『私《Vivy》が、私《AI》を滅ぼす物語―』
『―私の使命は、歌でみんなを幸せにすること。』
概要
『Vivy -Fluorite Eye's Song-』とは、WIT STUDIO制作の、SFと歌をテーマとしたオリジナルテレビアニメーション。
2021年4月よりTOKYOMX、とちぎテレビ、群馬テレビ、AT-XおよびBS11ほかにて放送された。全13話。初回は放送時間を1時間に拡大し、1話と2話が連続して放送された。また全話放送後に特別総集編も放送された。
原案・脚本・シリーズ構成は『Re:ゼロから始める異世界生活』などで関わりのある、長月達平と梅原英司の2名。
公式略称は「ヴィヴィ」。余談だが、正式名称の「Vivy -Fluorite Eye's Song-」は検索エンジンの除外検索にひっかかってしまうため、「ヴィヴィ」もしくは「Vivy」、あるいは本記事のタイトルのようなスペースを除いた表記で検索することを推奨する。(本現象に関しては後述のリンクを参照の事)
なおPixivでは「Vivy-FluoriteEye'sSong-」あるいは「Vivy」のタグが作品タイトルを、「ヴィヴィ」のタグが主人公であるヴィヴィ(ディーヴァ)を指すような運用がなされているようだ。
主演の種﨑敦美と福山潤などが出演するインターネットラジオ番組が、音泉およびYoutubeにて4月7日より配信中。奇数回は映像付きのVisual sideが配信される。
また山高守人の作画によるコミカライズが4月10日からMAGCOMIにて連載中。
加えて、小説「Vivy prototype」全四巻発売中。詳細は後述。
ちなみに、令和初の自律型ロボットがメインとなるアニメである(平成最後の自律型ロボットがメインの作品はBEATLESS)。
第53回星雲賞のメディア部門にノミネートされた。対する相手は大怪獣と巨大ロボット、同じAI自立型ロボといったメンバーが揃っている。
特徴
前述の通りSFをテーマとしているが、わかりやすさを優先して難解な用語、設定は極力排除されている。
その分キャラクターのドラマに注力されており、各ゲストキャラと主人公ヴィヴィとその相棒マツモトの織り成す物語が2話ないし3話をひと単位としたオムニバス形式で描かれる。
そして、「Fluorite Eye's Song」(直訳:蛍石の瞳の歌)というだけあって、ヴィヴィをはじめとするAIキャラの瞳のレンズが大きく写され、特殊な処理が施された印象的なカットが要所要所で入る。非常に手間のかかる作業だそうだが、AIのボディの無機質さを強調する特効処理カットは場面の印象付けに一役買っている。
また、ノベライズの「Vivy Prototype」は本作の「原案小説」とされ、アニメの脚本制作に先立って執筆されている。すなわち一般的なアニメの原作に相当する。ほとんどのオリジナルアニメのノベライズは前日譚やスピンオフであり、アニメ制作という観点からもあまり見られない手法といえる。この手法は、今までオリジナルアニメ作品のシリーズ構成の経験のなかった梅原氏が、小説から脚本を制作するという自身の慣れ親しんだ流れを踏襲するために行われた。
ストーリー
(公式サイトより引用)
“ニーアランド”、それは夢と希望と科学が混在したAI複合テーマパーク。
史上初の自律人型AIとして生み出され、施設のAIキャストとして活動するヴィヴィは日々、歌うためにステージに立ち続ける。しかし、その人気は今ひとつだった。
――「歌でみんなを幸せにすること」。
自らに与えられたその使命を果たすため、いつか心を込めた歌を歌い、園内にあるメインステージに立つことを目標に歌い続けるヴィヴィ。
ある日、そんなヴィヴィの元に、マツモトと名乗るAIが現れる。
マツモトは自らを100年後の未来からきたAIと話し、その使命は「ヴィヴィと共に歴史を修正し、100年後に起こるAIと人間との戦争を止めること」だと明かす。
果たして、異なる使命を持つ2体のAIの出会いは、どんな未来を描き直すのか。
私《Vivy》が、私《AI》を滅ぼす物語――
AIの『歌姫』ヴィヴィの、百年の旅が始まる。
キャラクター
AI
史上初の自律人型AIで、人類に仕える歌姫。
「歌でみんなを幸せにすること」がAIとしての使命。
100年後の未来からヴィヴィのもとを訪れたAI。
「AIと人類の戦争を回避すること」がAIとしての使命。
宇宙ホテル「サンライズ」でライフキーパーとして働くAI。
「ライフキーパーとして人間のお世話をすること」がAIとしての使命。
- ルクレール(CV:山根綺)
サンライズのスタッフの少女型AI。エステラの同僚で、お喋り。
エステラの双子機。
病院や研究機関で働く看護AI。
「看護AIとして人間の命を助けること」が正史でのAIとしての使命。
- エム(CV:福島潤)
メタルフロートの作業用AI。
典型的ロボットなフォルムかつ挙動。
- オフィーリア(CV:日高里菜 / Vo:acane_madder)
各地の小劇場で働く歌姫AI。
「歌でみんなを幸せにすること」がAIとしての使命。
- アントニオ(CV:小山力也)
オフィーリアのパートナーAI。
「サウンドマスターAIとして、オフィーリアのサポートをすること」がAIとしての使命。
- アーカイブ(CV:大原さやか)
AI集合データベース。
世界中のAIのネットワークを管理している。
- ナビ(CV:泊明日菜)
ヴィヴィなどニーアランドの従業員が利用しているナビゲーションシステム。
2161年時点のニーアランドで稼働している歌姫型AIである事件より暴走。
人間
マツモトを開発したAI研究者。
歴史を変えるためにマツモトを100年前の世界に送り込む。
ヴィヴィのファンの少女で、ユズカ(CV:小原好美)の姉。
「ヴィヴィ」という愛称はモモカが考えたもの。
反AI集団「トァク」の構成員の青年。
ヴィヴィと出会い、彼女に執着心を抱き続ける。
- 相川ヨウイチ(CV:加藤将之)
AI寄りの法案「AI命名法」を推進する議員。
そのAI寄りの思想から反AI集団「トァク」に付け狙われる。
海上無人プラント「メタルフロート」の開発に携わったAI研究者。
正史ではグレイスと婚約し、「史上初のAIと人間のカップル」として注目を浴びた。
反AI集団「トァク」の穏健派グループのリーダー。
垣谷ユウゴの孫。
スタッフ
監督 | エザキシンペイ |
---|---|
助監督 | 久保雄介 |
シリーズ構成・脚本 | 長月達平、梅原英司 |
キャラクター原案 | loundraw(FLAT STUDIO) |
キャラクターデザイン | 高橋裕一 |
サブキャラクターデザイン | 三木俊明 |
メカデザイン | 胡拓磨 |
総作画監督 | 高橋裕一、胡拓磨 |
美術監督 | 竹田悠介(bamboo) |
美術設定 | 金平和茂 |
色彩設計 | 辻田邦夫 |
3Dディレクター | 堀江弘昌 |
撮影監督 | 野澤圭輔(グラフィニカ) |
編集 | 齋藤朱里(三嶋編集室) |
音響監督 | 明田川仁 |
音楽 | 神前暁(MONACA) |
音楽プロデューサー | 山内真治 |
プロデューサー | 高橋祐馬、伊藤整 |
アニメーション制作 | WIT STUDIO |
音楽
本作は音楽・歌が重要な役割を果たす。そのため音楽制作を一人の作家が受け持つのが相応しいとのことから、OP、ED、劇中歌、劇伴曲の全てを神前暁氏が監修する。劇伴、劇中歌の作編曲は神前氏が所属するMONACAの作家陣も共同で担当し、作詞は只野菜摘氏が全曲を手がける。
本作は100年という長い時間をかけて物語が進行していくため、劇伴は時代毎の変化を意識して制作されている。
劇中歌に関しては、時代を越えて歌い継がれるような普遍性がテーマとされている。したがって、歌い継がれる歌謡曲のような、普遍性のある歌詞を書ける作詞家として只野氏が起用された。
また、キャラクターの声の演技を担当するキャストには歌唱力に定評のある声優も多いが、歌に特化したスタッフィングをすることでよりキャラクターを魅力的に描けるのではないかとの考えから歌唱にはキャストとは別のボーカリストが立てられた。なお、既にデビューしているアーティストを起用するとどうしてもそのアーティストの色が出てしまい、あまり良い効果が得られないという思いからボーカリストには新人の歌手が起用されている。
主題歌・劇中歌
「Sing My Pleasure」(OP&5,6話劇中歌)
作詞 - 只野菜摘 / 作曲・編曲 - 神前暁 / 歌唱 - ヴィヴィ(Vo:八木海莉)
6話ではグレイス(Vo:小玉ひかり)の歌唱するアレンジバージョンが劇中歌として使われた。
「My Code」(1話)
作詞 - 只野菜摘 / 作曲・編曲 - 神前暁 / 歌唱 - ヴィヴィ(Vo:八木海莉)
「Happy Together」(1話)
作詞 - 只野菜摘 / 作曲・編曲 - 石濱翔 / 歌唱 - 汎用型歌姫AI(Vo:コツキミヤ)
「A Tender Moon Tempo」(3話)
作詞 - 只野菜摘 / 作曲 ・編曲 - 井上馨太 / ブラスアレンジ - 神前暁 / 歌唱 - ヴィヴィ(Vo:八木海莉)
「Ensemble for Polaris」(3話、4話)
作詞 - 只野菜摘 / 作曲・編曲 - 高田龍一 / 歌唱 - エステラ(Vo:六花)、エリザベス(Vo:乃藍)
「Galaxy Anthem」(7話、10話)
作詞 - 只野菜摘 / 作曲・編曲 - 神前暁 / ストリングスアレンジ - 高田龍一 / 歌唱 - ディーヴァ(Vo:八木海莉)
「Elegy Dedicated With Love」(7話、8話)
作詞 - 只野菜摘 / 作曲・編曲 - 広川恵一 / 歌唱 - オフィーリア(Vo:acane_madder)
「Harmony Of One's Heart」(9話)
作詞 - 只野菜摘 / 作曲 - 神前暁 / 編曲 - 石濱翔 / 歌唱 - ディーヴァ(Vo:八木海莉)
「Fluorite Eye's Song」(ED&13話劇中歌)
作詞 - 只野菜摘 / 作曲 - 神前暁 / 歌唱 - ヴィヴィ(Vo:八木海莉)(劇中においての作詞・作曲はヴィヴィ)
12話まではインストバージョンがEDとして、13話では歌詞付きバージョンが劇中歌として使用された。
その他の曲
「Happiness」
作詞 - 只野菜摘 / 作曲 - 神前暁 / 歌唱 - ヴィヴィ(Vo:八木海莉)
CD『Sing My Pleasure』に収録された、ヴィヴィのキャラクターソング。
リストのピアノ曲。8話、9話で劇中曲として使用された。
8話での演奏シーンにはロトスコープが用いられた。ロトスコープカットの実際の演奏は根本英亮。9話のピアノ演奏は森下唯。
CD
タイトル | 発売日 |
---|---|
Sing My Pleasure | 2021年5月26日 |
劇中歌収録アルバム「Vivy -Fluorite Eye's Song- Vocal Collection ~Sing for Your Smile~」 | 2021年6月30日 |
Vivy -Fluorite Eye's Song- Original Soundtrack | 2021年6月30日 |
関連動画
特報PV
第一弾PV
第二弾PV
コンセプトトレーラー#1
コンセプトトレーラー#2
コンセプトトレーラー#3
コンセプトトレーラー#4
制作発表会
PILOT MOVIE版
関連作品
スタッフ繋がり
- 戦翼のシグルドリーヴァ:本作と同じくアニプレックス製作かつ長月達平がシリーズ構成・脚本を担当したアニメ作品。ちなみにこちらは戦闘機をメインにしている。
- 劇場版ポケットモンスター みんなの物語:本作の原案・脚本・シリーズ構成を務める梅原英司と長月達平がそれぞれ構成と構成補佐を務めた劇場アニメ。また本作の制作会社であるWIT STUDIOはこちらで作画協力を行った。
AI・アンドロイド関連
- アイの歌声を聴かせて:同年公開された歌うAIを題材とした劇場アニメ作品。
- プリマドール:本作と同じく歌うアンドロイド達の活躍を描いたオリジナルアニメ。
- プラスティック・メモリーズ:本作と同じくAI(アンドロイド)を題材としたアニプレックス製作のオリジナルアニメ。こちらは耐用年数を迎える直前のアンドロイドの回収事業に従事する人間の青年が主人公。
- BEATLESS:AI(アンドロイド)をメインとしたSF作品。こちらは時間経過が長くない。
- 戦闘員、派遣します!:同時期に放送されたアンドロイド主役のアニメ作品。こちらはファンタジー寄り。
- EDENSZERO:同時期にアニメの放送が開始されたアンドロイドが多数登場並びに歴史改変要素を含んだ作品。こちらは宇宙が舞台かつファンタジー寄り。
- デトロイトビカムヒューマン / 仮面ライダーゼロワン:AI(アンドロイド)による暴走を描いた作品。
作風の要素
- AngelBeats!:アニプレックス製作な上に声優と歌唱担当を分けるという手法を取った点で共通している。
- 鉄のラインバレル:経緯は異なるがロボットが人類にとって替わって再構築された世界の人類が舞台の作品。こちらは人類の殲滅ではなく支配に重点を置く。
- 86-エイティシックス-:BS11やTOKYO MX(ついでにとちぎテレビと群馬テレビ)にて本作の次に放送されたアニメ作品。AIとの戦争による展開が共通している。
- 東京リベンジャーズ:同時期にアニメの放送が開始された歴史改変を題材とした作品。こちらは過去と現在を行き来する。
- ゴジラS.P<シンギュラポイント>:同時期に放送された特異点を題材としたアニメ作品。
- ぼくたちのリメイク:本作終了後の時期にアニメ放送された歴史改変を題材とした作品。
- takt op.Destiny:本作の半年後に放送された音楽を題材とした近未来SFアニメ繋がり。
- ジョジョの奇妙な冒険 / 機動戦士ガンダムAGE / カムカムエヴリバディ / 仮面ライダービヨンド・ジェネレーションズ:「物語内で100年(1世紀)の歴史を……」という展開繋がり。なお、「仮面ライダービヨンド・ジェネレーションズ」以外はそれぞれ主役交代をしている。
関連タグ
AI シンギュラリティ アンドロイド 特異点 ロボ娘 歴史改変
評価タグ
外部リンク
公式
その他
タイトルの書式が除外検索に……公式サイトが検索でヒットしない今期アニメが話題に(やじうまwatch)
年表(ネタバレ注意)
西暦(年) | 正史 | 修正史 | 備考 |
---|---|---|---|
2060 | 自律型AI『ディーヴァ』稼働 | 同左 | 小説版では『ヴィヴィ』 |
2061 | 相川議員暗殺事件→生前推進した『AI命名法』制定 | 相川議員暗殺未遂事件→『AI人権法』制定 | 小説版では修正史も『AI命名法』(動機が異なる) |
2076 | 洛陽事件→AIが犯人とされる事から反AI感情高まる | 洛陽事件→AIが犠牲者を出さないよう導いた事からAI開発推進のきっかけとなる | |
2081 | 人間とAIが初めて結婚→人間とAI間の関係回復 | メタルフロート(無人AI量産施設)強襲→反AI感情高まる | |
2101 | メタルフロート建設 | 人間とAI間の関係回復を図るべく、世界中の歌姫型AIの祭典『ゾディアック・サインズ・フェス』開催 | 本編では省略 |
2121 | AI初の自殺→以降相次ぐAIの自殺からAIと魂に関する議論 | ゾディアック・サインズ・フェス20周年を境にディーヴァ引退→博物館に展示 | 最後のシンギュラリティポイント |
2161 | AIによる人類の殲滅→松本博士によってAI『マツモト』が100年前の時代に送り込まれる | AIによる人類の殲滅→松本博士、反AI組織『トァク』に合流→アラヤシキ強襲失敗→松本博士、ヴィヴィを過去に送り込む(第二次修正史へ) | (第二次修正史)ヴィヴィ、トァクに合流→ヴィヴィ、ニーアランドで40年ぶりの熱唱中トァクによるアラヤシキ制圧に伴い暴走AI沈静化 |