キラフロル
きらふろる
「キラリ……」
「フロシチウ!!」
基礎データ
概要
初登場は『ポケモンSV』。
種子を思わせる進化前のキラーメから、三重の花びらじみた毒エネルギーの結晶体を身にまとう、一輪の花のような姿になった。
特に、洞窟の壁に顔を突き刺して養分を取り込んでいる状態だと、本当に花が咲いているように見える。
逆に移動時は結晶体を閉じている為、大きな蕾だけが浮かぶシュールな絵面だが、危険を感じると花を開き、透明な円錐形のカバーに囲まれた顔からビームを放射して攻撃する。
この為、図鑑や手持ちの画面では常に閉じているが、戦闘中ではずっと開いている。
花を閉じた状態にも攻撃モーションが一応存在するが、閉じた状態で戦闘になることがないので、実際に見ることは出来ない。
また最近の研究でキラフロルの体組織は、テラスタルの際にポケモンが被るエネルギーの結晶体「テラスタルジュエル」と近いものであると判明している。
キラーメ共々発見例の少ない珍しいポケモンらしく、エリアゼロでネモが遭遇した際は驚いていた上、そちらには数多く生息する光景が見られた。
上記の体質から考えても、恐らく発祥は大穴の方で、一部が外界にも流れ定着したという事なのだろう。
モチーフはおそらく硫酸塩鉱物の一種「胆礬(たんばん)」。美しい青い鉱物なのだが、モース硬度2.5とかなり脆く、水にも溶けやすい。さらに有毒であるため、取り扱いには注意が必要である。
カルカンサイトとも呼び、語源が「青銅の花」であるため、花のような姿をしているのはこれが由来だろう。
名前の由来はおそらく「キラキラ」or「キラー(killer)」+スペイン語で花を意味する「フロル(flor)」だと思われる。
ゲームでの性能
HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
83 | 55 | 90 | 130 | 81 | 86 | 525 |
第7世代のウツロイド以来となる、いわ・どくの複合タイプを持つ。
耐性も悪くはなく弱点4に対して耐性6と耐性もいい方だが、じめんタイプ4倍には注意が必要(宙に浮いているのに何故かじめん技が通るのはポケモンあるある。逆も然り)。
特殊形態を除けばいわタイプ最高の特攻130を備え、あまり素早く動けそうにない見た目に反して、86とそれなりの素早さを持つ。
一致技として「パワージェム」「ヘドロウェーブ」を覚えるので一致火力は問題なし。サブウェポンも「エナジーボール」、「だいちのちから」、「ラスターカノン」、「マジカルシャイン」といった感じで、それほど範囲は広くないが十分。
使わない攻撃をガッツリ削った上で合計値も高く、全体的に無駄が無いわかりやすい特殊アタッカー配分となっている。良くも悪くも尖りがちないわタイプのポケモンとしては珍しく耐久面で大きな偏りも無く無難な形でまとまっている。
物理耐久は十分高い部類にある。H252B4振りの場合であっても、A特化「こだわりハチマキ」ドラパルトの「ドラゴンアロー」ぐらいなら確定2発で耐える。HB特化すれば同じ型のドラパルトがテラスタイプドラゴン状態になっても最高乱数で9割も入らない。同じくHB特化なら火力アイテムなしの特化マリルリの「アクアブレイク」が最高乱数で8割台半ば程度。
素早さも「こだわりスカーフ」を巻けば最速ドラパルトを抜ける水準で、尚且つ火力もテラスタルすれば耐久無振りかそれに近いドラパルトを「マジカルシャイン」で確定1発に仕留めることができる。そのため、対高速アタッカー兵器として育てる手もある。
しかしキラフロルの真骨頂は盤面の作成力にある。
専用特性「どくげしょう」は、物理攻撃を受けるとどくびしを撒くという特徴的なもの。
効かない相手も少なくないが、不意の攻撃を牽制しやすくなる。どくびしの効果の都合発動自体は2度まで。倒されても倒れる前にばらまく。
専用技「キラースピン」は拘束技などを抜けつつ相手を毒にする全体攻撃。物理技なので素の威力は期待できないが効果は優秀。
さらに両壁・「ステルスロック」を習得可能で、いわタイプらしく「がんせきふうじ」もできるため場作りは非常に得意。
困った時の「だいばくはつ」と「おきみやげ」も覚える為、自主退場もお手の物。
とにかく先発適性が高く、とりあえず出してトラップ系の技を仕掛けておくだけで仕事が完了する。相手からすれば殴っても勝手にどくびし等が散らかり、起点にしようとしても自主的に退場されてしまう。
そして無視できるほど火力が低いわけでもない。元の特攻が非常に高いので無振りでも火力は確保できる為、耐久の調整はしやすい方で長く仕事をさせやすい(単純に「きあいのタスキ」で行動保証を付けるのもありだが)。
基本先発なので設置技を恐れる必要も薄い上にこっちは逆に特性込みで設置技をばら撒いていくという厄介な事になる。
総括すると攻撃も出来るサポーターと、創意工夫のある面白いポケモンである。
そのため、隠れ特性の「ふしょく」を採用した耐久型を作ることもできる。勿論どくタイプなので「くろいヘドロ」にも対応しているし、「どくどく」も使える。さらに「まもる」の上位互換である「ニードルガード」まで覚えることから、じめん技に気を付ければなかなか厄介な動きが可能。防御の高いミミズズと組ませ、「どしょく」で後ろを固めて受け回すという手もある。
「ロックカット」も覚えられるため、積みアタッカーとして運用するのもあり。
テラスタルは、4倍弱点であるじめんタイプが無効化できるひこうタイプ、次点でじめんタイプとみずタイプを半減できるためくさタイプがおすすめ。
とはいえ、シンプルなアタッカーとして使うつもりか、役割を果たしたら落ちる前提なら、どくタイプやいわタイプで火力増強を狙うのも十分候補に挙がる。
準伝説、パラドックスポケモンを除いたパルデア図鑑掲載ポケモンのみで行われるシリーズ1ルール開始早々、独特の需要を得ている。この初期環境は物理寄りの環境なので「どくげしょう」の発動機会には困らない。安易な高速ポケモンでの「とんぼがえり」を「どくげしょう」で牽制し、控えの耐久型などに繋げることが可能。
しかしシーズン1開始から間もなく「どくげしょう」が警戒されて物理で殴られることがあまり無くなったため、対特殊専門の「とつげきチョッキ」型がちらほら見られるように。
かえって型を読みにくい、もたもたしてたら殴られる、という意味では依然として厄介な実力者であった。
因みに「おきみやげ」型も散見されたが、「おきみやげ」型の場合はずぶといHBベースでないとアドバンテージが取りづらく、かといってそのような性格・努力値振りにすると「おきみやげ」が簡単に読まれてしまうため、そうした型はすぐに廃れた。
シリーズ2ではパラドックスポケモンが解禁され、その内目ぼしいところではチヲハウハネとテツノドクガに対して打点があるのが強み。
シリーズ3では四災も追加されたが、パオジアンとイーユイに十分打点を持てる上に「きあいのタスキ」で行動保証があることから、立場を保っている。シーズン5には一部上位層プレイヤーが「きあいのタスキ」CSフルアタ型を使っていた。
シングルバトルどころかダブルバトルでも強力で、「どくげしょう」によるどくびし設置に加え、「キラースピン」が相手2体をどく状態にするという凶悪な効果を持つため、ヘイラッシャ+シャリタツのコンビ(所謂「寿司構築」)や、特性により普通に殴っての突破が困難なチオンジェンやディンルーのような耐久特化ポケモンでさえ、確実な削りを入れることができる。
「ニードルガード」があればイルカマンのような高火力物理ポケモンに迂闊な攻撃を許さない。
同じ設置技使いとしては「どくびし」で味方の「たたりめ」をサポートできるマスカーニャも使われるが、モロバレルやキラフロルが環境に多くなるとどくびしは消滅させられやすくなるため、キラースピンという二段構えで相手の耐久ポケモンを削れるキラフロルに軍配が上がり、シーズンが進むごとに着々と数を増やしている。
シーズン6終盤には「キラースピン」「とつげきチョッキ」キラフロルの技範囲と起点作り性能でヘイラッシャとシャリタツのコンビをサポートする「毒寿司」構築が流行。