概要
車内を「アンパンマン」の内装にし、車内チャイムもオルゴールの「アンパンマンのマーチ」に変更する改造が実施された、JR四国・土佐くろしお鉄道の特急形車両。運用は全ての車両で固定されている。
余談だが、Pixiv上で「アンパンマン号」と言ったらアニメなどで出てくるジャムおじさんのスーパーマシンのことを指し、アンパンマン列車のことではないのでタグ付け時には注意が必要である。
土讃線アンパンマン列車
主に土讃線系統の特急「南風」・「あしずり」で使用されたグループで、「アンパンマン列車」の中で最初に登場した。
沿革
2000年(平成12年)10月14日、「土讃線アンパンマン列車(ブルー)」として2000系気動車(JR四国保有車両)による4両編成(2007・2212・2203・2104)が登場。同日は原作者・やなせたかし氏が高知駅の一日駅長を務め、同駅で出発式が開催された。
続いて2001年(平成13年)3月3日、「土讃線アンパンマン列車(ピンク)」として2000系気動車(土佐くろしお鉄道保有車両)による4両編成(2030・2230・2231・2130)が登場し、ブルーが1号、ピンクが2号となった。土佐くろしお鉄道保有車両による「アンパンマン列車」はこの2号編成が唯一である。
2001年(平成13年)10月に1回目、2002年(平成14年)10月に2回目、2003年(平成15年)12月に3回目、2009年(平成21年)10月に4回目のリニューアルが実施された。1号は2回目のリニューアルまでは4両編成であったが、3回目のリニューアルまでに2203が一般塗装(JR四国色)に戻されて脱車、3両編成となっている。この2203は2018年(平成30年)12月31日付で廃車となった。
3回目のリニューアル後の2008年(平成20年)10月には「アンパンマンシート」が2000形(2007・2030)の後位に設けられた。この時、2006が一般塗装(JR四国色)のまま車内のみアンパンマンシート化され、引退まで予備車として運用されていた。また、4回目のリニューアル時に1号がブルーからグリーン、2号がピンクからオレンジに変更されている。
2000系の老朽化に伴い、土讃線系統の特急に2700系が導入された。2000系の「土讃線アンパンマン列車」は2020年(令和2年)7月18日(運用の都合で「南風3・2号」のみ同年7月19日)をもって2700系に置き換えられ、運用を終了した。オレンジ編成と予備車両の2006は同年7月31日、グリーン編成は同年8月31日にそれぞれ廃車となった。
後継となる2700系からは合計8両が改造された。本系列は2020年(令和2年)初めの時点で増備途上であったが、なぜか一部は原型車からの改造で対応している。ちなみに、2800形(グリーン車と普通車の合造車)が2両、ラッピング無しで納入されているが、この2両は「アンパンマン列車」に改造されていた。なお、今回は全てJR四国所有車から改造され、土佐くろしお鉄道には標準色の車両が新たに投入されている。
赤色を基調の「ニコニコ」をテーマとした「土讃線あかいアンパンマン列車」(2803・2751・2701・2703)と、黄色を基調の「キラキラ」をテーマとした「土讃線きいろいアンパンマン列車」(2804・2752・2702・2704)の2編成で、「アンパンマンシート」が2800形の普通車部分に設定されている。
運用はAパターンとBパターンの2種類があり、赤色編成と黄色編成が隔日で交互に入る。なお、2000系とは異なり2700系の「アンパンマン列車」は「南風」専用であり、「あしずり」の運用には原則入らない。
予讃線アンパンマン列車
主に予讃線・内子線系統の特急「しおかぜ」・「いしづち」・「宇和海」で使用されるグループ。
沿革
初代「予讃線アンパンマン列車」は2001年(平成13年)10月1日に登場。当初は特急「しおかぜ」・「いしづち」・「宇和海」を全て2000系気動車で運行しており、1両ごとに異なる愛称を持つ以下の11両が運転されていた(愛称は登場時点)。
- 2000形(2両)
- 2100形
- 2150形
- ロールパンナ号:2152
- 2200形
初代は先頭車両の前面に各キャラクターのイメージカラーが配されていたが、側面はキャラクターが貼られているだけで、上部は水色の帯がそのままであった。
2002年(平成14年)10月に1回目のリニューアルが行われた。この2代目からキャラクターのイメージカラーが全体にラッピングされるようになり、側面には車体を大きく使って「ANPANMAN」の文字が配された。また、このリニューアルで「メロンパンナちゃん号」が「メロンパンナ号」となった。2005年(平成17年)10月には2000形の「ばいきんまん号」と「ドキンちゃん号」に「アンパンマンシート」が設置された。両者は座面デザインは同一だが、背面テーブル裏や化粧板の装飾に差異があった。
2010年(平成22年)10月16日に2回目のリニューアルが完了し、松山駅で出発式が開催された。この3代目は「ばいきんまん号」と「ドキンちゃん号」の前頭部はパステルカラーでそれぞれのキャラクターを大書きしたものに変更されたほか、「ANPANMAN」の文字が僅かに黄色みがかったものになった。
2012年(平成24年)10月に3回目のリニューアルが行われ、完成後の同年11月9日に岡山駅で出発式が開催された。この4代目では全車が白基調の外観とされ、逆に「ANPANMAN」の文字が各キャラクターのイメージカラーとなっている。また、このリニューアルで「おむすびまんトリオ号」が「おむすびまん号」になった。2013年(平成25年)12月には「アンパンマンシート」のリニューアルが行われ、2両でモケットが区別されるようになり、背面テーブル裏にゲームのシールを貼るなどの変更が加えられた。
2016年(平成28年)3月26日のダイヤ改正に伴い、老朽化した2000系気動車の置き換え用として8600系電車が導入され、「しおかぜ」・「いしづち」と「宇和海」の運用が松山駅を境に完全に分割された。
このうち、「しおかぜ」・「いしづち」の運用には原則電車(8000系または8600系)が充当されるようになり、2000系の後継として8000系の3両編成(S3編成)と5両編成(L3編成)を1本ずつ改造した「予讃線8000系アンパンマン列車」が運転を開始した。1号車(8003)の普通席は「アンパンマンシート」となっている。
「予讃線8000系アンパンマン列車」の導入に伴い、2000系の大半の車両が「予讃線アンパンマン列車」から撤退し、一般色化された。残った「カレーパンマン号」・「ロールパンナ号」・「おむすびまん号」の3両はもっぱら「宇和海アンパンマン列車」と呼ばれるようになり、引き続き4代目の外観で「宇和海」専用として運行された。
2019年(令和元年)9月28日には、2000系による「宇和海アンパンマン列車」に4回目のリニューアルが行われ、現行に当たる5代目の「宇和海アンパンマン列車」となった。「予讃線8000系アンパンマン列車」に準じた白をベースとして虹をかけたデザインで、「ロールパンナ号」(2152)を塗装変更した「ばいきんまん仕様」と、新たに一般塗装(2117)から変更された「アンパンマン仕様」から成る2両固定編成となり、運用から外れた2107と2204は同年9月30日付で廃車・解体となった。
ゆうゆうアンパンマンカー
キハ185系の中間車1両が2002年に「ゆうゆうアンパンマンカー」に改造された。高徳線の「うずしお」、徳島線の「剣山」の他、臨時列車にも充当される。
2025年3月15日のダイヤ改正でキハ185系は「うずしお」から撤退する。
瀬戸大橋アンパンマントロッコ
新造当初はキクハ32-501同様緑色塗装だったキクハ32形(キクハ32-502)が2006年のリニューアルで「アンパンマントロッコ」となった。その後、再リニューアル時に控車のキハ185-26も「アンパンマン列車」に改造され、キロ185-26となった。
余談
2000系気動車の改造種車は量産車のみで、試作車(TSE)や改良型(N2000系)が改造種車となったことはない。
8600系電車が改造種車となったことはない。