カタログスペック
頭頂高 | 15.2m |
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本体重量 | 7.6t |
全備重量 | 17.7t |
ジェネレーター出力 | 4,780kW |
装甲材質 | ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材 |
総推力 | 79,700kg |
概要
型式番号LM312V04。(LMの後番号から[3]はパーツ数、[1]はジェネレーター数、[2]はメインスラスター数を、[V]はタイプを、[04]は開発番号を示す。)
リガ・ミリティア(以下、LM)が、ザンスカール帝国の軍事的脅威に対抗すべく推進したMS開発計画「V(ヴィクトリー)プロジェクト」に基づき開発したモビルスーツである。通称ヴィクトリータイプ。
「ヴィクトリーガンダム」が正式な名称だが劇中では「ブイガンダム」とも呼ばれている。
同年代において地球連邦軍が採用していた量産型MSであるジャベリンやジェムズガンは、開発年次から見てそれらは既にロートルと化しており、ベスパが保有するMS群との性能差は歴然であった。更に、地球連邦自体も組織の弱体化とそれに伴う各コロニー(サイド)のなし崩し的な自治権主張により、新型MSを開発する機運をもたなかった事から、LMが抵抗運動のために独自に新規の高性能MS開発が必要であると判断し、開発がスタートした。
民間ゲリラ組織であり、戦力、資源が常に不足しているLMの活動にあわせ、変形とパーツ分離、および各種増加装備により幅広い作戦に対応可能な、マルチプル・モビルスーツとして高い完成度を誇る。
宇宙世紀0153年4月7日、有志達によってベスパのイエロージャケットによる爆撃を免れたカサレリアに最も近い地下工場からトップ・ボトム各パーツを徴収、翌日の4月8日早朝から不意の敵軍のモビルスーツが突然カサレリアを襲撃してきたためぶっつけ本番で各パーツの合体に挑んだ。
頭部を含めた機体デザインは、ザンスカール帝国の暴虐に対する反抗運動の象徴とする狙いもあり、「ガンダム」を意識したものとなっている(逆にザンスカール帝国側は、自分たちこそが地球連邦という体制に対する抵抗勢力であると自負しているため、本機を「ガンダムもどき」と呼称していた)。
ただし、ガンダムといっても初代のジオン軍の量産機に圧倒的な戦闘力を誇った連邦の白い悪魔とは異なり、単純なスペックにおいてはザンスカールのモビルスーツとは大差なく、特にジェネレーター出力においてはウッソが最初に鹵獲したシャッコーや物語開始時点では既に型遅れだったゾロにすら劣る。オーバーハングパックの増設により少しは改善されたが、それでも及ばない。
さらに、正式な軍の支援を受けていなかった初期はクロノクルに整備の悪さを指摘されてすらいた(連邦の援助を受けて以降は改善されたと思われる)。
それでも、LMがザンスカールとまともにやりあえたのは『変形合体機構』『軽い機体操作性』『ウェポンラッチをあらゆる箇所に備えた高い拡張性』『ミノフスキー・フライトによる高い重力下飛行能力』などの機体固有の柔軟性、そして何よりパイロットのウッソの技量と発想力の優秀さがあったからに他ならない。
そして、このVガンダムの戦闘データを集積して新たに造り直された新型は、史実通りの「白い悪魔」のような圧倒的性能を手にすることとなる。
このような特徴からガンダムタイプとしては珍しい、準量産機としての位置づけであり、前期OP/EDの時点で既に複数機体が登場するシーンがあった。11話以降は、一つの戦場で複数機のVガンダムが戦列を形成する場面も珍しくない。
また、V2が登場した33話以降は、区別のためLM内で「V1」と呼称されるようになった。
ミノフスキー・フライト
ベスパが開発した、ビームローターを標準搭載した地上用侵攻用モビルスーツに対抗するためには、重力下における長距離航行機能が必要不可欠であった事から、リガ・ミリティアが完成させた重力下浮遊システム。
書籍・媒体によって機能解説が異なる。
詳細はミノフスキー・フライトを参照。
MS形態
三種のパーツがドッキングする事で完成する(後述)、汎用MS形態。スペックノート上はジェネレーター出力、武装ともに同世代において特筆すべきものを持たないが、各部の仕様には高度な技術が盛り込まれており、高い基本性能と運動性、環境を選ばない汎用性は「ガンダム」の名を冠するに相応しいものを持っている。
大気圏内においては、ミノフスキー・フライトを採用したことで、同世代のMSと比較しても高い飛行(滞空)性能を獲得しており、ベスパのビームローター採用型と比較して、両腕が常に自由に使用できるアドバンテージを有する。
コクピットはグリプス戦役期以降のMSとしては珍しく、全天周囲モニター・リニアシートを採用しておらず、コア・ファイターのキャノピー部だけがMS形態でのメインモニターに変化する。しかしながら、正面・左右部の視認領域は良好であり、最新鋭のサブモニターや各種センサーと併用することにより、空間戦闘において不利が生じるようなことはなかった。耐G装備についても、エアクッション併用のシートベルトや、LMが独自に採用したパイロットスーツが充分な効果を発揮し、近距離での核爆発の衝撃からもパイロットを保護している。
操縦系統は、同時運用されたガンイージと異なる、ベスパ系MSに近い「コントロール・シリンダー」と呼ばれるグリップと円筒型のスロットルが一体となった方式が採用されており、パイロットはファイター形態からMS形態へのトランスフォーム時もスムーズな挙動制御が可能であった。
メインコンピューターは、ウッソ・エヴィンが独自にプログラミングしたものを含め、特殊な挙動・形態をスムーズに機体に反映させている事から学習能力(拡張性)の高い高機能機が搭載されていると推察される。また、後述のパーツ・アタックなどウッソが編み出した特殊戦術を、数日後には他パイロット機も実行している事から、同機種間でのシステムアップデートによる運動性能の向上が、頻繁に行われていたようである。この点においても、本機がウッソという優れたパイロットに巡り合った意味は非常に大きい。
機体の拡張性も高く、機体各部に設置されたハードポイントに様々な追加武装を装備し、LMは活動地域毎に任務遂行能力の向上を計った。加えて、腰部前方のスカートアーマーは変形機構の都合上独立して可動し、水平に展開することで人員や物資を運搬するための荷台にもなるなど、多岐に渡りゲリラ活動に配慮した設計となっている。
変形・合体機構
Vガンダムは、初代ガンダムやZZガンダム同様にコア・ブロック・システムを採用しており、トップ・リム(Aパーツ)、コア・ファイター(Bパーツ)、ボトム・リム(Cパーツ)がドッキングする事でMS形態となる。また、コア・ファイターのドッキング方式はホリゾンタル・イン・ザ・ボディを採用しているが、メインジェネレーターや主推進器(バックパック)をコア・ファイターに集約する構造はアナハイム・エレクトロニクス製のネオガンダム、あるいはガンダム試作1号機に近い。
ただし従来のコア・ファイターと異なり、本機のそれは頭部・胴体胸部までをカバーする構成となっている。これに両腕及び胸部下面から腹部を形成するAパーツ・両脚及び股間部を形成するCパーツが合体して四肢が追加される。
この洗練されたコア・ブロック・システムにより、コア・ファイターにはコクピット(パイロットとメインコンピューター)のみならず、MSの主要機器(ジェネレーター、メインカメラ、ミノフスキー・フライトシステム)が集約される事となり、MS破損時にはパイロットと共に高額機器全てを離脱させられる、慢性的な物資不足のLMにとって理想的な運用が可能となっている。
加えて、過去のΖ系ドッキング・モデルと異なり、A・Cパーツには個別の戦闘機としての能力を求めず、あくまで戦地(コア・ファイター付近)までの高速移送とドッキング後の運用のみを求めた結果、MS時の追従性等の高性能に比して構造は単純かつ安価であり、旧世紀時代の機械工場設備を用いての量産さえ可能としている。
以上の仕様によって、メンテナンスの容易化や機体の稼働率向上は言うに及ばず、戦場において四肢をある程度『使い捨て』の消耗品として扱え、小隊(三機)編成時には非破損パーツを融通しあう事で戦場での即時ダメージ・コントロールを行い戦力の損耗を最低限に抑える事が可能となっている。特にこのダメージ・コントロール運用は画期的であり、LMの敵対陣営を驚かせた。
コア・ファイター
Vガンダムの中枢を成す小型戦闘機。コクピット・レイアウトについては、MS形態を参照。
外観は、浮力(揚力)のほとんどをミノフスキー・フライトに頼っているため、主翼面積が極端に小さい、特異なものとなっている。
中枢機器の全てが集合している仕様から、本パーツの生産には高度な技術が要されるようで、劇中に登場したヨーロッパ工場には予備機は見られなかった。
オリファー機の登場状況から、指導者である『ジン・ジャハナム』を始めとする上層部の判断により、パイロットとセットで各部隊に補充される形式をとっており、生産はしかるべき施設(月面の生産工場)で行われていたようである。
但し、この時代はアナハイム・エレクトロニクスによるMS製造技術の拡散・共有化が町工場レベルの小規模工業施設にまで及んでいる。このためVガンダムが準量産機であったことから、トップ及びボトムパーツの製造に関しては一定水準以上の施設であれば難しくはなく、むしろ腕部・脚部の量産を実質的に外注する方式は効率的手法であったと言える。
なお、Vガンダムのコア・ファイターは、更にインジェクションポッドをも有しており、緊急時には胸部中央の赤いコア部のみを射出する事も可能な、二重の脱出システムを備えている。これは、あくまでも非正規軍であるリガ・ミリティアにとって、充分な訓練を積んだパイロットの確保が最大の難題であった事に依るものである。
このインジェクションポッド機能を利用して、マーベット・フィンガーハット機は宙間戦闘において、ポッドを除く機体(ジェネレーター)丸ごとをアマルテア級戦艦に突入させ、味方機のビームライフルで狙撃させる、簡易核弾頭戦法をとった(ポッドは直後にコニー・フランシス機が回収している)。
トップ・リム
通称はハンガー。
両腕を90度前方へ突き出し、拳部とビームシールド発生器を180度反転させるように入れ替える、単純な変形方式が採用されているパーツ。
上記の通り、本パーツ単独での戦闘は考えられていないためジェネレーターを搭載しておらず、大容量メガコンデンサによって賄っているため、航続距離は短い(ZZ、Sは全パーツにジェネレーターを搭載しており、MS形態時のジェネレーター出力は総和値が用いられる)。このメガ・コンデンサはこの時代アナハイム・エレクトロニクスにより生産されるメガビームバズーカにも使用される普及技術であり、本パーツの生産をジェネレーター式の装備と比べ、一層容易足らしめる要因の一つでもある。ビームライフル、シールド、サーベルといった一通りの武装を標準装備(内蔵)している反面、スラスター数は少ないため巡行速度も充分ではなく、基本的にカタパルトでコア・ファイター付近へ射出され、そのままミノフスキー・コントロール(短距離無線コントロールシステム)の支配下に入り、ドッキング運用される。
ドッキング後のトップ・ファイターは重攻撃機にカテゴライズされ、MS形態と同等の攻撃力を有する。ただし、自重増加に対してスラスターが少なく、空力学的にもやや無理のある形状である事から、速度・旋回性能が大きく低下する(ウッソは初運用時に苛立ちを隠せなかった)。特に前方にせり出したビームライフルは、大気圏内では大きな空力抵抗を受けるため、照準にブレが生じる場合もあった。
しかしながら、腕部の部分変形、あるいはMS上半身のみの形態に変形が可能であり、技量次第ではシールドによる防御だけでなく、空力特性の低下を利用しての急減速からサーベルによる奇襲、再変形による離脱戦法を行える。
ウッソが運用後はオートディフェンサープログラムの学習が進み、ビームシールドによる自動防御の信頼性が増した。
なお各地に点在する工場で生産していた都合上、基本設計は同様だが隊毎に外装などに多少の差異が生じている。例として、カミオン隊の機体は上腕部を丸型から角型に変更し、トレーラー搭載時にロックがかかり易い形状となっていた。
その他、MSの基本構成としてマニピュレーターにエネルギー供給(ライフルやサーベルへの電力供給)およびデータ送受信用のコネクタを有しており、これを利用してV2はトップ・リム自体を変幻自在なサーベルの“柄”としてゲンガオゾに接近戦をしかけ、リーチに勝る相手に競り勝った。
ボトム・リム
通称はブーツ。
脚部の形状が流線的になるよう各部の装甲、関節がスライドし、ふくらはぎや膝から追加スラスターがせり出す、こちらも簡易的な変形を採用している。
コア・ファイターとドッキングする事で、高速戦闘機ボトム・ファイターとして運用される。スラスター数の増加による速度・航続距離の向上により、長距離巡航に向くが、武装は可動域の狭いハードポイントに接続したライフル等に限られるため、戦闘面では心もとない。
ミノフスキー・フライトによる人型での自由飛行が可能なVガンダムにとっては、大気圏内外どちらにおいても脚部の喪失は極端な戦力低下に繋がらないため、加速状態からボトム・リムのみをパージして対象へ質量弾として激突させる、通称「ボトム(パーツ)・アタック」をウッソが編み出し、後に他パイロットも倣うようになった。トップ・リム同様にボトム・リムもジェネレーターを搭載していないため、核爆発による地球環境破壊を巻き起こす可能性は小さい。
また、MS形態時にトップ・リムだけ切り離してボトム・ファイターになる事も可能で、第8話にて鹵獲を試みたトムリアットに捕まった際にこれを利用して脱出している。
こちらも、ボトム・ファイターから『腕無し』形態に変形する事も可能だが、活用できる状況は限られる。
簡易オールレンジ攻撃
対アビゴル戦において、ウッソがゴッドワルド・ハインに勝つために見せた。
戦闘序盤に捕縛され、切り離したボトム・リムに対して、空域を一周回る事でミノフスキー・コントロールの遠隔操作可能域へと戻り、脚だけでアビゴルを踏み台にして敵に隙を作らせると同時にVダッシュへと再合体、戦闘のイニシアチブを奪い取った。ゴッドワルド中尉は、ベスパにおいてエースパイロットに数えられる純然たる戦士であったが、流石にこの攻撃は完全に想定外であったため、まともに正面を取られる事となった。
巡航形態
正式名称無し。A+B+Cパーツをドッキングさせたまま飛行形態に簡易変形させたモードであり、設計上は意図されていない。
機体を水平状にコンパクト化させ、スラスターをある程度一方向に集中させる事は可能だが、MSと同重量ながら形状の問題で一部のスラスターが塞がれ、空力的に有利とも言えないため、中途半端な性能となる。
ウッソは敵機の想定外の位置からの奇襲を目的として、マスドライバーのシャトル用トンネルを潜り抜けるために使用した。
また、漫画作品『機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト』においては、リア・シュラク隊のVガンダムを拝借したフォントが、長距離航行のため推進剤の消費を抑える目的でこの形態を使用している。
武装
バルカン砲
口径25mm。弾数250発。
歴代のガンダム・タイプに倣い、頭部に二門を内蔵する。主に近接戦闘におけるけん制に用いられる。
コア・ファイター形態では唯一の固定武装となる。
なお、各種ファイター形態でも頭部を引き出すことができ、射角の広い旋回砲塔として応用可能だが、形状的に空力特性が著しく不安定化するため、大気圏内で使いこなすにはパイロットに高い操縦技術が要求される。
ビームライフル(ビームピストル)
ガンイージと共用しているLMの標準装備。MS本体同様に高度にユニット化されており、メガ粒子発振器であるビームピストルを中心に、サイトと粒子加速増幅用バレル、およびエネルギーユニットを組み合わせて形成される。このため戦闘中にバレル等を損傷した場合でも、ビームピストル部が無事なら威力・射程の低下と引き換えに切り離して運用を継続でき、メンテナンス作業やコストも抑えられる。
内蔵エネルギーCAPとEパックの併用方式を採用しており、基本的にはMS本体に結合してジェネレーターから直接チャージされるため、マニピュレーターで保持するだけでなく、肘や腰、ふくらはぎのハードポイントに直接装着しての、各形態時での運用を前提とした設計となっている。
勿論であるが、セットされたEパックにより、本体からのエネルギー供給無く十数秒間の連射が可能である。これを利用して、序盤においては罠として設置したり、トレーラーで吊り上げて簡易移動砲台として利用していた。
ビームサーベル
接近戦用の斬撃兵装。片方の前腕内部(ビームシールド基部)に一基ずつ格納されており、手首部の角度を一時的に変形させて取り出す。
発生器の形状がコの字状となっており、Iフィールドの形状を変更することでビーム刃を扇状に展開することも可能だが、出力等の基本性能は特筆するべき点は無い。
宇宙世紀150年代は、本機に限らず各陣営のビームサーベルともビームの太さがあたかも糸のように細く、ビーム収束率の向上が見て取れる。
ビームシールド
両肘に搭載されている防御兵装。ビームを面状に展開し、敵のビーム、実弾兵器から身を守る。シールドのサイズは出力に応じて自在に調節でき、短時間であれば最大で150m~200m程度と艦艇を防御するほどに展開可能。発生器は縦軸にほぼ180度旋回できる、可動域の非常に広い機構となっている。
ビームシールドの一般的仕様として、射撃時などには本体の行動を阻害しないよう、ビームの展開域をコンピューターが自動制御で調節する。
余談ではあるが、カトキハジメ氏の初期設定画では、ビームシールド基部に二基格納されたビームサーベルのビーム発生器が90度折り畳まれてビームシールド発生機を兼ねる構造となっており、各腕ごとのビームサーベルとビームシールドは同時使用不可という設定が検討されていた。しかしこの設定では戦闘描写に制限が生じるため、最終的には別個の発生機を有する設定となった。
ハードポイント
サナリィのF9グレードや、その技術を導入したアナハイムのシルエットフォーミュラ計画機に採用された、マルチ・ウェポン・コネクター。
肘・膝・腰などに配置されている円形の部分で、ビームライフルや下記のオプション武装の接続・エネルギー供給ができ、基部から回転可能になっているため射角にも一定の自由度を確保している。
オプション武装
設定画やEDのワンカット、およびプラモデルのみに留まったものも多いが、4連装ミサイルポッドやビームカノン、ディスポーザブル・バズなど往年のザクにも匹敵する多種の武装が存在する。これは、ゲリラ組織というLMの性質上、活動地域毎の構成員や機材によって様々な独自装備が開発・運用されたためと考えられる。
ユカ・マイラス機が使用した、腰部装着型ビームキャノンは、初期設定ではヴェスバーとする予定であったが、最終的(1993年発売の武器セットでは)には通常のビーム砲となっている。
関連動画
バリエーション
Vダッシュガンダム
型式番号LM312V04+SD-VB03A
Vガンダムの背部メインスラスターに、追加装備であるオーバーハングパック(ダッシュパックとも呼称される)を装着した強化形態。名称は「V'ガンダム」を意味する。
ベスパが実戦データとノウハウの蓄積により戦場に投入し出した新型高性能機に対抗するため、Vガンダムへの長距離攻撃機能の付加と機動性向上、クルーズ機能の強化を行うために開発された。
詳細はVダッシュガンダムを参照。
Vガンダム・ヘキサ
型式番号LM312V06。
Vガンダムの頭部を換装することで通信・索敵能力を強化した指揮官用機。「ヘキサ」は開発順であり型式番号の「06」に由来する。
V字型アンテナの替わりに額部に複合カメラセンサーを装備。加えて側頭部排気ダクト両脇に高精度の中型ブレードアンテナを設置している。
LMのカイラス・ギリー攻略戦を前に最前線部隊シュラク隊の隊長であるオリファー用に一機が配備された。
詳細はVガンダム・ヘキサを参照。
V2ガンダム
Vガンダムの後継機。
詳細はV2ガンダムを参照。
セカンドV
小説版にのみ登場したVガンダムの後継機(V2は未登場)。
詳細はセカンドVを参照。
漫画作品登場
リア・シュラク隊仕様
漫画機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト(長谷川裕一作)に登場。
LMの一部隊たる「リア・シュラク隊」が運用するVガンダム。コバルトブルーの機体色以外の仕様は他の機体とは変わらない。
リーダーであるトレス・マレスのみ、指揮官機であるヘキサに搭乗する。
ビクトリーイージー
漫画機動戦士クロスボーン・ガンダムDUST(長谷川裕一作)に登場。
Vガンダムのコア・ファイターにガンイージの手足を接続した機体。同系列の機体のミキシング・ビルドである為、性能の低下はほとんど見られない。
コア・ファイターの脱出機構はそのまま残っているが、手足を切り離した後その場で再合体する事は不可能で、再接続の為には整備工場へ送る必要がある。
トレス・マレスが地方紛争を平定する為に使用し、タガナス・タヤカと結婚後は彼の乗るウォズモと揃いのブルーの配色に塗り直された。
騎士Vガンダム
コミックボンボン版に登場。Vガンダムに増加装甲(というより装飾)を装備させた形態。
ビームサーベルにも装飾目的の『鞘』がつけられ、マントまで装備している(防御用のABCマントではなく、装飾用の布マント)。同じくマントを装備したクロスボーンガンダムとの関連性は不明。
ゴッドワルドに大破させられ、登場は1話限りであった。
余談だが、後にSDガンダム外伝に登場する騎士ヴィクトリーとはまったくの別デザインである。
ゲーム作品でのVガンダム
「ガンダムVS」シリーズ
EXVS及びEXVSMBON以外全シリーズに1000コスト(EXVSMBでは1500コスト)機体として登場。武装はビームサーベルやビームライフルの他、パーツを射出して攻撃できる。
アシストは、無印とNEXTは盾となってくれるガンイージ、EXVSFB以降は対象をスタンさせるゾロアット。
この機体の特徴はパーツ射出攻撃であり、パーツを切り離した形態ごとに性能が変わる。EXVSFB以降では覚醒するとVダッシュガンダムになり、CSのオーバーハングキャノンによる照射攻撃ができる
(ちなみに無印及びNEXTでは変形ができ、7つの形態を駆使して戦う機体だった。また、特殊射撃で両パーツ射出できた)。
サブ射撃でトップ・リム、特殊格闘でボトム・リムを射出。トップ・リムはダミー系の武装を優先的に飛んでいくので注意。
射出したパーツは再びコマンド入力で再合体できる。
トップファイターは機動力、ボトムファイターは格闘に特化した形態であり、特にボトムファイターは格闘が非常に強力である。
コアファイターの状態はアシストを除けばバルカンしかないが、無印では高空に逃げて時間稼ぎを狙う戦法があった。今となっては天井が下げられた為この戦法は使えなくなっている。
バーストアタック(覚醒技)は「パーツアタック」。コアファイターになり、一定時間射撃か格闘でパーツ飛ばしを連射できるようになる技。被弾するとVガンダム状態に戻る。
EXVSMBONでは晴れて2000機体にコストアップを果たした。
EXVS2では、大きな変更点として、Vダッシュガンダムが非覚醒でも使用可能となり、覚醒技に「オーバーハングキャノン【最大出力】」が追加された(従来のパーツアタックは後覚醒技に移動)。また、アシストがゾロアットからガンイージに変更されている。
家庭版EXVSFBではDLCとしてVガンダムヘキサが参戦。パイロットはマーベット・フィンガーハット。
所謂コンパチキャラであり、アシストがガンイージになっている他はVガンダムとほぼ同じ性能である。
MB~ONまではエクストラ機体(「ガンダムVS.モバイル」有料会員専用の機体)として参戦していたが、ガンダムバーサス以降では敵専用機に降格されてしまった(同じDLC・エクストラ機体枠だったガトー専用ゲルググも同様である)。
Gジェネレーションシリーズ
『OVER WORLD』まで登場しているが、『GENESIS』には宇宙世紀作品でありながら登場しなかった。
『WORLD』まではヘキサと別枠でVダッシュに換装できるようになっていたが、『OVER WORLD』からはヘキサと同一枠となり、換装で変更する形になっている(その代わりVダッシュには換装できなくなった)。武装が微妙に異なり、ヴィクトリーではビームライフルとビームサーベルを装備し、ヘキサでは八つ手ビームサーベルとガトリングガンに変わる。ヴィクトリーでは平凡な武装しかないがビーム系の武装強化パーツと相性が良く、ヘキサでは八つ手ビームサーベルの射程が2あるのが地味な違い。また、ガトリングガンは実弾・連射属性なのでダメージが安定しないのが欠点。相手によって使い分けると良い。
開発先はリガ・ミリティア系列。V2やガンイージに開発可能。『OVER WORLD』ではセカンドVやVダッシュも開発できる。設計も可能で、ヒントは「分離合体変形MS」と、「サナリィの関わっている量産型MS」。
立体物
放映当時に1/144、HG1/100 BB戦士、元祖SDガンダムにラインナップ、1/100では一部差し替えにより分離変形が可能。
BB戦士・元祖SDガンダムでは、ビームサーベルやビームシールドにクリアパーツが採用されている他オーバーハングキャノンやヘキサヘッド、ビームスマートガンが同梱されているのでVガンダム⇔Vダッシュへの換装が可能。
Gジェネ版では、ビームガンと扇型ビームサーベルが追加された。
2009年ではMGとしてリリースされており、こちらは手首を外す以外は完全分離変形が可能となっている。Vダッシュも後に発売された。
また、オールガンダムプロジェクトの一環で本機とVダッシュ(ヘキサ)が遂にHGUC化。
コアファイターの他に、ハリセン状のビームサーベルが付属しており、後者ではオーバーハングキャノンとビームスマートガン、ヘキサヘッドやコアファイター用のブースターが付属。
但し1/144と同じく腕関節の形状が設定と大きく異なっており(「ガンダムビルドファイターズ系の腕関節」と言えばわかりやすいか)、ハンガーやブーツの変形・再現もオミットされている。
SDガンダムにおいて
基本的に『機動戦士Vガンダム』自体、大人の事情によりSD展開に恵まれていないので、F91以前のガンダムに比べるとやや扱いは地味。「V2は出てるけどV1は無し」というケースも…。
以下はSD作品においてVガンダム(ダッシュ含む)並びにVヘキサがモチーフのキャラクター。
なお、セカンドVモチーフは除外とする。
作品名 | キャラクター |
---|---|
『ナイトガンダム物語』 | 騎士ヴィクトリー、双騎士ヘキサツインズ |
『新SD戦国伝 七人の超将軍編』 | 舞威丸(まあ後にゴッドガンダムになるけど) |
余談
Vガンダムの合体はよく妨害される?
かつては「Vガンダムはコアファイターとハンガーとブーツの合体をよく妨害されて失敗する」という伝聞がネットで広まっていたがこれは序盤のみの話である。
あくまでヴィクトリータイプの合体機構は戦況に応じて分離するためのもので、ハンガーとブーツの補給はコアファイターで被弾リスクの低い宙域にいる後衛の戦艦に直接向かって安全圏から合体して再出撃するのが運用が本来の用途である。ビームが四方八方から飛び交う上空での出撃直後の合体はそもそものVガンダムの正式な運用方法ではない。
序盤でこのような想定外の運用をせざるを得なかったのは、当時のLMはVのテストパイロットだったマーベットが物語開始早々脚を怪我し満足に動けず、他にVガンダムをまともに動かせる人間がなし崩しでパイロットにされたウッソぐらいしかおらず圧倒的戦力不足だった事、さらに突然カサレリアとウーイッグの襲撃からベスパのLMへの攻撃が強まり、ろくな補給基地もない状態でVガンダムの予備パーツを徴収しなければならなかったという数多の悪い偶然が重なりすぎたためである。
8話でオリファー、10話でシュラク隊が戦力として加入し、11話でマーベットの怪我も完治しベチエンで輸送機を手に入れた事で序盤のハンディキャップは次第に解消されていっため、以降はVガンダムは本来の運用方法通り各パーツを合体してから出撃している。
また、このような伝聞が広まったのはもう一つ理由があり、当時放送されていたガンダムSEEDDESTINYのインパルスガンダムがVガンダムと同じ合体機構を持っており、こちらは物語全編でVガン序盤のような出撃の度にわざわざコアスプレンダーとチェストフライヤーとレッグフライヤーを個別に射出して合体する過程を取っていたことから、Vガン未視聴層が「Vガンダムもインパルスと同じ運用方法で使われている」と誤解した人が多発した事も背景にある。