概要
史実で「第九駆逐隊」は5回編成されており、うち艦娘で第4代及び第5代の第九駆逐隊を編成できるが、本稿では第5代の第九駆逐隊を中心に解説する。
第5代第九駆逐隊は朝潮型駆逐艦により編成された駆逐隊である。ただ、結成当初は横須賀鎮守府所管の駆逐隊が1駆から10駆まで全て埋まっていたため、横須賀鎮守府所管の11番目の駆逐隊として「第四一駆逐隊」の名称が与えられ編成された。(ちなみに11~20駆は呉鎮守府、21~30駆は佐世保鎮守府、31~40(実際は34駆までしか編成されていない)駆は舞鶴鎮守府の所管をそれぞれ意味している。)
1938年11月に第4代9駆が佐世保鎮守府に転出、「第二七駆逐隊」に改名されたため空番となった隊名を受け継ぐ。
開戦時は第四水雷戦隊に編成された第9駆逐隊はソロモン諸島での諸海戦における損耗により「朝雲」単艦(※9駆を修理のため除籍されていた「山雲」は修理を経て別に活動している)となった。
1943年4月の編成替えで9駆は第一水雷戦隊に転籍、新規編成時第十二駆逐隊だった吹雪型駆逐艦(薄雲・白雲)を加える。
その後、開戦時に第二水雷戦隊の第十八駆逐隊所属だった霞・不知火が修理後この9駆に補充要員として加えられる一方で9駆最後のスタメン朝雲が第十駆逐隊(陽炎型・夕雲型)補充要員として転出した。
1944年3月、編入された艦のうち白雲が米潜水艦の雷撃により戦没。残された霞・不知火・薄雲により隊名が第十八駆逐隊に改められた。
先述の通り、開戦後まもなくして山雲が離脱した事もあってか、9駆はほとんどの期間で3隻編成だった(4隻編成だったの期間はわずか3か月強と短く、この編成では1943年9~10月の朝雲・白雲・薄雲・霞による編成の2か月間が最長だった)。
隊略史
1938年
初代第四一駆逐隊として横須賀鎮守府籍の朝潮型駆逐艦山雲、朝雲、夏雲、峯雲により編成
臨機調事件を受け蒸気タービン機関の改修を受ける
1939年
第九駆逐隊に改称
1941年
第二艦隊第四水雷戦隊に属し開戦を迎える。駆逐隊司令:佐藤康夫大佐
12月下旬 山雲が接雷し当隊より分離、のち、横須賀鎮守府警備駆逐艦を経て第四駆逐隊に編入
1942年
2月 スラバヤ沖海戦(朝雲、峯雲)
6月 ミッドウェー海戦 攻略部隊として参加 ※四水戦旗艦 那珂→夏雲→由良
6月〜7月 アリューシャン方面攻略部隊に一時編入
8月 第二次ソロモン海戦
10月 サボ島沖海戦 夏雲戦没
10月 四水戦旗艦由良戦没 朝雲、臨時旗艦を継承
11月 第三次ソロモン海戦、四水戦旗艦を長良に継承
1943年
2月 ケ号作戦 駆逐隊司令 佐藤康夫大佐は8駆司令に転出、小西要人大佐(前職7駆司令)着任
3月 第81号作戦
3月 ビラ・スタンモーア夜戦 峯雲戦没
7月 キスカ島撤退作戦に従事
8月 駆逐隊司令 小西要人大佐は巡洋艦阿武隈艦長に転出、井上良雄大佐(前職雲鷹副長)が着任
1944年
3月 不知火型 不知火編入、白雲戦没、隊名を第十八駆逐隊に改名
実装艦娘
本駆逐隊に属した艦は以下の通り。
4代目「第九駆逐隊」
こちらは、開戦時の「第二七駆逐隊」である。詳細は当該記事に譲る。
白露型の白露・時雨はサービス開始時点で実装。有明は2020年6月、夕暮は2023年3月にそれぞれ実装された。第5代9駆編入艦「白雲」も2023年8月に実装されたため、第十駆逐隊、第二駆逐隊に続き、2代の駆逐艦が勢揃いした。
5代目「第九駆逐隊」
本項における第九駆逐隊はこちらの5代目の方を指している。
初期編成の各艦は朝潮型。史実では当初は「第四一駆逐隊」だった。「夏雲」は初期状態の編成ボイスでは「第四一駆逐隊」所属を名乗っている。(第2代「第四一駆逐隊」の所属艦は現状スタメンが冬月、編入艦が涼月、雪風の計3隻のみ実装中。)
捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(前篇)及び捷号決戦!邀撃、レイテ沖海戦(後篇)の舞台となった時期、史実では「朝雲」「山雲」は第四駆逐隊所属だったが何故か彼女らは当該イベントの時期も「第九駆逐隊」所属を名乗っていた。(担当声優を招聘できなかった…?)
また、史実で当該イベントの舞台となった頃にはこの第九駆逐隊は「第十八駆逐隊」に再編成され、元々第十八駆逐隊所属で開戦を迎えた「霞」「不知火」が生き残っていた。
2014年秋イベント「発動!渾作戦」ドロップ艦として実装。
現在は特定海域のドロップ艦として入手可能。
2014年12月 通常海域に実装。
2022年8月(夏イベ)「大規模反攻上陸!トーチ作戦!」ドロップ艦として実装。
彼女の実装により朝潮型全艦が実装完了となった。
2018年12月(2019年冬イベ)「邀撃!ブイン防衛作戦」海域突破報酬として実装。
朝潮型及び当駆逐隊初期所属艦娘唯一の海域突破報酬艦である。
編入艦
2020年6月、侵攻阻止!島嶼防衛強化作戦第1海域突破報酬として実装。第十二駆逐隊、舞鶴防備隊、第五艦隊付属を経て1943年4月1日付で編入。白雲は第12駆時代の僚艦である。
開戦時に元居た第12駆を除籍されていたためか、復帰後の第9駆逐隊・継承した第十八駆逐隊所属を名乗る。担当声優も吹雪型としては唯一上坂氏ではない点も含め珍しい存在である。
2023年8月、船団護衛!輸送航路防衛戦第4海域突破報酬として実装(ただし事前情報として「吹雪型駆逐艦」の増備の予定があるとされ、バナーでは朝雲、薄雲、霞と共に登場しているものの、期間限定海域投入時のアナウンス(Xポスト)が遂に彼女及び当該海域に限り投稿されなかった。)。第十二駆逐隊、第二十駆逐隊を経て1943年4月1日付で編入。薄雲は第12駆時代の僚艦である。なお、彼女の実装をもって戦時中に第一水雷戦隊に所属していた艦は全艦が実装された。
2ヶ月弱ではあるが、朝雲と在籍期間が重なる。第十八駆逐隊で開戦を迎えるが損傷に伴い第18駆が解散され修理を受ける。修理後の1943年9月1日編入。
第十八駆逐隊における霞の僚艦。同じく修理後第九艦隊を経て1944年3月1日編入。(この時点で「朝雲」は第10駆所属。)
編入艦のうち、元の第18駆逐隊第一小隊(浦賀船渠組)はコモン艦であり、割とどこでも入手可能。「艦これ」いつかあの海ででは志摩艦隊の一員としての登場でどちらかと言えばモブキャラに近い扱いではあった。朝雲・山雲(及びモブ扱いであった不知火も)リタイア後残存した霞は第4話以降矢矧隷下の第二水雷戦隊所属艦として最終話まで活躍した。矢矧と”矢矧二水戦”が対面するシーンにて霞が号令をかけているが、史実のこの時点で事実上の二水戦旗艦(作戦行動中)が霞だったことを踏まえたものと考えられる。
スタメン組(元々の第9駆逐隊)はレア艦で、朝雲は1-6,6-4、山雲は2-4や3-3等、峯雲は7-5で出現するようだが入手できる海域が極めて少ない上に出現率も低め。山雲の初出が通常海域投入であったため、イベント先行投入の朝雲・峯雲にはなかなかお目にかかれない。夏雲は未だイベント限定。なお、最終所属が第四駆逐隊の朝雲・山雲は「艦これ」いつかあの海でに主役「時雨」の僚艦として出演。(第1話~第3話。第4話で「除籍」された)当該作品内限定でお互いを「朝ちゃん」「山ちゃん」と呼び合う他、「第四駆逐隊」所属を自称した。(ゲーム内ではこれらの表現は実装されていない。当該作品公開を契機に朝雲・山雲の改二実装が期待されているが果たして…)
薄雲と白雲は叢雲も属した第十二駆逐隊が古巣。第九駆逐隊への編入前薄雲は戦没した子日の後任として第五艦隊の指示下第二一駆逐隊と行動をともにする形で第一水雷戦隊に編入されていた。先述の通り9駆に移動した際に9駆が一水戦に編入されたので引き続き一水戦所属となった。また、白雲は第12駆解散後狭霧戦没後の補充として第二十駆逐隊に編入していたが薄雲と同時に第9駆に編入となった。
「薄雲」の実装で「キスカ島撤退作戦」参戦駆逐艦が全艦揃った。本駆逐隊からはこの「薄雲」と「朝雲」が参加している。(白雲は当該作戦実施直前「沼風」と衝突して当時入渠中。この時点で霞は修理明けで第十一水雷戦隊にて訓練と燃料予熱装置の調整中、不知火は修理続行中だった。)
「朝雲」は、第三水雷戦隊(第八艦隊)指揮下の「第八十一号作戦」と、第一水雷戦隊(第五艦隊)指揮下の「キスカ島撤退作戦」、いずれも木村昌福少将指揮下で作戦に従事したことになる。
それぞれの艦、その後
山雲は1942年早々に大破し長期入渠。横須賀鎮守府警備駆逐艦として単独で輸送任務に就き、その後第四駆逐隊に編入。レイテ沖海戦・西村艦隊に属して戦没。
朝雲は1943年4月の異動で一水戦に編入し10月末第十駆逐隊に編入。44年6月の風雲戦没に伴う解隊により第四駆逐隊に編入。山雲と共に西村艦隊に所属して戦没。
薄雲は1943年4月の異動時に第9駆に編入。キスカ島撤退作戦にも参戦。44年3月の解隊・第18駆再編成にも加わり新生第18駆の一員として引き続き一水戦で北方護衛任務に従事。44年7月、実装イベのモチーフでもあるキ504船団の護衛任務を第7駆の曙・潮と共に遂行中、米潜水艦「スケート」の雷撃で戦没した。
白雲は1943年4月の異動時に薄雲同様9駆に編入。元は薄雲と同じく12駆の所属艦だったが、12駆解散後は開戦直後戦没した狭霧の補充として20駆に編入していた。キスカ島撤退作戦直前の対潜哨戒中1駆「沼風」と衝突事故を起こし大湊で修理。「霞」編入後修理を終え北方海域で活動していたが1944年3月、合流の遅れていた「不知火」を除く9駆3隻での船団護衛中、米潜水艦「トートグ」の雷撃により戦没した。なお、この「トートグ」、約1年前に妹の「磯波」も屠っている。
霞は1943年9月に9駆に編入。10月末の朝雲転出に際し司令駆逐艦を継承。この時点で9駆スタメンは全て戦没あるいは転籍となった。不知火が44年3月に編入(司令駆逐艦を霞から継承)。3月末日に隊名を第十八駆逐隊と改称した。
実装履歴
艦名 | 実装日 | 艦型 | 備考(改二実装、異動等) |
---|---|---|---|
朝雲 | 2014.11.14 | 朝潮型 | 10駆→4駆(西村艦隊) |
山雲 | 2014.12.26 | 朝潮型 | 修理除籍→横須賀防備隊→4駆(西村艦隊) |
夏雲 | 2022.8.26 | 朝潮型 | |
峯雲 | 2018.12.27 | 朝潮型 | |
薄雲 | 2020.6.27 | 吹雪型 | 12駆→除籍修理(舞鎮付)→5艦隊付より編入→18駆 |
白雲 | 2023.8.9 | 吹雪型 | 12駆→20駆より編入 |
霞 | 2013.4.23 | 朝潮型 | |
不知火 | 2013.4.23 | 陽炎型 |
※実装日のリンク先は実装された期間限定海域記事へのリンク
その名を継ぐ者たち
戦後、海上自衛隊に名前が受け継がれている艦船は次の通り
- 「みねぐも」型護衛艦:「みねぐも」(峯雲)、「なつぐも」(夏雲)
- 「やまぐも」型護衛艦:「やまぐも」(山雲)、「あさぐも」(朝雲)
- 「あさひ」型汎用護衛艦(現役):「しらぬい」(不知火)
関連タグ
船団護衛!輸送航路防衛戦…2023年夏イベ前段作戦。作戦バナーが当駆逐隊(一水戦時代)の4名。
スタメン転出先:第十駆逐隊(朝雲) 第四駆逐隊(朝雲・山雲)
転入組関係:第十八駆逐隊(霞・不知火・薄雲) 第七駆逐隊・第二一駆逐隊(霞)
第十二駆逐隊(薄雲・白雲) 第六駆逐隊(軍隊区分)・二一駆(軍隊区分)(薄雲)
2019年、2021年艦これカレンダーで「有明」「夕暮」らしき2隻の艦娘が描かれていた。