みんなを救わなきゃ!
『私には■■を嫌う資格すらない』
■ャ■■■に会いたい!!
※この記事にはONE PIECE FILM REDのネタバレ情報を含みます。 |
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始めに
映画「FILM RED」の歌姫(ヒロイン)・ウタが抱えていた闇は、赫(かがやか)しい〝光の心〟を併せ持つ人間性が在るからこそ生まれてしまった一面……。
ゆえに創作作品へ表現される闇病(ヤミヤミ)の由縁を本稿で解説するが、この裏面を抜粋した本章だけでなく、上記で触れたように光と闇の両面を有する人物像が記載される親記事【ウタ(ONEPIECE)】も共に閲覧し、一人の少女・ウタが立ち向かった真実(こころ)を見失わないよう顧みて欲しい。
それほどに彼女が向き合った時代のうねり、巡り会った人間模様は、時に荒々しく時に暖かみを感じる風が吹く海原みたいに、永く濃く深く心を動かされたのである。
概要
映画「FILM RED」の主要人物であり〝世界の歌姫〟ウタは独り葛藤していた【心の闇】があった。
ウタの心根は純粋で快活だからこそ、彼女が知った〝大海賊時代で生きる苦しみ〟や、知ってしまった〝残酷な現実〟などから、心中深く傷つき、苦悩する情緒へ苛まれていた。人前(表の顔)では明るく温厚さをみせるも、その心裏で背負う大きな〝秘め事〟から、ジワジワと闇が広がり心を病んでいたのだった・・・。
そんな彼女の〝闇病(ヤミヤミ)〟を感じさせる作品に付けられる言葉(タギング)として、本稿では【闇ウタ(ONEPIECE)】と称しているが、後述するウタの真実から、人により 「闇堕ち」「メンヘラ」 「ヤンデレ」「病み落ち」といった表現もされているし、どれも当てはめれるほどに彼女が背負っている【裏の顔】は、一人だった少女・ウタにとって過酷すぎる世界を物語っている.....。
また劇中歌の中で〝逆光〟〝ウタカタララバイ〟〝Tot Musica〟は、歌詞や映像および関連創作に闇を見出している趣向が多い。
一人の少女・ウタ
【表の顔】は、突如人々の前へ-電伝虫による配信のみの形式で-現れた歌い手から始まり、その美しい歌声や赫(かがやか)しい人柄から、僅か2年ほどで世界中を虜にする程の人気・注目(カリスマ)を集めていたウタ。彼女は歌が好きな他、善良な心を有しており、大海賊時代で力なき者、少数者の声を真剣に受け止め解決へ努めようとする黄金の如き精神(こころ)をみせていた。
しかし【裏の顔】は、彼女も〝ある事実〟で辛い現実に遭い、避けられない真実(きもち)から〝救われないけど救われたい〟と願いをもつ一人の少女だった。
それでも立ち止まってはいられない。
自分の歌声を待っている人達がいる。
この歌で救いを待ってる人がいる。
少女・ウタとしては、心苦しい過去も背負った人として苦悶だった。
もう辞める事は出来ない渦中・立場にいた一人の少女は、心痛を隠し人前へ立っていたのだった。
心で生きる
ウタは生きる事について、重要なのは〝体〟よりも〝心〟を大事にしていた。
だから生きづらさで-大概は選択してしまう-自殺は違う。
心が救われていない。
ある〝過去の事実〟から消沈していたが、ある〝ささやかな言葉(きっかけ)〟から心を奮い起こし、世界へ立ち向かう決心をもって行動を開始するのだった。
🎵 NEW GENESIS 🎶の決行
ウタは、自身が主催・主役を務める歌謡祭🎵 NEW GENESIS 🎶の開催を発表し、それまで歌配信のみで世界的な人気を獲得していた事から、初めて人前に出て生歌を披露する企画は、種族・国境を越えて大注目となり、世界中が熱狂する賑わいをみせている。
表向きは生初ライブ🎵 NEW GENESIS 🎶を堪能して、世界中が注目している観客たちを元気づける趣向。
裏向きは、ウタが悪魔の実〝ウタウタの実〟によって、能力の一端「ウタウタの能力者が発する生歌に聴き入った生物を仮想世界〝ウタワールド〟へ引き込む」により、過酷な現実世界から脱出し〝新時代の到来〟を画策していた。
傍目からは異常で無理矢理な所もある計画(劇中で計画が露呈した際、詳細を知った者たちから「イカれてる」「間違ってる」など言われている)。
更に、盤石を喫するため命は削るが能力相性から異能強化する毒キノコも食して、言葉通り〝命懸け〟で臨んだいたウタ。
ウタは全ての危険性を承知だったかは曖昧な描写-毒キノコの副作用「攻撃性を生じやすくなる」「感情の制御が不安定になる」で、ライブが始まってから徐々に狂いのある言動をみせていくウタ……。
しかし、知ってか知らずか-劇中だとなお初ライブ決行はウタの育て親・ゴードンにも相談せずの計画だった。
心が迷えば誰しも弱くなるが、心から〝信じる〟と決めた心情変化は人を強くする。
ウタの場合は『正しい選択』とはいえなかった。
ライブ始めは順調に進み、主人公一味含め邪魔者を〝ウタウタの実〟で排除しつつ、その最中で闇の片鱗とでもいうか黒さのある表情も徐々にみせていく……。
しかし途中で、ライブ前からウタの密計を察知し隠密行動していた政府の人間から、ライブの観客たちへ裏の計画を明かされてしまう。
やがてライブに集まった者たちは、大海賊時代の苦しみから解放される望みに賛成、大海賊時代の過酷な世界でも頑張ってきた事を放棄するに反対、他の意見も交錯して混乱状態となってしまう・・・。
更に、この時点で毒キノコの症状が深く進行し、感情・思考が正常に働かず強硬的となっていたウタ。
超常的な実現力を有する異能も併せて、病んでいるようにも思える異常な言動から、(言葉通りに)ライブ会場を飲み込んで混沌とした状況へ発展させる暴走となり・・・。
歌曲への影響
前述でも触れたように、劇中歌で特に〝逆光〟〝ウタカタララバイ〟〝Tot Musica〟は闇属性を孕んだ構成がされている。
海賊への怒りを爆発させ、ロック調の毒々しさ、ビビッとした刺激が溢れ出る曲調・映像の演出がされている。
歌詞には「愛への罰」など力強さも綴られている。
ここからウタの闇が現れ始めていく…。
幽鬼的な映像の演出、狂気(クレイジー)をまざまざと感じさせる曲調、歌詞に「ほら早くこっちおいで」などウタが背負っている【心の闇】を物語るような歌が紡がれている。
ウタが踏み込んでしまった闇の最高地点。歌詞・映像ともに暗黒面が噴出しており、特にMVでは〝信念の象徴〟ともいえる左手のマークが真っ黒になってる描写から、彼女が深淵の闇へ墜ちてしまった様相を物語っている。
いつから
【表の顔】は、温かな笑顔もみせる歌い手・ウタであるが、これと反対に【裏の顔】としてゾッとする黒い笑みを浮かべる一面もある少女。
作品投稿サイト「pixiv」の作品検索から、元気いっぱいに歌う乙女や、黒い表情をみせる女の子といった極端から、ウタに在る表裏の人間性がまじまじと感じれるだろう。
いつからウタに〝闇病(ヤミヤミ)の面〟が生まれたと思う?
不二の歌手として大き過ぎる期待に苦悶した時?
違う
心臓をピストルで撃ち抜かれるような言葉の銃撃で、心血を注いだ人達から否定の言葉を受けた時?
違う
猛毒キノコを食べた時?
違う
人を殺めた事実を知った時だった
初ライブ開催の1年前、 それは突然だった。
かつて〝音楽の島〟と言われ、現在は廃墟になった国・エレジアで、育て親・ゴードンと二人だけで暮らしていたウタ。
この土地で暮らすようになったのは、家族であり父親だった〝海賊〟赤髪海賊団やシャンクスへ捨てられたからだった。
最愛の家族(かいぞく)と過ごしていた頃は、彼らの音楽家として仲睦まじい人間関係を築いていた・・・ハズだった。
赤髪海賊団は〝音楽の島〟エレジアから財宝を奪う為に、天性の歌声を持つウタを利用していた。
心から信頼していた〝海賊〟に裏切られた。
心から信頼していた〝海賊〟を恨んだ。
これが原因で心を病み、12年もの歳月、ずっと心へ思い想いの重いを抱えていた。
そして音楽の専門家でもあったゴードンへ引き取られ、男手ひとつで育てられた幼女。二人だけで生活を共にする他、心の支えでもある〝音楽〟の英才教育も受けて、不世出の歌手へ成長したウタ。
彼女を傍で見届けてきたゴードン曰く、人前では明るく振る舞っていたが、一人の時には家族と思っていた〝海賊〟との「思い出」がある歌曲をよく歌っていたという。
その回想では、彼の言葉と裏腹で荒んだ様相のウタが描写されている。
「人前では明るく振る舞っていた」とあるが、無理をして微笑んでいる様子。何よりも目の精気は失せて暗く沈んでおり、ウタの人物的特徴「結んだ髪型が感情に合わせて動く」は、ずっと垂れている様も併せて、傍目からも意気消沈で訳アリな少女であると感じさせる少女時代であった。
でも変わった。
ウタが丁度20歳の頃、日課であったのだろう廃墟・エレジアを散策で、海岸へ流れ着いていた不特定多数に念波を発信できる新種の電伝虫(天才科学者を筆頭に海軍の特殊科学班が開発した代物)を拾った。
拾い物により、彼女は大好きな歌を誰かへ聴いてもらう悦び、歌の聴き手から感謝のメッセージを送られる喜び、それまで不治の病の如く病んでいた心は癒え、たくさんの歓びから-見たこともないピンクの明るい絶景から、医者に「まるで健康体だよ」と再診された奇跡の医療を体験したが如く-鬱屈した枷から解放されたように飛躍的に元気を取り戻した。
このでも違った。
ウタは運命のイダズラとも思える形で〝残酷な真実〟を知ってしまう。
初ライブ決行の1年前。彼女は日課であったのだろう廃墟・エレジアを散策で、映像を記録した電伝虫を拾った(ちょうど心の元気を取り戻した機会と同じ様な経緯)。
その電伝虫を自分の部屋で再生し、一人で鑑賞するウタ。偶々拾った映像記録に在った内容は、かつて〝音楽の島〟エレジアを一夜で壊滅させた動画(ログ)であり、撮影者の声と共に残されていた画は―
この映像を見ている人!
気をつけろ、ウタという少女は危険だ。
あの子の歌は世界を滅ぼす!
伝説だった〝歌の魔王〟トットムジカが顕現しエレジアを襲っている光景。これに立ち向かっているのはシャンクスを筆頭に応戦している赤髪海賊団。
当時のエレジア国王・ゴードンから告げられた話と、何もかも違うッ!!
だんだん息苦しくなって最後まで観ていられなくなったウタ。
全て私のせいだッ!
私は人を殺したんだ!!!
先ず、残酷な現実に心を痛めたであろう。
そして、その瞬間まで心から恨み嫌っていた〝海賊〟に助けられていた事実へ動揺、混乱、錯乱、理解が追い付かない情緒へ苛まれたであろう。
客観的には事故であっても、当事者にとっては事件の中心へいて-彼女はウタウタの能力者を力の根源とするトットムジカに取り込まれて意識を失っていた-記憶の無かったウタにとっては、深い罪悪感、形容できないほどの【心の闇】を背負ってしまったと想像に難くない。
『私には海賊を嫌う資格すらない』
歌の配信などで、世間では〝海賊嫌い〟の歌手という象徴(イメージ)も浸透していたウタ。しかし真実は、これへ反する事実があったと心苦しくなると共に―
シャンクスに会いたい!!
1人の人間として〝心からの願い〟を抱いた。でも叶わないだろう。
12年の歳月で深く大きく負った〝心の傷〟は簡単に拭えない。理解が追い付かない。
こうして悩んでいる瞬間も、最愛の家族で大恩人でもある〝海賊(ちちおや)〟は極悪人として世界から恨まれている。本当に悪いのは〝私(じぶん)〟であるという拭いきれない心(きもち)……。
どうしろっていうの、今さら!
世界中に私の歌を待っている人たちがいるのに―
そんな世界で、独りぼっちな少女の心へ引っ掛かる、光明ともいえる言葉(ファンメッセージ)があった。
ねぇウタちゃん、ここから逃げたいよ。
ウタちゃんの歌だけずっと聞いていられる世界はないのかなぁ?
それは歌配信の視聴者から送られてきた、1人の少女が告げた何気ない〝心からの願い〟だった。
自分を必要としてくれている人がいる
突然の現実から、失ってしまった掛け替えのない相手がいる(いや、どんな思いで会えばいいのか分からないから、その相手を信じる整理がつかないのが大きいのだろう)。でも、私に残っている存在(モノ)がある。その掛け替えない相手のために心を奮い立たせて生きようと決心するウタ。
もう引き返せない。
私は海賊嫌いのウタ。私を見つけてくれたみんなのためにも―
〝新時代〟を!
完全に〝心の迷い〟を払拭しきれない中、それでも過酷な世界〝大海賊時代〟で苦しむ人達の為に生きようと、無理矢理な正義を掲げたウタ。
そうして徐々に広がる心の〝闇病(ヤミヤミ)〟を背負いながら、人前へ立ち続けていたが……。
備考・余談
ウタに在る【裏の顔】を知った上で劇中の言動などを顧みれば、再度作品へ触れる毎に違った見方ができるかもしれない。
心を失っていた時期
最愛の家族に裏切られたと教えられ、そう信じてしまう現実を目の当たりした悲愴感から、深く心が傷つき大きな喪失感を抱きながら10年以上を生きてきたウタ。
心を病んだ事がある方-例えば鬱病患者など-は経験あるかもしれないが、殆どの事に対して無感情となったり、時には暗い考え事がグルグル纏わりつく等、他の関心が希薄になりやすい状態。劇中のウタは世間知らずな一面があったのも、心に穴が空いた喪失者だった時期が関連しているかもしれない。
またウタ日記にて、彼女が暮らしていたエレジアに来航する外来船があったと判明してる。つまり外の世界へ赴く機会はあったが、前述の人柄「世間知らず」から干渉する意欲は皆無の期間もあったと想像される。更に、歌配信をして心を回復させていく段階、その最中で〝新時代〟へ向けた行動に集中など、外界の情報を得る内容は限定的であった事や知見を広げる機会よりも熱心な事へ邁進していた事情が重なり、ウタへみられる「世界情勢へ疎い」は残ったままライブ本番へ至ってしまったのかもしれない。
なお、毒キノコを使うといった異常性がありつつもウタに物事を理論的に理解する知力がある事-ライブの裏計画を成功させる要となる能力相性や幕間であったと思われる催事の手配とか-は窺えるため、機会へ恵まれれば理知的な女性に成長する可能性はあったと思われる。
創作への影響
劇中でウタが、ゾッとするような表情や凶暴性・狂化してしまった変化、こうなってしまうほどの絶望感を背負った経緯、それでも人前では虚勢を張っていたと察せる様子、そして遂に限界を越えて悲しい涙を流す一幕etc.から、歌姫(プリンセス)の一面と差異(ギャップ)ある人物背景は、本作で注目してしまう描写であり、自然と関連創作へ反映されている。
一流の歌手(プロアーティスト)から正反対、一転して等身大の女の子が抱えるような裏面や、暗く深い海の底みたいに闇然(あんぜん)な情緒も描写した力作も散見される。
髪は正直
快活乙女(ヒロイン)・ウタにある人物像の一つ、および漫画的表現で『感情へ連動して動く髪』がある。
テンションが上がるばピョンッとうさ耳みたいに立ち上がったり、悲しくなればシュンッと垂れたり、興奮するとピヨンッピヨンッ台詞に合わせて揺れたりする。この特徴から、育て親・ゴードンの回想だと、心が沈んだままだった頃は項垂(うなだ)れるみたいに萎れた風の髪型、偶々のきっかけを機に精気へ満ち溢れるが如く立ち上がる髪の毛から、彼女の表情以上に心情変化を読み取れる特徴と分かる。
よってウタが登場する場面で、特に〝髪の心模様〟へ注視する事で、表面上の彼女と比較し心の繊細さを感じ取る判断材料に出来るだろう。
もし人前で明るく振る舞っているも髪が垂れてれば、本心を偽っているのだろうか……
もし傍目からは異常の行為でも髪が直立していれば、並々ならぬ意志で立ち向かってるのだろうか……
はたまた心身とも生命が危うい状態を表すように萎れている髪なのか…………
ウタの動向-劇中や本編映像を切り取った予告など-を、例えば初めて主人公一味と対話している時の様子とかを注目して、1人の少女として心がどう揺れ動いてるのか等、裏の感情にも思いを馳せれば、より芯に迫った人物理解へ繋がるかもしれない。
これは必須事項ではないが、ファンアート・二次創作にもウタの「髪は正直」を反映させると、より丁寧な心情表現へ繋げれるかもしれない。
関連作品
関連話(外部リンク)
↑初期構想で彼女が辿った年表(ネタバレ注意)
関連項目
ウタの歌:逆光(Ado) ウタカタララバイ TotMusica / トットムジカ
ヤンデレウタ:タイプが近いタグ
明るく快活なウタが動画配信した日記(メッセージログ)。特に初ライブと歌曲へ関する配信時期で、彼女は闇の一面を押し隠して気丈に振る舞っていたと思えば、その事情を顧みて再視聴すると違った見方ができるかもしれない……。
ゼファー(ONEPIECE) / ゼット(ONEPIECE)
かつて『海軍の正義』を心から信じていたが、辛い現実を目の当たりにして無理矢理な目的を掲げて暴走してしまった男。ウタみたいに抱えてしまった「心の闇」や「往き過ぎた正義(もくてき)を実行」の他、劇場版オリジナルの主要人物、かつては純粋な心根があった善人、時を経て〝悪〟と一概には括れない事件を起こすなど、類似項の多い先生。
ルフィ君!
あの子の歌声は、世界中のみんなを幸せにする力を持っているんだ!
なのに、これじゃあ──あの子があまりにも不憫だ……頼む、ルフィ君!
ウタを救ってくれ!
当たり前だろ
闇病(ヤミヤミ)になっていたのはウタだけではなかった。
もう一人の親として彼女を育て見守ってきた男・ゴードンも〝辛い嘘〟を守り続けている負い目から、彼女を傷つけまいと心を痛めていた。
物語終局。
世界が闇黒(あんこく)に飲まれていく中、ウタは泣いていた……。
もう自分だけでは取り返しのつかない事態へ陥らせてしまった後悔よりも、
世界が常闇へ堕ちつつある状況下でも、
たくさん傷付けてしまった私であろうと対等に声をかけ続けてくれる人達への感謝(ありがとう)、
様々な感情が滲み出た涙を流す……
最愛の人が泣いている
それ以上の理由はいらない。
ウタの眼前には辛辣な言葉を浴びせられ、軽忽(けいこつ)な暴力を奮われても、その不心得な姿勢をみせる相手が本心の行動でないと理解し、そして不変の親愛で向き合ってくれる人達がいた。
ウタの誠実さを事解し、彼女が傷ついて心から涙を流していると理解しているから―
助ける
友達(とも)として、
大人(おや)として、
闇に堕ちたウタを救おうと進み出る。