バスターゴリラとは、スマートフォンアプリ『Fate/GrandOrder』のプレイヤーによる俗語である。
概説
前説
『Fate/GrandOrder』(以下「FGO」)は、戦闘に出すキャラクター(=サーヴァント)にそれぞれ5枚の攻撃用のカードが配分されており、これを毎ターン5枚中3枚選出し、攻撃を仕掛けていく【コマンドカードバトル】システムを採択している。
そのカード属性は以下の3種。
- 緑《Quick》:クリティカル発生を上げる「クリティカルスター」を多く捻出する
- 青《Arts》:NP(ノーブルファンタズム/いわゆる「パワーゲージ」のエナジー)を多く回収できる
- 赤《Buster》:ダメージ倍率だけに特化している
そして、NPを100%以上チャージすることで使用可能な必殺技である『宝具』にも、3種いずれかの属性が振り分けられている。
当然だが、5枚の手持ちを3種で当てはめる以上、最低1種のカードが割を食うことになる。
- 《Quick:1/Arts:2/Buster:2》:セイバークラスに多い
- 《Quick:2/Arts:1/Buster:2》:ランサークラスに多い
- 《Quick:2/Arts:2/Buster:1》:アーチャークラスに多い
- 《Quick:3/Arts:1/Buster:1》:アサシンクラスに多い
- 《Quick:1/Arts:3/Buster:1》:キャスタークラスに多い
- 《Quick:1/Arts:1/Buster:3》:バーサーカークラスに多い
1.〜3.は比較的にバランス良く散っているが、4.〜6.は5枚中3枚が1種類に偏っている。
なお基本7クラスでもライダークラスはほとんどが1.~3.のどれかに該当しており、特に☆5(SSR)はセイバー型に収まるケースが多い。
Buster環境の到来
特に《Quick:1/Arts:1/Buster:3》は初期からバーサーカークラス特有のカード配分として登場し、ほかのクラスでは皆無に等しかった。
同時に初期のFGOはBuster以外のカード性能が芳しいとは言えず、序盤の育成が全く手についていない状態でHP:50,000のボスが登場するため、どうしてもBusterでゴリ押しする戦法に偏りがちになり、そのために全クラス相克の相性を持つバーサーカークラスは「打たれ弱いが確実に1騎は編成に欲しい存在」となっていった。
加えて初期実装された上位サーヴァントの宝具は、攻撃性の高いものは押し並べてBuster属性に設定されており、それも遠因してゲーム環境全体がBusterに寄っていったのである。
ちなみに、それから程なくして2015年12月後半にはBuster以外のカード性能に改修が入っている。
Buster優位こそ覆せなかったものの、徐々にQuick・Artsを主軸にするサーヴァントにも挽回の機会が訪れた。2016年の12月のマーリン登場によるBuster環境の後は、2018年7月のスカサハ=スカディ、2020年の5周年記念でのアルトリア・キャスターの登場でArts環境が台頭と、長らくBuster以外の属性が主流となる期間も長い。
2021年の6周年記念以降では光のコヤンスカヤ、オベロン、闇のコヤンスカヤなどによる強烈なBusterサポートが可能となったことで再びBuster環境が息を吹き返してきている。
しかしながら、バーサーカー以外でも時折《Quick:1/Arts:1/Buster:3》というBuster偏重のカード配分になっているサーヴァントがおり、その強烈な有用性やインパクトからバスターゴリラの俗称がついたのである。
誕生の経緯
嚆矢となったのは、2015年12月のスカサハ実装キャンペーンに同伴実装されたフェルグス・マック・ロイであった。
☆3ランクのセイバークラスとして実装されたフェルグスだったが、そのマッシブな外見とそれに見合った豪放磊落な武人肌とあって、いかにもパワーファイターな印象を与えた。
その印象を一層強めたのが、上記に挙げたBuster偏重のカード配分である。
しかしこの時点では、先に実装されていた呂布と似たスキル構成に加え、フェルグスのキャラクター性もあって「如何にもなカード配分」程度のインパクトしかなく、プレイヤーたちは「まあ叔父貴だし」とすんなり受け入れてしまった。
ところが二の矢はそうもいかなかった。
2016年7月に実装された一部六章『神聖円卓領域キャメロット』と同伴実装されたガウェインである。
『Fate/EXTRA』シリーズからの客演で、かつ「円卓最強の騎士」の誉れに与るセイバーの中のセイバーといえるこのイケメン紳士がまさかのBuster偏重のカード配分だった。
同時にガウェインの実装に関しては、発表時に☆4レアリティを☆3と誤って紹介され、さらにストーリー本編ではこれまでにないほど厳格な一面を見せ、バトルではみんなのトラウマと化す1部6章でも最難関の中ボスとして君臨したりと、いろんな意味で目立った。
奇しくも、当時の世間はイケメンゴリラ「シャバーニくん」ブームの中にあり、そこに引っ掛けられてイケメンのガウェインもセイバーのエリザベートのボイスで「バスターゴリラ」の称号を得てしまった。事実上、これがバスターゴリラという伝説の始まりである。
その後、公式もいつもの悪ノリを発症し、絆礼装の文面で盛大にイジり倒した上に、リヨ氏のデフォルメ(メイン画像中央参照)でも、妙に上半身が発達したゴリラ体型にされてしまう。
その真骨頂たるものがCCCコラボイベント『深海電脳楽土SE.RA.PH』のコミカライズ版で、とあるバトル場面にて服が破けて逞しい上半身を晒す快挙をやらかしている。
そして1部6章の映画化に伴う銀幕デビューにて、何枚もの石壁を発泡スチロール板みたいにぶち抜きながら猛ダッシュしたり、自分を下敷きにした巨岩のような瓦礫を特に苦もなく傍に突っ返したりと、鑑賞者一同を唖然とさせるほどのパワーを見せつけた。
EXTRA時代は騎士として割とフツーの外見だったのになんでこうなっちゃったんだろう……
さらにキャメロット実装から間もなくして開催されたFGO初の水着イベントにて、まさかの人物がゴリラ枠を拝命することになる。
それこそがマルタ(ルーラー)である。通常霊基ではライダークラス唯一のArts特化型だったが、クラスチェンジによってバスターゴリラ配分になっただけでなく戦法までステゴロとなり、公式からの「ヤンキー聖女」路線も手伝って地の文で「凄女」と呼ばれるようになった。
のちにBBが『Fate/EXTRA-CCC』から参戦すると、アストライア実装まで単体攻撃宝具を持つルーラーは彼女だけ、実装イベントの全ステージにスキルの追加効果発動の条件だった「水辺」が適用されたこともあり、対BB最大の抑止力として一躍有名に。向こうも3年目の水着イベントで水着を得てパワーアップしたものの、うっかり神性スキルを得てしまったことでますますマルタに頭が上がらなくなってしまった。
だが事はこれで終わらなかった。
新年の衝撃
正月キャンペーンとして、カルデアに新たなセイバークラスが1騎実装された。
それがかの天元の花・宮本武蔵である。
伝説の剣豪なのに諸事情により女性、剣は間違いなく凄腕なのにどこか俗っぽく愛嬌のある彼女だが、そのカード配分はまさにバスターゴリラだった。
さらに彼女の場合、宝具もBuster属性の単体攻撃で火力が高く、自前で攻撃性を底上げするスキルを豊富に揃えていたため、非常に優秀なアタッカーとして迎え入れられた。
そして間髪を入れず、ゲリラ実装として突如カルデアに来訪したのが……
山の翁だった。
それまでのアサシンといえばQuick偏重、良くて(ジキル&ハイドとクレオパトラを除き)Buster1枚の配分が限界だったが、この山の翁もよもやのバスターゴリラだった。
ゴリ押しのアサシンとは一体…
なお、この前段階として、Buster性能を補強する最強サポーターの一人であるマーリンが年末に期間限定実装されていた影響も強く、2018年にスカサハ=スカディ実装によるQuick環境席巻が続くまで、マーリン主導によるBuster環境は長らく続くことになった。
超人降臨
それからしばらく経った2019年12月。
それが超人オリオンである。
オリオン自身はまったく別のかたちで最初期から実装されていたが、彼(彼女?)のカード配分は《Quick:2/Arts:2/Buster:1》と、典型的なアーチャー型だった。
しかしいざ本来の姿で登場すると、見た目はゴリゴリのマッスルボディ、愛嬌のある男臭い顔立ち、そしてカード配分はバスターゴリラだった。
加えてオリオンの場合、スキルがクリティカル発生とクリティカル威力アップに偏っているところがあり、自己強化型の宝具も手伝だって、“通常攻撃”の一撃で最大100万・累計300万弱のダメージという驚異の爆発力を発揮する。
もはやゴリラではない。ゴジラである。
赤き竜の復権
そしてFGOがめでたく5周年という、スマートフォンアプリとして長寿コンテンツの仲間入りを果たした2020年8月。
その記念すべき門出に、新たなBuster火力の可能性が誕生した。
それこそ、我らがFateの大看板・騎士王アルトリア・ペンドラゴン(セイバー)である。
通常のカード配分は《Quick:1/Arts:2/Buster:2》とセイバー型なのだが、5周年を祝して彼女に贈られたスキル強化により、「魔力放出(A)」が「竜の炉心(B)」に変化し、従来の【1ターンBuster性能アップ】の効果に加え、【コマンドカードを1ターン全てBuster属性に変える】というトンデモ効果が加わった。
これによりカード配分がすべて1ターン限定ながらBuster一色に染まるという、シリーズの顔だからこそ許されたVIP待遇強化を受けたバスタードラゴンの誕生と相成った。
流石に武蔵やオリオンなどには単騎火力で譲るところがあるものの、全体攻撃宝具としては最高水準の威力を誇り、なおかつ宝具の追加効果でNPのリチャージも可能、スキル「直感(A)」(強化後「輝ける道(EX)」)でクリティカルスターとNPの補充、「カリスマ(B)」による攻撃力アップと、それまでやや器用貧乏な優等生だった印象から一転、多少のNP効率を犠牲にそれ以上の大火力を得て最優のサーヴァントの面目躍如を果たした。
番数外
ちなみにアヴェンジャー・織田信長もBuster3枚配分なのだが、先行実装された水着姿がBuster3枚のバーサーカークラスな上、そちらから設定とイメージカラーの「紅」、炎のイメージのエッセンスを多分に継承して意外性に乏しいため、このグループからは除外される傾向にある。
むしろ原形のアーチャー時代から、神性スキル特攻を活かした「神殺し」が本領なので、「いや、まぁノッブだし」と別ジャンル扱いされている節も。
ま、是非もないよネ!
ただし現在ではスキル強化や光のコヤンスカヤによる重ねがけなどにより、神性以外に対しても他のバスターゴリラに劣らないパワーを発揮する。
他にも、パッションリップとメカエリチャン&メカエリチャンⅡ号機といったアルターエゴのメンツもバスターゴリラ構成なのだが、この3騎も上の面々と比べると話題に上り難く、それぞれの周辺がもっと濃いこともあって、キャラこそ愛されているがこの話題においては陰に隠れがちである。
同じくアルターエゴのスーパーバニヤンもバスターゴリラ構成。しかしこちらもバーサーカー時代を引き継いだ構成であり、キャラの強さもあってやはりバスターゴリラとは言われにくい。押しの強さや殴るだけで宝具の火力が高まっていくゲーム内性能など、バスターゴリラに恥じない働きはしてくれる。
本編2部6章で実装された妖精騎士ガウェインもまた、本家本元のガウェインと同じくバスターゴリラ構成。なのだが、こちらもスーパーバニヤンと同じくガウェ子本人のインパクトがいろんな意味でデカすぎたためか、バスターゴリラ筆頭格であるガウェインの名を冠する妖精騎士であるにもかかわらず、バスターゴリラネタではあんまり話題に上がっていない。ただし、2021年6月に開催された聖杯戦線においてはその圧倒的適性からゴリラパワーを十全に発揮、一躍話題を掻っ攫った。
余談
バスターゴリラ以外にも、他のカード(アーツ、クイック)の効果が優れているサーヴァントを「アーツゴリラ」または「クイックゴリラ」と呼ぶことがある。もちろん元ネタはバスターゴリラである。
関連タグ
脳筋:近い意味で。
レベルを上げて物理で殴ればいい:ある意味では類義語
マギアレコード:ゲームシステムが似ている別宇宙のソーシャルゲーム。こちらは各ディスク構成全てがゴリラと呼ばれている。