カガリ・ユラ・アスハ「ストライクルージュ、行くぞ!」
機体データ
概要
オーブ連合首長国の旗機として、カガリ・ユラ・アスハが搭乗した機体。
大西洋連邦が開発したGAT-X105 ストライクのデッドコピーだが、型式番号はオーブ独自の「MBF-02」が与えられている。
元々はイージスとの戦闘で中破しオーブが回収したストライクをモルゲンレーテ社が極秘裏に修復した際同時に製造されたストライクの予備部品一式(要はこの時点では組み立ててこそいないがストライクをもう1機製造した)であったが、オーブのフラグシップ機として転用が期待されていたアカツキが諸般の事情でお蔵入りとなった事から、その代替機として選定された。
製造の際にはヘリオポリスから回収されていた原型機ストライクのフレームやモルゲンレーテ社で新規製造された部品を組みつけ、ナチュラルが搭乗できるようOS面での改良や新型大容量バッテリーパックパワーエクステンダーを搭載し、作戦活動時間の延伸を図った。
フェイズシフト装甲に供給できるエネルギーが増加したことによって防御力が上昇、それに伴って機体色が赤系統に変化している(PS装甲をダウンさせた状態はストライクと変わらないが、メインカメラのデュアルアイの色はストライクが黄色なのに対してこちらは緑色となっている)。これが後のヴァリアブルフェイズシフト装甲技術に繋がった。
また、同時期に開発情報が流入していたI.W.S.P.の持つ操縦難易度・バランスの劣悪さを改善した専用ストライカーパック「オオトリ」の開発も決定し、ストライクルージュとは同時進行で製造が進められる。
その最中に起こった「オーブ解放作戦」によって地上では何れも完成する事はなく、実際の建造作業は宇宙に脱出したクサナギ艦内で行われる。
オオトリの完成が間に合わなかった事からカガリは「強そうだ」という理由でI.W.S.P.を希望したが、その難易度はモビルスーツでの実戦経験に乏しいカガリの腕前では使いこなせるはずもなく、代替としてエールストライカーの使用が決定される。
そしてそのパーツ確保に更なる時間を要し、ストライクルージュが実戦に参加したのはザフト側がプロヴィデンスを解禁したのと同時期の第1次連合・プラント大戦の最終盤(第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦)となった。
劇中の活躍
SEED
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦においてエールストライカー装備で出撃。
パイロットがルーキーである事から後期GAT-Xシリーズなどの強力な敵機には分が悪いとカガリ本人も理解していたためかキラ達エースパイロット群に任せたため前線には出過ぎず、後方よりピースメーカー隊の放ったMk5核弾頭ミサイル数発を撃墜。
ジュリ・ウー・ニェンとアサギ・コードウェルのM1アストレイが撃墜された際、それを目の当たりにしたカガリはSEEDを発動、的確な射撃でストライクダガー数機を撃破する。
フォビドゥンに狙われた際はデュエルに庇われている(後からそれを追ってきたバスターの援護もあってデュエルによりフォビドゥンは撃破された)。
終盤ではミーティア装備でヤキン・ドゥーエへ向かうジャスティス・フリーダムと行動を共にし(フリーダムはプロヴィデンス対処のため途中離脱)、ジェネシスのあるヤキン・ドゥーエ内部へ突入。自身諸共ジャスティスを核爆発(自爆)させてジェネシスを破壊しようとするアスラン・ザラをカガリが説得し、本機に乗せて脱出させている。「死なせないから」と宣言した通り、結果的にルージュの出撃がアスランを救うこととなった。
その後はジャスティスの自爆に伴う要塞の爆発を受けてフェイズシフトダウン、エールストライカー部を小破しつつも、残ったバッテリーと推進剤を用いてキラ・ヤマトの安否を確認すべく大破したフリーダムのもとへ向かい、エンドカードを飾った。
SEED DESTINY
先の大戦後は実戦で使われなかったI.W.S.P.を装着し式典等に参加。オーブ国内の政情も有り、国威発揚目的で使用されていた。
PHASE-14にて、元々どこにあったのかは不明だがアークエンジェルのオーブ脱出の際に再起動したフリーダムと共に艦載される。ストライカーパックはTV版では大気圏内飛行が可能となった改良型エールストライカー、HDリマスターでは完成した新型ストライカー「オオトリ」を使用している。
キラのフリーダムによってアークエンジェルへ強引に乗せられたカガリだったが、オーブが大西洋連邦と同盟を結んだ結果オーブ国防軍の派遣艦隊がザフトへの攻撃を開始すると、これを止めるべくダーダネルス海峡戦にてフリーダムと共に出撃、オーブ軍へ戦闘停止を呼びかけた。…しかし、現在のオーブ軍総司令官ユウナ・ロマ・セイランは同盟がある手前どの道偽物と言うしかなかったため、ユウナやトダカらオーブ軍はカガリであることを確信していながらも偽物と言い切ってタケミカズチはルージュへミサイルを発射(フリーダムのハイマットフルバーストで撃ち落とされる)。最終手段である武力介入を開始したフリーダムと違いカガリは止まらないオーブ群をただ見ていることしか出来ず、ムラサメに攻撃された際もシールドで防ぎつつもこちらから撃つことはなく、アンドリュー・バルトフェルドのムラサメに庇われ結局何も出来ぬまま本機は後ろへ下がっていった。
クレタ沖海戦でも介入。今回も撃つことはなかったが、戦場を飛び回ってミネルバを攻撃しようとするババ一尉らのムラサメを物理的に止め。だが、ババはカガリの意思を理解しつつもあくまで今の指導者(ユウナ)に従うスタンスを崩さず、本機はババのムラサメに投げ飛ばされる。特攻する彼らを止めようと再度向かうが、ソードインパルスからの射撃で妨害され失敗した挙句、一般兵のムラサメに庇われる(そのムラサメは胴体部にビームを受けて爆散)。選択を致命的に間違えたこと、そして自分の非力さを身をもって痛感したカガリは、戦場の中でただ泣き叫ぶことしかできなかった。
ベルリンでのデストロイ戦では、フリーダムの援護の為ムラサメ3機と共に出撃。
本機は民間人の避難支援を請け負ってシールドでビームを弾くなどの活動をし、フリーダムの負担を減らしている。
エンジェル・ダウン作戦ではキラの意向(オーブ軍の機体にザフト側への攻撃事実を作らない)によって出撃せず、フリーダムがインパルスとの戦闘で窮地に陥ったためカガリが出撃しようとした際もマリュー・ラミアスに止められる。フリーダムがインパルスに撃墜されると、戦闘行為ではなくキラの命を救うためアークエンジェルの撃墜偽装に紛れてストライカーパックを装備せず緊急発進し、フリーダムの残骸を回収してキラを救助している。
第39話では、キラや整備班によって何らかの調整を受けていたところにエターナル緊急発進の報を受け、フリーダムを失っており大気圏突破が可能なPS装甲機が本機しか残っていなかったため型落ちを承知でキラがカガリから借り受けて使用。この際、キラのセッティングによってPS装甲色は原型機同様のトリコロールに戻っている。
その際には「ストライクブースター」を使用し、猛烈なスピードで大気圏を突破・戦闘に乱入。
防戦に回っていたアンドリュー・バルトフェルドのガイアの援護を開始する。
キラの技量をもって型落ち機とは思えない圧倒的な回避機動と射撃を見せ、一度に3機以上のザクウォーリア、グフイグナイテッドを相手取り奮戦する。
しかし一対多の状況である事に変わりなく、機体性能の差から徐々に劣勢に立たされる。
ちなみに、この時に交戦したグフイグナイテッドはザフトにおいてエースパイロットである「赤服」が操縦している。その為、ビームライフルの何発かはシールドで防がれている。
また、当時のザクの時点でストライク以上の性能な上、PS装甲の常時展開とビームライフルを連発すればストライクルージュの方がエネルギー的に不利である。それ以前に、フリーダムですら追いつけていなかったキラの反応速度にストライクがついていけるはずもなく、そういった意味でも不利とみられた。
かなり善戦するが、ガナーザクウォーリアの砲撃からエターナルを庇った際にシールドごと左腕が破損。直後に別機のガナーザクウォーリアの砲撃で右腕も喪失するがビームライフルは無事で、ガイアがキャッチして使用している。
その後はバルトフェルドの指示により、砲撃で両足をもがれながらもエターナルに辛うじて緊急着艦した。
本放送では(かつての主人公機の擬似的な復活という燃える展開とはいえ)エールストライカー装備で奮戦するという無茶をしていたが、HDリマスター版ではストライクルージュがオオトリ装備に変更されたために戦闘にも変化が加わっている。
最初にビームライフルをガイアに投げ渡し対艦刀を装備、マルチロックオンシステムを搭載していないにもかかわらずバルカンも含めた一斉射撃で複数機の頭部や武装といった部位への同時ピンポイント射撃という離れ業を見せ、エターナルを庇った方法もオオトリを囮に使う形に変化、シールドごと左腕が破損した際には相打ちに近い形で対艦刀を投げてザクの頭部を破壊している。
エターナル収容時点の機体の状態にも変更があり、ストライカーパックがないが右腕が生きている。
上記の通り最終的には型落ち機だったため大破してしまうが、エターナルとガイアの一時的な救援に成功した上キラはストライクフリーダムに乗り込むことができたため、十分に役目を果たせたと言えよう。
武装
手持ち武装や固定装備はストライクと同様。
対ビームシールドのみ、カラーリングが本機独自のものに変更されている。
ストライクブースター
単騎で大気圏を突破するための補助推進器。機体の脚部を納めるように接続する。
ザフトに発見されたエターナルの援護のために使用、猛烈なスピードで大気圏を突破した。
戦闘に乱入した際、数発この状態で撃った後に破棄される。
ストライカーパック
AQM/E-X01 エールストライカー
ストライクと共通する装備。
戦後は大気圏内飛行が可能なように改良された。
DESTINYのHDリマスター版では後述のオオトリが採用された為、出番が無くなった。
P202QX I.W.S.P.
ストライクと共通する装備。
実戦経験で運用できなかった為に、主に式典で配備される際に装備している。
その後はオーブ軍所属のパイロットによるマーシャン追撃部隊の任務で使用されるが、使用を許可したファントムペインの指揮官の手で秘密裏に改造され、ストライカーパックのスペアとして利用されている。
EW454F オオトリ
HD版SEED DESTINYで登場したストライカーパック。
製造開発はモルゲンレーテ社が担当。
PMP社から開発を引き継いだI.W.S.P.をベースとしているが、そのバランスの悪さや操作性・整備性を見直す為ストライカー本体はシンプルなX字可変翼による素体構造に改変し、その周囲にオプション式の高エネルギービーム砲およびレールガン、ミサイルポッド、大型対艦刀といったストライカーパックの各種装備を積載可能な分散構造をとった。
後にこのパックの技術をフィードバックした、アカツキ専用装備としてオオワシが開発されている。
OPや作中ではI.W.S.P.の代わりにこれがルージュに付けられている。
EW454F オオトリ(AP仕様)
オルタナティブ・プロジェクトによって複製されたオオトリ。
ドライグストライクに搭載されていたバックパック用のジョイントをストライカーパックの上面と下面にそれぞれ搭載、ソードストライカーやランチャーストライカーの武装を増設出来るように改良されている。
関連動画
立体物
ストライクの色替えのため立体化の機会には恵まれている。
大体何らかのストライカーパックとセットで販売され、単体で発売される例は稀である。
ガンプラ
1/144はHG SEEDとHGCE、1/100はMGとMG Ver.RMが一般発売されている。
HG SEEDはエールストライカーではなくI.W.S.P.が付属。
その為、エールストライカーは同ブランドのエールストライクから持ってくる必要がある。
HGCEの方はエールストライカーになっているがオーブのマーキングシールが付属する分、エールストライクより値段が100円増しとなっている。
キラ仕様はエール装備であればHGエールストライクのシールドとシールをルージュのものに交換するだけで簡単に再現可能。HGCEであれば左肩にマーキングシールを貼ると再現度が上がる。
また、ストライク系列なので当然エール以外のストライカーパックも装備可能。長らく初期ストライカーパックで完全なものはエールのみだったが、2024年にランチャーとソードの単品発売が決定したためカスタマイズに幅が増えることが期待される。
MGはエールストライク同様エールストライカーとなっている一方、MG Ver.RMはリマスター化に伴い新登場したオオトリに変更されている。
RGではかつてガンプラEXPO限定商品として発売された経緯がある。
その後更にオリジナル武装グランドスラムを付けたものが、ガンダムベース限定商品で発売された。
エントリーグレードでは、クリスマスシーズン発売のラウンドボックスでのセット販売になった。ストライカーパックは付属せず武装もアーマーシュナイダーのみとなっている。
ガンプラではなく食玩扱いのため再販の可能性は低く、現在はオークションでなければ入手できない。
アクションフィギュア
MS IN ACTION、ROBOT魂、METAL BUILDで発売。
この他「天空のキラ」版と称したオオトリ装備でカメラとシールド以外は、オリジナルのストライクと同色のストライクルージュがROBOT魂化している。
外部出演
スーパーロボット大戦シリーズ
『第3次α』『J』『W』『K』『L』に登場。
性能は本家ストライクと大差ないが、ストライカーパックの運用に何らかの制約があることが多く、『第3次α』では隠し要素のI.W.S.P.を入手しない場合はエールストライカー以外使えなかった。
『J』『W』ではその制約が無く、本家ストライクにI.W.S.P.やルージュにソードやランチャーといった組み合わせも可能だった。
また、『J』ではルージュだけM1アストレイの召喚攻撃ができたが、『W』で本家でもできるようになったため色以外の違いはほぼなくなっている。
『K』『L』では換装を没収されてエールストライカーのみになってしまい大幅弱体化。
なぜか修理可能な他、カガリ以外を乗せるとキラ搭乗時のトリコロールに変わる。
『Z』ではアイコンのみ。本編と違って大破していないが、ユニットとしての出番は与えられなかった。
Gジェネレーションシリーズ
ストライクから開発可能。
性能はストライクと大差ないが、パワーエクステンダーを持ち、ストライクよりEN消費が抑えられている。
代わりにHPS機能を持たない為エールストライカーから換装できない。
I.W.S.P.やオオトリ装備は別ユニット扱いで、ルージュから開発しなければならない。
余談
『SEED』における出撃時の映像はストライクのものを使いまわしており、よく見るとフェイズシフト展開前のデュアルアイが黄色になっているのがわかる。
放送当時、フレイ・アルスターがMSパイロットになる予定があった為、彼女も搭乗することを想定した機体となっていた。
没案に終わったものの、Gジェネレーションシリーズなどの乗り換えがフリーな作品で再現して見るのも一興である。
また、キラがカガリより借り受け、元のストライクを想起させるトリコロールカラーに出力されたストライクルージュは通称『天空のキラver』と呼ばれている。これはストライクフリーダムガンダム初登場回こと第39話「天空のキラ」より肖った名称である。Robot魂などの立体物も上述のとおり「ストライクルージュ(天空のキラver)」の表記になっている。
関連項目
機動戦士ガンダムSEED 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY 機動戦士ガンダムSEEDMSV
ネタバレ注意
経緯は不明だが、その後エターナルからオーブに降ろされ修復されていたようで、新規にキャバリアーアイフリッド装備で再登場。カガリが搭乗して出撃し、キャバリアーによって拡張された通信性能を存分に活かし司令塔としてオーブ防衛に尽力した。
アカツキは再度ムウに託していたため、代わりに本機を使用したと考えられる。
なお、最新技術での改修等は受けていない模様。
この時点で残存しているガンダムタイプではデュエル・バスターと並んで最古レベルだが、この2機は大改修を受けている都合上、ストライクルージュが最も型落ちしている機体となった。
それでもわざわざ修復した理由として、本機回収の時点でメサイア攻防戦を経験していたカガリが「レクイエム級のビームすら反射できるアカツキのヤタノカガミで味方の身を守らせる」といった運用のためにオーブを離れさせることを最初から考えていたと思われる。
対MS戦であれば下手をすれば最新量産機のムラサメ改に乗った方が強いというレベルだが、ストライクルージュはアカツキ同様カガリの機体としてイメージが浸透しており、今回のように対MS戦を行うことのない指揮官としての出撃であれば十分に役目を果たせる上に部下も一目でカガリの機体と認識できるための選定と思われる。