イスラエル国
いすらえるこく
概要
西アジア、地中海東岸のパレスチナに位置する国家。人口は約934万人(2021年)、面積は約2.2万km²、GDPは2906億ドル(2013年)。国民の70%がユダヤ人(25%がアラブ人、残りの5%はドゥルーズ派やチェルケス人など少数民族)でありユダヤ人国家として知られている。
ヘブライ語を公用語とする。
歴史
現在あるイスラエル国は、ユダヤ人の間で起こった「シオニズム運動」(イスラエルの地、パレスチナ地域に故郷を再建しようと考える運動)の高まりに端を発し紆余曲折の末1948年に独立宣言をした民主主義国家である。
しかしパレスチナの地にはすでに多数のアラブ人(パレスチナ人)が在住しており入植したユダヤ人とアラブ人双方が衝突する。1922年(大正10年)よりパレスチナは英国委任統治領であったが1948年にイギリスが撤退し、同年5月にイスラエルが独立を宣言。これを阻止しようとする周辺アラブ諸国との第一次中東戦争が勃発したが、これに勝利したイスラエルはその建国を確立させた。
詳細はwikipediaや世界史・パレスチナ問題に関する多数の資料サイトがあるのでそちらを見て頂きたい。
これらの経緯から未だに周辺諸国との紛争が続いている。例えば中東戦争は先述した第一次の他、第二次中東戦争(1956年10月~11月、「スエズ危機」とも)、第三次中東戦争(1967年6月、日数から「六日間戦争」とも)、第四次中東戦争(1973年10月、「ヨム・キプール戦争」とも)と4度に渡って繰り広げられた。
先述の通りイスラエルは「ユダヤ人国家」であるが、先住のアラブ人でもイスラエル国籍を持つ人(アラブ系イスラエル人)は多い。これを快く思わないユダヤ系イスラエル人も多く、差別を受けている。また、イスラエルは建国後ヨーロッパ・アジア・アフリカから多くのユダヤ人が移民してきたためユダヤ人と一口に言ってもアシュケナジム系ユダヤ人(主にロシア・東欧世界)、スファラディム系ユダヤ人(地中海世界出身)、ミズラヒム系ユダヤ人(アジア・アフリカ出身)など多種多様であり、同じユダヤ人であってもコミュニティ間の対立なども見られる。
首都はエルサレムとイスラエル政府は宣言しているが、パレスチナ問題から国連は否定し、多くの国もエルサレムを首都だと認めず、テルアビブを首都であるとしている。そのためクネセット(国会)や省庁(国防省を除く)はエルサレムにあるが、各国大使館はテルアビブに集中している。
軍事
周辺アラブ諸国と敵対し、また数度に及ぶ戦争の経験から強力な軍事力を有しており、自国の高い技術力を活用し国産兵器を多く開発している。秘密裏に核を保有しているという噂があり、ネタニヤフ首相がうっかり「イスラエルは核保有国である」と口を滑らせたあたり、真実であることが分かる。
数度に及ぶ戦争と勝利や独自の兵器開発からミリタリーの印象が強いのか、pixivではイスラエル関連タグは兵器・ミリタリーのイラストがほとんどとなっている。
国民皆兵制度のため男女とも兵役の義務があり、男子は36ヶ月、女子は21~24ヶ月の期間、常備軍であるイスラエル国防軍にて兵役に就く。ただし徴兵はユダヤ教徒が対象でありアラブ系国民(ドゥルーズ派・チェルケス人を除く)は志願制となっており徴兵の対象となっていない。
このため国民の成人のほとんどが予備役となり、総動員発令時には60万弱の兵力に達することになる。さらに限られた人口資源をフル活用するため、軍事組織に不向きとされていた自閉症スペクトラムの国民を画像解析部隊に組み込むなどしている。
このため、国内の公共交通機関を利用するとほぼ必ず機関銃を携行した兵士と同乗するような状況になっている。
主な戦歴(括弧内の呼称はイスラエル側のもの) | ||
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第一次中東戦争(独立戦争) | 1948~49年 | イスラエルの勝利 |
第二次中東戦争(シナイ作戦) | 1956~57年 | イスラエルの軍事的勝利・エジプトの政治的勝利 |
第三次中東戦争(六日戦争) | 1967年 | イスラエルの勝利 |
第四次中東戦争(ヨム・キプール戦争) | 1973年 | イスラエルの軍事的勝利・エジプトの政治的勝利 |
バビロン作戦 | 1981年 | イラクの原子炉破壊に成功 |
レバノン内戦介入(ガリラヤの平和作戦) | 1982年 | イスラエルの戦略的敗北 |
レバノン侵攻(第二次レバノン戦争) | 2006年 | イスラエル・ヒズボラ双方が勝利宣言・停戦 |
ガザ地区侵攻(キャスト・レッド作戦) | 2008~09年 | ガザ封鎖の継続 |
ガザ地区侵攻(プロテクティブ・エッジ作戦) | 2014年 | 停戦 |
イスラエル諜報特務庁(モサド)も知名度の高い諜報機関であり様々なフィクションのネタにもされている。イスラエルにはモサドの他イスラエル総保安庁(シャバック)、イスラエル政治調査センター(ママッド)、イスラエル警察捜査諜報局、イスラエル参謀本部諜報局(アマーン)、イスラエル空軍諜報部がありそれぞれが協力する形で情報コミュニティを形成している。
軍事国家であるため、本当の意味で平和とはいいがたい社会であり、イギリスのエコノミスト紙が発表している「世界平和度指数」では、北朝鮮とほぼ肩を並べるほどに低い順位となっている。イスラエルにとって危険と判断されれば、未成年者への拷問も許可されるほどである。
経済・産業
国としては小さいが科学水準が非常に高い。特にIT技術のレベルは高くIBMやマイクロソフト、INTELを筆頭にイスラエルに海外拠点を置く企業も多いほか、医療技術の開発も盛んで海外企業と提携しているイスラエル企業も少なくない。大学・研究所の代表としてはテクニオン工科大学やヴァイツマン研究所が挙げられ、双方とも多くの科学者・技術者を輩出している。
イスラエルの輸出額543億ドル(2013年)のうち医療関連(薬品・医療機器)36.4%(198億ドル)がトップ、次いでハイテク製品が20%(110億ドル)、天然資源が8.9%(48.4億ドル)、貴金属が8.1%(43.8億ドル)となっている。
また農業技術のレベルも高く、国土の60%が乾燥地帯であるにもかかわらず食料自給率は90%以上である。これは先述の通り農耕可能面積が少ない上に周辺諸国と常に緊張状態であることから食料生産が課題となり、その中で小さな面積・少ない降雨量でも大量の食料が生産できるよう技術開発が進んだためである。地中海気候のイスラエルの代表的農産物であるトマトの10aあたりの収穫量は日本では約6トンの一方でイスラエルは約50トンにも及ぶ。また2011年の農業総産出額を比較してみると日本の産出額約819億ドルに対しイスラエルは産出額48.8億ドルであり、農業従事者一人当たりの生産額を比較するとイスラエルのそれは日本の2倍以上である(イスラエルが7.4万ドル、日本は3.4万ドル)。
フルーツでは柑橘類の栽培が盛ん。オレンジ・タロッコ・スウィーティーが有名。
イスラエルの兵器輸出額は10.74億ドル(2014年)で世界第7位となっており、アメリカ・ヨーロッパの他にも中南米や東南アジア、インドにも輸出している。
しかし先進国と言われてはいるものの、一般的に裕福と思われているユダヤ人のイメージとは程遠く、全国民の2割に当たる約170万人以上は貧困状態にあり、そのほとんどが日々の食事すらままならない状態が続いている。この傾向は、多産で労働に従事していないことが多い超正統派ユダヤ教徒に顕著である。
悲しい事にOECD加盟国中で貧困率は最悪であり、毎年多くのイスラエル人がアメリカやドイツへ移住する事態となっている。
宗教・文化
主な宗教はユダヤ教、イスラム教、キリスト教。また、イスラム教系新宗教「バハーイー教」の聖地があり、これは新宗教に関連するものとしては現状唯一の世界遺産となっている。
アブラハムの宗教共通の聖地エルサレムの東側地区がある国であり、イスラエル側の主張ではエルサレムが首都である。
しかし国連などはテルアビブを実質上の首都とみなしている。
エルサレムはパレスチナ自治政府が行政区画とする土地でもあり、パレスチナ側は自分達の首都がエルサレムと主張している。
イスラエルとパレスチナの衝突、宗教問題などの難しい問題が重なり合っており決着を見ない。
国名は旧約聖書にもある「イスラエル」に由来し、シオニズム運動によりユダヤ人たちが自分達の国を求めて建国した、という経緯を持つが、世俗的な国家でもあり、ユダヤ教の他各地にイスラム教、キリスト教、バハーイー教の施設が存在する。
中東では珍しく同性愛者に寛容な国であり、大都市テルアビブではゲイパレードも行われる。これを「ピンク・ウォッシュ(悪印象をLGBT保護で洗い流す行為)」に過ぎないとする批判も根強い一方、「(宗教的に保守的な)パレスチナのゲイを保護しているのはイスラエルだ」という反論も当然存在する。本来企業や個人に用いられるピンク・ウォッシュという言葉が国単位で使用されるのはイスラエルが抱える問題ならではといえる。
建国の推移やパレスチナ人に対する振る舞い等によってユダヤ教的に正当でないとするユダヤ教徒も多数存在する。
例えばユダヤ教の宗派の一つ「超正統派」のグループ「ナートーレー=カルター」はメシアによって建国されたわけではない現代の国家としての「イスラエル」を正当なイスラエルと認めていない。
他にシオニズムをユダヤ教に反するものとするユダヤ教徒としてはモントリオール大学教授ヤコヴ・ラブキンがいる。
国民はユダヤ人だけでなく、2割ほどがイスラム教を信仰するアラブ人である。国内の公共の場における主要な標識はヘブライ語、アラビア語、英語表記であることが多い。北部はアラブ人が多く住み、北部の中心都市ハイファでは日常的にアラビア語で書かれた新聞や張り紙を目にすることができ、アラビア語で会話しながら飲酒を楽しむアラブ人が多くいる。
イスラエル国籍を持つアラブ人はユダヤ人とほぼ変わらない権利をもち、国会にも選出された議員が複数いる。しかし、アラブ人はあらゆる場面で二級市民扱いされており、一部のアラブ人は不法入国者と見なされている。特にパレスチナ自治区に住むアラブ人の扱いは過酷で、イスラエルに入境する際はイスラエル人や外国人と比べて遥かに厳しい検査を受けねばならないなど、かつてナチスがユダヤ人を閉じ込めた「ゲットー」を彷彿とさせる強制隔離状態に置かれている。
またファイナルファンタジーシリーズ等で有名なバハムートもこの国で発祥した幻獣である(厳密にいえば旧約聖書だが)。
超正統派ユダヤ教徒
ユダヤ教には様々な宗派があるが、超正統派ユダヤ教徒がイスラエル国民の1割ほど存在する。国内では少数派とはいえ無視できるほどの割合でもなく、その強烈な存在感のためユダヤ教のステレオタイプとなっている。
その特徴をいくつか記載する。
- 男性は髭ともみ上げを伸ばし、黒服と帽子を身に纏う。女性は男性を誘惑しないため、定められたカツラを被るか、既婚女性は頭髪を布で隠すことが一般的。
- 近代的な教育を受けたり、労働をすることには否定的。彼らにとっての仕事とは、律法に沿った生涯を全うし、その勉学に励むことにある。
- 「産めよ増やせよ」の言葉を実現するため、極めて多産。平均出生率は7で、これはイスラエルの平均出生率の倍以上になる。
- 過度な外部の情報や文明を入れることには消極的。携帯電話も、特別な設定がされたものを使用する。
その教義のため、多くの超正統派ユダヤ教徒は社会保障やカンパでどうにか生活している状況にある。加えて多産のためにイスラエルにおいて彼らの人口は急増し、政府や納税者の負担が増えていることを面白く思わないイスラエル人も多く存在する。
また、シナゴーグで密集して集会を行うことが多いためCOVID-19のパンデミック時には超正統派の居住地区で大規模クラスターが頻発する原因ともなった。
日本との関係
政治・外交
一見あまり接点のない両国だが、1902年の日露戦争ではのちにイスラエル建国に大きく影響を与えるシオニストが日本軍の捕虜となったり、1918年のシベリア出兵でユダヤ陰謀論が日本に輸入されたり1938年には文部省(当時)による留学生プロジェクトがあったりと、その歴史は古い。1948年にイスラエルが独立すると日本国政府は1952年にそれを承認、1952年に在日イスラエル公使館、1955年にテルアビブに在イスラエル日本公使館が設立される(両公使館は1963年に大使館に昇格)。
1972年には日本赤軍によるテルアビブ国際空港乱射事件が起き、日本政府が公式に謝罪・賠償を行っている。
日本政府はイスラエルやパレスチナ問題に深く介入しない中立的立場を取ってきたが、1973年のオイルショックによりその方針の変更を強いられることになり、1970年代からはイスラエル・パレスチナ双方に歩み寄る形での積極的中立路線へと入る。
現在の日本国政府もこの路線を継続しておりパレスチナへの支援を行うと同時にイスラエルとの経済提携を推進している。2014年5月にはネタニヤフ首相が来日し、2015年には安倍首相がイスラエルを訪問しているがこのとき安倍首相はパレスチナも同時に訪問しておりパレスチナ自治政府大統領マフムード・アッバースと会談している。
2019年には、成田空港にエルアル航空による初の直通便が開通することが決定している。
外国に移住した日本人を探す番組「世界の村で発見!こんなところに日本人」にて千原ジュニアが訪れており、当初は「テレビのイメージから危険な印象がありそう」と述べていたがその後は「すごいフレンドリーでみんな優しい笑顔でめちゃくちゃ好きや」と評していた。
芸術
イスラエルでも日本のアニメやマンガは人気で2009年からは日本のコミケに相当するCAMI(Convention of Anime and Manga in Israel)と呼ばれるアニメ・マンガイベントがほぼ毎年開催されている。ちなみに2009年の第一回CAMIではファンメイドのデスノートの演劇ややおいについての解説講座、ひきこもりについての心理学講座などが開かれた。
日本では2012年に国交樹立60周年を記念して駐日イスラエル大使館がゆるキャラのデザインを募集し、翌年に公式ゆるキャラのシャロウムちゃんを発表した。
食文化
日本における山わさび(ホースラディッシュ)はイスラエルでは苦菜(マロール)の一種に該当する。
敬虔なユダヤ教徒は律法の食料規定(カシュルート。コーシャとも)に沿った食生活を送る。
飲酒は自由だが四つ足動物は蹄が割れ反芻するもの、魚介類はヒレと鱗があるもののみが認められ、肉類と乳製品を同時に摂取してはいけない。
中東諸国の食文化をベースに、世界中から帰還したユダヤ人によってイスラエルの料理は多種多様なバリエーションに富んでいる。特に最大の都市テルアビブでは、空前の寿司ブームが起きているといわれている。
経済
先述の通りイスラエルではハイテク・医療技術の開発が盛んであり、イスラエルと提携している日本企業も少なくない。
イスラエルの対日輸出額は14.1億ドル(2013年)でそのうちの半分以上、8.1億ドルが機械類、次いで医療関連が3.8億ドル(27%)がある。日本からの輸入額は10.7億ドルで自動車などの輸送機器の4.8億ドル(45%)が最大。イスラエルの自動車市場シェアも47%(2014年)が日本製となっており、エルサレムでも多くの日本車を見ることができる。2位以下は機械類2.5億ドル(23%)、2億ドル(18.5%)となっている。
イスラエルとその他の外国の関係
⋯中東情勢はイスラエルを中心として動いており、イスラエルから中東を紐解いていくと、複雑な世界情勢が見えてくる。
パレスチナ
パレスチナは、東をヨルダンに接する「ヨルダン川西岸地区」と、西を地中海、南をエジプトに接する「ガザ地区」に分かれている。イスラエルとは歴史的・宗教的に複雑な関係である。現在イスラエルはパレスチナを敵国認定し、ミサイルによる攻撃を続けている。
詳しくは→パレスチナ問題
ヨルダン
ヨルダン川を隔て、国境ができている。1994年10月にイスラエルとの和平条約に署名し、同年11月に外交関係を樹立(イスラエルとの和平条約に署名したのは、アラブ諸国の中ではエジプトに次いで2ヶ国目)。
レバノン
かつてダビデ〜ソロモン王時代はレバノン杉などの貿易が盛んであった。しかし今やレバノンはテロリストの温床となっており、ヤーセル・アラファトがここへ潜伏した際、イスラエルは侵攻を開始。インティファーダが引き起こされた。
アメリカ
アメリカ合衆国はイスラエルの建国以来、中東における重要な同盟国として国連決議でもイスラエルを擁護する傾向がある。
又、アメリカの主流派であるプロテスタント右派がイスラエルの建国に関与している為、イスラエルロビーの力が大きい。
事実、ブッシュ一族はイスラエルを使ってイラク戦争を実行させた。
どちらかと言うと、共和党の方がイスラエルとの関係が良い。一般的に「アメリカのユダヤ系住民が強力な圧力団体になっている」とされるが、リベラルが多く、人口も少ないユダヤ系よりもキリスト教保守の方が熱烈にイスラエルを支持している。
中国
イスラエルは例年、アメリカの情報に頼っていたが、ここ最近はアメリカの衰退に伴い中国にも接近している。
その為、AIIBを介して中国政府から金を巻き上げてシオニスト入植地を建設している。
更にイスラエルは上海協力機構に申請しようとしており、中国との接近もより一層、進んでいる。
ロシア
イスラエルとロシアの関係は、ソ連崩壊以降堅調でロシアとイスラエルの飛行機便が多く設定されており、またイスラエル国民の相当数がロシア及び旧ソ連圏出身者とその子孫である。
ただ、中東情勢では対立している面も存在しており、ロシアはシリアのアサド政権やイランを支援しているのに対し、イスラエルはサウジアラビアやエジプト、トルコ等を支援している状態である。
イラン
イランはイスラエルの事をシオニスト政権イスラエルと呼称しており、国として認めていない。更にイスラエルの入国スタンプがあると入国禁止にされてしまう危険性もある。
他にもイラン人選手が相手がイスラエルの場合は、イスラエルの存在を認めさせない為、試合を放棄する。
シリア
イスラエルは極力シリア内戦には関わらないようにしていたが、アサド政権の混乱に巻き込まれる形となっている。またシリアはイランやロシアと結託しているため、イスラエルの敵国である。
シリアのレジスタンスはゴラン高原のシリア側を制圧し始め、イスラエルを脅かすテロリスト・ヒズボラ党との関連も警戒されている。2013年1月末、イスラエルはレバノンに向かっていたトラック車両をシリア領内にいる間に空爆するという事件が発生。イスラエル軍の基本理念は「対イスラエルに使われる武器は領土内へ持ち込まれる前に、出来るだけ遠い場所で破壊する」というもの。イスラエルはシリアへ、「化学兵器を持ち込むなら決して躊躇しない」と釘を刺した。
欧州各国
イスラエルは欧州各国とは一部の国を除き、比較的良好。
特にドイツ、イギリス、ウクライナはその傾向が強く、イギリスはイスラエルの建国に関わっている。
更にドイツではイスラエルの最大ロビーとして存在している。
尚、イスラエルがUEFAの国に入っているのはアジアリーグだとイランやシリアなどの一部の中東の国が試合を拒否する為、移籍している事が挙げられる。
サウジアラビア
公式の外交関係はないが、サウジアラビアとはしばしば国交正常化交渉や、様々な経済・文化の限定的交流が続いている。
UAE/アラブ首長国連邦
UAEは独立して以来、今日までイスラエルと国交を樹立してこなかった。1973年にイスラエルとアラブ諸国の間で第四次中東戦争が起こった際には、UAEはアラブ産油国に対してアメリカおよびイスラエル支持国への全面的な石油輸出の禁止を呼びかるなど、強硬な姿勢を取った。
1990年代以降、両国は主に安全保障や治安分野に関して水面下で接触を重ねるようになる。それが2020年8月13日から国交正常化。これは歴史的合意として世界中に衝撃が走った。
その他中東諸国
バーレーンとはUAEと同じく2020年に国交正常化に同意。
安全について
イスラエルと中東のイスラム圏は関係が悪いため、イスラエルの入国スタンプやビザを持っているとイラン、シリア、リビア等に入国することが出来なかった。
その為、イラン等の国に行くためには別紙でイスラエルの入国スタンプを捺印する必要があった。
近年では、スタンプは廃止して入国、出国時にカードを発行するようになっている。
多くの外国人が出入国のために使うベングリオン空港は、その歴史的経緯から非常にセキュリティが厳しいことで知られる。
利用者は旅の目的、日程はもちろんのこと滞在する宿、イスラエルにいる友達の有無、航空券の購入元、所持品についての事細かな質問からパッキングをした時間や場所について聞かれることも珍しくない。家族や友人同伴の場合は、話の辻褄をあわせるために全く同じ質問を行う。このため他の空港よりも早めの時間に到着することが推奨されている。
パスポートに中東諸国のスタンプがあると、これらの質問はより厳しくなる傾向にある。
イスラエルは自国民の安全を守るということに関しては非常に積極的で、膨大なコストと人員を費やしている。パレスチナとの間に設けた分離壁や空港のセキュリティのみならず、鉄道駅やバスターミナル、ショッピングモールでは荷物検査と金属探知機による身体検査が行われ、観光地を中心に重武装した兵士が常に警備をしている。
2019年に成田空港に就航予定のエルアル航空は海外の就航都市でもチェックインカウンターや搭乗口で事細かな質問をし、荷物を減圧装置に入れる、機内には常に銃を携帯した私服警備員が乗り合わせており、使用機材もミサイル攻撃やハイジャックを可能な限り防ぐための特別設計となっている。
このような過剰とも言えるセキュリティ対策のため、いびつながら外国人が持つイメージよりもイスラエルは遥かに安全な国である。2009年以降はイスラエル国内において自爆テロは1件も起きていない反面、このセキュリティ関連費用により物価は非常に高い。
イスラエル国籍の人物
- ナタリー・ポートマン…女優。3歳の時にアメリカのワシントンD.C.に移住。
- ガル・ガドット…女優。兵役経験あり。
- ユリ・ゲラー⋯超能力者。テルアビブ出身である。
関連動画
外部リンク
参考資料
- 月刊オリーブライフ⋯BFP(ブリッジス・フォー・ピース)が毎月発行しているイスラエルの雑誌。2021年から「」にタイトル変更。
- UAE・イスラエル国交正常化の背景NHK