カバ
かば
🦛概要
哺乳綱偶蹄目/鯨偶蹄目カバ科に属する哺乳類。漢字表記は「河馬」。
陸上に住む哺乳類では象や犀に次いで大きくなる動物で、体長3.5~4m、肩高1.4~1.5m、体重1.5~2トンに達する。
アフリカのサハラ砂漠以南の川や湖の近くに棲む。かつてはエジプトやマダガスカル、ヨーロッパ、中東、インドにもいた。マダガスカルの2~3の固有種は、他の大型生物達同様、人間の影響で数世紀前に絶滅させられたと思われる。
体毛は少なく、口と牙が大きい。水中生活に適応し、普段は水の中で暮らしているが、実はカバは泳げない為、水中を歩く事に高度に適応している。皮膚が乾燥や紫外線に弱く、絶えず湿らせていないとひび割れなどを起こすので、場合によっては血のような赤い汗をかく事で乾燥を防ぐ事もある。ガボンなど、一部の地域では定期的に海水に浸かる。
水中でうんこをまき散らして縄張りを主張する(犬のマーキングなどと同じ)特徴がある。更に、そのうんこを餌にする為にティラピアがカバの周囲に多数集まる事から、そのティラピアを重要な食糧源とするウガンダ等のナイル川諸国はカバを厳重に保護している。
イノシシと共に鯨偶蹄類の内「猪豚亜目」(ちょとんあもく)に分類され、またDNA分析による結果からクジラにもっとも類縁が近いと考えられている。確かにどちらも水中生活に適応しているとはいえ、かなりの驚きである。
近縁種に、リベリアなどの密林に棲息するコビトカバがある。
実際は・・・
草食獣というイメージが強いカバだが、近縁種のイノシシと同じく実は雑食。また、おとなしそうな外見だが、「動物園で飼育されているカバ」と「野生のカバ」とでは性質が全く違うに等しい事は知っておくべきである。
動物園で飼育されているカバは、人間に馴れていれば襲われる事も無い為、無闇に危害を加えるような真似はしないが、アフリカ等に生息する野生のカバは縄張り意識が大変強く、怒らせると非常に凶暴で、陸上においてもかなり機敏に動ける。怒ると時速40㎞に達する。つまり人類がカバより速く走ることは不可能である。
雄も凶暴だが、雌は時によって雄以上に気性が荒い面を見せる事もあり、出産前や幼い子供のカバと一緒にいる時、それが最も顕著になる。故に、子供のカバを見つけたら、近くに親のカバがいるはずなので、間違っても近付いてはならない。
アフリカで人間が動物に襲われる被害に関しては、実はカバが最も多く、観光客や住民を死亡させる事件も度々起こしている。カバに襲われて死亡した犠牲者の数は、なんと1年につき3000人近くものぼる。
何せあの馬鹿でかい顎は1tもの力を持つとされ、スイカくらいなら一瞬で粉々にできる(咀嚼力は流石にハイエナの方に軍配が上がる)。
おまけに皮膚が厚く、並の刃物では内臓までダメージが入らない防御性能を誇る。なので一度怒らせたが最後、詰みである。
普段は(主に夜間)陸上に上がってイネ科の草を摂食するが、時に小型の動物を襲ったり、ハイエナの様に屍肉を食べたりもすれば、ワニから獲物を奪う事もある。
また、シマウマを襲って捕食する、同族の子供を殺す、更には縄張り争いに負けたボスも子供を殺す「子殺し」まで行うと、非常に残忍な一面を持ち合わせている。
野生の世界とは恐ろしいものである…。
一方で、口を開けた時、牙の上に小鳥が止まっていた際には、小鳥が飛び去っていくまで口を開けたままにしたり、ワニが他の動物を襲っているのを妨害する等、凶暴なだけでは無い面も見せる事もある。
YouTubeで検索するとライオンに捕食されるカバの事例をかなりの数見る事が出来る。
カバは背が低いのでライオンが背中に乗って攻撃し易いのも原因か。
名前に関する余談
カバは漢字で書くと河馬。英語だとhippopotamusであるが、このhippopotamusはギリシャ語で河の馬を意味する単語である。
またhippopotamusの略称hippoはギリシャでは先程述べた通り、馬を意味する。
ちなみに魚の下半身を持つ馬ヒッポカンプス、馬の下半身を持つヒッポグリフの『ヒッポ』も上記の馬を意味する『hippo』の事だったりする。
それにしても何故巨体のカバが馬に見えたのだろうか…。昔の人間はサイをユニコーン、リュウグウノツカイやジュゴンを人魚と間違えた程だし仕方ない気はするが。
改めて説明することではないかもしれないが、日本語でのカバは反対から読むとバカとなり、馬鹿と同音なために不名誉ではあるがネタとされることも多い。
文化的な余談
エジプト神話には二足歩行のカバの姿をしたタウエレトという女神が登場する。アヌビスと共に死者を裁く幻獣アメミットも、下半身の部分がカバとなっている。
また、旧約聖書に名高いベヒモスも一説ではカバが正体なのでは無いかと言われている。
欧米ではアルコールやドラッグでトリップした時の様子を「ピンクの象が見える(Seeing pink elephants)」と表現するが、「ピンクのカバ」としても喩えられる場合がある。日本のフィクションでは『ガイキングLOD』のリミテーションシンドロームの幻覚症状などに登場している。
なお2010年には、実際にピンク色のカバがケニアで発見されている。
カバをモチーフにしたキャラクター
特撮
ゲーム
2次元
- カバトット☆
- カバオ(アンパンマン)☆
- ハンナ・ヒポ(パブー&モジーズ)☆
- 大くしゃみのカバザウルス・EMディスカバー・ヒッポ(遊戯王)
- じゃまばかりするカバ(gdgd妖精s)
その他のその他
キャラクターのモチーフとしての扱い
パッと見の雰囲気のせいかトロイ感じの設定の者が多く、口を大きく開けるという特性から大食いという属性を付加されたり、噛みつきよりも体の重量で攻撃してくるという例も。
あと何故かちょくちょくカバじゃないのにカバ扱いされるネタが多い。そんな背景がある為か、海外の絵本を翻訳した結果、滑稽さを増す為に関西弁になってしまった『ぼちぼちいこか』という事例も。
いかにも肉付きの付いたどっしりとした外見の為、擬人化されるとぽっちゃりにされたり、太った外見の人をカバに例えたりする表現が多い一方、肉付きの良さをグラマラスと解釈したパターン(けものフレンズなど)もある。
意外な事にTFでもゾイドでも公式で採用された試しがなく、リアル系はというとアニアとシュライヒくらいで、ソフビが無い。 番犬ガオガオ系のテーブルゲームでも、ワニにニッチを奪われている。戦隊にはカバをモチーフとした怪人が存在するのに対し、実はライダーシリーズで一度も怪人のモチーフになった事が無い。 かと言って、ヒーローのモチーフになる事も滅多としてない。(東映特撮で2回実現したのみ。)有名な知名度な割に中々不思議な扱いをされる動物である。