概要
近代から現代にかけて、歩兵が携行する最も基本的な武器・兵器として使用されている。
小銃弾と呼ばれる弾薬を使用し、近距離から遠距離まで射撃をこなせる万能性を持つ。また、小銃をベースにしても、主に遠距離射撃に用いる照準眼鏡を取り付けた狙撃銃は小銃として運用されない。逆に近接戦闘用の短機関銃は遠距離射撃をこなせないので歩兵小銃とみなされていない。
歩兵小銃は基本的に銃剣を着剣しての白兵戦ができることを求められる。
現代では近接戦闘能力の高いアサルトライフルが登場したことで必要性は落ちているが、かつては非常に重要な要素であった。近世に銃剣が発明される以前は、銃の火力だけでは騎兵の突撃を阻止できなかったので、銃隊を槍隊で騎兵から護衛する必要があった。しかし、銃剣を装着した歩兵小銃を槍とすることで銃兵は十分な白兵戦を獲得し、銃兵単独での運用が可能となった。こうして歩兵小銃は兵器としての万能性を獲得し、近代戦における歩兵の基本装備としての地位を確立した。
そのため、一人で持ち運べることや射撃の自由度が高いことが求められるため、重量や反動が過大で立射ができない銃は小銃とは呼びがたく、火力支援用の機関銃や対物ライフル(対戦車ライフル)などは小銃に含まれない。ただし、初期の小銃には軽量化が不十分で支え棒を用いるものが存在する。
主な歩兵小銃
ボルトアクション小銃
ボルトアクション小銃(ボルトアクションライフル)は手動で遊底(ボルト:薬室に弾を送り込み薬室後部を閉鎖する部品)を操作し、薬室の閉鎖・開放を行う火器のことである。ボルトアクション機構はドライゼ銃を開発したドイツのフォン・ドライゼにより発明され、各種のボルトアクションライフルはドライゼ銃を改良した系譜に連なっている。19世紀中後半から20世紀中半にかけて多く使用された。手動でボルトを操作して装填するため連射速度は遅いが、堅牢単純な構造かつ製造コストの安さで高い信頼性と命中精度を有し、アサルトライフルが普及するまで代表的歩兵銃であった。
現在では狙撃銃など、発射速度より精度を重視する場面において使用が限られているが、民生用途ではスポーツ用や狩猟用など現在でも幅広く使用されている。
ドイツ
ソ連/ロシア
アメリカ
日本
フランス
イギリス
イタリア
オーストリア
ハンガリー
スイス
ポーランド
デンマーク
ノルウェー
オランダ
ベルギー
チェコスロバキア
スペイン
カナダ
レバーアクション小銃
レバーアクションは、ライフル銃の機関部下側に突き出した用心鉄(引鉄のガード)部分をレバー化し、これを下に引き、それをまた戻すことによって遊底を前後に動かし、薬室から薬莢を排除すると同時に次弾を装填して薬室を閉鎖する仕組みである。レバーアクションの閉鎖機構は尺取虫状のトグル・ジョイント機構を採用したものが代表例である。
レバーアクションはS&W社の創立メンバーが製造・販売した最初期の連発銃であるヴォルカニック銃として発明され、ヘンリー銃として普及し、ジョン・ブローニングによる改良で完成され、ウィンチェスター社によって大量販売された。レバーアクションは高価な上に強度面に問題があって強力な弾薬が使用できず、また伏射姿勢を取り難いため、殆どにおいて軍用銃の主流にはなれなかったが、民生用として普及した。また、この閉鎖方式を応用してショートリコイル方式の自動装填機構と組み合わせたのが、ハイラム・マキシムが発明したマキシム機関銃である。
アメリカ
イギリス
半自動小銃(自動小銃)
ボルトアクションを発展させ、ボルトの駆動を従来の手動からガス圧作動方式もしくは遅動ブローバック方式を利用して自動装填化した小銃をさし、20世紀中半から現代まで広く使用されている。
軍用向けの製品にはフルオート射撃機能を持つものもあり、形態によってアサルトライフルに分類されている製品も多い。また、全自動連射可能な物を「自動小銃」と称し、単射のみのものは「半自動小銃」と呼び分けられる場合もある。多くの国ではフルオート射撃機能を持つ火器の民間人による所持を制限ないし禁止しているため、これを除いた製品が自動小銃として市販されている。
アメリカ
ソ連/ロシア
ドイツ
フランス
イギリス
スイス
ベルギー
チェコスロバキア
日本
中国
バトルライフル/アサルトライフル
バトルライフル/アサルトライフルは一般歩兵の携行火器として開発されたフルオート可能な銃である。
アサルトライフルとバトルライフルの違いとしてはバトルライフルはそれまでの半自動小銃をそのままフルオート化したようなもので、アサルトライフルはそれまでの小銃弾と拳銃弾の中間となる大きさのフルオートを制御しやすい弾薬を使うこと前提で短く作られた物である。
当時はこれらの分類分けはされておらず、またされた直後まではこの中間のような性能で行き来する銃も多かった。
アサルトライフルが生まれるきっかけとなったのはロシア帝国末期に採用されたフルオート射撃の可能なフェドロフM1916とされる。採用直後に発生したロシア革命の混乱を受けて同銃の生産は少量に留まり、弱装な弾薬を使用する同銃のコンセプトが理解できなかった初期の労農赤軍は、強装弾を使用する自動小銃の採用へ方向転換したが、冬戦争の対ゲリラ戦に投入されたフェドロフM1916が鹵獲され、これに興味を抱いたドイツ国防軍が開発したのがMKb42(MP43/StG44)である。
MKb42は独ソ戦で使用され、これを鹵獲したソ連は使用していた弾を参考にセミオートライフルの為の扱いやすい弾薬開発するついでに1943年に同銃を参照したフォーマットの銃の開発計画をスタートさせ、その成果として優秀な成績を残したAK-47が選ばれた。
一方、同じくMKb42を鹵獲しフルオート出来る小銃の可能性に価値を見出した西側諸国の一部とアメリカはそれぞれに開発に着手し、しかし弾丸の方には威力が低いという懸念から興味を持たず、結果としてフルオート付けただけの小銃が生まれることになった。
大半は正式採用まで行かなかったが、米軍は採用を行った結果、ベトナム戦争中にAK-47を装備したベトコン勢力に苦戦し、これに対抗する火器としてM16を試行したものの制式採用には時間がかかった。M16にはデザインと整備不足に起因する作動不良確率の高さの問題があったが、姉妹製品のAR-18の影響を受けたアサルトライフルが各国で採用されるようになり、日本でも89式小銃が採用されている。
また根気強く改修した結果、現在のM16系列の銃は作動不良の確率は大幅に減っている。
日本
台湾
中国
ソ連/ロシア
アメリカ
イスラエル
カナダ
メキシコ
ドイツ
スイス
ベルギー
チェコ
オーストリア
オーストラリア
イタリア
イギリス
フランス
ポーランド
ウクライナ
インド
韓国
北朝鮮