いけ!いけ!ぼくらのVガンダム!!
いけいけぼくらのびくとりーがんだむ
概要
『いけ!いけ!ぼくらのVガンダム!!』とは、ことぶきつかさ氏による『機動戦士Vガンダム』を題材としたパロディギャグ漫画作品である。
1993年~1994年にかけて『MEDIA COMIX DYNE』(バンダイ)および『MS SAGA』(メディアワークス)に掲載された。
『いけ!いけ!ぼくらのVガンダム!!』と云う名称は厳密には単行本のタイトルを指し、および同タイトルの単行本に収載された『機動戦士Vガンダム』を題材にした漫画作品全4篇に対して主に呼称されるものである。
登場人物
リガ・ミリティア
第1話と第2話では主人公扱い。
リガ・ミリティアのパイロットで、カテジナが来るまではカミオン隊のアイドルだった。
作者のことぶきつかさ氏のお気に入り。
感情の起伏が激しく自意識過剰で破天荒な性格をしており、他人への嫉妬から奇想天外な行動をとることが多い。
このマーベットさんは庵野秀明氏にも気に入られて、『トップをねらえ!』のドラマCDに出演する事になる。
『機動戦士Vガンダム』アニメ本編での主人公。
第1話ではVガンダムのパイロットの座を奪った事に嫉妬したマーベットから命を狙われていた。
第3話では母のミューラ・ミゲルを人質に取られてしまい 「これ……母さんです」 と云うアニメ本編にありそうでない迷台詞を発生させている。
アニメに比べて下心丸出しのドスケベとして描かれている一方、プリチィセブンの際どい水着姿を見て「恥ずかしい」と照れてしまうが、即座に「幻覚だ」と開き直りV2アサルトガンダムで躊躇いなく虐殺している。
ヒロイン…の筈だが劇中でウッソと絡むことは皆無。
「私のウッソを返して」 と呪文のように呟きながらワッパでカミオンを追いかける。
劇中では悲劇丸出しな扱いでマーベットに蹴られたり悲惨な目に遭わされる事が多いが、その分「主役になりたい」と野心を懐く腹黒い部分も目立ち、最終回ではエンジェル・ハイロゥを放屁によって崩壊させてしまい、ラストシーンでは記憶と視力を失うも生き延びていたカテジナ・ルースに対して「例えスタッフが許しても、この私と視聴者が許さない」と断じて彼女が乗るワッパに時限爆弾を仕掛けて爆殺し引導を渡した。
常にシャクティに背負われている戦災孤児の赤ん坊。
シャクティがマーベットに顔面を蹴られた二次被害でシャクティの後頭部で顔面を強打したり、シャクティの不注意でガス管のバルブに頭をぶつけたりと色々と悲惨な目に遭っている。
最終回ではカサレリアに辿り付いたカテジナの邪悪な気配を感じとるが、彼女にワッパで轢き逃げされてしまう。
最後はワッパに時限爆弾を仕掛けられて地獄へと旅立ったカテジナをシャクティと共に笑顔で見送った。
カテジナが拐われて、「カミオン隊のアイドルの座」を取り戻したと安堵していたマーベットの前に颯爽と登場し、再び彼女の人気をドン底に叩き落とした。
シュラク隊のリーダー。
本作には隊長のオリファー・イノエが存在しないので彼女が隊長なのかもしれない。
ウッソにオッパイを揉まれて恍惚の表情を浮かべてマーベットから嫉妬される。
シャクティから「人と仲良くする方法を教えて欲しい」と相談を受けるが、彼女の肌の色を指摘して 「世の中には変え様の無い物もあるっての分かる?」 と何ともあっけらかんな返答をして非情な現実を突きつけた。
リガ・ミリティアに拾われた戦災孤児。
バイク戦艦に対して 「ダムどかーん!!」 したりと、役回りはアニメ本編とほぼ同じ。
カミオン隊の爺さん。
巨乳好き。
マーベットのコアファイターを勝手にウッソに任せて出撃させた。
「だって君より上手いんだもん」 の一言がマーベットの逆鱗に触れてしまいボコボコに殴られた。
シャクティの飼っている愛犬。
最初からアニメに似せる気が全く無くほぼ落書き状態である。
ウッソの相棒のペットロボ。
役回りはアニメ本編と同じだが、ウッソの母であるミューラが死亡した日の夜中に、彼女の遺品である「血塗れのヘルメット」を被ってウッソを励ましに行くなど、読者がドン引きする様なスプラッタ行為を平気でするブラックな面が見られる。
ウッソ君のお母さん。
お尻が大きくて怒りっぽく言動が荒々しい。
作者のやる気の無さからアニメに似せる気が全く無く、顔が超適当なことになっている。
アニメと同様にバイク事故で首が飛んで死亡してしまう。
リガ・ミリティアに拾われた戦災孤児でオデロの妹分。
お母さんを殺されたウッソを慰めるべく、パンツ丸出し姿で一緒に寝てあげたのだが、寝相の悪さと大イビキでウッソを苦しめただけであった。
ザンスカール帝国
もう一人のヒロイン。
第1話でマーベットから、かの有名な「カテ公」の渾名を付けられた。
当初、リガ・ミリティアではカミオン隊からアイドル扱いされていたが、クロノクルに拐われてしまい第3話からはアニメ本編と同じくザンスカール帝国のパイロットとしてウッソと対峙。
ザンスカールに寝返ってからはアニメ本編とは似ても似つかぬ極悪非道で凶悪な面構えで描かれている。
最終話ではシャクティによってワッパのオートコンパス代わりに時限爆弾を仕掛けられて爆死に追いやられた。
ザンスカール帝国の軍人にしてパイロット。
女王マリアの弟で、シャクティの叔父さんである。
役回りはアニメ本編とほぼ同じだが、第1話ではカミオン隊に紛れたスパイとしてこっそりと1コマだけ描かれており、カテジナと伯爵を拐う。
第2話ではマーベットに蹴られているシャクティを助けに唐突に現れ、しかもマーベットから頭にハイキックを喰らわせられるなど散々な扱いを受けている。
第3話ではノリノリでバイク戦艦を乗り回し、ミューラの人質作戦に関しても終始ノリノリだったが、バイク戦艦の衝突事故で人質作戦が失敗してしまい 「あー、むなくそわるい!!あしゃー…」 と愚痴をこぼしていた。
最終決戦では何故か全く登場せず。
ザンスカール帝国近衛隊の隊長でカテジナの部下。
役回りはアニメ本編とほぼ同じだが、ネネカ本人を含めた小隊を『プリチィセブン』だと名乗り、そのナイスバディに装着した際どい水着による「お色気攻撃」を図るも、ウッソに「恥ずかしい幻覚」だと見なされて全員もれなく虐殺された。
各話あらすじ
第1話「いけ!いけ!ぼくらのマーベットさん」
地球を汚染させてしまった人類が宇宙に移民をして、それに充分馴染む時代となっていた。
しかし、人類はこの宇宙でも戦争の歴史を……もういいね。
宇宙世紀153年のある日、カミオン隊にカテジナさんがやってきてアイドルの座を奪われたマーベットさんは焦っていた。
カミオン隊の爺さん達からも掌を返されて落ち込むマーベットさんだったが、突然イエロージャケの皆さんがゾロゾロ攻めてきた。
Vガンダムのパイロットとしての技量で名誉挽回しようと奮起したマーベットさんだったが、既にコアファイターはウッソが乗って行った後だった。
激怒したマーベットさんは援護するフリをしてブーツを高速で射出し、コアファイターにぶつけてウッソを抹殺しようとするが…スペシャルなウッソには通用しないどころか、避けられたブーツはゾロに当たって結果的に掩護射撃になってしまい、ウッソからは 「ないす!マーベットさん!!」 と感謝されてしまう。
その時、戦闘のドサクサに紛れてカテジナさんと伯爵が変なやつに拉致されてしまう。
カテジナさんがいなくなって、しかもギロチン刑だと大喜びのマーベットさんだったが…結局ギロチンを喰らったのは伯爵のみで、しかも美女軍団のシュラク隊が現れてしまい、マーベットさんの人気は再びドン底にまで叩き落とされたのだった。
第2話「超悲劇丸出し少女 シャクティ♡シャクティ」
シャクティ・カリンは人付き合いが下手な自分に悩んでいた。
ジュンコさんに相談してみたが、「世の中には変えようがない物がある」と肌の色を指摘されて大ショックを受ける。
そんな時、スケベ根性丸出しでジュンコさんとマーベットさんのオッパイ目当てに甘えるウッソを見て 「そうそ、そーなんだわ。きっとアレよ!!」 と何かを閃いたシャクティは胸に乳パッドを仕込んでカミオン隊の爺さん達を誘惑するが全く相手にされず、 「ううっ、超ムカつく!!種まいちゃうから…」 と落ち込んでヤナギランの種を地面に蒔き出してしまう。
そんなシャクティを見かけたマーベットさんは彼女を励ますのだが…。
シャクティから「肌の色の微妙な濃さの違い」を指摘されてしまい激怒したマーベットさんは彼女に必殺技の踵落としを喰らわせてしまう。
その時、シャクティを助けに叔父のクロノクル・アシャーが何の前触れもなく唐突に現れた…。
第3話「いけ!いけ!ぼくらのバイク戦艦!」
クロノクル・アシャーはバイク戦艦と人質のウッソ君のお母さんを使って 「行け行けゴ───!!」 とノリノリでリガ・ミリティアの殲滅作戦を決行した。
カテジナさんやザンスカールの皆さんがオデロの 「ダムどかーん!!」 に気を取られている隙にウッソはV2ガンダムで母さんの救出に向かってしまう。
しかし、ウッソが救出にもた付いているうちにバイク戦艦は衝突事故を起こして大惨事になってしまうのであった。
第4話(最終回)「これで終わりだ!Vガンダム」
終局である。
シャクティは 「私が主役になれる最後のチャンスだわ!!」 と意気込み、エンジェル・ハイロゥのキールームで小咄を始めてしまう。
それに爆笑した2万人のサイキッカー達が放つサイコ・ウェーブによって、戦場は狂気の笑いに包まれた。
トチ狂ったカテジナさんは新兵器と称して『プリチィセブン』をウッソにぶつけるが、失敗してスプラッタな大惨事になってしまう。
その時、ネタがウケてノリノリだったシャクティはうっかりキールームで放屁してしまい、屁の激臭がサイコ・ウェーブによって戦場に増幅拡散されてサイキッカー達は余りの臭さに苦しみ悶えて耐えられなくなった結果、エンジェル・ハイロゥは崩壊したのだった。
こうしてリガ・ミリティアとザンスカール帝国の戦争は終わった。
戦争が終わってからしばらく後、平和な日常を取り戻したカサレリアに記憶と視力を失って変わり果てた姿になったカテジナさんが現れるが、怒りに燃えたシャクティによって「地獄行きのオートコンパス」をワッパに仕掛けられて爆殺されるのだった。
爆発を見届けたシャクティは、邪悪な笑みを浮かべてカメラ目線でただ一言呟いた。
「勝利」
─勝利と書いてVICTORYと読む!!─終り
その他のガンダム漫画作品
単行本には以下のガンダム関連の漫画作品が収載されている。
12月31日の決意
一年戦争の末期、アナベル・ガトーの部隊に配属されたザクⅡに乗る新人パイロットのビスレィ二等兵による葛藤を描いた作品。
なお、本作に登場するヒロインであるジオン軍整備兵の少女ティナは、後にことぶきつかさ氏が執筆した『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ─カイ・シデンのレポートより─』にて、ディジェの建造に関わるアナハイム・エレクトロニクスの技術者として再登場している。
ソロモンの悪夢
一年戦争の末期に『ソロモンの悪夢』として地球連邦軍のパイロット達から恐れられたアナベル・ガトーの戦いを描いた作品。
なお、本作にてドズル・ザビの置き土産であるガトー専用ゲルググの型式番号が先行量産型であるYMS-14であるという設定と、ソロモン戦で同機が用いた試作大型ビームライフルの設定は、2003年に発売されたガンプラ「マスターグレード ガトー専用ゲルググ」のインスト用の設定として採用されている。
ニュータイプ・ヒストリー
ブライト・ノアの手記という形式で、『機動戦士ガンダム』~『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』までの歴代ガンダム作品に登場する女性ヒロインについて描いた作品。
アーガマにアムロ・レイが乗っていたり、ネェル・アーガマにブライト本人やエルピー・プルとプルツー、ネオ・ジオン陣営のキャラ・スーンやイリア・パゾム、果てには行方不明の筈のリィナ・アーシタまでが乗っていたりと色々と時系列や設定がおかしい。
いけ!いけ!ぼくらのシャイニングアッガイ!!
単行本用の描き下ろし作品。
TVアニメ『機動武闘伝Gガンダム』のパロディ作品である。
ドモン・カッシュがシュバルツ・ブルーダーより「お前にはガンダムファイトはまだ早い」として「格下げ」として与えられたシャイニングアッガイで、同様に格下げされたチボデー・クロケットが乗るアッガイマックスターを相手に「ガンダムファイト」ならぬ「アッガイファイト」を行い、戦いの果てにスーパーモードを発動させるお話。
終いにドモンはシュバルツの気まぐれでシャイニングボールにまで格下げになった(ちなみにシャイニングボールにはスーパーモードが無かったりする…)。
KADOKAWA版(改訂新装版)での追加作品
- 『カイレポ』連載予告漫画(?)
月刊ガンダムエース誌上に掲載された『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ─カイ・シデンのレポートより─』のプロローグ漫画。
ア・バオア・クー戦の直後から始まり、一年戦争後に軍を退役し、大学進学を経て通信社に就職してフリーのジャーナリストになるまでのカイ・シデン本人による回想風の独白と云う形式で描いた作品。
ラストではカイがティターンズの基地に潜入するシーンまでが描かれている。
- カイ・シデンのドリーム
新規描き下ろしを含む短編ネタ漫画を集めたもの。
- いけ!いけ!僕らのシェンロンアッガイ
- いけ!いけ!僕らのウイングアッガイ
上記2作品は『MS SAGA』vol.10、およびアンソロジーコミックス『電撃ガンダムW』に掲載された短編作品。
TVアニメ『新機動戦記ガンダムW』のパロディ作品である。
苦悩する張五飛の前に何故か別世界のシュバルツ・ブルーダーが現れたり、ウイングガンダムをアッガイに改装されたヒイロ・ユイがゼクス・マーキスを唐突に射殺したりと、やりたい放題の内容である。
余談
単行本は1994年にメディアワークスより発売されており、2012年には改訂新装版の単行本がKADOKAWAより『ことぶきつかさ短編集 いけ!いけ!ぼくらのVガンダム!!』と改題して発売された。
これにより巨乳化したマーベットさんが描かれていた表紙から『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー ─カイ・シデンのメモリーより─』に寄った大人しいデザインの表紙に差し替えとなった(ついでに付録だった水着のカテジナさんとマーベットさんのピンナップも無くなった)。
メディアワークスの旧単行本には1994年当時のことぶきつかさ氏が「自分の漫画作品に関する裏話」と「ガンダム作品に対するコメント」を綴ったページが載っていたのだが、2012年にKADOKAWAから新装改訂版の単行本が発売される際に新規収録された対談コメントでは、これら旧単行本のコメント内容について「当時、何の考えもなく書き殴った痛いコメント」だとことぶきつかさ氏は自ら断罪したうえで、「正直、オフィシャルな方々からあの本がどう受け止められているのか単行本になってから事の重大さに気付き、ずっと気にはしていたんです。その後もそれなりにリアルなところから、あの人が…あの監督が…怒ってるとかって噂が色々耳に入ってくるワケですよ(笑)。」と率直な心境を語っており、KADOKAWAの担当者からも「関係者に喧嘩を売っていると誤解されてもおかしくない内容でしたからねぇ。」と指摘されていた。
こうして、反省したことぶきつかさ氏本人の意向により改訂新装版の単行本では1994年当時のコメントが載っていたページは「あとがき」を残して、全て新規描き下ろしのキャラクターイラストに差し替えられている。
ただし、旧単行本の巻末に収録されていた、庵野秀明氏と鶴巻和哉氏を筆頭にうたたねひろゆき氏や園田健一氏といった数多の超豪華ゲスト陣が1994年当時に寄稿した祝辞ページは削除されることもなく、KADOKAWA版でもそのままである。
ちなみに、KADOKAWA版の単行本で削除されてしまったコメントページの内、『機動戦士Vガンダム』という作品に対して語っていたページでは「唯一気に入った『黒い女の人』がマーベットさんだったので彼女を主役にギャグ漫画を描くことにした。」「もう今更この作品に関して語ることは何もない。マーベットさんに始まりマーベットさんに終わったのである。ただそれだけ。」と辛辣に評していた。
しかし、KADOKAWA版の対談コメントでは「旧単行本が出た後、月日が流れる中で何度か『Vガンダム』本編は観返しているんですが、当時解らなかった味が徐々に見えてくる訳ですよ。なのにその作品の良さに気付けなかった頃の鈍感な自分の言葉しか旧単行本には記録されていない訳じゃないですか。なので今回新装版になった事で当時の痛コメントページが入らなかったのは個人的に凄くホッとしていたり(笑)。にも拘わらず寄与していただいた大御所の皆さんからのコメントは何故かそのまま掲載という…。」と、ことぶきつかさ氏は過去の自分が若気の至りで書いてしまったコメントをかなり後悔していた。
更に、KADOKAWA版の対談コメントによれば、本作を執筆した1993年当時のことぶきつかさ氏はバリバリのファースト原理主義者で「『0083でもギリOK』とか生意気言ってた頃」だったらしく、『機動戦士Vガンダム』という作品を視聴してはいたが『1stガンダム』から70年後と云うストーリーには全く興味が持てず、バンダイから『機動戦士Vガンダム』を題材にした漫画を依頼されても「ストーリー物から逃げたくてネタに困ってギャグに走るしかなかった」と述懐している。
しかもことぶきつかさ氏はそれまでギャグ漫画をまともに描いたことがなく、どうすれば笑いが取れるのか分からず「結果的にブラックな弄り方しか出来なかった。まあ、それが功を奏したのかもしれないですが、自分の暗部を晒しているようで気持ち良くはなかったですね(笑)。」との事である。
その様な当時の状況を思い出して「そんな人間がコミックスのあとがきで『今後のガンダム作品でデザイン参加とかしたいなぁ』とか言ってる(笑)ナメとんのかと(笑)」と、ことぶきつかさ氏は過去の自分が取った軽率な行為に対して苦笑していた。
それでも、『闘神伝』のOVAのアフレコに関係者として立ち会った時に主演の関智一氏から「Vガンダムの漫画描いてた人でしょ?Gガンダムのアフレコスタジオに『行け!いけ!~』の単行本が置いてあって皆で笑って読んでました」と言われた時は「実際のアニメ関係者からの感想に本当に嬉しくてホッとした」との事である(トマーシュ・マサリクとドモン・カッシュのお二人から直々のお褒めの言葉とあれば、さぞや嬉しかったであろう)。
なお、メディアワークスの旧単行本にのみ載っていることぶきつかさ氏本人による作品解説ページによれば、この『いけ!いけ!ぼくらのVガンダム!!』最終回となる『これで終わりだ!Vガンダム』のコンテ締切日の翌週が『機動戦士Vガンダム』最終話の放送日だったそうで、さすがにアニメの最終話を観ない状態で漫画のラストを作るのは難しいとの事で「バンダイの担当者から渡されたシナリオ台本を読みながらコンテを切るというつまらない方法で最終話のストーリーを知ってしまった」と愚痴っており、台本では読み取りにくいビジュアル部分は最終話の放送をリアルタイムで観ながら下描きを入れると云う有り様だったらしい。
「この漫画は最後まで気持ち良く作業を進ませてくれることはありませんでした。つくづく初回のマーベットさん漫画でやめておけば良かったと思う…(笑)」と、漫画の執筆時はかなりの苦痛だったようだ。
しかも漫画中のキャラクターの台詞に関してバンダイとサンライズ側からは何度もチェックが入り、過激な台詞に対して逐一訂正を喰らってはバンダイの担当者と「表現の自由」に関して揉め事を起こしていたせいで後半は漫画に対して完全にやる気が失せていたとの事である。
最終回を描いた時には「ようやく【ガンダムのギャグ漫画】という悪夢から解放される時が来た…」と思ったそうな。