真・三國無双8
しんさんごくむそうえいと
コーエーテクモゲームスが展開している“真・三國無双シリーズ”のナンバリングタイトル第8作目で、前作『真・三國無双7』から約5年ぶりの2018年2月8日発売。
プラットフォームはプレイステーション4、steam。2020年4月からはdゲームのクラウドゲームとしても配信開始。
これまでのシリーズ同様に三国志をベースとした物語や痛快な一騎当千アクションに加え、本作ではシリーズ初の試みとしてオープンワールドを採用し、一枚の広大なマップとして構成された中国大陸を舞台に、これまで以上に自由度の高いアドベンチャー要素が取り込まれている。
オープンワールドという新しい試みをした本作品だが、システム変更が多く評価は分かれる。
バグ・不具合
7Empiresに引き続きバグが多い。7のようなフリーズは殆ど見受けられなくなったが、今回はかなり表記ミスが多い。特に戦況メッセージは味方に有利な状況は青、不利な状況は赤で表示されるのがめちゃくちゃになっている。また、ボイスメッセージについても同様で味方武将のセリフなのに赤、敵武将のセリフなのに青なんてこともよくある。
表記ミスはまだいいが、味方が戦闘に参加しようとしないなど、プレイに支障をきたす不具合もあり満足に出来る状況ではない(とはいえ徐々にアップデートで修正されてはいるが)。
ストーリーモードについて
『5』以来の個人伝だが、90人という莫大な人数にもかかわらず個人伝を採用(しかも何回も同じミッションをしなければならない)したことにより、プレイヤーが苦痛を感じてしまう結果になった。また、ただ単に勢力ストーリーをしているだけなのでフリーモードをしている感覚になる。
武将の分身は一部除いてないものの代理武将の割り当て方がかなりテキトー。例えば、ミッションの中に「鮑三娘の救出」というものがあるが、これを鮑三娘でプレイすると別の代理武将を救出するステージとなる。が、代理武将は全くボイスなしなので助ける立場の鮑三娘が「死んじゃうのかと思った」とまるで自分が救出されたような台詞を吐く。
また、後述でも説明するが、今回は勢力移籍が不可能なため、活動は1つの勢力に限られてしまう。なので、袁紹軍時代の張郃や曹操軍時代の関羽、蜀軍時代の夏侯覇、呉軍時代の諸葛誕などはプレイ出来ない。個人伝でありながら既存勢力に縛られるため個人伝の利点が活かされていない結果となった。
ただ90人一人ひとりのEDを見れることに関しては好意的な意見が多く、以前よりかは武将の出番の偏りがなくなった(まだあるにはあるが、6のようなストーリーに全く関わらないという人はいなくなった)。
また、IFが一切ないのが一部のプレイヤーからすれば不満点であった。今回はミッションを一つ一つこなしていくシステムで、赤壁の曹操軍や合肥の孫権軍などいくら敵を追い詰めても最終的には負けてしまうという展開がプレイヤーの苦労と一致していないのも不満の原因だと考えられる。史実ストーリーで進める前提ならそもそも敵を撃退するようなミッションはつけずに最初から逃亡戦などにした方がマシだったのかもしれない。
ストーリーの内容については、荊州南部を劉備軍に制圧されたのは、荀彧の「孫劉同盟を瓦解させる為の布石」で敢えて本気で守らなかったから、史実では漢中を取られた曹操が「関羽を倒すための囮」とするなど魏優遇が些か強かったり(これに関しては『8』に限らず近年のナンバリングの傾向)、相変わらず樊城の戦いで本来活躍するべき徐晃らを差し置いて夏侯惇が関羽にトドメをさしたり、瀕死状態の周瑜を絆をメインとしている呉の仲間が(止めるためとはいえ)全員で攻撃する展開や、不必要なまでに蜀への悪印象を描くことで同盟破棄の正当性を挙げたり、一部の例外を除いてモブの寝返り武将が、味方時とあまりにも人が違い過ぎたり、少々無理がある展開については不満の意見が多い。その反面曹操や韓当の死の演出など高評価な場面もある(後者はムービーだったらなお良いという意見も)。
魏のストーリーに関しては『6』で晋が登場してから樊城の戦い(=曹操没まで)という中途半端な年代でステージが終わってしまうことが多かったが、今作では久々にそれ以降の年代が描かれるようになった。特に劉備と呂布の共闘・敵対関係や、蜀視点での末期、曹丕皇帝時代はあまり描写されたことがないため、無双プレイヤーとしては新鮮味もある。
後に有料DLC配信された郭嘉伝・周瑜伝・徐庶伝・陳宮伝(第1弾)曹丕伝・魯粛伝・法正伝・鍾会伝(第2弾)IFストーリーは、「徐庶の劉備軍正式加入」や「逝去する武将の延命と、伴い、変わる戦の勝敗」は勿論のこと、勢力別では表現ができない「呂布滅亡後に、劉備軍の軍師に起用される陳宮」や「魏の政争や呉蜀との戦いの裏で、新たな勢力として暗躍する鍾会」など、個人視点故の展開を鮮明に描いた傑作になっている。一方で展開の都合上「自軍の無双武将の加入や他所の勢力への引き抜きが、経緯が全く語られないまま起きている」「(初対面より度々、仲睦まじさを描写している)劉備と孫尚香の婚姻も(少なくとも作中の主役視点では)起きない」「呉の悲願であるハズの打倒魏よりも、あくまで劉備・蜀勢力の排除に固執して、主役どころかこれまでの彼らしからぬ行いをする周瑜と、そんな彼を疑問も抱かずに支持する(本来ならば穏健派も含めた)呉の面々」など、問題点がないわけではない。
ムービー数
発売前にムービー数を開発側が自慢していたが、多いのは90人全てのEDがあるからでそれを差し引くとさほど多くない。基本的なイベントは立ち会話(戦国4などとやや似ている)で、これのモーションの幅がかなり狭いため、人形劇をみているかのような気分になる。大したことがない場面ならこれでもいいのだが、武将の死までこれを使うため流石にもう少しムービーは入れるべきだったかもしれない(死ぬ場面は全員座って伏せるモーションで固定されており、プレイヤーからは座死とややネタにもされた。特に武将の死を多く描いている呉はこの死に方が圧倒的に多かった)。
ただし、会話やエピソード自体は意外と過去作よりも豊富であり、三国志を知っている人ならニヤッとするような逸話もでてきたりする。だからこそ、立ち会話ではなくイベントムービーを増やして欲しかったという意見も多い。
エモート
上記の話の延長上でもあるが、今作では大多数が立ち話で話を進めていく。その際、会話の途中途中でそれに合ったモーションをみせるが、一部の武将がキャラに合わないモーションをする。さすがに全武将固有とはいかないので仕方ない面もあるが一番ひどいのが一部女性の意気揚々とするエモート。孫尚香や大喬といった可愛い系がするモーションはいいのだが、甄姫や貂蝉といった美人系の女性がするこのモーションが何故か口に手を添えて高笑いをするモーション(所謂「おーほっほっほ」)。物の見事に誰も似合わないモーションでかなりダサい。甄姫はまだキャラにあっている方ではあるが、その甄姫さえも実際喋るのと合わせると似合わない。
武将の交友関係
こちらは新要素ではなく、『6』から恒例にあるもの。今回は隠れ処という場所で絆を深めるのだが、プレイしていて違和感を感じるのが「通遇したのなら敵武将でも呼べて絆を高めあえる」という点。勢力の枠を超えて絆を深めるということ自体は『6』『7』でもあったのだが、この2作はクロニクルモード、将星モードといったストーリーに全く関与していないモードでのシステムだったのでプレイヤーも割り切ることが出来ていた。しかし、今回はそれをストーリーモードに持ってきたため敵関係だった者とも普通に喋ることができるようになっている。例をあげるなら「虎牢関で董卓軍と戦っている最中に隠れ処にいって董卓と仲良くなれる」と言った感じ。しかしながら今作はモードがストーリーとフリーしかないので致し方ないという意見も。
街について
今作ではオープンワールドの特性を生かして、戦闘中の場所以外なら自由に行き来することが可能。そこで平服姿の武将に出会えたり、街の人の会話を聞くことが出来る。平服姿の武将に会えるという面ではやはり、隠れ処と同じく敵とも会えるので違和感はあるもののいつもと違う姿の武将を見ることが出来る。街の人の会話については結構豆知識があり、いきなりいなくなる武将も街の人の会話で知ることが出来るため評価はいい。
平服について
今作から導入された武将の私服でいつもと違う姿を見ることが出来る…が、欠点として平服で移動できるのは隠れ処のみという部分が挙げられる。流石に「街くらいは平服で歩きたかった」という意見が多い。
アップデートにより、条件を満たせば平服をいつでも着用可能となった。穏やかな衣装で戦闘も出来るので新鮮である。
オープンワールドについて
本作の醍醐味ともいえるものではあるが、こちらも賛否両論。プレイしているのは創作物ではなくあくまで三国志なため、他のオープンワールド作品に比べると自由度はやや劣る。しかし、それでも一方通行だった『6』や『7』に比べるとプレイにおける自由度は増している。
ただし、今回はフィールド内でのミッションを一つひとつしていくやり方のため、この自由度がある意味緊迫感を損なわせる結果にもなってしまった。
オープンワールドにしたことによる明確な利点は三国志初心者でも何処で何が起こったか、というのが理解しやすい点か。今までの各々の場所を切り取ったステージ制では感じることの出来なかった、場所同士の距離感などが分かりやすい。また、ほとんど進入禁止の場所がないため、広大な中国大陸を自由に駆け回ることが出来る。
だだっ広いだけという意見もあるが、正直に言うと当時の中国は本当にこんな感じだったので仕方ない。
戦闘中にも色んなところへ行けるので「戦闘はオープンワールドと分けて欲しかった」という意見もある。
1つ問題を上げるとするならBGMがブツ切りになってしまうということ。今までは1ステージに1つのBGMを流し続けていた(戦況が変わると切り替わることもあった)が、今作では状況によってBGMが変わっていくため、今までのようにじっくり聴けなくなってしまった。今まで通り、特定の戦いには専用BGMがあるが、総大将に近づかないと流れないため、イメージも付きにくくなってしまっている。
BGMに関してはアップデートで改善され、特定の家具を買うことで音楽を変更出来るようになった。
水上戦
本作の戦闘における最大の問題点といっていい。今までにも水上戦は赤壁であったが、水の中に落ちるということはまずなかったので地上と何ら変わりなくプレイ出来ていた。が、オープンワールドを取り入れた今作は全てが繋がっているため当然どこでも泳げるのである。すなわち、舟で戦闘をすると敵味方問わず、落ちてしまうことが多い。そのため、今までのようにスムーズな戦闘が出来なくなってしまった。そして、何より目を疑うのが敵武将が落ちた時。落ちた瞬間舟に瞬間移動する。流石にこれに対しては否定的な意見が多い。
赤壁の戦いについて
三国志でも有名な戦の1つであるが、今作では過去作とかなり違う。まず、苦肉の策や連環の計、十万本の矢など一々準備をしなければならない。1、2回なら全然いいのだが、これを呉・蜀の武将で赤壁がストーリーに含まれている人は全員やらなければならない。
そして問題なのが、炎上した舟での戦闘がない。無双赤壁での醍醐味だったものが消えたのでガッカリしたプレイヤーも多い。ただし、上記で説明した通り水上戦が今作は微妙なので削って正解という見方もできなくは…ない。
しかも、戦闘の流れが
連合軍の兵卒が挑発する→曹操が「見え透いた挑発…」と言いながら何故か単騎で舟で突っ込んでくる→それをプレイヤーが撃破
というもはやギャグともいえる形になっており、『8』の赤壁はある意味伝説と一部界隈で言われているほど。
また、赤壁と言えば曹操軍が長江を埋め尽くすほどの大船団で攻めてくるイメージがあるが、せっかくオープンワールドで今までよりも大量の船を見せつける機会だったはずが、攻めてくるのはただの小さい船というのがかなり拍子抜けになっている(一応、アプデでそれなりに大きくはなったが、やはり大船団というには乏しい)。
モーションシステムの変更
今作は『5』を除いて恒例だったチャージシステムを廃止し、ステートコンボシステムを導入した。これに関しては完全にプレイヤーの好みである。チャージシステムが集団をまとめて薙ぎ倒すのが売りなのに対して、ステートコンボシステムは名前の通りコンボに重きを置いたシステム。
チャージ攻撃のように敵を一掃する攻撃は減少した代わりに、初心者でも簡単にコンボを決めれるようになっている。マンネリ打破という意味ではまぁまぁ成功したといっても良い。
リアル路線
武器
特に近年の作品では三国時代は勿論、現代科学でも再現不能なオーバーテクノロジーな武器が数多く登場していたが、今作では戦場の雰囲気に合うようにリアル路線を追求。トンデモ武器は排除された。それに従って武器数が減少し、武器を共有する武将が再び発生した。モーションの少なさでいうとシリーズでもトップクラスで今回は呂布以外はコンパチという結果になっている。これに関して「折角7で全員固有武器だったのに残念」「〇〇武将に全く似合わない」といった否定的な意見がある一方、「浮く剣やビリヤードは時代に合わなかったので良かった」といった意見も。ただし、消された武器の中には至って普通な武器も存在(旋棍や鉤爪など)し、リアル路線に従って武器を減少させたというのはモーション作成が難しいからではないかと考えられる。ただ、90人を超えるキャラクター全てのモーションを固有で作り直すのは開発費や労力を考えれば、流石に難しいのでコンパチ自体は致し方ないことかもしれない。
周泰に関しては立ち絵で鞘を持っているのに実際は刀だけなのでこれは明らかに詐欺といえる。
なお、歴代の一部の武器は後にDLCで配信されている。
宝玉
今回の武器にはそれぞれのトリガー攻撃とリアウト攻撃に属性が付けれるようになっているが問題点として属性の付け替えが面倒。1つの武器にしか付けられない仕様のため、1同じ属性を違う武器に付ける時は1回1回付け直さないといけない仕様になっており、なぜこんな仕様にしたのかという疑問があがった。また、敵を倒した際に獲得できたりするがその際一々大々的に画面に取った宝玉とその効果が映し出され、なおかつ□ボタンを押さないとそれを消せないというプレイに支障をきたす仕様がある。無双乱舞中だとこれで中断されてしまうため、もう少し工夫すべきだった点だろう(せめて自動的に消えるようにするとか)。アプデが続けられてこれの使用を変えて欲しいという要望も多かったが結局直されることは無かった。
ストーリーモード
本作では『5』以来の個人伝。1章から13章まである。今までの個人伝はステージ数が同数だったが、今回は武将によって異なる。そのため、早死した武将や後半に登場する武将はかなり短めなストーリー。逆に孫権など長寿な武将はかなり長い。
注意してもらいたいのが武将のストーリーモードと武将の登場する章の長さは異なるというところ。例えば、孫堅だと自身のストーリーモードは2章で終わるが、他の呉の武将を使った場合は3章まで登場する。
個人伝とは言うものの実際は勢力ストーリーをその時代に生きた武将でなぞるという方式なため、実質勢力伝を90人でやっているようなもの。更には勢力ストーリーをなぞってるだけなため、勢力が移行する人物は決められた勢力でしか個人伝がない(例として夏侯覇なら魏にいる時までのストーリーしかない)。例外としてその勢力に自分一人しか属していない武将(張角や袁紹、董卓など)とDLCで使用可能になるNPC武将は従来の個人伝のように自身のストーリーをそのままなぞっていく方式。
また、一部武将にはDLCでIFストーリーも追加。『7』が勢力別でのIFだったのに対してこちらは個人のIF。また、7IFでは無理矢理なハッピーエンドすぎる展開が多かったが、今回のIFは史実の流れを汲み取った上で違う物語を織り成していく(例として郭嘉のIFは7IFだと赤壁に完勝するものだったが、今回のDLCだと赤壁での被害をできるだけ小さくするという言わば敗戦処理から始まる)。
気炎ゲージ
無双ゲージの下にある緑色のゲージで回避や軽功、武器を持っていない時にダッシュをすると一定量消費していき、連続で使用して無くなるとそれらの動きが使えなくなる。尚、体力ゲージや無双ゲージと違って消費してもすぐに回復する。
リアウト攻撃
△ボタンで発動。臨機応変に繰り出されるアクション。
トリガー攻撃
コンボの起点となる攻撃で自身が繋げたいフロー攻撃に持ち込むことが可能。長押しすることで、より強力になり、ガードも弾くことが出来る。
R1+□→一定時間敵を気絶状態にする。
R1+△→敵を空中に打ち上げる。
R1+✕→敵をダウン状態にする。
特殊技
R1+〇で発動。武将固有の強力な攻撃。発動中には属性が付き無敵だが、一定時間のクールタイムがあるので連発は出来ない。得意武器で攻撃するという面では前作までのEX攻撃に近いが、こちらは別の武器を装備していても発動可能。
地上無双乱舞
『5』(厳密には『4』)までの移動式の長押し無双乱舞で、『5』や『戦国無双4』のように最後にフィニッシュ攻撃がつく。フィニッシュ攻撃は『6』以降の無双乱舞と同様なのが多いが、一部変更されている。NPCが使用した時はフィニッシュ攻撃のみ。
今作では『6』以降にあった支援獣というシステムがなくなったため、馬にしか乗れない。馬に関してはオープンワールドという広い大陸を移動するための手段ということで速度が過去作に比べて明らかに速くなっており、駄馬でもそれなりの速度で走行可能。武将と同じく気力ゲージがあるためダッシュも可能で、良い馬ほど気力ゲージが長く成長することによってさらに伸ばすことが出来る。
今までは自動で動いていたが、今作はリアル路線ということでちゃんと兵士たちが動かしている。よってどれも操縦不可能。
『真・三國無双7Empires』までに登場した計83名のキャラクターは続投し、全員新衣装で登場。全員が新衣装で登場するのは意外にも『5』以来である。また、場面に合わせ平服衣装も新たに追加される。
衣装は一部プロのイラストレーターが参加。男性陣は過去作で被っていた兜や帽子の復活があり、平服が追加されたためか軍師系の武将も以前より動きやすい格好となっている。女性陣の露出は前作までに比べると控えめではあるが、全体的に脚を露出する女性が増加している。
※太文字は新キャラ
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