本記事では運営会社及び運営路線の「錦川清流線」について記載する。
会社概要
1984年(昭和59年)6月22日に日本国有鉄道(国鉄)の第二次特定地方交通線として廃止が承認された西日本旅客鉄道(JR西日本)岩日線を転換する為、国鉄民営化と同日の1987年(昭和62年)4月1日に設立された第三セクターの鉄道会社で、株式会社。同年7月25日から錦川清流線を運営している。
本社所在地は山口県岩国市の錦町駅構内。主要株主は沿線自治体及び地元企業である。
収益改善の為鉄道事業以外にも国鉄未成線である岩日北線の跡地を利用した「とことこトレイン」の受託運行、旅行業務、岩国市生活交通バスの受託運行、レンタサイクル、岩国城及びロープウェイの管理も行なっている。
本業の鉄道事業は開業以来赤字続きだが、その他事業の収益や補助金で経営を維持している。しかし赤字額が大きくなっている事から、2025年(令和7年)以降存廃協議が予定されている。
路線データ
路線名 | 錦川清流線 |
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路線区間 |
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路線距離 | 32.7km |
軌間 | 1,067mm |
駅数 |
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信号場数 | 1箇所 |
最高速度 | 80km/h |
非電化区間 | 全線 |
単線区間 | 全線 |
閉塞方式 |
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保安装置 | ATS-SW |
第一種鉄道事業者 | 錦川鉄道 |
概要
川西駅と錦町駅を結ぶ錦川鉄道の鉄道路線。平成の大合併により山口県岩国市内で路線が完結する。第二次特定地方交通線として廃止が承認されたJR西日本岩日線を引き継ぎ、1987年7月25日に開業した。
途中森ヶ原信号場からJR西日本岩徳線と合流し、全列車が岩国駅まで乗り入れている。
その名の通り錦川沿いに路線が伸びている。
未成線(岩日北線)
元は岩日線として岩国駅と山口線日原駅(島根県鹿足郡津和野町)を結ぶ路線として計画された。
国鉄末期の1984年6月22日に第二次特定地方交通線として廃止が承認されると、日本鉄道建設公団(鉄道公団)によって建設工事が行われていた錦町駅以北の岩日北線区間は未成線として工事が凍結された。
しかし大半の路盤が完成していた為、有効活用策として玖珂郡錦町(現・岩国市)により錦町駅から周防深川駅予定地近くの雙津峡温泉までを「岩日北線記念公園」として整備した。
前述の通りゴムタイヤ遊覧車「とことこトレイン」も旧錦町及び岩国市から錦川鉄道に運行業務を委託されている。
沿革
- 1960年(昭和35年)11月1日:国鉄岩日線として川西駅〜河山駅間開業。御庄駅、南河内駅、北河内駅、椋野駅、南桑駅、根笠駅、河山駅開業。森ヶ原信号場開設。
- 1963年(昭和38年)10月1日:河山駅〜錦町駅間延伸。柳瀬駅、錦町駅開業。
- 1971年(昭和46年)3月1日:行波仮乗降場開業。
- 1974年(昭和49年)10月1日:貨物営業廃止。
- 1984年6月22日:第二次特定地方交通線として廃止承認。
- 1987年4月1日:国鉄分割民営化に伴いJR西日本が第一種鉄道事業者として継承。行波仮乗降場を駅に昇格。錦川鉄道株式会社設立。
- 1987年7月25日:JR西日本が岩日線の第一種鉄道事業廃止。錦川鉄道が第一種鉄道事業者となり錦川清流線に改称。
- 1993年(平成5年)3月18日:守内かさ神駅開業。
- 2007年(平成19年):NT3000形の運用を開始。
- 2008年(平成20年):NT2000形の運用を終了。
- 2013年(平成25年)3月16日:御庄駅を清流新岩国駅に改称。
- 2017年(平成29年)9月16日:東日本旅客鉄道(JR東日本)から譲渡されたキハ40形1009編成の運用を開始。
- 2019年(平成31年)3月19日:(臨)清流みはらし駅開業。
運行形態
全列車が岩国駅〜錦町駅間の運行で、途中駅までの区間列車は存在しない。ワンマン運転を行っている。
定期列車は概ね1時間半に1本の運行頻度だが、日中に最長3時間以上列車間隔が開く時間帯が存在する。
2017年にJR東日本烏山線で運用されていたキハ40-1009を購入して以降は、同車両を「レトロ調車両」としてイベント列車で運用している。なおイベント列車は定期列車が全て通過する清流みはらし駅に停車する。
駅一覧
現存区間
岩徳線区間も記載。接続する路線は全てJR西日本。
※:錦川鉄道転換後に開業した駅
駅名 | 乗換路線 | 備考 |
---|---|---|
岩国 | 山陽本線(JR-R16) | |
西岩国 | ||
↑JR西日本/↓錦川鉄道 | ||
川西 | 岩徳線徳山方面 | JR西日本管理駅 |
森ヶ原信号場 |
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清流新岩国 | 山陽新幹線(新岩国) | |
守内かさ神※ | ||
南河内 | ||
行波 | ||
北河内 | 列車交換可能 | |
椋野 | ||
南桑 | ||
(臨)清流みはらし※ | 定期列車は通過 | |
根笠 | ||
河山 | ||
柳瀬 | ||
錦町 |
岩日北線未成区間
使用車両
全て錦町車両基地所属。
現在の使用車両
- NT3000形
現在全ての定期列車で使用されている気動車。
- キハ40形1009編成
JR東日本から譲渡された一般形気動車。
レトロ調車両としてイベント列車で運用されているが、2023年(令和5年)に1日だけ定期列車で運用された。
過去の使用車両
錦川鉄道転換後の車両のみ記載。
- NT2000形
錦川鉄道転換時から運用されていた気動車。老朽化に伴いNT3000形に置き換えられ引退した。