概要
『無敵超人ザンボット3』の冒頭にて、突如地球に襲来した太陽系外宇宙からの勢力。
土偶を思わせる戦艦・「バンドック」を旗艦とし、キラー・ザ・ブッチャーが司令官となって、「メカブースト」を主戦力にした破壊や殺戮活動を行っている。
これまでにも数多くの惑星を滅ぼしたらしく、かつて神ファミリーの先祖達の母星である「ビアル星」を滅ぼしており、神ファミリーにとってはたとえ自分達の身を犠牲にしてでも、倒さなければならない存在となっている。
数多くのロボットアニメに登場した異星人勢力の中でも、極めて残虐非道な集団であり、特に「人間爆弾」は文字通り爆弾を埋め込まれた人間による爆破活動は、「ザンボット3」を最も象徴する要素の1つとして有名。準レギュラーに近いキャラクターの数人も、様々な形でこれの犠牲となっている。
名称の由来は恐らく「害悪(がいあく)+海賊(かいぞく)」と思われるが、やっている事は最早宇宙海賊では済まされない、「殺戮集団」に等しいものである。
構成メンバー
キラー・ザ・ブッチャー
ガイゾックの戦闘指揮官。元々は未開の惑星の野蛮人だったが、その残虐さを買われて改造され指揮官になった。
かなり残虐な性格で人の命を何とも思わない。
ギッザー
ブッチャー配下の武器士官。
垂れ下がった耳や軍服が特徴で、無数の傷跡がある大柄の体格の持ち主。
如何にも外見通り、見た目通り頭はあまりよくない。前線で作戦指揮を執るが、その手腕は優れてはいない。
尚、『第4次スーパーロボット大戦』ではブッチャーの部下で唯一、顔グラフィックが用意され喋った(但し、「御意、ブッチャー!」を繰り返しただけだが)。
バレター
ブッチャー配下の作戦士官。ギッザーと同じく垂れ下がった耳や軍服が特徴で、バレターはやせ形の男。ギッザーとは逆に知能派ではあるが、前線で指揮を執る事態もあった。また、変装も得意。
ズブター
ブッチャーの配下で、ガイゾックの技術士官。配下共通の垂れ下がった耳や青白い肌が特徴。メカブーストの製造を行っている。ギッザーとは仲が悪い。
戦力
バンドック
ガイゾックの母艦及び本拠地となっている、巨大な移動要塞。
遮光器土偶の頭部が、4脚付きの台座に乗ったような、独特なフォルムが最大の特徴。
主砲「バンドック砲」を始めに、数々の強力な武装による高い戦闘能力、重装甲と要塞全面を覆う強力なバリアに守られた、鉄壁の防御力を有している。
更に、活動可能範囲は陸海空を問わない万能自在さを誇り、ザンボット3やキング・ビアルですら、手出し出来ない海溝の奥深くさえも、苦も無く潜伏が可能であり、ガイゾックの神出鬼没振りは、この要塞の圧倒的な汎用性に因る所が大きい。
内部にはメカブーストの製造工場や格納庫の他、研究施設、ブッチャーが趣味で自身専用に設置した娯楽施設等もあり、設備も充実している。
土偶型の頭部は独立した機動ユニットにもなっており、緊急時には分離して戦闘の続行が可能。
メカ・ブースト
ガイゾックが主戦力としている戦闘用ロボット。
その多くは生物や兵器をモチーフとしたものであり、基本的に人類の通常兵器では全く歯が立たず、実質ザンボット3以外には、対抗不可能な高い戦闘能力を誇る。
毎回異なる容姿や性質を持った、個性的なメカブーストが登場し、ザンボット3と死闘を繰り広げるのが、話のトリを飾る基本的なお約束となっている。
バンドック内部の製造工場で造り出されるが、一部例外もある。
スネソーザー
カタツムリに似た偵察型飛行メカ。
青騎士ヘルダイン、赤騎士デスカイン
バンドックの奥深くに封印されている2体の騎士型メカブーストで、バイクに似た台車の上に鎧騎士の上半身が乗ったような形状をしている。メカブーストの中でも、最強の戦闘能力を誇るガイゾック側の切り札であり、普段はその強大さ故に使われる事はない。
封印を解く命令が下された際には、享楽主義者のブッチャーも驚愕して真の意味で事の重大さを悟り、遊び心を捨て本腰を入れている。
2体での連携戦術を得意とするが、単体でも十二分に強い戦闘力を誇り、神源五郎がビアルIII世による特攻を敢行しなければ撃破出来ない程であった。
アンドロ軍団との共通点
ガイゾックは新造人間キャシャーンのアンドロ軍団を範に取ったと思われる一方で、アンドロ軍団が飽くまで自らの意志で行動しているのに対し、ガイゾックには黒幕が居る点が異なっている。
キャラクターポジション
無敵超人ザンボット3 | 新造人間キャシャーン |
---|---|
キラー・ザ・ブッチャー | ブライキング・ボス |
ギッザー | バラシン |
バレター | サグレー(OVA版はサグリア) |
ズブター | アクボーン |
関連タグ
ここから先はネタバレの為、注意
正体
物語の後半に入るまで、ガイゾックの最高指導者はブッチャーだと誰もが思っていたが、ガイゾックに捕らわれた地球人の香月慎吾がバンドックからの脱出を試みていた際、初めて真の支配者の存在が明かされる事になった。
残虐非道と下劣さを併せ持ったブッチャーでさえも、震え上がるしかないその真の支配者の正体…それは、ガイゾック星人が造り上げた生体端末「コンピュータードール8号(CV:渡部猛)」であった。
コンピュータードールは悪い思考をした生命体の住む星を滅ぼすのを使命としてプログラムされていた為、ガイゾックとしてビアル星や地球と言った惑星に攻撃を仕掛けており、とどのつまりガイゾックにとっての殺戮活動の真意は(極めて身勝手な尺度による)「宇宙の秩序に混乱を巻き起こしうるバグの消去」の様な物であった。
人間爆弾等の非道な作戦は、あくまでもブッチャー個人が遊び感覚で独断に行ったものに過ぎず、圧倒的優位を良い事にあまりにも無軌道かつ非効率なやり方で作戦を遂行しようとしていた彼には、コンピュータードールも次第に痺れを切らしていた模様。
ちなみにブッチャー本人はガイゾック星人ではなく、元は痩せた惑星に居た蛮族でしかなく、コンピュータドール8号が捕らえて改造・手駒にしていたに過ぎなかった。
「この愚か者めが! 自らの力に溺れ、この聖なるバンドックに破壊を招くとは何事か!」
ブッチャーの詰めの甘さによる度重なる失敗が原因で地球から撤退する事態となり、遂にはバンドックが直接被害を受ける事態となった結果、激怒したコンピュータードールはブッチャーに対し、強烈な電撃による容赦の無い懲罰を実行。その後、ガイゾックの守護神とされる赤騎士ヘルダインと青騎士デスカインの封印を解くと同時に、ブッチャーに自ら出撃するよう命令する。
しかし、結局ブッチャーは敗れた挙句に死亡する事になり、打つ手が無くなった事でとうとう自らバンドックで攻撃を仕掛け、催眠術によって自滅を促そうとする等、搦め手を行使して追い詰めるも、神江宇宙太、神北恵子の二人が自分達の命と引き換えにザンブルとザンベースで特攻。その隙を突く形で神勝平のザンボエースが突入し、破壊活動を行った結果、コンピュータードール自体も機能停止寸前にまで陥る事になった。
そして、愛犬の千代錦も失いながらも最深部にまで乗り込んできた勝平と、コンピュータードールの本体は遂に対峙する事になった。
「我は、ガイゾック星人によって作られたコンピュータードール第8号に過ぎない」
「憎しみ合い、嘘をつき合い、我が儘な考え。まして、仲間同士が殺し合うような生き物が、良いとは言えぬ。宇宙の静かな平和を破壊する。我は、そのような生き物を掃除する為に、ガイゾックによって造られた…」
巨大な人間の脳を想起させる姿をしたコンピュータードール第8号は、自らの元へ辿り着いた勝平に対し、自らが生み出された目的を明かした上で、「家族や友人等が命を犠牲にしてまで、身勝手な地球の人間を守る必要があったのか?」、「単に自分達の為に地球を守ったのか?」との問答をし合った後に、下記の言葉を残して爆発を迎えた。
「この悪意に満ちた地球に・・・お前達の行動を・・・わかってくれる生き物が・・・一匹でも・・・いると・・・言うのか・・・?」
自分達の行為を「無意味」だったと認めたくなかった勝平は、最後まで地球の人間を信じようとする返答をしていたが、結局はこれまでのガイゾックとの戦いの中で経験した、差別や迫害が尾を引いた為か、コンピュータードールの言葉を完全に否定するまでには至らなかった。
ガイゾックの謎
余談であるが、ガイゾックに関しては幾つかの謎を残したまま、「ザンボット3」の物語は終幕を迎えている。おおまかは以下の通りである。
- コンピュータードールが「第8号」であった事から、同型が存在する可能性はあるのか(少なくとも後7基)?
- コンピュータードールは正常に機能していたのか?
- ガイゾック星及び、ガイゾック星人は現在も存続しているのか?
- 何の権利があってこのような殺戮行動を行うのか?
- ガイゾック星人の「善悪の基準」は果たして、地球やビアル星と同じものだったのか?
- 『平和な惑星』とされていたビアル星が、ガイゾックに滅ぼされるに至った決定的な理由とは何なのか?本当に8号が言ったように悪意に満ちていた惑星だったのか?
- そもそも、コンピュータードールを生み出したガイゾック星人達の文明は何だったのか? 宇宙の秩序とは何時・何処で定められたものなのか? 混乱を巻き起こしているのはむしろガイゾックの方ではないのか?
これらの謎について考えると、神ファミリーの殆どが犠牲になって撃退したガイゾックは、未だに太陽系外宇宙のどこかで存続しながら、他の文明と戦いを繰り広げている可能性も否定できない。
ビアル星の記録にも、ガイゾック星に関する詳細が無かった為、結局の所ガイゾックとは何だったのかについては、未だに明かされないままである。
また指揮官のブッチャーは未開の惑星出身だが、配下の3人の出身は不明である。が、3人は共通の特徴を持った宇宙人である為、彼らがガイゾック星人である可能性も捨てきれない。
スパロボでは
この『無敵超人ザンボット3』は非常に悲劇的な話であり、スパロボにおいても救済策の筆頭として挙げられる。
時折コンピュータードールが登場しない作品もある。
初登場の第四次では、「一定レベルの文明に達した惑星を襲撃・抹消する文明破壊集団」として描かれ、ボスはブッチャーであり、コンピュータドール第8号は未登場。シナリオは3回+αで初登場の宣戦布告はゲームオリジナルの展開。+αが人間爆弾絡みのシナリオである。
原作ではガイゾックは終始、神ファミリーを断罪するのみであったが、スパロボにおいては他作品のキャラから「その正義感は単なるエゴに過ぎない」と批判を喰らう場面もある(実際、『悪を滅ぼす』としながら、他作品の異星人侵略者には手を出さないどころか、時には協力までするダブルスタンダードっぷりなので……。恐らく潰し合いをさせて互いの戦力を消耗させ切って地球を滅ぼした後、同様に滅ぼす算段なのだろう)。
特に『ザンボット3』の後番組主人公からは「ヒトの血肉も良心も捨て去った機械のバケモノ共と同類」とまで断じられており、『超重神グラヴィオン』のクライン・サンドマンからも「ジェノサイドロン・システムと同じ」と批判されている。
『スーパーロボット大戦R』の序盤の未来編ではザンボット3やアムロ達と戦い、宇宙太と恵子が犠牲になったものの撃滅されていたが、コンピュータードール第8号が生きていた為に復活した。2人の死が無駄死にだったと嘆くアムロ、リョーコに対してブッチャーは「もっと大勢の命を奪う戦争を平気でしているお前たちにそれを言う資格があるのか?わしから見れば新連邦もネオ・ジオンもみな同じよ!」と、その時点に存在している全ての勢力を非難した(確かにガイゾックからすればどちらも同じに見えるが多くの惑星を滅ぼし、多くの命を奪ったガイゾックも似たようなものである)。
この時の経験があって、過去編にて宇宙太と恵子が健在でブッチャーを倒した後に、第8号も発見・倒して復活も防がれた。
『スーパーロボット大戦Z』では第三者の目線でコーディネーターとナチュラルの争いを始めとする、『人類の憎しみ合いや裏切り』に疑問を投げかけ、勝平の自信に揺らぎを生じさせた。
尚、『第3次スーパーロボット大戦Z』においては、コンピュータドールが7体も登場する。揃いも揃って人間同士の争いに明け暮れる地球人を非難するも、勝平からは「人間の悪い所だけ見て勝手な事を言ってるだけ」としっぺ返しを食らう。人類抹殺もとある存在を恐れた何者かが、文明を滅ぼす為に行ったようだが……?。
戦闘においては戦艦バンドックのパイロット扱いなのが多いが、メイン画の本体と直接戦う作品もある。
真の関連タグ
アンドロ軍団(新造人間キャシャーン):こちらも公害処理用ロボットが暴走し、世界を蹂躙した。
イデ(伝説巨神イデオン):目的そのものは違うが、行為自体はほぼ同じ存在。
ガルファ(GEAR戦士電童)、デビルガンダム(機動武闘伝Gガンダム):こちらは環境問題を解決する為に作られたが以下略。ちなみに前者とガイゾックは、『スーパーロボット大戦R』で結託している。
機械化帝国(熱血最強ゴウザウラー):高度な文明が争いによって滅びた事実をきっかけに、邪悪な心をもつ有機生命体を機械化しようとする、ある意味同類。
ギガデロス(ウルトラマンタイガ):複数の同型機が存在する、暴走した平和の守護者。但し、こちらは悪意ある存在によって狂わされた為、哀しき悪役の度合いが強い。
ギルバリス(ウルトラマンジード):宇宙に平和を齎すのを目的としているが、その実は生態系すらも否定する秩序の破壊者そのものだった存在。同じくプログラムであった。
グローカー(ウルトラマンコスモスvsウルトラマンジャスティス):いずれ地球が宇宙にとって有害な惑星になると見なした存在に命じられて、地球を抹殺すべく活動するロボット怪獣達。
スカイネット(ターミネーター):地球のアメリカで生み出された自我を持つコンピューターという似通った存在。もしかするとコンピュータードールも、これと同様に暴走している可能性が高い。
ゾンダー(勇者王ガオガイガー):システムを統括するマスタープログラムが極論を導き出した末に暴走し、人類をはじめとする生命体に牙を向いた似た者同士。
大魔神ラーガ( UFOロボグレンダイザー(冒険王版)):「大宇宙の審判者」を自称するだけに、ガイゾックよりも説得力があり、たった1機でベガ星連合軍を全滅させた。
通信衛星アーク及び滅亡迅雷.net(仮面ライダーゼロワン):人間の悪意に曝された結果、人類を滅亡させんと活動する人外の首魁と集団。特に首魁のアークは勝平の「人間の悪い所だけ見て(以下省略)」の指摘通りの言動となっている。
デスガリアン(動物戦隊ジュウオウジャー):『ゲームとしてあらゆる生物を虐殺する』と、ガイゾック以上に凶悪な集団。
デューオ(ロックマン8):宇宙に平和を齎す為に遣わされたプログラム。融通が利かないという点では同類である。尤もエグゼアニメ版における彼が一番ガイゾックに近いが。
ドルイドン族(騎士竜戦隊リュウソウジャー):表向きは『蹂躙と支配を好む戦闘民族』。しかし、首魁の思想自体は、地球の守護者を求めた末の暴走と、色々と近似点がある。だが、結局は創造者である首魁に、組織全体が見限られる点は異なる。
ノア(メタルマックス)(メタルマックス):『荒廃した地球環境の再生』の為に製造されるも、その試算の過程で『人類こそ地球を蝕む存在=人類の殲滅』に至った人工知能。だが、途中で自我にも目覚めた結果「自分こそ唯一無二の知性」と驕るようにもなり、結局は『被造物は造物主の長短を備えてしまう』の典型例に陥った。
バーサーカー(小説):フレッド・セイバーヘーゲンの小説および作中に登場する殺戮機械群。元はとある星の文明が作った兵器だが、創造主が滅んだ後も破壊と殺戮を続けている。生命を悪しきものと捉え生命体を「バッドライフ」と呼称する。
バイド(R-TYPEシリーズ):未来の地球人が生み出した、決戦兵器の成れの果てと、ガイゾックを悪く言えないどころか、むしろガイゾック以上に凶悪な人類にとっての負の遺産。
ポセイドン(ドラえもん のび太の海底鬼岩城):海底国家アトランティスの自動報復システムだが、あまり優秀では無く、海底火山の噴火をアトランティスへの攻撃と解釈するほど狂っている。
マザーブレイン(メトロイドシリーズ):鳥人族が『自らの種族の繁栄』と『銀河の平和』を願い開発した有機型スーパーコンピューターだったが、主人公への嫉妬から宇宙海賊と手を組み反乱を起こす等、過程は異なるがある意味でリスペクトしてもいるキャラ。
総統メビウス(フレッシュプリキュア!):管理国家ラビリンスの住民が作り出したコンピューターで、元は平和利用と更なる発展の為に生み出された物だが、自身に頼りきる人間達に失望し愚かな人類から全ての世界を正しい秩序で護ると独善的な考えを抱き、全パラレルワールドの完全支配を目論んだ。性質は似ているが最終的な目標が支配と管理であり、ある意味ガイゾックと真逆の存在。