概要
中近東にあるバラージ王国のチャータムの王宮に安置されていた石像で、5000年前に王国がアントラーの出現により壊滅の危機に瀕した際に出現、アントラーを撃退し、王国を救ったとされる。その際にアントラーの弱点である「青い石」が納められ、これは後にアントラーが再び出現した際に使用され、アントラー撃破に大きく貢献することとなった。
『ウルトラマン』とは違う世界が舞台の『ウルトラマンマックス』でもその存在と青い石に関する言及がなされている。
正体について
その正体については最後まで明かされることはなかったため不明。
初代ウルトラマンとそっくりな姿をしていたことから、少なくともウルトラ戦士であったことは間違いないと思われるが、それが誰だったのかについては諸説ある。
ゾフィー説
宇宙警備隊隊長のゾフィーであるとする説。実際、真船一雄氏の漫画『ウルトラマンSTORY0』ではこの設定が採用され、かつて地球を訪れ、アントラー撃破のために奮戦したゾフィーの姿を元にしていることが示唆されている。
この作品自体はテレビシリーズとはやや設定が異なる部分があるパラレルの世界を舞台にしている為、確定的な説であるとは言えないものの、宇宙警備隊が今から3万年前に設立されたことを踏まえると、(ゾフィーであったかどうかはともかくとして)初代マン以前にも何らかの理由で地球を訪れていた宇宙警備隊員がいたとしてもなんら不思議な話ではない。ゾフィーやジャックなどの例を見るに、初代マンとそっくりな容姿をしている戦士は他にも大勢いるようなので猶更である。
初代ウルトラマン本人説
先述した通り、ウルトラ戦士は過去に幾度か地球を訪れており、最終回でゼットンに敗れたウルトラマンは「私はもう2万年も生きた」と語っているので、初代マン本人が地球でアントラーと戦っていた(が、昔すぎてうろ覚えになり、自分が遺した青い球の存在を忘れていた)と言うことも十分考えられる。実際、学年誌では「タロウを引率して大昔の地球に遠足に来たので、現代に久々に地球に来た時には変わりように驚いた」などと書かれている。
初代ウルトラマンの親族説
第3次ブーム時に発刊された一部書籍では「初代マンの祖父こそがノアの神ではないか?」という説が書かれていた。また、かつてテレビマガジンに掲載された絵物語には、初代マンの亡き兄にしてゾフィーの親友でもあるノアというウルトラ戦士の存在が語られているが、ノアの神と同一人物であるかは語られておらず、読者の推測に委ねられる形となっている。
ウルトラマンノア説
ごく最近になって提唱されるようになったもので、全宇宙を守護するウルトラマンノアであったとする説。
ノアは時空を超越する能力を持っていることから、『ウルトラマン』と『マックス』の両方の世界でその存在が語り継がれていたとしても不自然ではない。ノアの超絶的な戦闘力をもってすれば、アントラーを倒すこともさほど難しくはなかったであろう。
ただ、ノアの神の顔とウルトラマンノアの顔を比較すると最早別人とも言えるほどの差異がある上、ノアの神にはウルトラマンノアのノアイージスに相当する部分が見当たらない(これは現実、例えば歴史上の人物の像や絵についても、よくあることではあるが)。また、ノアはよほどのことがない限り事態に干渉しないというスタンスを取っている為、地球という一介の惑星で怪獣が暴れていた程度で手を貸したかと言われるとやや疑問が残るところではある。
また、ノアの神の像にはカラータイマーが見当たらないが、ウルトラマンノアも実は胸部に表出したカラータイマー相当の器官が存在しない、という点は共通していたりする。流石にこれを証拠として断定するのあまりに早計ではあるが……
メタ的な話をするとすれば、ウルトラマンノアというキャラクターを創造する際に、このノアの神がモチーフの1つになった可能性はあるだろう。実際、『超決戦!ベリアル銀河帝国』では世界を救う秘宝"バラージの盾"と共に伝説の存在として語り継がれており、バラージ神殿にノアを象った像が祭られているという、「バラージの青い石」へのオマージュとも言える描写がある。
『ウルトラマンゼット&ゼロ ボイスドラマ』第5回「ウルトラマンと太古の歴史」では、M78ワールドとアナザースペース双方のバラージ伝説が話題になっているが、あくまで「別の宇宙にも似たような伝説が存在した」という形で解説されている。後者に関わりの深いウルトラマンゼロはノアの神とウルトラマンノアが別々の存在と認識しているらしく、ノアの神に関しては「(恐らくM78ワールド由来の)俺達も知らない太古のウルトラマンかもしれない」と述べている。
ウルトラマンティガ説
そもそもティガ自体がM78スペースを舞台とした物語ではないうえに、ティガは自分でパラレルワールドを越えた描写はなく、大体は何者かに連れてこられるという描写である事が多い為、説としては弱いが、ノアの神とは太古の地球に現れて人々を守った、石像が残っているなどの共通点が見られる。
それ故か、『きたぞ!われらのウルトラマン』ではバラージを元ネタとした婆羅慈遺跡にザイゴーグを封印したのが、ティガとなっており、そこに祀られた石像もまたティガを模したものである他、碧石もまた要石として安置されているなど、ティガとノアの神をうまく折衷した設定になっている(碧石から初代ウルトラマンが出現した辺り、初代ウルトラマンと共にザイゴーグを封印したという可能性もありうるわけだが)。
ちなみに、このティガはネオフロンティアスペースのティガ本人ではなく、 X世界のティガであり、ティガがネオフロンティアスペース固有の存在でない事が証明されてしまった。この事から、M78スペースにもティガが存在、または飛来してアントラーを封印したという可能性も無きに非ずである(『ウルトラマンオーブ』の宇宙でもティガが現れて闇の魔王獣を封印した辺り、ティガは意外と多くの宇宙で目撃されているのかもしれない)。
ちなみにM78スペースから派生したウルトラマン超闘士激伝の世界にもティガが登場している。
リピアー説
2022年公開の映画『シン・ウルトラマン』公開後に浮上した説。降着直後のリピアーがノアの神と同じく「銀色の巨人」であったことやリピアーもノアの神と同様にカラータイマーがないことなどが証拠として挙げられているが、リピアーが本作以前に別宇宙の地球に来訪していたかどうか不明であり、脚本・総監修を務めた庵野秀明氏が本作のリピアーの設定にノアの神を考慮に入れていたかどうかも不明であるため、現在のところ信憑性は低いと思われる。
類似する存在
赤い人
『ファイヤーマン』における青江半島に伝わる伝承における巨人。
島が危機に陥る時に現れて島を救うらしく、現代において伝説が現実のものとなった。
光の巨人
『ウルトラマン80』に登場する巨人。三千年前に人々を襲っていたタブラを封印している。姿はウルトラマン80にそっくりだが、80本人では無い模様。
『ウルトラマンX』でも同じ名前の存在が太平風土記に記載されており、デマーガを封印したと伝えられている。
エルドラの神
『ウルトラマンパワード』において太陽の民が信仰している神。
ウルトラマンパワードそっくりの容姿をしており、氷河期の寒さに苦しんでいた太陽の民を地底世界に導いた救世主とされている。
光り輝く神
『ウルトラマンコスモス』の世界における宇宙伝説に登場する黄金に光り輝く神。
かつてギャシー星人が遭遇し、スコーピスに襲われていた所を救われたという。
その正体はウルトラマンジャスティスである。
角持ちし赤き巨人
『ウルトラマンオーブ』の世界における太平風土記の伝承に現れる「禍蔵鬼」を龍脈の力で封印した存在。その正体はオーブ世界の地球に来訪していたM78スペースのタロウとされるが、後に太平風土記は予言書としての側面も持っていることが判明しており、タロウの力を宿した形態であるバーンマイトを指している可能性も考えられる。
天より降りたる光の槍
『ウルトラマンZ』の世界における謎の武器。
アラスカのイヌイットの伝承によると、3万年前に天から降ってきて暴れていたペギラを封印したとされる。
ゼットによると、ウルトラマンの力を感じるらしく、彼自身も感覚的に扱い方を理解していたことから、ウルトラマンと関わりの深いアイテムであることは間違いなさそうである。
ただし、光の国由来のものかは不明。3万年前というとちょうど宇宙警備隊が組織された時期とも重なるが…?
余談
ウルバトのナヴィには(アントラー戦の様子から初代ウルトラマン本人ではなく)「ゾフィー」説と「伝説の超人」説が挙げられている。