概要
それらは、実はほとんどが実際に起きた事故をモデルにしている。
これは原作者のウィルバート・オードリー牧師が、徹底したリアリストであったため、絵本のネタを鉄道雑誌や新聞などから拾ってきたことによる(ゆえにTV版3期以降の放送内容の一部に対して苦言を呈している)。
劇中歌として
英語版は「Accidents Will Happen」。日本語版を歌ったのはゴードン役の内海賢二とトーマス児童合唱団。
パッと聴くと、かわいらしくコミカルな子供番組らしい歌なのだが、歌詞の所々に聴いていて耳が痛くなりそうな内容も散りばめられている。例え運転するのが機関車でなくても、乗り物を扱う以上は事故に十分注意して運転しよう。「注意一秒、怪我一生」である。
…でも、やっぱり「運が無いときはしょうがない、何とかしよう」。「何とか」できるよう、どんなに安全に思える状況でも、備えは万全にね!
カラオケでは、DAM・JOY共に配信中。楽しみついでに、仲間内にいるペーパードライバーや現職の鉄道乗務員たちへの注意喚起をするのもいいかもしれない…?
主な重大事故一覧
ジェームスが脱線する
原作第2巻4話「トーマスときゅうえん列車」、TV版第1シーズン第7話「ジェームスのだっせん」で発生。
シリーズ初となる重大事故(脱線)である。
ノースウェスタン鉄道本線にて当時入線したばかりであったジェームス牽引の貨物列車が、マロン-ウェルズワーズ間の勾配区間(通称、ゴードンの丘)を通過時に暴走し、ウェルスワース駅-クロスビー駅間で脱線。
貨車のブレーキの不備により、貨車同士が追突を起こしたことが原因であり、その際にジェームスのブレーキシューが樫の木でできていた古い方式であったため、発火を起こしブレーキが役目を果たさなくなっていたことも事故を大きくした一因であった。
この事故を機に、ジェームスは鉄製のブレーキシューへの換装が行われることとなる。
当時の貨車は鉄道会社でなく民間の物流会社や企業が保有、管理を行っていたため、まともに整備が行われていない例が多く、ときには貫通ブレーキすら付いていない車両すらあったことが背景としてあげられる。このまともに管理の行われていない貨車と、「ゴードンの丘」は、その後も度々物語の中で事故やトラブルの原因となっている。
また木の制輪子は、鉄道車両がまだ軽く速度も低速だったときは、実際に一部の鉄道で採用されていた(車輪と制輪子の摩耗を抑えるため)。しかし、列車の大重量化や高速化に伴いブレーキとしての効果が減少したほか、ときには作中のように発火する事態を引き起こすようになり、順次廃止されていった歴史がある。
フライング・キッパー事故
(フライング・キッパーの項も参照)
原作第6巻2話「フライング・キッパーごう」、TV版第1シーズン第19話「フライング・キッパー」で発生。
ティドマス港発の臨時特別鮮魚列車フライング・キッパーを牽引中のヘンリーが、キルディーン駅付近にて待避線に誤進入し、フライング・キッパーの通過待ち中だった別の貨物列車に衝突。
事故の原因は、待避線直前の信号と分岐がそちらへの進行を現示した状態で凍り付き、それをヘンリーの乗務員がそのまま進行してよいものと誤解したことであった。
この際、貨物列車の乗務員たちが最後尾の車掌車にて休憩しており事故に巻き込まれたが、積雪の上に投げ出されたためか怪我はなかった(TV版では事故直前に車掌車を下りていたため難を逃れている)。
この事故を機に、ヘンリーは欠陥だった非効率的なボイラーをはじめとして、大改装が行われることとなる。
なお、この事故は絵本執筆の翌年に、同じようなミスによる貨物列車の事故が発生している。
ジェームスがタール運搬車に突っ込む
原作第7巻3話「トービーとジェームズ」、TV版第1シーズン第23話「きたないきかんしゃ」で発生。
ジェームス牽引の各駅停車の貨物列車が、マロン-ウェルズワーズ間の勾配区間(ゴードンの丘)を通過する際に減速を怠ったため暴走。停車中のタール運搬車に衝突し大破したことで、積まれていたタールが辺りに散乱した。
ゴードンが転車台から転落
原作第8巻1話「ほりにはまったゴードン」、TV版第1シーズン第24話(日本語版放映順第25話)「ゴードンみぞにはまる」で発生。
ヴィカーズタウン機関区にて、転車台でゴードンの向きを変える途中、ゴードンの火室内で燻っていた火が燃え上がり蒸気が急激に発生、いきなり動き出しそのまま付近にあった堀に転落。
1958年8月に実際に起きた出来事が元であることが明言されている。
ダグラスがブレーキ車を木端微塵にする
原作第15巻3話「いじわるなブレーキ車」、TV版第2シーズン第42話「ふたごのきかんしゃ」にて発生。
マロン-ウェルズワーズ間の勾配区間(ゴードンの丘)にて、ジェームス牽引の貨物列車がブレーキ車のブレーキが作動したことで、丘の中腹で立ち往生。
後補機としてついていたダグラスの推進力と列車の重みに挟まれブレーキ車が大破。
蛇足だが日本の国鉄でも、信越本線の碓氷峠にて、勾配を登っていた下り貨物列車の車掌車が、急停止した際に後補機に押されて座屈し脱線するという、似たような事故を何度か起こしている(そのため同区間では、走行可能な車掌車の車種に関する制限が出来た)。
トーマスが駅長の家に突っ込む
原作第16巻1話「トーマスの大しっぱい」、TV版第2シーズン第44話「トーマスあさごはんにおじゃま」にて発生。
ファーカー支線のファーカー機関区にて、出区点検を行っていたトーマスの運転台に立ち入った清掃員が、うっかりレバーを操作したため無人のまま暴走し、車止めを超えた先にあったファーカー駅長ら一家が住まう鉄道官舎へ突っ込んだ。
この事故の影響で、ファーカー支線では気動車のデイジーを用いることになったほか、それに振り回されたパーシーが、トビーと仕事を代わってもらった結果、操車場に留置中の貨車に突っ込む大事故を起こしている。
この事故を機に、トーマスの前面ランボードの形状が新たな形態へと改造された。
なお、トーマスを暴走させた清掃員はクビになったという裏設定があるらしい。
また日本でも、1951年に西武鉄道多摩川線是政駅にて、やはり人為的なミスにより機関庫を飛び出した無人の機関車が民家に突っ込むという、似たような事故が発生している(参考リンク)。
ゴードンが駅舎を破壊
TV版第5シーズン第107話「ゴードンのまど」にて発生。
不調気味であったため、工場で修理を行ったはずのゴードンが、新駅の開業式典に参加すべくトップハム・ハット卿を乗せて走行していたところ、ブレーキが急にかからなくなり、そのまま駅舎に衝撃して破壊した。
このとき、ハット卿は運転台に便乗していたことから、目の前で事故の顛末を目撃していたため、ゴードン自身の責任で引き起こされた事故でないことを知り得ているにも拘らず、事故直後に怪我を負わされたことに対する八つ当たりと取られる叱責を行っている。
同様の事故は日本でも関東鉄道常総線取手駅や、福島交通飯坂線福島駅、土佐くろしお鉄道 中村線 宿毛駅、名古屋鉄道 羽島線 新羽島駅などで発生している。うち2件は他社から譲受した経年の車両によって引き起こされており、急にブレーキの具合が悪くなったそもそもの原因は未だ特定されていない。
上記述べたのは一部であり、実際は数え切れないくらい事故シーンがあるが、それらは実際に発生した鉄道事故が元になっている(ただし原作に準拠したストーリーが中心である)。
余談
某動画サイトで「トーマス」と検索すると一番上に出てくるのがこの動画である。これもまた事故なのかもしれない。
また安全第一をモットーにするためか、じこはおこるさを流す企業の職場や工場もあるという。
また2005年にJR福知山線脱線事故をはじめ鉄道界では数々の事故が発生し、その影響できかんしゃトーマスの事故シーンのある話がしばらくの間自粛となり、代わりに事故シーンが無い話が放送される出来事があった。これは被害者を配慮する為でもある。
上述のとおり、日本や世界で起きた鉄道事故の中にも、きかんしゃトーマスの話に類似する事象が多々存在しているのも事実である。
関連タグ
こりゃあうまいココアだぜぇ!!:事故フラグとしてネタになった劇中のセリフ