「カミーユ、メガ・バズーカ・ランチャーの射線上には入るなよ!」
解説
一年戦争時に制作されたバストライナー砲の流れを組む航宙用の大型メガ粒子砲で、大きさはモビルスーツの全高に匹敵する。
スラスターを搭載しているため、非戦闘領域での機動力を補佐する用途でも活用可能。
主にZガンダム本編にて、百式のメインパイロットであるクワトロ・バジーナが宇宙空間での長距離狙撃を行うために使用した。
利点と多くの欠点
登場当初は威力もあまり高くなかったが、アーガマ内で強化改修を行って以降は、一撃で多数のMSを消滅させる程の破壊的な高威力を備えた。
反面、莫大なエネルギーを消費するため百式単機とランチャーの組み合わせで発射できるのは一発のみである。これを補うため、TV版では廃棄品をリストアしたゲルググ、劇場版第2部ではメタスをエネルギー供給用として随行させ、ランチャー本体と随行機を補機ジェネレーターとして連結させる事により3~4回の発射を可能にしていた。
とはいえその編成でも連射はできず、一射毎にエネルギー再充填の時間を要するため、その抵抗不能の間は射撃位置を変えて隠れるなどの立ち回りを強いられる。
また普通のビームライフル等の武装とは異なり、出撃前から百式が携帯することができないほど大型のため、アーガマのカタパルトから別途ランチャーを射出してもらわないと装備できない。多くの場合は交戦前の安全な距離で装備を済ませていたが、第38話のようにやむなく戦闘中に射出することになった場合は百式が確保するまで戦闘宙域を無防備で飛んで行くため、僚機が援護して敵機から守ってやらねばならない等、試験兵装ならではの弱点が目立つ。いわゆる「ロマン砲」の一種といえよう。
ゲーム作品では、燃費がかなり悪い(あるいは弾数が極端に少ない)ものの単独で複数回発射可能な武装となっている。
クワトロの戦果
TV版で狙撃作戦が実行されたのは4回。
①10話
ランチャーの初登場。パプテマス・シロッコの操縦するメッサーラを狙ったが外れる。だがシロッコの目的も「メッサーラの機能テストでしかない(11話)」のですぐ撤退し、戦闘は終了した。
なおこの時点からすでに、シロッコの放つニュータイプ特有のプレッシャーのためか、クワトロはランチャーのトリガーを引くことにためらいを感じる場面が見られる。
②32話
シロッコが指揮する戦艦ドゴス・ギアを狙撃した。
第1射は艦橋を狙ったが外れ
第2射は右舷カタパルトデッキに命中
第3射は艦橋前方付近を通過し外れ
第4射は左舷カタパルトデッキに命中
ドゴス・ギアは上記被弾後も戦闘を継続したのち、クワトロの狙撃とは別の理由で撤退したため、撃沈できず。
③38話
ガディ・キンゼーとレコア・ロンドが搭乗する戦艦アレキサンドリアを狙ったが、レコアのニュータイプ能力により狙撃を感知され、ガディ艦長の指示で戦艦に回避運動をとられたため、本命の目標である戦艦本体は砲塔一つを壊しただけの軽い損傷で済まされてしまった。
一応、狙撃を阻止しようと火線上に接近してきたラムサス・ハサの乗るハンブラビほか1機を中破させ(ラムサスは生還)、小破したアレキサンドリアはモビルスーツ隊を引き上げさせて退却を始めたので、母艦を守ると言う最低限の目標は達成しているのだが、狙撃後のクワトロは「なぜ外れた!? なぜ?」と振り返っていたように、あくまで狙撃としては失敗であろう。
④49話
ハマーン・カーン率いるアクシズのガザC部隊を半壊させるほどの多数機を撃墜する戦果を挙げる。
しかし、その後にハマーンの乗るキュベレイが放ったファンネルの射撃でランチャーは破壊され、以後のガンダム本編では登場しない。
小説版でのこの場面では連射を行っており、ミネバを殺さないようグワンバンの艦尾に第一射を当てて中破後退させる→第二射でガザC部隊直撃とTV版以上の戦果を挙げている。
ハマーンは地球侵攻用の新型MSと其れを搭載した輸送艦艇は温存していたものの、この時に失ったガザC部隊には熟練パイロットが多く搭乗しており、続く第一次ネオ・ジオン抗争においてアクシズ改めネオ・ジオンは予備戦力であった志願兵上がりの若手将校を主力部隊として用いる事になってしまった。
まとめ
以上、合計7発を撃ち、完全な外れは3発。全く当たらないというほどではないが、劇中でクワトロ本人が意図していた作戦目標を達成できたのは49話の一度きりであろう。
このメガバズーカランチャーの微妙な戦績が、かつて「赤い彗星のシャア」と恐れられた凄腕にしてはイマイチな、クワトロ・バジーナのパイロット評価の一因となっている。
スーパーロボット大戦シリーズなどの各種ゲーム作品でも、ランチャーには厳しめなマイナスの命中補正が設定されていることがしばしば。
メタ的な事情を考察すると、当たればオシマイな一撃必殺の高威力兵器で、シロッコやレコアのような連続ストーリーの最終盤まで関係する重要キャラクターを狙って本当にクリーンヒットさせると物語がそこで終わってしまうので、何らかの妨害が入るなどしてこういう結果になるのは作劇上やむを得ないのだろう。ゲームで例えるなら「ボス敵に即死技は効かない」というやつである。これはZZガンダムのハイメガキャノンなどにも同様のことが言える。
その後
続編となる『機動戦士ガンダムΖΖ』では、本装備を基に発展したメガライダーの登場により、第一次ネオ・ジオン抗争で使用されることはなかった。
しかし後の歴史においても少数ながら製造はされていたらしく、ラプラス事変末期では、連邦軍特殊部隊であるECOAS(エコーズ)によってネェル・アーガマの甲板に固定される形で使用されている。
この時、エネルギーはネェル・アーガマの主砲動力系統から供給されており、エコーズのコンロイ・ハーケンゼン少佐が搭乗するジェガンD型(エコーズ仕様機)がガンナーを担った。
エネルギー供給の心配がないからか複数回発射しており、確認できる範囲では袖付きのリゲルグに直撃弾を与えて撃墜する戦果を挙げているが、ローゼン・ズールに対して発射した際には回避されてしまい、拡散メガ粒子砲の直撃弾を食らって破壊されてしまった。
なお、コンロイ機は退避して生還しており、袖付きのMSと交戦している。
立体物
「ガンダムクロス」の百式に付属していたのが最初の商品化と思われる。
プラモデルでは、BB戦士Gジェネシリーズの【百式&メガバズーカランチャー】に同梱された。展開状態のみの再現となっている。
後にB-CLUBよりガレージキットとしてラインナップされたが、高額であるため購入がし難いものであった。
そして、HGUC【百式+メガバズーカランチャー】に同梱され劇中同様に巡航形態⇔砲撃形態の再現が可能。展示用スタンドも付属する。これをベースにREVIVE版百式やエコーズジェガン(コンロイ機)に対応した単品版も、それぞれプレミアムバンダイ限定の拡張パーツとして発売された。
MGでもプレミアムバンダイ限定の拡張パーツとして発売。アクションベース1を元にした展示用スタンドが付属する。MG百式Ver.2.0の他、その仕様変更品である百式改や量産型百式改にも対応している。
カプセルフィギュア「SDガンダムフルカラー」にラインナップ。同シリーズの百式と組み合わせる事ができる※現在、入手困難
食玩「GUNDAM CONVERGE SP04」にラインナップ。巡航形態限定の固定モデルとなっている。
余談
本装備の型式番号は現状では「FHA-02MI」という事になっているが一部では「FXA-02MI」という説が主張されるケースが有る。これは画稿に記されていた手書き文字の型式番号の「FXA」の「X」の部分が不鮮明な事で「H」の字に間違われた誤植であるという物。
関連タグ
ヨルムンガンド:メガバズーカランチャーとコンセプトの似ているジオン公国黎明期の決戦兵器。しかしヨルムンガンドはモビルスーツではなく生身の人間が運用することを想定していたため、砲兵共々完全な使い捨ての兵器である。
ビグウィグキャノン:同時期にティターンズで開発されていた類似兵器、ビームキャノンの推進器は別々となっている為、砲単体での自力航行はできない。バイザックTR-2[ビグウィグ]でテストが行われた。完成品がファイバーⅡユニットにビグウィグキャノンⅡを装備した状態で運用される。
メガ・ランチャー:ティターンズ版大型メガ粒子砲。こちらも砲単体で自力航行はできない。
ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー:のちのクワトロ最強のライバルが乗る機体が運用する強化発展型。
ガンダム・エアリアル(改修型):大型ビームライフルが似ている。