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メイケイエールの編集履歴

2022-12-27 10:02:22 バージョン

メイケイエール

めいけいえーる

2018年生まれの日本の現役競走馬。馬主は名古屋競馬株式会社。

概要

2018年2月23日生まれの日本の現役競走馬JRA栗東トレーニングセンター・武英智厩舎所属。

鹿毛牝馬。毛色は異なるが、白毛母系で知られるシラユキヒメ直系の牝馬で、同世代のソダシとは近縁。


主な勝ち鞍は2021年のチューリップ賞、2022年の京王杯スプリングカップセントウルステークス(以上GⅡ)で、その他にもGⅢ3勝を挙げている。

普段はおとなしく、調教も真面目にこなし、すごい調教時計を連発している実力者だが、レース本番ではイレ込み過ぎて暴走しがちなためよくネタにされている。


プロフィール

馬名メイケイエール
欧字表記Meikei Yell
香港表記齊叫好
生年月日2018年2月23日
性別
毛色鹿毛
ミッキーアイル
シロインジャー
母の父ハービンジャー
生産ノーザンファーム
管理調教師武英智(栗東)
馬主名古屋競馬株式会社
主戦騎手武豊池添謙一

ミッキーアイルは2014年NHKマイルカップ・2016年マイルチャンピオンシップなどマイル・短距離戦線で活躍した。その初年度産駒の一頭である。


母シロインジャーはシラユキヒメに始まる白毛一族の繁殖牝馬であり、2008年関東オークスなど地方重賞3勝のユキチャンの娘。

母父ハービンジャーは2010年のイギリス・キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスの勝ち馬であり、その娘の白毛馬なのでシロインジャーというネーミングである。


性格/強みなど

調教やパドックでは素直で大人しくしているが、いざ本番となるとかかりまくる様が「獅子舞」と呼ばれるなど、じゃじゃ馬となってしまう

一部からは、馬主が名古屋に近い中京競馬場を所有していることと絡め、「暴走名古屋走りお嬢様」というあだ名をつけられている。


管理する武英智調教師は「前に馬がいるとムキになってしまう」と、武豊騎手からは勝利後に「勝ちはしたが良い勝ち方ではなかった。次に向けての課題は多い」(’21チューリップ賞)とコメントするなど、その暴走には手を焼いていた。


同じく気性難として知られるゴールドシップオルフェーヴルなどとは違って、真面目過ぎるゆえの結果であり、「何が何でも先頭に立たなけらばならない」という気持ちが勝っているためにかかるのではないか。という分析もある。

(過去の例としては、ダイタクヘリオスなど)

実際、尻尾の赤いリボン(蹴り馬注意のサイン、上述の二頭を筆頭とするステイゴールドの一族が有名)が付けられていないことから、一般にイメージされる気性難とは方向性が違うのは間違いないようだ。

しかし、出足が鈍く、1回先頭に立つと満足して沈んでしまう場合もあるため、メイケイエールを御すのは簡単ではない。

一方で一度も先頭に立てずに負けたレースでは時折ゴール後も全力で追い抜こうとしている光景が見られることから、そもそもゴールという概念を認識していないのではないかという疑惑も囁かれている。


また、武豊騎手は一度、「あえて馬群の中に入り、前に馬の壁を作って前に行けないようにする」という、掛かり癖のある馬の矯正方法をレースで試したことがあるらしいが、メイケイエールは前の馬の壁にそのまま突っ込もうとしてしまい、断念したという。

武英智調教師曰く、「遠くばかり見ていて自分の近くの状況を把握できていない」ところがあるらしい。


以上のようにレース中でのじゃじゃ馬っぷりが凄まじいのだが、2022年10月時点での戦績は13戦7勝(うち重賞6勝)と世代上位のポテンシャルは伊達では無く、それは気性難ゆえの自身に向いてない位置からのレースや、適正距離より短いとされる短距離路線であっても好走してるあたりからも窺える。

また、同世代の牝馬達に怪我が多い中、本馬は調教再審査こそ受けているが目立った故障をしておらず丈夫さも売りの一つ。


しかし〔7-0-0-7〕。つまり勝つか4着以下(馬券外)という非常に極端な戦績(※)をしており、調教やパドックでは特に問題を起こさず、実際にレースにならないとどう転ぶかわからない点も相まって馬券師泣かせのピーキーな馬と言える。

一方で、良くも悪くも色んな意味で見所の多いレースとなることが多く、世代を代表する個性派競走馬として人気が高い。


(※)このような極端な戦績を持つ競走馬として有名どころでいえば、トウカイテイオーなどがいる。


経歴

デビュー前

2018年2月23日、北海道のノーザンファーム生まれ。母シロインジャーはシラユキヒメの血を引くいわゆる「白毛一族」の白馬だが、メイケイエールは父ミッキーアイルの毛色である鹿毛を受け継いだ。

気性難と聞いて想像される方もいるかもしれないが、ステイゴールドの血は1滴も入っていない。サンデーサイレンスの3×4のインブリードはあるけど。


2019年のセレクトセールで名古屋競馬株式会社に買われ、ノーザンファーム早来で育成の後、武英智厩舎に入厩。

なお、馬主である名古屋競馬株式会社は中京競馬場の管理・運営を行う会社である。

よく間違われるが、地方競馬の「名古屋競馬」とは関係がない


メイクデビュー~2歳

2020年8月のデビュー戦では鞍上に福永祐一を迎えて出走し、2着に5馬身差をつけて圧勝。その後小倉2歳ステークスでは武豊を鞍上に迎えて2番人気に推され、台風接近で馬場が重馬場となる中、こちらでも勝利を収める。

続く11月のファンタジーステークスでは掛かり状態(気性の荒さが強く出すぎて騎手が制御不能になること)で爆走して見事勝利。


年末の阪神ジュベナイルフィリーズでも掛かり、今度は4着で敗れた。


3歳

2021年はチューリップ賞からスタート。1番人気に推されるも掛かりが出て3コーナーで先頭に立つ。掛かりが出た馬は終盤にスタミナ切れを起こして勝てないことが多いが、ゴールまで粘りきってエリザベスタワーと同着で勝利を果たす。


桜花賞

そのまま桜花賞へと駒を進め、武の怪我で横山典弘が騎乗することとなる。

後述する「ウマ娘」への立候補などで注目が集まる中、メンコやチークピーシーズ、シャドーロールなど矯正器具を(ぶっつけ本番で)一切外して出走した


桜花賞のメイケイエールちゃん


しかし、馬場入りした時から落ち着きがなく、レースではいきなり出遅れてスタート。さらにそこから制御不能レベルの掛かりとなり、道中で前には出たもののそこで満足してしまったのか、最後の直線でスタミナ切れを起こして撃沈。

「出遅れ」「掛かり」「逆噴射」の悪夢のスリーコンボをキメた結果、ソダシの最下位18着に終わる。

癖馬に定評がある横山騎手もレース後のコメントでは「競馬以前の問題だ」とバッサリ。

更にはハミ受け不良で平地競走再審査となってしまった。


なお、この桜花賞はウマ娘立候補発言などから興味を持った「ウマ娘プリティーダービー」のプレイヤーたちも視聴しており、トレーナーたちに「掛かり」の恐ろしさを見せつける形となった。


桜花賞後

この結果を見て陣営はオークスを回避し、短距離路線へと転換。

しばしの休暇を挟み、8月のキーンランドカップからスプリンターズステークスを見据えて再始動する予定となった。


そして2021年8月19日、課せられていた調教再審査に合格。メイケイエールは馬群が嫌いなので、一頭のみで走る再審査は無事にパスできたとのこと。

なお、騎乗した武豊は「1頭ならなんも起きないですよ。いい子だから。再審査の意味無いと思う」と語っていた。


迎えた8月29日キーンランドカップ(GⅢ・札幌芝1200m)。

メイケイエールは重賞3勝の実績に52kgの斤量の利もあり、単勝2.8倍の1番人気に推された。

……しかし3枠5番からスタートすると、やはり掛かってしまい先頭に躍り出る。最終直線では脚が伸びず、同じ3歳牝馬レイハリアの7着に敗れた。


やはり、どうにも馬群の中での我慢は難しいようである。

次は当初予定の通りスプリンターズステークスへ向かうこととなった。

武豊は凱旋門賞のため渡仏することになっており、ネット上では発表以前から冗談交じりに「こうなったらもう池添(池添謙一)を乗せるしかない」という声が上がっていたが、鞍上に本当に池添騎手が起用されることとなった

池添騎手はあの気性難の三冠馬オルフェーヴルや、実力はあるわがまま娘スイープトウショウの主戦を務めた「癖馬に定評のある男」だが、メイケイエールはそれらの癖馬とはまた違ったタイプのため、どうなるのか心配されていた。


スプリンターズステークス

そして始まった10月3日スプリンターズステークス。事前に丸太をまたぐ訓練などが目撃された(※)中、予定通り池添謙一を鞍上に迎え、単勝オッズ24.9倍の7番人気。

3歳牝馬勢の一角にのし上がっていたヨカヨカが突然の骨折引退、他の3歳牝馬らも本レースへの参戦はなく、メイケイエールは出走中唯一の3歳牝馬ということになった。

パドックではいつものように落ち着いており、その後他馬に先駆けて本馬場に入場。返し馬や輪乗りで興奮する様子も見られず、ゲート入りも大人しかった。(ゲート前で散々暴れた馬がいたので、それに比べればゲート入りはとてもいい方である)

そして、スプリンターズステークスのゲートは開かれた。

3枠6番からスタート後は一瞬かかる様子が見られ、最初大きく斜行した(後述)ものの、その後なんと鞍上と折り合いがつき、一旦後方に下げ、外マクりで先頭集団に向かっていく作戦を取った。

しかし元が中距離、マイル得意な馬ゆえか、最後まで追い込み切れずに、3歳牡馬ピクシーナイトの4着という結果になる。この日の中山競馬場は馬場状態から内枠優位のレースが多く、このレースも内目を確保した3頭が逃げ残り馬券内を独占した。

馬券には絡めなかったものの、歴戦のGI馬含む差し勢では最先着し、久しぶりの掲示板入りを果たしたこと、鞍上との折り合いがついてきたことなど、今後につながる一戦だったといえよう。


なお、メイケイエールにしては珍しいくらいに折り合いがついていた……ように見えたが、パトロールビデオを見るとスタート直後にかかった際、外側にいたタイセイビジョンに衝突しかけ、そのさらに外側にいたエイティーンガールを玉突き事故的に巻き込むという、かなり危険なことをしでかしていた。

幸い人馬とも怪我はなく、降着や失格などはなかったものの、馬にはハミ受け不良で平地調教注意が下された。また池添騎手にも戒告の処分が下った。

ちなみに、池添騎手は武豊、横山典弘に続いて、メイケイエールによって戒告処分となった3人目の騎手である。


しかしその後は正気に戻って騎手の指示に従ったため、前よりは成長している。

また出だしでスタミナを無駄遣いしたにも関わらず、古馬を含むレースで4着(GI馬2頭に先着)に食い込んだあたり、やはり地力は凄まじいものがある模様。

池添騎手はインタビューにて2頭に迷惑をかけたことを謝罪した上で、「我慢を経験させることができたので次に繋がると思う」とコメントした。


※丸太をまたぐ訓練

障害馬のトレーニングのように見えるが、平地競走の馬でも行われることがある。

メイケイエールの場合、状況把握能力を養い、また騎手の指示に頼ることを覚えさせるために行った模様。

ただ、そのための助っ人として呼ばれた障害競走の高田騎手がクモ膜下出血で入院してしまったため、どの程度できたのかは不明。


スプリンターズステークス後

スプリンターズステークスを最後に年内は休養し次走はシルクロードステークス(GⅢ)の予定と発表され、鞍上は池添騎手の続投となった。

これにより、「もし池添がメイケイエールを乗りこなした場合、今後ますます癖馬にばかり乗せられるのではないか」と心配する声もある。


4歳

休養明けは1月から栗東トレセンで調教を再開。報道によると

  • 「(1週前追い切りで)落ち着いて歩けていましたし、追い切り中に後ろから馬がきても気にしていませんでした」(吉田調教助手 サンスポZBAT!)
  • 「雰囲気は良く、馬場入りの時は落ち着いていたし、他の馬が追い抜いていっても我関せずといった感じだった」(池添騎手 日刊スポーツ 極ウマ)

とのことで精神面は成長していることを思わせるコメントがある一方で

  • 「折り返し(手綱)で調教している。てこの原理で、同じ引っ掛かるにしても力が上にかかるのではなく、下にかかるように。レースでは使えないから調教で覚えてほしい。最初の3Fだけ我慢できれば」(武英智調教師 デイリー)

など、一抹の不安を感じるコメントも出ていた。


シルクロードステークス

1月30日のシルクロードステークス。事前に行われた抽選により、メイケイエールは内枠の2枠3番からの発走と決まった。

陣営は調教でも使用していたパシュファイアー(網で馬の目を覆い周囲に気を取られるのを防ぐための馬具。主にパドックで使用するが、装着したままレースに出走する例は多くない)を使用。


メイケイエール


また折り返し手綱(馬の腹帯に結びつけて前脚の間を通し、ハミの環に通して騎手の手に握られる可動式の手綱。通常の手綱よりも制動力が高いが、馬の気勢を削いでしまうリスクもある)も調教から使用。レース本番では通常の手綱に交換する予定だったが、返し馬まで使用した手応えで池添騎手の判断でそのまま出走することにした。


そしてレース本番。当初の予定通り池添騎手を鞍上に迎え、単勝オッズ4.0倍。レース直前にカレンモエに1番人気は譲ったものの、2番人気でレースに挑んだ。

馬群に包まれやすい2枠3番を引いてしまい、池添騎手はどうしようか悩んだというが、腹をくくって騎乗。

ゲート入りをやや嫌がる素振りも見せたが、スタートはきれいに決め、内枠を活かしてハナに立つ勢いで駆け出す。しかしコーナーを前に池添騎手はいったん抑えにかかり、装具の効果か精神面の成長か我慢がきいた

好位でコーナーを抜けると、直線では抜群の手応えで抜け出し、2着シャインガーネットに1馬身差の快勝


「真面目すぎた天才少女、堂々の復活!」

(ラジオNIKKEI 山本直アナウンサー)


陣営と騎手の努力が報われ、約10ヶ月ぶりの勝利と重賞4勝目となった。馬主の名古屋競馬株式会社としては初の中京競馬場開催での重賞獲得となった。

……ただし、スタート直後にダッシュをかけようとしてふらつき、外の2枠4番ルッジェーロに接触し不利を与えてしまっていた(とはいえスタート直後にヨレて他馬に接触することは競馬にはつきものの事象である。2着に入った8枠16番のシャインガーネットも外にヨレて同じ8枠の馬に不利を与えている)。

いずれにせよ(抑えが効いたとはいえ)多少掛かる様子を見せたこともあり、お転婆ぶりの矯正は未だ一歩一歩というところのようだ。


次走は引き続き池添騎手を鞍上に、馬主の御膝元たる中京競馬場で行われる春の短距離GI・高松宮記念を目指す。


高松宮記念

そして迎えた高松宮記念。枠は大外の8枠17番に決まった。

本番では好スタートを切り、そのまま外目から先頭を走るレシステンシアを追走する形となった。しかしこの日の馬場はかなりの内側有利で、ペースの速さもあって外枠の馬たちはポジション争いに加われず、苦しい展開が続いた。

さらに終盤の直線に差しかかると、ヨレたファストフォースの影響で若干仕掛けが遅れる不運に見舞われる。

それでも外側にいる馬たちが沈んでいく中、メイケイエールだけはそのまま大外から差し切り体勢に入り、一気に先頭集団まで追いすがった。

だが、内枠有利の馬場ゆえに捉え切ることが出来ず、ナランフレグの5着に終わった。


とは言え、1着のナランフレグとのタイム差は僅か0.1秒の僅差であり、スタートダッシュは目に見えて上手くなっていたし、道中も殆ど掛かる事もなかったため、今後に期待が持てる結果となった。

鞍上の池添騎手は「力負けはしていない」としながらも「これも競馬だから仕方がない」と悔しさを滲ませるコメントを残している。

また脚を余しているように見えたことから、ファンからも「1600m戦なら勝っていたのでは」といった意見が出ている。

しかし…。


京王杯スプリングカップ

次走は放牧を挟んでから芝1400mの京王杯スプリングカップ(GⅡ)。同週には同じ東京競馬場でヴィクトリアマイルも開催されるが、陣営は今後を見据えて慎重に200mずつ延長するローテーションを選択した。

また、外ヨレ癖で知られる同期のもう一頭のじゃじゃ馬娘リフレイムとは初対戦となり、「京王杯スリリングカップ」と呼ぶファンもいた。


大外の8枠12番を引いたエールは、道中首を上げて行きたがり折り合いを欠いたものの、池添はがっちり手綱を引き、何とかコーナーを中団外目で抑えることに成功。最終直線を向いて追われてからはぐんぐん伸び、リフレイムが外へ逸れていく中で先頭に立ち勝利した。

重賞5勝目とともに、安田記念の優先出走権を確保した。

なお、レース後の池添は短距離戦とは思えぬほど疲労した様子で「今後を占う大事な1ハロン延長でした。1ハロン違うだけで、いやーきつかったですね…」「折り合いはこの馬には一生付きまとってくるテーマだと思います」とのコメントを残した。


なお、上記の通り安田記念の優先出走権こそ手に入れたが、レース前から公表されていた通り安田記念は回避し放牧。

秋は先述の通りスプリンターズSを目標に、前哨戦として中京競馬場で開催される短距離GⅡ・セントウルステークス(芝1200m)から始動する見通しとのこと。

さらにその後のプランとして香港遠征も検討していることが自身の冠番組にて池添騎手より明かされた。


2022年アイドルホースオーディション

9月に自身の写真集が刊行されるなど、着実に人気を集めているメイケイエール。

そんな中、京都競馬場が例年通り「アイドルホースオーディション」を開催した。

これは、ファン投票で上位5位以上に選ばれた競走馬のぬいぐるみを制作、販売するというもので、第1位になった競走馬には特別仕様のぬいぐるみも制作されるという企画。

この投票において、メイケイエールはステイゴールドディープボンドヨカヨカなどを抑え、40,903票で見事トップに輝いた


エールちゃんまとめ3


ちなみに、前述の通り第1位には特別仕様のぬいぐるみも制作されるのだが、ファンの間ではすでに例のパシファイアーと折り返し手綱の重装備仕様という予想が出ている。


セントウルステークス

迎えたセントウルステークス。同期のマイル巧者であるソングラインとは桜花賞以来の対決となった。

夏を超えて+14kgと馬体が大きくなっており、元々言われていた短距離型ではないという意見に近いどこか中距離型体型になった。

ただ精神が成長してるかはファンから不安視されたものの、最終オッズ1.7という一番人気で出走することになる。

本番では引き続き池添騎手が騎乗。

返し馬で一瞬興奮する様子を見せたり、ゲート入りを渋る一幕があったものの、不安だった気性や折り合いも良くなっており、先行集団より少し後ろを追走する戦法をとった。

直線を向くと同時に進出を開始し、上がり3F32.9の猛烈な末脚を繰り出す。

2着のファストフォースに2.1/2馬身差をつけ、1:06.2で堂々のレコード勝ちをした。


これでGⅠ勝利こそ無いものの、重賞勝利数ではソダシと同じ6勝。

悲願のGⅠタイトル獲得を目指し、再びスプリンターズステークスを目指した。


2022年スプリンターズステークス

迎えた10月2日のスプリンターズステークス。前年4着のメイケイエールは単勝2.5倍の堂々1番人気に推された。池添とコンビを組んで1年、復活と成長を遂げたお転婆娘は、いよいよ心身充実でGⅠ獲りへ、と期待は高かった。


……結果から言おう。14着の惨敗である。「1着か、馬券外か」は悪い方で継続されることになった。


懸念点が無いわけではなかったのである。まず2022年は中京東京、左回りのコースしか走っておらず、右回りはちょうど1年振り。

そして、中山芝1200mはスタートから下り坂と緩いコーナーが続き、内枠の逃げ先行馬が有利なコースだが、メイケイエールはやや外目の7枠13番を引いてしまった。事実、このレースの勝ち馬は1枠2番から絶好の好位抜け出しを決めたジャンダルム。2着に4枠7番の3歳牡馬ウインマーベル、高松宮記念勝ち馬ナランフレグも3枠6番から意地の差し脚で3着に残し、馬券内は全て半分より内枠の馬だった。

また直前のセントウルSでこれ以上ない快勝を決めていたが、中2週という間隔も不安要素だった。2歳の頃、小倉2歳ステークスを中1週で走って勝ってはいたが、この時は出遅れ最後方から掛かりまくってコーナーで大外をブン回し、直線で差し切ってしまうという能力差に任せたムチャクチャなレースで参考にならない。そして、最悪のコンボを決めてしまった桜花賞も前走チューリップ賞から中1ヶ月。間隔を詰めて良くなる馬では決してなく、復調した2022年は少なくとも2ヶ月弱の間隔を取りつつ走っていた。


いずれの要素が決定的だったのかは分からない。しかし、これらの懸念も今のメイケイエールなら覆せると評価されたからこその1番人気だった。

メイケイエールは7枠13番スタートもなんのその、するすると前に出て、勝ったジャンダルムの外、4番手に付けた。首を上げ下げして掛かるようなところもなく、ここまでは十分な形だった。だが、直線で池添が促せども全く脚が伸びず、ズルズル後退。

レース後は池添も言葉少なに「あえて挙げるなら中2週かな…」と答えるしかなかった。


2022年ネット流行語100

香港スプリント参戦を目前とした2022年の年末、ニコニコ大百科とピクシブ百科事典が「ネット流行語100」を例年通り開催。

それと同時に、ノミネートされた言葉も発表され、SPY×FAMILYTAROMANなど、2022年のネット上を彩った100単語がノミネートされた。

そんな中、メイケイエールはタイトルホルダーとともに、競走馬としては二頭のみノミネート


その後、2022年12月12日に発表された順位発表では、チェンソーマン(55位)や喜多川海夢(59位)などを抑え、堂々の第51位にランクイン

タイトルホルダーも94位にランクインし、前年のゴールドシップ(5位)に続き、2022年も競走馬がランクインすることとなった。


先述したアイドルホースオーディションに続き、またしてもファン人気の高さを見せつける形となった。


香港遠征前の不運

予定通り香港スプリント出走を目指すメイケイエールだが、ここで鞍上の方に災難が降りかかる。

11月26日の阪神7Rにて、池添騎手がゴール後に騎乗していた馬が躓いたことで落馬してしまい、翌日までの騎乗予定が取りやめになったのである。

最初は腰部打撲とされたが、後に骨折していたと発表され、香港スプリント(12月11日)までの復帰は不可能となった

池添は「メイケイエールには何としても乗りたくてあらゆる手段を考えたんですけど、無理でした」と悔しさを滲ませ、オルフェーヴルの凱旋門賞に続く無念の海外GI断念となった。


これを受け、香港スプリントでの鞍上はジェームズ・マクドナルド騎手に変更された。

マクドナルド騎手は短距離レースの盛んなオーストラリアで活躍するトップジョッキーで、今年のロンジンワールドベストジョッキーランキングでは世界1位となる142ポイントを獲得した名手である。


……が、問題がある。

この馬がメイケイエールということである。

前走も前々走も暴走はしなかったが、それでも初の海外遠征となるメイケイエールに初騎乗するのだ。

加えて香港のルールでは折り返し手綱も使用禁止(もっとも、これについては武英智調教師も「どこかで外さないとダメだと思っていた」と語っているので、いつか来る運命だったのかもしれない)と不安が二重三重に重なっているが、ファンは陣営の健闘と、何よりも無事を祈っている。


そして香港へ・・・

遠征前の不運も重なる中、メイケイエールはパンサラッサやジャックドールなど、他の香港国際競走遠征馬とともにキャセイパシフィック航空2035便で関西国際空港より出国。

4時間ほどのフライトの後香港に到着し、現地で調整を重ねた。


そして始まった香港スプリント。枠は大外の13番と決まる。

鞍上が世界トップジョッキーということもあってか、日本での走りっぷりが評価されたか単勝2番人気に推された。

そして、香港スプリントのゲートは開かれた。

スタートで後手を踏んだものの、その後は掛かりが出たか一気に加速し、二、三番手あたりまで進出する。

マクドナルド騎手もあえて抑えようとはせず、先頭集団に取り付きながらタイミングをうかがう戦法をとった。

最終コーナーを曲がったところで鞍上からのゴーサインが出されると前の馬を交わして先頭に立つが、後続から差し・追込勢が一気に殺到。

メイケイエールは馬郡に呑まれるも香港勢ウェリントンの5着と、日本勢では最先着の大健闘を見せた。


余談

美少女お嬢様

何かとじゃじゃ馬ぶりが話題になりがちだが、小柄ながら脚長でバランスの良い馬体、小顔でアーモンド型の愛らしい大きな瞳に気品のある整った顔立ち、一輪挿しのバラを思わせる流星など、大変容姿の美しい馬でもある。


既出の通り、レース外ではとても素直で大人しく、トレーニングにも真面目に励む優等生である。パドックや栗東トレセンでは、見た目の美しさも相まった凛とした佇まいや優美な常歩を披露しており、各種メディアで取り上げられる度にファン達を「なんでレースで走るとああなるんだ……」と困惑させている。

武英智調教師によれば、「顔は本当にべっぴんさんだと思います」「厩舎でもすごく品が良いんです。なのにレースでは品が無い」とのこと。


2022年には写真集も発売されるのだが、帯文でやっぱりそのことに触れられてしまった(帯文は池添騎手寄稿)。


『ウマ娘』に立候補…?

桜花賞を迎える少し前にCygamesより競走馬擬人化アプリゲーム「ウマ娘プリティーダービー」がリリースされ爆発的なヒットとなっていた。

この話題を受けた名古屋競馬の中西社長は「是非ともメイケイエールもウマ娘に加えて欲しい」と新聞の取材で発言。先の通り、このインタビュー直後の桜花賞で「出遅れ」「掛かり」(両方ともゲーム内で状態異常のような形で再現されている)を実演してしまったことも含め、同ゲームのファンからにわかに注目を浴びた。

ちなみに、馬主側からのウマ娘への立候補はこれが初。その後、2022年1月にメイタイファームが公式Twitterにおいて、前身であるメイタイ牧場時代の所有馬であったタイテエム(1973年天皇賞(春)優勝馬)のウマ娘化をオファーするツイートを出していたり、ツルマルボーイ(2004年安田記念優勝馬)側も同じツルマル冠名のツルマルツヨシのウマ娘化が発表されたことでYouTubeやTwitterでツルマルボーイの魅力をアピールしている。

彼女の場合、現役馬のため登場は難しいと思われていたが、デアリングタクトのウマ娘化発表で現役馬の登場の可能性が開かれ、俄に注目を浴びることに。…果たして、彼女はウマ娘に出られるのだろうか?


新潟千直を避けた理由

メイケイエールが短距離路線に転換した当初、性格的に向きそうなアイビスサマーダッシュ(アイビスSD)に使うことも検討されたという。

しかし、気性面の関係でアイビスSDを使うことはなかった。

武豊曰く「アイビスSDはスタート地点が遠く、性格からして返し馬でかかるので、返し馬からスタートまでに全力を出し切り、スタートにたどり着くまでにはバテてしまう」という理由で出走しなかったらしい。


丸太を担ぐメイケイエール(?)

先述したように、スプリンターズステークス前には、丸太を跨ぐ訓練が行われたのだが、その目撃情報のツイートを見た際に一瞬「丸太を担ぐ訓練」と空見するものが相次いだ。

そこから、「丸太を担ぐメイケイエール」というネタが生まれてしまい、Twitterなどではすでに丸太を担ぐのがメイケイエールの持ちネタのように扱われかけている。


ソングラインとの因縁(?)

ソングラインはメイケイエールの同期の牝馬であり、この二頭が揃って出走した桜花賞では暴走するメイケイエールに接触されて大きな不利を受け、15着という惨敗を喫してしまった。(メイケイエールはその後逆噴射をかましドベ)

この時のソングラインの鞍上が、主戦の池添謙一騎手であった。池添騎手はソングラインの主戦として好走を続ける一方で、武豊に代わりメイケイエールの鞍上も務めている。初乗りとなったスプリンターズSでは、メイケイエールの鞍上として斜行による制裁を受ける側になったのは奇妙な縁というかべきか皮肉というべきか。

その後、京王杯SCでメイケイエールが勝利(翌日のヴィクトリアマイルではソングライン5着)、その二週間後にソングラインが安田記念を勝利した際は、「朗らかに勝利者インタビューに応じる安田記念後の池添」と「疲労困憊した様子で勝利者インタビューに応じる京王杯SC後の池添」の比較画像がTwitterに出回り、ソングラインだけでなくメイケイエールの名もトレンド入りする現象が起きた。


メイケイエールもソングラインも短距離~マイルのレースで勝利経験のある馬であり、もし仮に同じレースに出るのならば池添騎手はどちらを選ぶのか、ファンの間では話題となっていた。


後にこの2頭の対決は2022年のセントウルステークスにて実現。池添はメイケイエールに騎乗し、ソングラインはその後に予定しているブリーダーズカップ参戦を見据えてクリストフ・ルメール騎手に乗り替わりとなった。


メイケイエールの適正距離

折り合いの問題から短距離レースを中心に活躍しているメイケイエールだが、脚の長さゆえに回転が遅くストライド(歩幅)が長いため、本来の適正レースはもっと長い距離のようだ。調教師である武英智師も「短距離馬のストライドではない」とコメントしている。

さらに、2022年のセントウルステークスでは、元々言われていた短距離型ではないという意見に近いどこか中距離型体型に成長した馬体を披露。

それでもレコードで勝利したのは地力の高さ故だろう。


池添騎手は自身のインスタライブで「折り合いさえつけば距離はいくらでも伸ばせる」とは言及している一方で、「折り合いはこの馬の一生付きまとう課題」とも述べており、距離延長の難しさを述べている。また同インスタライブにて「メイケイエールで有馬記念出ないの?」という質問を受けると、「もう腕が引きちぎれます、無理です」と冗談とも本音ともとれるトンデモ発言が飛び出している。


セントウルS前に放送されたウイニング競馬にて、キャプテン渡辺が池添騎手に対し「メイケイエールはスプリントとマイルどちらの方が適性が高いか」という質問をしたところ、「折り合いが解消されれば1600でももっと距離が伸びても大丈夫だと思うんですけど、でもそうじゃないので」と改めて気性面の問題と距離延長の難しさを露わにした。また、後述のクセ馬図鑑では「マイルまでならイケるかも」と言っている。


1200mは真の適正距離ではないとする意見が稀に見られるが、気性は距離適性の重要な要素であることを忘れてはいけない。他の一流スプリンターと比べても全く引けを取らないスピードと1400mでは鞍上が制御に苦労する気性を持ったメイケイエールの適正は1200mにあると言っていいだろう。気性が改善されて適正距離が変化するというのはままあることである


メイケイエールの斜行ネタ

「メイケイエールに追突された馬は走るというジンクスがある」とごく一部のファンの間で話題になっており、桜花賞で接触したソングラインは次走のNHKマイルカップで2着と好走し、スプリンターズSで迷惑をかけたエイティーンガールとタイセイビジョンも次走の京阪杯で1着・2着となっている。ここからメイケイエールは走る様子も合わせて「幸せを呼ぶ獅子舞」というネタもあったりする。

しかしメイケイエールの斜行と被害馬のその後の好走には一切関係性はなく、それどころか一歩間違えば人馬ともに大事故にもつながりかねなかった行為であり、またレースに向けて馬とその陣営がしてきた努力とチャンスが台無しになり、メイケイエール自身も制裁という汚点を残してしまったと言える。

「幸せを呼ぶ獅子舞」というネタは、そういった事実を茶化して肯定していると捉えられかねないということは踏まえておきたい。


彼女にしたいかどうか

かつて主戦を務めたスイープトウショウに関するインタビューでの即答が色褪せないレベルで語り継がれているためか、池添騎手が主戦を務める競走馬が牝馬の場合には「彼女にしたいか?」と質問されるのが定番となっているのだが。

同質問に対する池添騎手の回答は「彼女なら良い」という意外なものだった。理由は「スイープと違い、まだヨイショすれば何とかなるから」とのことだが、同時に「結婚はちょっと…」と言っている。


これにより彼の代表的な主戦牝馬の評価は、

  • スイープトウショウ→彼女にするのもキツい(※)。
  • メイケイエール→結婚は嫌だが、彼女なら良い。
  • カレンチャン→結婚したい。

と綺麗にランク付けされることとなった。


(※)なお、ウマ娘では「スイープの父=池添騎手」という設定にされており、育成実装された際にはTwitter垢にて「(トレーナーことプレイヤーたちの)いうこと聞くんだよ〜」と本当にパパになったかのようなコメントをしている該当ツイート


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メイケイエールのイラスト

ツイログ 第4Rエールちゃん&ソダシちゃんおめでとうエールちゃんまとめ2メイケイエールちゃん

競走馬擬人化/オリジナルウマ娘

無題メイケイエール(ウマ娘)


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池添騎手、メイケイエールを語る


関連タグ

JRA 競走馬 掛かり 折り合い

ソダシ:血縁関係にある同期の白毛馬。メイケイエールの祖母(ユキチャン)の妹(ブチコ)がソダシの母なので、メイケイエールから見てソダシは従叔母・ソダシから見てメイケイエールは従姪となる。放牧中の牧場で馬房が隣で一緒に過ごしたことがあり、仲は結構良かったとのこと。

ゴールドシップ:実力はあるが極端な戦績を残し、そしてアイドル的人気を博した競走馬の先輩。一方性格・適正距離・レーススタイル等さまざまな面でメイケイエールとは真逆。なお、同期のユーバーレーベンの父でもある。

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