概要
ただし実在するフレイル型モーニングスターと比べると、グリップ部が小さく鎖の長さが極端に長いのが特徴である。どちらかと言えばグリップ付きのモーニングスター型流星錘と言い換えてもよさそうである。
一見古典的な武器に見えるが、質量による打撃は宇宙空間に於いて効率的かつ有効な攻撃方法の一つであり、また飛び道具に近い特性を持つ事で射撃武器と近接白兵武器の中間の間合いの虚を衝けた。
その威力はザクを一発で破壊する程に強力でありながら、ビーム兵器の様に激しいエネルギー消費を必要としないなど利点も多かった。
劇場版『機動戦士ガンダム』1作目の絵コンテでは「命中後ロケット噴射とともに敵にめり込み、最後にスパイク部が爆裂しさらなるダメージを与える」と言う演出が描かれていた。
ハイパーハンマー
強化型武装であり、鉄球の棘を鋭利化した上、内部に加速バーニアを仕込んで威力を増大させた物。
ガンダムで運用したものの、相対したゴッグはこれを上回るパワーを持っていた為、受け止められている。
シリーズ内での希少性
ガンダム制作史的に見ても本装備及び同じ系列の装備をしている機体は多くは無い。理由としては
- 高機動、高運動性を持つ機体では避けて躱す事が比較的容易である事
- 上記ゴッグ戦の様にパワーが十分に上回っている機体は受け止めたり手で捕獲するのが容易である事
- 鉄球部の破壊は無理でも繋いでいる鎖やワイヤーを破壊するのは容易である事
- 宇宙空間だと、パイロットの腕前が良くないと敵に命中させられない事
などが有る。(メタな制作ネタの理由としては大質量武器のダメージ表現には機体や装甲を抉れや凹み表現などで変形させる必要が有るため、原画・動画に負担が掛かりよくない事も一因である。)
なお、ガンダムハンマーの正確な形状はグリップ部分が錨の形をしており、これを正確に再現して「ガンダムハンマー」の名称を受け継いだ武器を装備している機体は非常に少ない。
さらに、ガンダムハンマーがハイパーハンマーとして公式で誤認されるケースも多く、見た目がハイパーハンマーで名前がガンダムハンマーになる場合も見られる。通称、ハイパーハンマー化。
他作品での登場
『機動戦士ガンダム第08MS小隊』では、第06小隊の陸戦型ガンダムが最終話『震える山(後編)』にて装備していたが、アプサラスの攻撃時のシーンにて頭部が破壊される1カットの登場のみで使用されたシーンは無い。
『∀ガンダム』では、劇場版『機動戦士ガンダム』1作目の絵コンテに描かれていた演出が18年越しで採用されている。
劇中には発掘品が数度登場しており、ターンA以外ではカプルのソシエ機も使用している。その原始的な姿にはロラン・セアックでさえ「ふざけてるのか?」とキレ気味であり、持ち出してきた姿を見たフィル・アッカマンは「蛮族にお似合いの武器」だと罵っている。
なお、ターンAが使用する場合はIフィールドによる慣性制御を行っており、またブースターも仕込まれているなど結構インテリジェンスな武器と化している。また、後の作品のハンマーにも見られる「グリップを基点にハンマーを回転させて振り回すことで攻撃を防ぐ」を行った上、「両手にハンマーを持つツインハンマー」と言う芸当も行っている。
ちなみに、Pixivで良く見られる「回転させるガンダムハンマー」の元ネタはこちらである。TCGガンダムウォーなど外部作品では棘が鋭利化してハイパーハンマー化している場合もある。
また、まだ初代ガンダムスーパーロボット路線が抜けきっていなかった当時、倍近いデカさの「ジャンボハンマー」なるものも存在していた事があるが、リアルロボット路線に完全に舵を切った昨今ではどの媒体でも採用されずなかったことになっている。
『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』では、アムロ・レイの戦闘データを学習したバイオ脳を搭載したMSアマクサが、ハイパーハンマーを内蔵したシールドを装備している。
普段は半球型でシールドの一部になっているが、使用時にはシールドを折りたたんで射出機に変形させる。
アムロのバイオ脳のために用意しただけなのか、『鋼鉄の7人』に登場するアマクサの量産型は装備していない。
類似武器
特殊ハンマーガン
ジオン側のMS「ガッシャ」の武装。
ワイヤーで接続された鉄球を撃ち出す武器で、直線的発射のみならず放物線を描く事で障害物越しの攻撃が可能。この特性のため「山越えハンマー」とも呼ばれる。
ガンダムハンマーの上位互換とも呼べるこの武装は、ア・バオア・クー脱出直後のシャアの動向を描いたゲームブック「最期の赤い彗星」にガッシャとともに登場。シャアの駆るリックドムと交戦し、苦戦させていた。
アインラッド
『機動戦士Vガンダム』に登場するザンスカール帝国開発のサブフライトシステムだが、ビームロープで本体を繋ぎ振り回してガンダムハンマーのように使うことが出来る。
中盤でカテジナ・ルースのゲドラフがこの戦法を使用し、アインラッドの汎用性の高さを知らしめた。
グラビトンハンマー
『機動武闘伝Gガンダム』のボルトガンダムの武装。
左肩に内蔵された鉄球に、グリップから放たれるビームで接続して振り回す。
G-ハンマー
『機動新世紀ガンダムX』のガンダムダブルエックスのオプション武装。
グリップが大きくワイヤー式で収納可能。
劇中では格納庫に置かれていたが戦闘中に使用するシーンはなかった。
また、コミックボンボン発祥の規格「Xバリエーション」では、ガンダムレオパルドの強化プランとして「ツングースハンマー」という鎖鉄球を装備したレオパルド・アイアンが提案されていた。
破砕球「ミョルニル」
『機動戦士ガンダムSEED』のレイダーガンダムの武装。
ワイヤー式でグリップが吊り下げ型。
GNハンマー
『機動戦士ガンダム00』のガンダムアストレアTYPE-Fの武装。
鉄球内部にGNコンデンサーが内蔵されており、スパイク部分が緑色。
余談
元々スポンサーでもあったクローバーがホビー的な側面から登場させるよう要望した武器である(前作『無敵鋼人ダイターン3』にも同様の武器がある)ため、劇場版では使用されていないが、劇場版1作目の絵コンテ段階には「より凶悪な」形で存在していた。
冒険王版ではトゲが3本に絞られ、T字型に描かれている。
これにより敵MSを斬り裂くなど、打撃のみならず刺突斬撃用にも使用できるようになっている。
なお、セイカから発売されていたガンダムのカルタの「く」の札は「くらえ ガンダムの ビートハンマー」で、その絵札に描かれている「ビートハンマー」は冒険王版に登場した三本トゲのガンダムハンマーに酷似している。
ガンダム放送当時、クローバーはアニメのものとは別に、玩具用の設定画を別に起こしていた。
その玩具用設定画に描かれていたのが「熱線ヒートハンマー」であり、この三本トゲのものとほぼ同じ形状をしていた(トゲ部分が発熱し、殴りつけた際に追加ダメージを与える武器らしい)。
おそらくは、この「熱線ヒートハンマー」の設定が拾われ、カルタではビートハンマーに、冒険王版ではデザインそのままでガンダムハンマーとして登場したものと思われる。
関連項目
ダイデンジン - 酷似した武器「デンジボール」を使用する巨大ロボ。