「貴様のような宇宙の掟を乱す奴と戦うために生まれてきたんだ」
演:黒部進
概要
年齢25歳。漢字表記は早田進。ウルトラマンと一心同体となり、ベーターカプセルを点火させて変身。科学特捜隊のエースパイロットにして実質的な副隊長であり、ムラマツキャップの不在時に指揮をとる。フルネームは映画『甦れ!ウルトラマン』で判明。
アラシ隊員が一度落ちたとされる卒業試験を一位の成績で合格し、週刊少年マガジン掲載の裏設定によれば根性を鍛えるために昼夜ジェットコースターに乗り続けたり、暗所で1か月暮らしたりする試験にも合格したとされる。
竜ヶ森上空をビートルでパトロール中に、ベムラーを追っていた赤い玉と衝突。命を落とすも、ウルトラマンと一心同体となって復活し、地球平和のために戦う。
ウルトラマンと意識がどうなっているかは不明。ゆえに、変身しようとしてスプーンを掲げる、今まで倒してきた怪獣に詫びる、メフィラス星人から地球人なのか宇宙人なのか聞かれて答えとして上記の台詞を口に出すなど様々な一面を見せたが、ハヤタ本人の意思なのかウルトラマンの意思なのかは不明。
ウルトラマンがゼットンとの戦いで戦死すると、彼自身の意思によりゾフィーから新しい命を与えられて復活。しかし、ウルトラマンと一体化していた頃の記憶をすべて忘れ去っていた。
「キャップ、あれですよ!あの赤い球ですよ!僕は竜ヶ森湖で衝突して…衝突して今までどうしてたのかな…」
以上の理由によって、後の作品で何度かウルトラマンが黒部進ソックリの格好をして地球をうろついていたとしても、それはハヤタ隊員ではなく、ハヤタの姿を借りて変身したウルトラマンであり、ウルトラマンと分離後のハヤタ本人が登場した作品は『ULTRAMAN』や『ウルトラマン怪獣伝説40年目の真実』など極少数である。実際ウルトラマンはハヤタの姿に愛着があるようで、何らかの理由がない限り基本的にハヤタの姿になっている。
基本的には無言でベーターカプセルを点火してウルトラマンに変身するが、『タロウ』第33話・第34話にゲスト出演した際には叫んで変身をしていた。
その後のハヤタ(役としてクレジットされる黒部氏)
第38話「ウルトラの星光る時」に登場。
ウルトラセブン=モロボシ・ダンと握手を交わし、ウルトラの星作戦への協力を要請した。
劇中では郷秀樹とは対面していないが、ダンと共に3人で映ったスチール写真が存在する。
第33話「ウルトラの国大爆発5秒前!」、第34話「ウルトラ6兄弟最後の日!」に登場。東光太郎=タロウに招待され、他のウルトラ兄弟とともに地球に来た。自分たちを追ってきたテンペラー星人からタロウを陰から助けるために、ZATの荒垣副隊長に憑依。血気に逸る北斗星司を冷静になだめるなど、リーダーシップは健在。
劇場版の冒頭=本編の20年前、他の兄弟たちとともに、変身能力と引き換えにUキラーザウルス=ヤプールを封印。ヤプールを監視しながら神戸空港・空港長として生活。ヒビノ・ミライに「ウルトラマンは神ではない」と諭した。変身したら命が危かったが、宇宙人連合に捕われたメビウスを救うために意を決して変身。その際にメビウスに対して放った「どんな困難にも決して諦めず、不可能を可能にする…それがウルトラマンだ!」というセリフは、本作を代表する名言として知られる。
第47話ではメフィラス星人の動きを察知するも、メフィラス星人が子供たちの命を奪い兼ねない発言をしたため、傍観を余儀なくされた。だが、最終的には変身してメフィラス星人と戦った。
パラレルワールドを舞台にした本作では、なんとフジ・アキコと結婚しており、自転車屋を経営する(※1)おじさんとしてハヤタが登場した。レナ(※2)という娘がおり、彼女は後にティガとして目覚める横浜市役所職員のマドカ・ダイゴと恋仲になっている。本作では他の登場人物と同様にただの地球の民間人だが、怪獣との戦いの中で並行世界の記憶を思い出していく。
(※1)『ウルトラマンレオ』にて、黒部進が自転車屋の店長を演じていたことから。ちなみに同作では、フジ・アキコを演じていた桜井浩子が店長と恋仲になるローランの人間体を演じていた。
(※2)レナ役を演じる吉本多香美は黒部進の実娘であり、実の親子共演ということになる。また、『ウルトラマンティガ』ではヒロインのヤナセ・レナ隊員役を演じていた。
『ウルトラマンプレミアステージ2』
アーマードダークネスが宇宙人軍団たちの手に渡ることを防ぎ、物語の鍵を握る宇宙人少年ニコの心を救うべく、高山我夢や春野ムサシをM78スペースに呼び寄せた。
実はフロス星の人々をフロスエナジーを狙う宇宙人たちの魔の手から守った2人の勇者の1人である(もう一人はウルトラセブンである)。
原作同様にベーターカプセルを別のものと取り違えてしまうなどのコミカルなシーンも見られた。
『ULTRAMAN』のハヤタ
『ウルトラセブン』以降のウルトラ世界とはパラレルワールドに当たる本作では、ハヤタは記憶を失ったまま科特隊に在籍した後に由利子という女性と結婚し、早田進次郎という息子を授かる。やがて現役を退き、防衛大臣に就任する。
しかし、ウルトラマンと一体化していた頃の名残(=「ウルトラマンの因子」)で強化された肉体は多少なりとも残っており、素手で鉄柱を曲げるほどの身体能力を持っていた。かつての同僚にして親友である井出光弘に見せられたある映像が原因で自分がウルトラマンだったことを思い出し、ウルトラマンスーツを着て悪の宇宙人と戦っていたが、肉体の衰えなどもあり、ベムラーとの闘いを契機に成長した進次郎にその職を譲り渡すこととなる。
その後は、基本的に進次郎たちの戦いを見守る立場にあるが、エースキラーの一件では、改良されたプロトスーツを身に纏い、息子とともに前線で侵略者たちと戦いを繰り広げた。アニメ版では復帰せず、指令室から進次郎たちの戦いを見守る側となっている。
ちなみに、「ウルトラマンと一体化している(していた)人間は身体能力が強化される」というのは『帰ってきたウルトラマン』の設定の流用もしくはオマージュと思われる。
声は黒部進本人ではないが、外見については老年期の黒部をモデルにしている。
余談
意外に思われるかもしれないが、実はハヤタは劇中でウルトラマンの正体だとバレていない。『セブン』以降の昭和ウルトラマンの主人公は、所属する防衛チームや親しかった者に正体を明かしているが、正体を明かさなかった主人公はハヤタのみである。
イデ隊員が何度かハヤタがウルトラマンなのではと疑ったことがあるが、確証までには至らなかった。一方、『ULTRAMAN』ではTV本編の最終回後なのか本編中の終盤近い時期なのか不明だが、ハヤタとウルトラマンの関係について知っていたことを、記憶を取り戻したハヤタに語っている。
第33話では、円盤内で対峙したメフィラス星人の目の前で変身しようとベーターカプセルを掲げたところをメフィラス星人によって動きを止められてしまい、あろうことかその状態のまま円盤に乗り込んできたムラマツキャップらに発見されてしまった。だが、すぐさま円盤内に捕らえられていたフジ隊員が助けを求めてきたことや、円盤が爆発寸前ですぐ脱出しなければいけなかったこともあり、じっくり状態を確認する余裕がなく正体に気付かれることはなかった(余談だが、この時ハヤタは助ける時間がないとして見捨てられたが、爆発の揺れで偶然倒れた衝撃でベーターカプセルが点火し、ウルトラマンに変身して脱出できている)。
『ULTRAMAN』のアニメ版で声を担当する田中秀幸は、実写シリーズではウルトラマン・ザ・ネクストとゾフィーの声を担当していることで有名。
『ウルトラマングラフィティ』ではウルトラマンを担当していたため、ついに変身者であるハヤタも(両者とも本編とは別人だが)担当することになった。本作のハヤタは、初代ウルトラマンとは別にゾフィーとあるもので間接的に関わるので、その繋がりともとれるかもしれない。
また、モーションアクターを担当した小川輝晃は、後に『ウルトラギャラクシーファイト運命の衝突』でアブソリュートディアボロを演じることになる。
分離した後もM78星雲人の因子が体に残り、実子にもその因子が受け継がれるという事例は、後に別の作品においても確認されている。ただ、これがM78星雲人と一体化した人間に普遍的に起こっているものなのか、それとも彼らが特異な体質であったがために起きたものなのかは不明。
関連項目
黒松教授 - 演者繋がり。
真木舜一 - 『ULTRAMAN』におけるハヤタに相当する人物。
神永新二 - 『シン・ウルトラマン』におけるハヤタに相当する人物。
泉信吾、石動惣一…長い間人外に憑依され、その人外が『体から出て行っても憑依していた頃の自分の姿を愛用している』特撮キャラ。特に石動は「宿主側に、憑依されていた間の記憶がない」「とりついて来た人外が宇宙人である」という点でもハヤタと共通(宇宙ヒーローと凶悪宇宙人という違いはあるが)である。
歴代ウルトラマンの主人公系譜
ハヤタ・シン → モロボシ・ダン