
煙幕パイプ(ポケット・チムニー)
パイプ型の道具。人狼に吹き掛け視界や嗅覚を遮る。
痺気蜃(ガス・シェール)
身を守る為に刺激性のガスを吐き出す貝。これも人狼の嗅覚や視覚を一時的に封じる。
狩人の銃(チェーホフ・シリーズ)
人狼を仕留める為の銃。普通の銃及び銃弾では人狼には歯が立たない。反動の強いこの銃は人狼の心臓を貫通する威力がある。
知恵の鎖輪(サピエンス・チェーン)
長い鎖。瓦礫を絡ませリュカオンに攻撃したが歯が立たなかった。
血の目録(レッドリスト)
詳細不明で謎の存在。灰の魔女(シンデレラ)によれば「再び動き出す」の言葉など、不穏な動きを窺わせている。
竜(ドラゴン)
大昔に生きていた怪物。500年前に狩人組合が滅ぼし、現在ではお伽話へ登場する架空の存在にされている。
「真実の本」という重要書物へ書かれている言語。この世界(レッドフード)とは別の世界で用いられている言葉であり、(本稿を閲覧している一部の)『読む者たち』が読解できる文字。
作品投稿・検索の注意
作品名の「レッドフード(RedHood)」のみだと、直訳で『赤い頭巾』という事でグリム童話『赤ずきん』関連の作品なども当てはまる。またDCコミック「バットマン」の同名登場人物といった作品も多く該当(ヒット)する。
作品投稿サイト「pixiv」(またこれに限らず)で、本作関連の作品を公開・タグ付けなどする場合は、本記事の『レッドフード(漫画)』を使用するといった工夫で絞り込み検索を助ける。
関連動画
🎥『レッドフード』1話 前編【ボイスコミック】 - YouTube
🎥『レッドフード』1話 後編【ボイスコミック】 - YouTube
🎥『レッドフード』2話【ボイスコミック】 - YouTube
🎥『レッドフード』3話【ボイスコミック】 - YouTube
関連サイト(外部リンク)
関連項目
汝は人狼なりや?・・・1930年頃・ヨーロッパ発祥の伝統的ゲーム。通称「人狼ゲーム」とも言われ形を変えながら現在も好まれて遊ばれている。ざっくり説明すれば「人間役は紛れこんでいる人狼を巧みに探る・人狼役は狡猾に人間を騙す内容」で、互いの知恵比べがミソの遊戯。本作「レッドフード」の題材(モチーフ)にされていると思われる。
赤ずきん(英: Little_Red_Riding_Hood)・・・有名なグリム童話のお話。第一話にある構成の一部は、この民話に因んだ展開がある。
類似事項
RWBY・・・アメリカのプロダクションスタジオ《Rooster_Teeth_Productions》が製作する3DCGの長編WEBアニメ(及び、作中に登場するチーム名)。赤ずきんなどのグリム童話といった物語が題材(モチーフ)にされている、多彩な武器(こちらは変態・機械的な機能が満載)や魔法のような超能力が登場するアクション作品繋がり。
因みにGrimm(グリム)という怪物たちが登場する。
と、いう『物語』がありましてな…
以下ネタバレ注意
⚠以下、本作の根幹に関わる『ページ』が「加筆」されます。⚠
⚠本誌未読の『読む者たち』は閲覧注意⚠
- 『真実の本(トゥルーブック)』
理を定め世界を構築する白紙の書物
本作『レッドフード(漫画)』には、いわゆる『物語(せかい)』の核になる書物が存在する。当然、殆どの只人は知ってはならない情報。これを管理する機関が存在しているも、現行では「2ページ」が何者かに奪われた状態であり、これだけでも大変な事態であるとされている。
では、この書物で何が出来るのか。その片鱗が15話以降で「加筆」されている。
例えば―
- 人狼界の首領(リュカオン)をいともたやすく"存在しない者"にできたり
- 赤ずきんの狩人(グリム)には記憶改変を施したり
といった、おそらくの影響を及ぼしている。ただし、完全な「加筆」は行使できないようで、事後の『物語(せかい)』へ情報(てがみ)を遺したり、記憶改変を受けていない者によって"そういう事"が行われたと察知し対処へ動く事ができる。
また『物語(せかい)』の根幹に関わる「加筆」も行える事が示唆されている。
そう。
大昔 空には竜(ドラゴン)が翔(と)んでいた しかし狩人が滅ぼした
と、500年前に"そういう話"を書いて"そういう事"に出来ると窺えるお伽話が、カソカ村の村長だったヘック・オーロックによって語られた。
そして彼の目的
『赤ずきん(グリム)』を主役の座から引き摺り下ろし
『狩人(ベロー)』を主人公に擁立するため
も同時に判明する。
実は主人公へ挿げ替える『ベロー』という存在は、組合と敵対する「目録」と(実は途中まで)目的が一致する村長(ヘック・オーロック)が『ページ』の力を合成して造った生きる人形だった(また作中世界では、人工生命の創造は「禁忌(タブー)」とされている)。
『ベロー』という特異存在を組合に入らせる事で、組合の支配【真実の本(トゥルーブック)の管理という名の現実改変】を解き、その後は「目録」が用済みとなった『ベロー』を処理しハッピーエンド(めでたしめでたし)となる予定だった。
またこれの関連事項として、人狼や巨人、そして組合の狩人なども『真実の本(トゥルーブック)』を管理する過程で生み出された存在(せってい)であるとも判明。この裏設定(しんじつ)を顧みると、怪物側からすれば「なぜ人外たち(自分たちキャラクター)が狩られる側なのか」と、不公平な立場からの反逆があって計画した秘策『ベロー』だったのかもしれない。
だが甘い。
「目録」の協力者・村長(ヘック・オーロック)こと、元「赤ずきん」の二代目であった「ルードヴィヒ・ゼペット」が望んだ結末は違った。
「目録」が望む完結(エンディング)は、まるで誠実な老人が星に切なる願いを祈った事で、魔法の「奇跡」から誕生した生き人形を通じて、幸福な生活を手にしたお伽話のようなご都合主義の起承転結(しっぴつ)をルードヴィヒは望んでいなかった。彼は大鯨が獲物だけでなく何でも飲み込んで存在ごと消し去るが如く、この『世界(物語)』を一篇たりとも残さず、本もろとも消し去るつもりでいるのだった…。
さて。本作『レッドフード(漫画)』を表面上の絵やキャラクターなど浅く読むか、作中の言動や思惑など深く読むか(汝は、どんな『読む者たち』なりや?)。
確かな事は、本作が『二人の狩人の物語』であることや、作中では『物語(せかい)』そのものを狩る人が登場している御話(ファンタジー)なのでございます。