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猪八戒の編集履歴

2020-09-16 09:12:39 バージョン

猪八戒

ちょはっかい

『西遊記』に登場する豚の妖怪。または、それを元ネタにしたキャラクター。
  1. 西遊記』に登場するの妖怪。本稿で解説。
  2. 最遊記』に登場する妖怪。→猪八戒(最遊記)
  3. ギャグマンガ日和』に登場した、西域に向かう途中で他の仲間達の食料になった豚。
  4. ゴゴゴ西遊記』の登場人物。→猪八戒(ゴゴゴ西遊記)

概要

元は天界水軍を率いる高位の神将天蓬元帥(てんぽうげんすい)。

ある時、天界で行われた大規模な酒宴の席にて泥酔し月の宮で嫦娥(月の女神様)に襲い掛かると言う失態を仕出かし、天帝の怒りを買って下界に追放されてしまった。その折、誤って(※1)(中国語では「猪」という漢字を「ブタ」の意味で使う)の胎内に宿ってしまった為に半人半豚の妖怪として転生してしまい、自暴自棄になって母豚を始め、多数の人畜を殺して貪り食い続けた。

然し、観世音菩薩に拠って教化され、後に三蔵法師の弟子となって取経の旅をサポートした。


三蔵法師の弟子になる前は大金持ちの高老荘にて入り婿になり、家業に精を出していた経験がある。また人食い妖怪として暴れていた頃にも財産家の女妖怪と夫婦の契りを交わしており(八戒によればすでに死亡している)、三蔵一行では唯一の結婚経験者。ちなみにこの辺のエピソードは漫画『最遊記』でもネタにされており、原作とは180°異なるキャラとして描かれる八戒の数少ない原作に準ずるポイントである。

出家してからも女色と食欲には勝てず、時にはそれが原因でトラブルを招いても居るが、一方で兄弟子の孫悟空と共に、行く手に立ち塞がる百鬼妖魔を退治するのに大いにを顕した。


取経が成った暁、釈迦如来も八戒の食い気には特別な配慮を施し、仏事の供え物を清める仏である「浄壇使者」の称号を彼に与えている。


備考

外見について

  • 一般に膾炙している「ブタ=ピンク色」のイメージに従った風貌で表されることが多い彼であるが、原典の記述を総合すると「短い毛の生えた黒い顔、金色に光る瞳、目が隠れるほどに大きい蒲扇の様な耳、地面をほじくり返せる長い口、尖った白い牙、ごわごわの黒く太いたてがみ、分厚く黒っぽい色の皮膚」となり、イノシシじみた黒豚の顔であることが伺える。
  • 高老荘に婿入りするために変身したときも色黒の男性になってあり、稀柿衕を清めた時の姿もやはりゾウのように巨大な黒ブタであった。

「八戒」の意味

  • 「猪八戒」は俗名・渾名のようなもので、本来の法名は猪悟能(ちょごのう)と言う。悟空・悟浄とお揃いで「悟」すなわち「さとり」を意味する字が入っているため、観音菩薩や三蔵法師が好んで呼ぶことがある。
  • 高老荘への婿入りの際は「悟能」の名は使っておらず、代わりに「剛鬣(ごうりょう)」と名乗っていた。この剛鬣、「太くて硬いたてがみ」から転じて豚を表す言葉である。正体を隠す気があるか怪しい。
  • 「八戒」の名は三蔵法師がつけたもので、彼が三蔵法師に弟子入りする直前まで仏教で忌み嫌われた八つの生臭物(五葷三厭・・・ごくんさんけん。“五葷”は強い香りと辛味のあるニンニクニラネギラッキョウ野蒜の五つの野菜、“三厭”は 天上の、地上の、水中のを示し、即ち獣肉・鳥肉・魚肉の事)を口にせず戒律を守った事を褒め称えての命名である。

神格としての猪八戒

  • 元々が天蓬元帥と言う神将だったのは有名だが、古い文献では摩利支天に仕える将兵だったという説もある。また、チベット仏教や密教で崇められる歓喜天との類似性、黒豚で現されることから「黒面神」(張飛趙公明周倉など)との関連性など、中国の民俗信仰に根差したキャラとしても有名。
  • 華語文化圏では祀るところも存在し、マカオでは悟空を始めとした仲間達と仲良くお堂に鎮座する。台湾では豬哥神と言う名称で単独で祀られ、悟空や関羽、孔子にも匹敵する人気を誇る神様である。

武器について

  • 猪八戒の武器のような打撃武器の一種『(ハ)』いうもの。日本では九歯のまぐわ、熊手と訳されることもある(実際、沙悟浄を始め何人かの妖魔から得物を畑道具扱いされるシーンがある。本人も高老荘の畑仕事をこれで行っており、鍬や熊手の用途としては間違いでは無い)。
  • 彼の持つ「上宝沁金の鈀」(上宝:優れた宝、沁金:金メッキの意)は、彼の太上老君自らが"神氷鉄"と呼ばれる金属から鍛えた逸品で、八戒が天蓬元帥に昇進した際に天帝から下賜された珍宝。武器の来歴からすれば、悟空の如意棒(同じく太上老君作で、中国の治水神話の英雄が用いた神器)と同等のものと言える。また、天竺に属する玉華州に巣食う妖怪・黄獅が鈀を奪って家宝にしたエピソードもあり、その宝器ぶりは作中でも幾度か称えられている。
  • 劇中ではもっぱら打撃武器として使われるが、その真の性能は『振り上げれば火炎、打ち下ろせば竜巻吹雪を起こす』という宝貝顔負けの超兵器だったりする。
  • その他、「振り上げれば黒雲、振り回せば黒煙、薙ぎ払えば霞(朝焼けと夕焼け)の光」とも。

ただ、こんな超兵器も悟空の石頭には勝てなかった。老子ェ……。

  • 本人も下賜されてから手放したことはないと述べるほど頼りにしている兵器であるものの、『西遊記』中では幾度か放りだしていたり、また小便をかけた泥をこね回すのに使ったことがある。後世の二次創作『後西遊記』では人に貸したままほったらかしにしており、扱いが不憫……


性格

  • 偵察中にサボってお昼寝をするなどコミカルな立ち位置にあるためか、「おバカ」「天然」「怠け者でドジ」とされていじられがちだが、意外に知勇兼備な一面もある。元が軍人なので、薬や兵法にも詳しい。
  • 文献にもよるが、悟空が気絶した時に気合いを入れて蘇生させたり、婿入りの時に詩経の一句を諳んじるなど知識も豊富。また、嘘も方便とばかりに魔王にハッタリをかまして相手をまんまと騙したり、出て行った悟空をワザと怒らせてメンバーに戻した事もある。
  • 善き家庭人と言う面もあり、パーティ解散を唱えては帰ろうとする。三蔵に悟空がこき使われるのに同情した部分もあるが、奥さんに会いたいからと言う切実な面もある。後世の人によって書かれた「後西遊記」では猪一戒と言う子供がいると言う話が出てくる。
  • 二次創作である中島敦小説悟浄歎異」では、沙悟浄から「この男ほど世界を愛している者はいない」と称され、「楽しむにも才能の要るものだなと俺は気がつき、爾来、この豚を軽蔑することを止めた」とある。
  • 底本にもよるが釈迦如来から接待を受けて以降、貪欲なまでの食欲から解放されているため、「お供え物食べ放題」の特典がある原作のエンディングでの八戒は救われているのかと言う解釈も存在する。そのため、戯曲やドラマ、絵本などでは悟るシーンが削除(つまり食欲を保ち続けている)されたり、如来の有り難い御言葉に大喜びするハッピーエンドに改変された作品も多い。

能力

  • 鈍臭いキャラを誇張化されている(原文でも間抜け扱い)が、天罡星に因んだ三十六の変化(孫悟空が七十二の変化をするので、悟空の半分に該当する術者となる)を身に付けている。先述された鈀の腕前も相当なもので、玉華州の領主である老王子とその子供達に見込まれて次男に武芸を指南した。
  • また、その見た目通り力仕事の腕前は随一と言える実力者であり、彼の勤勉さに惚れた舅と嫁に頼まれて結婚したと言う説もある。茨の道を切り開いたり、腐ったで埋まった道を大猪に変身(※2)して元に戻すなどパワーを誇示する逸話は多い。
  • その腕っぷしは戦闘でもいかんなく発揮され、雑魚は難なく蹴散らし、魔王を一撃で仕留めるなど、戦功は悟空に次ぐ。水中での戦いは(いかにも水に強そうな沙悟浄を凌ぐ)作中最強クラスで、水除けの術や魚に化けないと自在に動けない悟空からも頼られる。ただし、蜘蛛が化身した魔女共を懲らしめんと意気込んだは良いが、女好きな癖が出て無理やり混浴しようとしたため、反撃されたことも。
  • 底本により、年頃の娘を持つ未亡人に求婚された際に「鏖戦之法」なるものを心得ていると述べるシーンがある。「長持ちの法」「持久戦の秘法」と訳されており……意味は推察願いたい。

(※1)江戸期の日本では「猪」をそのままイノシシに解釈していたが、弓館小鰐氏や南方熊楠氏は原作通り、豚として紹介した。

(※2)豚をトイレで飼って排泄物を始末させたり、生ごみを始末させたりする風習は中国に古くから存在したため、八戒は汚い描写が多いといわれる。


猪八戒をモデル・由来とした主なキャラクター


パロディにおける演者


関連タグ

西遊記

妖怪

八戒


愛すべき馬鹿 愛妻家 大食い ドスケベ

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