プロフィール
人物
ザビ家の末弟。シャアとは士官学校時代からの仲であり、唯一の友人とも言える。
育ちが良かったこともあり、その性格は優しくお人好しでナイーブ。加えて作中でも言及される程の美男子であり、本国の国民や占領地域の住民からも人気が高かった。シャアはザビ家への復讐のためにガルマに近づいたのだが、「お坊ちゃん」「坊や」と精神的な甘さを指摘する一方、死の間際には「いい友人だった」とも発言するなど、本心は隠していたにしても友情を持っていた。実際、シャアと同い年でジオン・ズム・ダイクン暗殺時にはまだ子供だったガルマがその陰謀に関与しているはずもなく、シャアも状況と機会に乗じて、自分に信頼を寄せてくれたガルマを謀殺してしまった事は後々後味が悪かったらしく、彼を「坊や」と指摘した際も気落ちした様子だった(これ以降シャアが活動上の同志はともかく、友人と呼べる関係を作ることを避けていた節すらある)。
一年戦争ではジオン公国軍の地球方面軍司令官として北米に拠る。ユーリ少将指揮の欧州方面制圧軍、ギニアス技術少将指揮のアジア方面軍、ビッター大佐指揮のアフリカ方面軍を麾下とする、地球各地における司令官であるが、実質的に地球方面軍は姉・キシリア率いる突撃機動軍の麾下であり、彼はあくまで名目上の司令官でしかなかった。またその権限も実質的にジオン地上軍第2軍(北米方面軍)司令官程度の物に限定されている。司令官でありながら、ブラウンに塗装された専用戦闘機であるドップに搭乗し(降下作戦にはザクⅡFS型に搭乗したという説がある)、前線に出撃する事も多かった。また、占領地として赴いたニューヤーク(『THE ORIGIN』ではロサンゼルス)の前市長エッシェンバッハの娘、イセリナ・エッシェンバッハとは結婚を誓い合う仲だった。ジオン嫌いの前市長から結婚を認めてもらうためホワイトベース迎撃後はジオンを捨てる覚悟も持っていた。
まだ肝が据わりきっていない未熟者ではあるが、司令官としては非常に有能な人物。イセリナというつながりがあったとはいえ、コロニー落としなどによりジオンへの評価は最低値にもかかわらず現地の住民とも上手く付き合って協力を引き出している。漫画「オレら連邦愚連隊」などでも描写されているようにその人柄と行動から部下たちからも信頼を勝ち取っているのが窺える。本人も生前ビデオレターに残しているように、血縁によって高い地位を得た事に甘んじず努力している。とはいえ、替えの効かない一軍の司令が前線に出て戦うというのも軽率な問題行動である(兄ドズルも前線に赴いたことはあるがあくまでポーズとしてである)。また、イセリナとの結婚を認めてもらおうと功を焦る一面も見せ、シャアからも指摘されている。惜しむべきは育ちの良さ故によるお人好し振りや優しさと、詰めの甘さがあったことであろうか。
シャアに「ジオン十字勲章」ものの獲物だとそそのかされ、幾度となくホワイトベースへ攻撃を仕掛けるものの、ホワイトベース隊に連敗する。第10話で「親友」シャアの口車に乗り、ガンダムをガウで追跡するよう誘導され、待ち伏せしていたホワイトベース及びガンキャノン、ガンタンクに総攻撃を受ける。その際、シャアから裏切りを告げられ、愕然としながら初めて「親友」の正体と本性に気づく。嘲笑するシャアの声が響く中、ガウ攻撃空母の舵を自ら取り180度回頭させてホワイトベースを道連れにすべく体当たり攻撃をかけるも間一髪でかわされ、爆発四散するガウの中で戦死する。脳裏にイセリナを思い浮かべつつ「ジオン公国に栄光あれ!!」と叫びながら最期を迎えた。
彼の死後、溺愛していたデギン公王はその死を伝えられると衝撃のあまり杖を落としたと言われている。本国で行われた国葬は、兄・ギレンによって戦意高揚のためのプロバガンダとして利用された。
なおシャアがガルマを間接的に謀殺したという事実は表には出ていないが、シャアはガルマを守りきれなかった責任をドズルに問われ、左遷(予備役編入)されている。また、TV版第11話ではイセリナが、ガルマの部下と共に敵討ちに向かう。その後、仇討ち部隊としてランバ・ラル隊が地球に降下し、ホワイトベース追撃の任務に当たることになる。
放送当時は女性ファンからシャアと並ぶ人気があり、彼が死んだ第10話放送後、サンライズに「カミソリ入りの手紙」が送り付けられた。またファンが教会にて葬儀を行ったという逸話が残っている。
ゲーム『ギレンの野望 ジオンの系譜』ではifシナリオの一つとして、彼が戦死せず兄のドズルやランバ・ラルらを部下に従えイセリナに見守られながら「新生ジオン」の総司令官として立つ「ガルマの栄光~新生ジオン編~」が登場する。ここでの彼はジオン公国の罪を自覚し、その贖罪のために軍を率いるという設定で髪を束ねている。これは「臣民を一つに束ねる」という決意の表れでもある。
また、ゲームによっては彼の死によってデギン公王の和平交渉が行われることがあり、戦死を避けるifイベントを起こすことでデギン公王の和平交渉を避けることが出来る。この意味は大きく、和平交渉イベントが発生した場合、公王の謀殺か、和平交渉を黙認するかのどちらかを迫られる。公王の謀殺はギレン謀殺フラグを立てる事になり、謀殺を避けても和平交渉成立により軍全体の士気が大幅に減少など、軍の弱体化を引き起こす選択を迫られることになり、不毛な選択を強いられるからである。
搭乗機はドップ(専用機)、ザクⅡFS型(専用機)。カラーリングはブラウンとグリーンのツートンに色分けがなされている(ドップのみブラウン単色)。ザクに関してはザク系統には珍しく頭部バルカンが装備されている。
実写ゲーム作品『GUNDAM0079TheWarForEARTH』でも原作通りにシャアに嵌められるが攻撃を受けた直後の通信でシャアが自らの正体を暴露し、父の罪をザビ家全員であがなえと言われると言う原作にはないシーンがある。
またMSV-Rのグフ複合試験型は元々「ガルマ専用グフ」としてデザインされたMSだった。
因みにガルマ役の森功至は、『機動戦士ガンダムUC』のOVAにおいて、地球に降りたミネバ・ラオ・ザビがひとり立ち寄ったダイナーを営む老主人を演じている。叔父と姪の30年越しの会話ともとれるシーンは、その内容と相俟って非常に味わい深い。
ガルマの影響
- 機動戦士ガンダムオレら連邦愚連隊ではガルマを名乗る男が不利になった北米キャリフォルニアベースを扇動する事件が発生する。
- 機動戦士クロスボーン・ガンダム猿の衛星では『E計画』と言う計画を立案したジオンの高官に彼の名があげられている(公式ではないが…)。
- 機動戦士クロスボーン・ガンダムDUSTではズム・シティの独裁者としてガルマ・ザビⅢ世を名乗る老人が登場。ギレンでもダイクンでもなくガルマの名を利用したところにガルマの人気がうかがえる。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』におけるガルマ
1stガンダムと比べると幾分か優しい顔立ちになっている。
前日譚にあたる『シャア・セイラ編』では一年戦争開戦前の動向も掘り下げられており、シャア(当時の名は本来の名前であるキャスバル・レム・ダイクン)とは幼い頃にジオン・ズム・ダイクンの葬儀で初めて顔を合わせている。
その後彼とは暫く接点は無く、直後にサスロ、ドズルの乗る車を襲った爆破テロを目の当たりにしパニックに陥ったりといったこともあったが、デギン公王が老いてから設けた子供ということもあり特に可愛がられて育てられ、ザビ家の中では一番心優しい人間に育った。
次にシャアと顔を合わせたのはジオン共和国国防士官学校入学後で、葬儀で会っていたことをすっかり忘れていたガルマは成績1位の彼に対抗心を抱いていた(ガルマは2位)。
しかし、土砂降りの雨の中で行われた行軍訓練中にシャアを出し抜くために悪路を無理に進もうとした結果怪我をしてしまった際に、本来ならば復讐の対象ではあるのだが、あんまりな不憫さと境遇に憐憫の感情を持ったシャアにつきっきりで看護され、翌朝に二人で走破し生還した一件から彼に全幅の信頼を寄せるようになった。
その後連邦の駐留軍の横柄な振る舞いに怒りを溜め込んでいた士官候補の学生たちを見たシャアはガルマを唆して後に「暁の蜂起」と呼ばれることになる軍事クーデターを引き起こし、これがサイド3の独立機運を高め一年戦争が勃発する下地となっていった。
最期は原作アニメ版同様にシャアに謀られた挙句にガウで特攻して殉死となるのだが、シャアはガルマの立場や境遇などを理解している事で、復讐に走ったシャアが放った原作アニメにもある「君とは良い友人だったが…」のセリフは紛れもなく本物の感情であるとされている。
まさに彼の生まれの不幸は、「ザビ家に生まれた」事、そして感情を押し殺してでも非情に走る『鬼子』に出会ってしまった事と言えるだろう…
なお、本作でガルマを演じた柿原氏は過去に『機動戦士ガンダムUC』でアンジェロ・ザウパーを演じており、池田秀一氏の演じる「赤い彗星」と関わりの深いキャラを2役も演じることになっている。
スパロボシリーズにおけるガルマ
原作通りに死んでしまうことが殆どだが、『OE』ではシャアが復讐に走らなかったため、最後まで生き延びている。
小説『機動戦士ガンダム』におけるガルマ
TV版やORIGINとは異なり、キャリフォルニア・ベースという名前の宇宙要塞の司令官として登場、ガウも宇宙空母となっている。
ペガサスを仕留めるべくシャアのムサイと挟撃をするがガンダム達の猛攻を前に傘下のガウを撃沈され、それに逆上して肉薄するも撃沈される。
この戦いではシャアはガルマを嵌めようとはせず純粋に彼を手助けしようと奮戦しており、特攻しようとするガルマに「ガルマ、よせ!」と絶叫しながら制止しようとしていた(一応爆沈寸前では「あいつだってザビ家の一員だ……むしろ木馬が仇討ちをしてくれるのを、目撃できるだけでも僥倖だ……!」という考えも過ぎってはいたが、それでもTV版やORIGINよりは悪意は断然薄い)。
二次創作におけるガルマ
ギレンの野望などの影響で暗殺されなかったガルマが登場する。
兄ドズル以上の軍才や原作で見せた政治家としての能力を発揮して、兄たちに引けを取らない才能を見せてくれることが多い。
とある有志によって描かれたガルマ三部作という作品は、特に必見なのでオススメ
関連タグ
デザート・ロンメル:小説版ZZにてガルマ麾下だったことを述べている。
ダイナーの老主人 アンジェロ・ザウパー……前者は森氏、後者は柿原氏が演じたキャラである。
ガエリオ・ボードウィン……『ガンダム』シリーズに於いて、頭髪が紫色、ならびに友人と思っていた仮面の男に、野望の捨て石とされたキャラクター繋がり。ただし後に生存していることが判明し、皮肉にも彼も仮面キャラとしてその切り捨てたキャラへのリベンジを果たすなどガルマとは結末が大きく異なる。但し、その展開の不自然さなどから作品を破綻させた戦犯として挙げられるようになるなど、むしろ死んでいた方がマシだったといわれることも。
ガルマ...表記揺れ