「余裕ですね。行かなくてよろしいんですか?」
「ギーツが生き残る結末は存在しない…」
演:忍成修吾
変身する仮面ライダー
概要
『仮面ライダーギーツ』の登場人物。
デザイアグランプリの参加者たちが集うデザイア神殿に常駐する謎のコンシェルジュ。
デザイアグランプリ参加者の全体的なサポートを行う、穏やかで紳士的な人物。グランプリのルールを遵守する真面目な堅物でもある。
また、デザイアマネーを使ったサービスを提供したり、怪我した参加者に応急処置を施すこともある。
邂逅編までの動向
第1話「黎明F:ライダーへの招待状」
最終ミッションが行われる中サロンでくつろぐ英寿に行かなくていいのかと問いかけるも、彼の絶対的な自信にあしらわれた。
第2話「邂逅I:宝探しと盗賊」
サロンでの休憩中に険悪なムードになる道長と英寿に対し、神殿内での戦闘は即脱落扱いになるとやや厳しめに忠告。さすがの道長もあっさり引いたので事なきを得た。
第8話「邂逅Ⅶ:ニンジャと切り札」
重傷を負ってしまった景和を介抱しベッドで寝かせていた。
第9話「邂逅F:Wakeup!モンスター」
真っ先に卵を孵化させた祢音に、出現したバックルがプロペラレイズバックルだと教えた。
その後孵化を焦る道長が生卵割りの要領で机に卵をぶつけ始めたので慌てて止めようとするも、卵はドリルレイズバックルへと無事に孵化した。
その後、一人で黙々と卵の殻をトレーに乗せて回収していた。えらい。
この他にもルールにはやたらと詳しい面を覗かせる事が多く、何かを感じる視聴者も多かったのだが……。
その正体と以後の謀略
「浮世英寿…とくと見せてもらうぞ。お前が目指そうとしている世界の…その先を」
ギロリの正体はデザイアグランプリのゲームマスターだということが、第9話の終盤で明かされた。
第10話「謀略I:新時代のビート」
デザ神となり自分を含む運営側の人間と家族になった英寿の「父親」として振る舞うが、DGPを探ろうとしている彼を危険視し、"排除"すべく謀略を巡らせるようになる。
手始めにパンクジャックこと晴家ウィンを参加させ、英寿と組ませて陥れようとするものの(最初のバックルがよりにもよってブーストレイズバックルだったこともあり)英寿が単独でその場を切り抜けてしまい失敗。
ウィンからも「簡単には退場しそうにない」と言われ、次なる謀略を考え出す。
第11話「謀略Ⅱ:ジャマトの迷宮」
ウィンに「何がなんでも彼を脱落させろ」と彼に命じる。ツムリに「我々は常に中立の立場のはずでは…?」と苦言を呈されるが、それに対し「あの男は…勝ちすぎた」と返した。
その後、迷宮謎解きゲームを遂行中のライダー達の前に想定外の強敵・ジャマトライダーが出現。これを見て「なぜ指示していない事が起きている……!?」と困惑し、直後にある人物に電話をかけるも、ジャマトの育成に陶酔している彼には聞く耳を持たれなかった。
そう。
DGP運営とジャマトは裏で繋がっていた…どころか、ジャマトは育てられていたのである。
しかしジャマトライダーがいてはゲーム進行が危うくなるため、彼は人数分のフィーバースロットレイズバックルを支給するのだった。
第12話「謀略Ⅲ:スロット☆フィーバー」
リタイア前の景和の記憶を思い出させた英寿を「勝手な行動は慎んでもらいたい」と咎めるが、景和に直談判され、英寿にデザイアグランプリの秘密を勘ぐられそうになったため、一徹のエントリー権を引き渡す形で渋々景和をエントリーさせた。
第13話「謀略Ⅳ:ドライバーを奪還せよ!」
前回の一件で運営が自分を故意に脱落させようとしていると英寿に気づかれ問い詰められるも、ゲームマスターである事実を隠しているためはぐらかしていた。
ツムリから何故そこまで英寿を蹴落とそうとするのか問われ『運営の秘密に近づこうとしている』と返答し、デザイアグランプリの存続を最優先事項とする旨の発言をしている。
しかし、デザイアグランプリの崩壊を目論みジャマトライダーを誕生させるアルキメデルや、未実装のレイズバックルを独断で転送したニラムの行動に振り回される事になる。
結果的に何度も辛酸を舐めさせられ、ゲームを引っ掻き回す(ように見える)英寿に、警戒心を通り越して強い怒りを募らせていた。
第14話「謀略Ⅴ:怒りのグレア」
ウィンに対し、運営と繋がっていることがバレたペナルティとして「脱落しても記憶は保持される」という約束を反故にして通常参加者と同様に扱うことを告げるも、それが原因で離反されてしまう。
ウィンに啖呵を切られるも独断行動を良しとせず、その後戦闘していたギーツ及びパンクジャックの前に現れる。
その手に掲げられていたのは······
「失望したぞ…パンクジャック」
仮面ライダーグレアに変身し、ゲームマスター自身がデザイアグランプリに乱入するという掟破りの行動に出る。
その後対抗して変身してきたウィンを圧倒して洗脳し、英寿を遂に脱落させた。
第15話「謀略VI:仮面ライダーの資格」
ギーツ/英寿の排除に成功し、他の3人、特に道長を「デザ神」候補として期待していたが、ラフレシアフォートレスジャマトや強化されたルークジャマトに苦戦する3人に苛立ち、むやみに突撃して結果的に退場してしまった道長/バッファに対して、「バッファめ、勝ちを急ぎすぎだ!」と不満を爆発させていた。
その後、デザイアグランプリに復帰したギーツ/英寿が再参加を申し込むも、「無駄だ。お前に仮面ライダーの資格はない!」と一喝。しかし、ツムリから「あります。浮世英寿様には、仮面ライダーの資格があります!」と反論された。
実は、英寿は以前より「自分がリタイアによりDGPの記憶を失った場合」の対策をしており、自室のポスター(や部屋のあちこち)に手がかりとなるメモを残すことで、記憶を失った状態でもある程度立ち回れるようにしていた。仮面ライダーに遭遇しコアIDに触れたことも偶然ではなく、全てメモによる指示通りだった。
ギロリに対し反感を抱いていたツムリからギーツのコアIDとドライバーを受け取りゲームに復帰し、道長が残したゾンビに加え、景和から拝借したマグナム、コマンド、ブーストを駆使してジャマトたちを一蹴し、城ジャマトをコマンドフォームで撃破した。
だが、この事態をどうしても受け入れられないギロリはゲームマスター権限でこのゲームを無効化してしまい…。
『MOVIEバトルロワイヤル』では
浮世英寿の排除を目論み謀略を巡らす本編での姿とは違い、本作ではデザイアグランプリ奪還の為に邁進するゲームマスターとしての側面が強くなっている。
突如デザイア神殿に現れたコラスがツムリを人質に取ったためツムリの生命を守るべくヴィジョンドライバーを渡すものの、コラスはドライバーの指紋認証を書き換え、ゲームマスターとしての地位を強奪する。
そしてツムリを洗脳して小悪魔ツムリに変貌させた上にデザイアカードに「デザイアグランプリが消滅した世界」と書いたことでデザイアグランプリが消滅し、コラスによってそれに取って代わるデザイアロワイヤルが開催される事態となってしまう。
その後、ギロリは「用済み」と言わんばかりに部屋に幽閉されていた。
しかし、事態を察知した英寿の手によって解放され、「デザイアグランプリの奪還」という共通の利害のもと一時的に和解した。その後、五十嵐一輝とバイスにデザイアドライバーと仮面ライダーリバイIDコア、仮面ライダーバイスIDコアを授けた。
自身はコラスと結託していた轟栄一の邸宅に赴き、栄一の私物の刀で攻撃してきたコラスに対抗すべく自身も栄一の私物の刀で応戦。
戦闘の途中でコラスが隠し持っていた銃で撃たれたものの、コラスが勝利を確信してヴィジョンドライバーを持ち出した一瞬の隙を突きドライバーを奪還し、見事勝利を収めた。
その後、認証を戻して仮面ライダーグレアに変身する形でデザイアロワイヤルを消滅させ、デザイアグランプリを復活させる。そして、破滅の門建設を進めていた轟戒真/仮面ライダーシーカーを止めるべく、「仮面ライダーシーカーの討伐」を目的とする「シカゲーム」を緊急開催した。
ギーツとリバイスがシーカーを倒したことでミッションクリアとなり、デザイアグランプリを奪還することができた。
しかし、この一件で英寿の強さの秘密に確信を持つこととなり、自身の推測をニラムに明かしていた。(詳しくは、浮世英寿参照。)
このエピソードでギロリは「デザ神とは世界を救った英雄のこと」「その栄誉を称え、理想の世界を与える」などと自身の信念を語り、破滅を望むコラスのことを「ゲームマスターの資格はない」と真っ向から否定していた。
また、コラスとの決闘の際にマスクを装着しているが、これはアクション代役のアクターとの交代の際に違和感がないように設けられたもの。しかし、池田氏と忍成氏のアクションが思いのほか高評価だったこともあり、代役なしのアクションとなった。
『ギーツエクストラ』では
黎明編(第1話)前後での様子が描かれた。
ウィンをはじめとした新人スタッフ達を集め、「研修」の名目でその過酷な裏側を見せつけ、あるいは体験させた。
グランプリの各ミッションは相応に過酷であるため、事の重大さ、及び運営に携わる者の責任の大きさを認識させるためだろうと思われる。
時が経ち黎明編の最終戦が開始され、サロンのコンシェルジュとしてゲームの状況を見ていたが、勝者が決定した直後に真島一樹率いるDGPスタッフらがくすねたライダーコアIDで願いを叶えようと謀反を起こす。
しかし、スタッフ内部に不穏な動きがあることを察していた彼は、逆に裏切らないだろうと見込んでいたウィンに事前に用意していたコアIDを渡し仮面ライダーパンクジャックに変身させ、自らもゲームマスターとして制裁するため仮面ライダーグレアに変身。
DGPスタッフの警備隊ライダーを、ヒュプノレイによるリモートコントロールにより強制鎮圧した。
その後、デザ神になった浮世英寿を警戒するようにウィンに指示。本編へと繋がることとなる。
末路
- 第16話「謀略IR:キツネ狩り」
ギーツ/英寿の存在を許さないギロリは、敗者復活戦「キツネ狩り」を開催し彼の排除を画策。「ヒュプノレイ」を装着させたGMライダー2人を「猟犬」として送り込み、「最終ゲーム」として景和と祢音にデザ神に就任してもらう代わりに、「狩人」として追い詰めたギーツを排除させようとした。
英寿の「くだらない」願いのために自分の願いを棄ててはならない、と景和を焚きつけたうえでコマンドツインバックルを与えて揺さぶりをかける一方、洗脳しておいたパンクジャックを自爆させギーツと心中させようとするという、もはや擁護のしようがないほどの凶行に走ってしまう。
しかも、それがギーツの抵抗で失敗したその直後に「パンクジャックめ、最期まで役立たずだったか。」と吐き捨てていた。
そして、ライダー同士を戦わせる理由を「世界を守るためにギーツに代わる救世主が必要であり、そのための試練である」と主張した。
その後、ギーツとタイクーンが戦闘している隙に自らギーツを粛清しようとグレアに変身し攻撃を試むも、それを事前に予測していたタイクーンのコマンドツインビクトリーで相殺され、更には祢音が父親である鞍馬光聖を通じて「ゲームプロデューサー」であるニラムに告発したことで、彼女とともに現れたニラムに攻撃の瞬間を見られてしまう。結果、ゲームマスターの座を剥奪されることを宣言され、逆に窮地へ追い込まれてしまい、その際に英寿の願いを公然と「くだらない」と一蹴した。
確かに参加者のほとんどは私利私欲に塗れた人物であり、ギロリからすれば彼らは愚かで自分勝手な連中に見えただろう。そんな彼にとっては、英寿の「自分がDGPのスタッフになっている世界」という願いは「奇妙」にして「危険」な「叶える価値の無いもの」に映ったかもしれない。
しかし……。
タイクーン「どんな願いだって、命を懸けて戦う限り立派な願いなんだ…それをくだらないなんて言うあんたが許せない!あんたは、みんなの思いを踏みにじったんだ!」
戦いを通して成長した景和に正論をぶつけられてしまい、感情の制御が効かなくなり激昂。自棄になってプレイヤーを「強制退場」させるべく、襲い掛かった。
最初こそグレアの高いスペックもあり互角以上に戦っていたが、自棄になっていたうえに3対1の数的不利な状況を打開できるはずもなく徐々に押され始め、最終的はナーゴのタクティカルファイアとタイクーンのタクティカルレイジングを防いでいる隙に叩き込まれたギーツのコマンドツインビクトリーによるライダーキックで吹き飛ばされ敗北。
それでも往生際悪く抵抗するものの、最後は「これ以上、大切なプレイヤーを傷つけられては困る」と割って入ったニラムのプロデューサー権限(指パッチン)によってグレアの変身を強制解除させられた後、「ルール違反」の罪で強制的に消滅させられた。
「ジャマトは今も成長し続けている!私が仕切らないで、あいつらとどう対抗するって言うんだ!」
消滅する寸前にそう言いながらニラムに向かってパンチしようとするも、既に実体が消えかかっているため当たらず、「あなたの代わりはいくらでもいる」と容赦なく切り捨てられたことで、悔しさと無念の入り混じった表情を見せながらドライバーを残して消え失せたのだった。
明確な生死は不明であるが、公式では「更迭」とされており単純に未来に強制送還された可能性も否めない。
その後、後任のゲームマスター・チラミに「硬派すぎた」、「全員が世界平和のハッピーエンドだけを願って観ているわけじゃない」などとこき下ろされたほか、ジットは自身と正反対の信念を持つ彼のことを意識してか「自分は世界平和に興味はない」と語っている。
また、ギーツⅨ初変身時に英寿が「俺は忘れない…この世界の全てを!」と主張した際の回想にはギロリやツムリと家族として過ごした時の思い出もあり、彼なりに思う所があったようだ。
そして…
創世編での活躍
英寿 「………おかえり。」
「きっと、ここへ帰ってくると思っていたよ。」
「"父さん"。」
「運営に抗うとは…相変わらず大胆不敵な男だな…」
- 第48話「創世Ⅹ:ツムリの鎮魂歌」
創世編の終盤にDGPのエグゼクティブプロデューサー・スエルが仕掛けた「終幕のデザイアグランプリ」の開始に伴い、脱落・逃走するプレイヤーを粛清する目的で「ゲームマスター」が全世界へ大量に投入される。その中にはなんと「更迭」されたはずのギロリも混じっており、ゲームマスターとしてまさかの再登場を果たすこととなった(どうやらスエルの指揮のもと駆り出されたらしい)。
しかし、彼は一部のVIPのみの需要に応えて世界を破滅へと導こうとするスエルのやり方に賛同せず、かつて英寿とツムリとともに生活していた家を訪れ、そこでひと足早くやってきていた2人とも再会を果たした。
その後、英寿達に世界の命運を託す覚悟を決め、彼を創世の間に案内する。世界の破滅を望むVIPのみを優遇し、「世界を守るゲーム」だった自身のDGPとは程遠いやり方のスエルに対し、
「デザイアグランプリはいつから一部のVIPのみを楽しませるコンテンツになったのだ!」
と激しく抗議。
スエルからは「全ての原因はギーツだ」と返され、かつてはギロリ自身も英寿=ギーツを目の敵にしていたという指摘を受けるものの、
「しかし彼は今、世界平和に貢献しようとしている!彼こそが、我々が求めていた"仮面ライダー"のあるべき姿ではないのか!」
と、かつてあれだけ険悪な仲であった英寿のことを自分が求めていた仮面ライダーであると認め、自身より圧倒的に立場が上であるスエルに対して運営のあるべき姿を説いたのだった。
- 第49話(最終話) 「黎明Ⅰ:ここからがハイライトだ!」
神となった英寿が世界を「誰もが幸せになれる世界」に創り変えたことで、存在基盤を失った運営が消滅し始める。ゲームマスターたる自らも消滅するとすでに悟っていたのか狼狽える様子を一切見せないまま、4次元ゲートも閉じられ元の時代に帰ることもできず錯乱していたサマスの元に現れた。
「言ったはずだ。お前たちの思い通りにはならないと。これがオーディエンスの総意。我々運営は消え去り、この時代の未来はこの時代の者たちに託される…!」
落ち着いた様子でこう説き伏せると、遥か過去に生きる者たちの希望ある未来を願いながら、サマスや黒いツムリと共に消滅していった…。
こうして、世界平和を志し、現代人の可能性を認めたゲームマスターはその役目を終えたのだった。
最後に英寿が「誰もが幸せになれる世界」を創ったことで、彼の願いも叶ったといえるのではないだろうか。
そして彼の志は、代償なく幸せになりたい人々の願いを応援する新しいDGPや、現役復帰を目指す者、人とジャマトの共生を願う者、美味しい肉を食べたい者、大量の願いを叶えたい者、白馬の王子様を求める者、そして自身と同じく「世界平和」を願う者などに受け継がれている。
きっと、彼もどこかでこの世界の未来を見守っていることだろう…
また、後に未来人はリデザインが可能であるという設定が明かされたため、彼もリデザインされてジーンらが運営する新たなデザイアグランプリに関わってほしい...という声もある。
現代人を尊重できるようになった彼の姿勢は新しいデザグラの理念にも合致する上にゲームマスター経験者ということもありまさに適任だろう。
余談
- 名前の由来は恐らくツムリと同じく目の動作で、「ギロリと睨む」だと思われる。上記の第2話での言動を考慮すると、参加者がルールを厳守しているかどうかを見守る「監視者」としての役割もあると思われるため、この名前はピッタリといえる。
- 演じる忍成氏は『劇場版 仮面ライダーウィザード inマジックランド』にてマヤ大王の役を演じている。こちらではとある理由で仮面ライダーに変身できなかった。また、過去には「生き残りをかけた命がけのサバイバルゲーム」の元祖ともいえる作品である「バトルロワイアル」の映画版第2弾「バトルロワイアルⅡ」にも出演していた。
- グレアが登場する前は変身後の仮面ライダーのデザインを予想する者もいた。
- 第14話あたりから詰めが甘いと言わざるを得ない行動が増えてきている。
- ウィンに向かって「『脱落しても記憶は保持される』という約束を反故にして通常の参加者と同列に扱う」ことをわざわざ言ってしまったせいで反旗を翻される(そもそも脱落したら記憶が消えるので、黙っておけば離反されることも無かった)。
- 英寿が最初に叶えた「俺が死ぬまでデザイアグランプリに参加できる世界」が有効である以上、逆説的に「いかなる状況下であろうと浮世英寿は仮面ライダーたる資格を得られる」にもかかわらず、殺して脱落させるのではなく失格という形で排除してしまう。
- とはいえ、15話冒頭で家族を引き続き演じつつその日のスケジュールを聞いてから(おそらく)ジャマトを差し向けた辺り、まず変身権限を奪い無力化した上で始末しようとしていた節もある。もっとも、願いが途中参加でも有効なことに気づいて無かった辺り、やっぱり戦略ミスではあるのだが。
- ちなみに景和の願いが『退場者の復活』であるため、殺したとしても景和がデザ神になった場合英寿の復活が確定してしまう。デザイアグランプリに参加していない時に英寿が死んでしまった場合、どういう判定になるのかはわからないが。
- ただ、上記の度重なる失策や数々の強引な手法を見るに、根が真面目であるが故に謀略や駆け引きなどを苦手とするギロリが謀略に長けた英寿を前にして焦ってしまい、それを無理にやろうとしていたのかもしれない(後述の『ギーツエクストラ』に登場した際も、「従わなければ力ずくで従わせるのみ」と、そんな人格が垣間見える台詞を発している)。いずれにせよ、たった一人の脱落のためだけになりふり構わず悪に走った彼の行為は擁護のしようがないものであるため、英寿達やニラム、視聴者に呆れられても仕方がないといえる。
- また、ウィンや景和の願いへの対応を見ると、「(英寿以外の)プレイヤーは身内であってもゲーム参加者として公平に扱い、デザ神の意見は叶える」という基本スタンスを重要視しているのでは?ともとることができる。いずれにしても根が真面目であり柔軟になりきれなかったのだろう。
- ゲームマスターであることを利用して暴虐を尽くした果てに16話で自業自得の末路を迎えた…ように見えたが、MOVIEバトルロワイヤルでの発言やプレイヤーに正体発覚前までは何かしら手助けをしたりと好意的な一面もあったことから根は良い人物だった可能性もあり、運営の一員となった英寿に好き勝手されるのを防ぐため焦ってなりふり構わず英寿を落とそうとしたところが彼の失敗点と言える。
- ゲームマスター権限を使ってごり押しにも近いやり方で排除しようとせず、力強く警告・諌めるなどして諦めさせていればギロリも好印象なままでいられたかもしれない(英寿の性格上、簡単に諦めるようには思えないが)。公式でも「卵の殻を片付けていた紳士なギロリさんはどこへ…」と言及されている。
- ギロリが早々に退場したのは「忍成氏が『相棒』や『大病院占拠』に出演するからであり、スケジュールの都合ではないか?」というメタ的な推測がされている。脚本担当の高橋悠也も、それを考慮した上で年内で退場する予定を当初から考えており、退場もデザイアグランプリの内情を紐解いていく過程で必要だと思ったとのこと。これまでの前例から「もしかしたら、また復活するんじゃない?」といった再登場を期待する声もあるものの、多忙な忍成氏が再出演する可能性はかなり低いと思われていたが、第48話で再び登場。32話(約8ヶ月ぶり)ぶりの出演を果たした。
- 忍成氏も「ついにギロリが戻ってきました。ラスト間近での再登場、作品の始まりと終わりに関われて幸せでした。最後まで演じてみてギロリには彼なりの正義があったのかなと感じます。『皆が幸せになれる世界』がギロリの望む世界と交わるのか、それとも…。最後までお楽しみください!」とコメントし、再登場を喜んでいた。
- そして最終回を迎え、忍成氏は「ギロリの願いも最終的に叶ったのかな。」とコメント。ギロリの望みと『皆が幸せになれる世界』は確かに交わることができたのだろう。
- 忍成氏は16話で一度オールアップを迎えているため、今回で2回目のオールアップとなった。
- 悪辣な面が目立っていたギロリだが、公式から「歩くトラブルメーカー」と称されるほどの大失態を犯しているチラミやろくでもないゲームを開催して世界を混沌に陥れようとしたコラス、世界平和に微塵も興味がないバッドエンド請負人のジットなどと比べれば、「世界を守るためのゲーム」を行っていた彼は至極真っ当な運営をしていたと言える。また、運営の誰よりも速くジャマトの進化に気付き対処しようとしている点も評価可能。
- 結果的に暴走してしまったとはいえ、裏方に徹して本人なりに真面目にデザイアグランプリを進行していたギロリは、(英寿の排除にさえ執着しなければ)ゲームマスターとしてはまだまともな部類だったのではないかと視聴者から再評価され始めている。
- 英寿を排除する理由も、このまま勝ち続けた場合「ギーツの不敗神話」がいずれ「どうせまたギーツが勝って終わりの出来レースだろ」という反応に変わり、マンネリ化と観客離れを引き起こしてデザイアグランプリの存続を脅かす恐れがあるからであり、これはDGP存続を第一とするギロリにとっては看過できない事態だった。
- 実際、彼のやり方を「硬派すぎる」と評し躊躇うことなく素顔を晒していたチラミは、それが遠因となりヴィジョンドライバーを奪われただけでなく変身に必要な指紋すらもコピーされてしまうなどの大失態を犯していたが、マスクと手袋で徹底的に正体を隠していたギロリなら簡単にドライバーを奪われることはなかったかもしれない。
- その後も本編が進む度に、曲者揃いの運営幹部と対比する形でギロリの評価は少しずつ上がっており、いつしかファンの間では「ギーツに固執さえしなければ運営として有能な男」として認識されるようにもなっている。
- 加えて前述の劇場版や上述の外伝における言動から、世界平和を望む志やデザイアグランプリに対する信念は本物であることがうかがえ、倫理観がズレている者の多い未来人の中では寧ろ異端とも言える価値観の持ち主だったと見て良いだろう。
- ちなみに、英寿の「俺がデザイアグランプリの運営になっている世界」という願いを「くだらない」と一蹴していたが、創世の女神の真実を知った上でこの言葉を聞くと180°意味が変わる。
- もし創世の女神の真実を知っていたと仮定すると、「こんな願いで女神の力を使うのか=人々の幸せを消費してしまうのか」との嘆きが詰まっているようにもとれる(仮に知らなかったとしても、今後の展開の暗示をしているかのようである)。事実、真相を知った景和も似て非なる言い回しで英寿に怒りをぶつけている。
- ただし、景和の怒りに対して言い返せなかったとは言え、この件を知らない英寿には非はなく、同じく真実を知った英寿も「母親に会う」という本当の目的もあって、本格的に運営と敵対しており、闇堕ちした仲間が女神の後継者を作ろうとした所業に対して「運営と同罪」と非難している。
- これらの出来事は全てギロリ退場後のものであり、本編では英寿とギロリが創世の女神の真実を巡って争う事自体は無かったものの、もし邂逅編・謀略編で英寿が真実を知ってしまった場合、他の運営幹部と同様、英寿の怒りがギロリにも向けられていた可能性も否定できない。
関連タグ
仮面ライダーギーツ デザイアグランプリ デザイア神殿 ︎︎DGP運営 仮面ライダーグレア ゲームマスター