「貴様等、止めは俺が刺してやる……」(第23話)
スーツアクター:葉都英樹、大西修(第22話)、今井靖彦(第23話)
概要
ミケラがムカデと電波とパンジーの3つのモチーフを融合させて作り出したトリノイド第13号。
稲妻状の触角を持ったムカデの胴体を持ち、頭部には左右非対称にアンテナが付いている。
その内左の低い位置にあるアンテナには目が付いている他、自身の製造ナンバーである「13」の刻印がある。
左手も大きなアンテナになっているだけでなく、両肩に付いたパンジーの花も雌しべの部分がアンテナの針になっている。
ダニと同等のサイズをした超小型の自身の分身を生み出す能力を持ち、この分身に寄生された者は凶暴化し、態度や言葉遣いもかなり悪くなって暴力的な性格に変貌してしまう上、不思議な力までも操る様になる。
こんな恐ろしい分身をTVの電波に乗せ、被害をあっという間に全国区へと拡散させて全国の子供の凶暴化を目論む。そして戦闘では電波により出現させたホログラフを操る「ムカデンパ」による幻術攻撃を仕掛ける他、パンジーの蔓で相手の身体を縛り付ける事により自由を奪い、電撃を流して相手に強烈なダメージを与える事が出来る。
また、電波を司る自身の特性上、身体のアンテナで電波の送受信と通信も可能である。
劇中では仲代壬琴が自身の企画する悪魔的ゲームの為にミケラを介して生み出され、凌駕達の「人を信じる心」を踏み躙るための駒として動く。
活躍
第22話「娘たちのアバレ歌」
アバレンジャーを誘き寄せるため、キラーオーを駆り街で破壊活動を行うアバレキラーは、バキケロナグルスとディメノコドンを樽に捕らえて姿を消した。
その後、ヤツデンワニを介してミケラに怪人の制作を発注。そうして生み出されたのがムカデンパンジーである。
準備が整った所でアバレキラーはヤツデンワニの能力により、恐竜やにいるアバレンジャー達に人質として樽に捕えられたまま樹海に置かれた2体の映像を見せ、3日後の日没までにムカデンパンジーを倒してバリアを解除しないとバキケロナグルス達は爆死すると言う、悪趣味極まりないゲームを持ち掛ける。
折しもムカデンパンジーは最近話題のアイドルユニット「ぷりぷりんせすシスターズ」の番組を送信する電波に分身を乗せて全国に送り込み、番組を視聴する子供の目の中に寄生させ、子供達の凶暴化を目論んでいた。
凶暴化した子供達は、警察官が止めようとしても超能力でいなしてしまう為に手が付けられない。(なお、分身体は涙などの体液で人体の外に排出されるらしく、舞の涙からも検出されている。)
その一方で「ぷりぷりんせすシスターズ」のCDは何と800万枚も売れるヒットを飛ばし、経済効果としては良い刺激になる一方、子供の凶暴化の為に国会でも問題になる事態に発展していたうえに、文部科学大臣も青色の微炭酸ドリンク「うぜーよ」を飲みながら「ぷりぷりんせすシスターズ」反対派に「うぜーよ」と暴言を吐く始末。
凶暴化の原因がCDなのかドリンクなのか分からないまま、時間だけが徒に過ぎて行く中、笑里によって「ぷりぷりんせすシスターズ」が、テレビ夕焼けの番組にしか出演していない事に気付いたのを受け、アバレンジャー達は局へと乗り込んで行く。
社長の言葉で電波塔へ向かうアバレンジャーがアバレイザーでTV局のアンテナを撃った事で、ムカデンパンジーは姿を現すと同時に逃走。すると其処へアバレキラーが救援に現れる。
「あんまり人を信用すると失敗するぜ?」と言うアバレキラーと交戦するレッドを横目に、ムカデンパンジーは残る3人と戦うも圧倒されてしまい、ブラックから止めのファイヤーインフェルノを喰らい倒される。
だが、それはバーミア兵に自身の分身が集まって出来た影武者に過ぎなかった……。
第23話「アバレ電波ドギューン!」
倒したと思ったムカデンパンジーが実は偽者だった為、超能力を得て凶暴化した子供達によって町は混乱の様相を呈していた。恐竜やも例外では無く、凶暴化した子供達に皿が次々割られる被害が及んでいたのだった。
街がこうした状態でも、ぷりぷりんせすシスターズの番組は視聴率が82%。単純計算で1億454万人もの人間がムカデンパンジーの分身に取り憑かれている事になる。
そんな中、らんるが怪人の本体から分身に誘導電波が出ている事を突き止めた為、それを受けたアバレンジャー達は発生源へと向かって行く。
すると其処へ壬琴が現れ、一悶着の末に「お前、人間を信じたいとかほざいてたな。だったらこの先へは行かない方が良いぜ?この先には、絶望が待っている。」と忠告を投げ掛ける。
それでも向かい、倉庫街を訪れたアバレンジャー達を待ち受けていたのは件のぷりぷりんせすシスターズと、その関係者一同だった。
実はぷりぷりんせすシスターズを含むTV局の関係者達が、視聴率のために自らの意思でムカデンパンジー、ひいては壬琴に協力していたのだ。
ぷりぷりんせすシスターズの関係者達が、今まで誰かに操られていた素振りを見せていたのが嘘だったと知り、凌駕はショックを隠し切れずにその場に膝を突く。
そんな凌駕達へ、倉庫にあったテレビカメラから突如光線が発射されたかと思うと、それは植物のような物に実体化して彼等を拘束してしまう。
ここでTV局の社長は、ムカデンパンジーの潜伏先がテレビカメラの上の小型カメラの中である事を暴露すると同時に、その上で小型カメラを背広の内ポケットに仕舞い、自分達の身勝手な行動への自己弁護までする始末。
数字の為、彼等がすっかりエヴォリアンと言う悪魔に魂を売り渡している事がありありと分かる光景が其処にはあった。
すると突然、アバレンジャーを拘束していた触手が爆発。吹き飛ばされた凌駕がぶつかった拍子に、其処にあったTVのスイッチが入り、NNSニュースの画面が映し出された。
其処には局の社長の孫が凶暴化している姿が大きく映っていたのである。
その光景を見て、思わず「うちの番組を見るなと言ったのに!」と叫ぶ社長を捕まえ、凌駕は内ポケットから怪人の入った小型カメラを強奪、投げ捨てられた小型カメラの中から本物のムカデンパンジーが出現した。
凌駕「あなた達が魂を売った奴は、こう言う奴だ。殺られない内に、とっとと消えろ……消えろオォォォッッッ!!!」
頭に血が上った凌駕の怒号を受け、TV局の関係者達は逃げるかのようにその場を退散。そんな連中の無様な後ろ姿を見て、凌駕はやり切れない思いと共に拳を握るばかりだった。
爆竜チェンジした4人は改めてムカデンパンジーと交戦。
壬琴から時間稼ぎを命じられたムカデンパンジーは、ムカデンパによるぷりぷりんせすシスターズのホログラフでアバレンジャーを迎え撃つが、ブラックに右肩のアンテナを破壊されて能力を潰されてしまう。
そしてブラック以外の3人の必殺技に怯むも、止めのスーパーダイノボンバーを構える4人に電撃で応戦するが、結局押し切られてそのまま倒されるのだった。
そして戦いのダメージで倒れながらも4人は日没が迫る中、バキケロナグルスとディメノコドンの元に大急ぎで向かうものの間に合わず、2体は大爆発してしまった。
そこに駆け付けたアバレンジャー達を待っていたのは、アバレキラーに操られたバキケロナグルスとディメノコドンの2体の姿だった。
2体はアバレンジャーが間に合わなかったショックで絶望している時に催眠電波を浴びせられたことで完全にアバレキラーに操られてしまったのだ。
2体と爆竜合体し、キラーオーナグルスノコドンと化したキラーオー相手に戦うアバレンオーの前に、巨大化した状態でムカデンパンジーは三度出現。
先程の戦いでダメージの大きい2体をまとめて倒そうとするが、最期は爆竜必殺デススティンガーと爆竜電撃ドリルスピンを連続で喰らい爆散。
そしてアバレキラーも「今日のゲームはここまでだ。また楽しもうぜ♪」と悠然と去って行く。
アバレンジャー達の信頼を踏み躙る、最低最悪のゲームの結果は、凌駕に絶望を叩き付けた挙句、2体の爆竜まで失わせると言う形で締め括られ、文字通りアバレキラーの1人勝ちに終わった。
しかし、凌駕は「人間を信じる心」を捨てたりはせず、程なくして流れた臨時ニュースによりぷりぷりんせすシスターズのメンバーの1人が脱退するという発表があった。それについてスケさんは「真面目にやり直すことにしたそうです」と語り、らんるも安堵した様子だったが凌駕がどのように思ったのかは分からない。
なお、今回の件で心に深い傷を負った凌駕はその後、次回冒頭のえみポンの顔芸によって立ち直った。
そして奪われたバキケロナグルスとディメノコドンも第31話で奪還に成功した。
ぷりぷりロック
作中のアイドルユニット「ぷりぷりんせすシスターズ」が歌う楽曲。
現実ではサウンドトラックに収録され、JOYSOUNDでも配信されている。
可愛らしいタイトルとは裏腹に「うっせーな!」「うぜーんだよ!」というシャウトから始まり、親と教師と友達との人間関係に対する不満をぶちまけまくるという強烈な歌詞で、作中では大ヒットを飛ばして子供の凶暴化を招いて社会問題となった。
放送から18年後、実際に似たようなコンセプトの楽曲が大ヒットを飛ばし、子供への悪影響が社会問題レベルで取り沙汰されるとは誰も予想していなかっただろう。
余談
モチーフは上記の通りムカデ、電波、パンジーであり、劇中でミケラが使用したカラーはそれぞれムカデがオオムカデ科夜行性エキス入り百足虫色、電波が不法無線エキス入りシビレ電波色、そしてパンジーがスミレ科物想いエキス入りサンシキスミレ色。
声を演じた岩尾氏は今作がスーパー戦隊シリーズ初出演となった。
また、このエピソードでTV局の局員の一人を演じた矢柴俊博氏は後に『手裏剣戦隊ニンニンジャー』にて伊賀崎旋風役でレギュラー出演している。
関連タグ
爆竜戦隊アバレンジャー 邪命体エヴォリアン ミケラ トリノイド
トリノイド製造番号
12号.ヤツデンワニ→13号.ムカデンパンジー→14号.ハエマツ
ミイラのゼイ腐:7年後に登場する戦隊怪人で、同じくムカデモチーフ&TV局をジャックした繋がり。
ムカデラス:同じく子供達を操ったムカデモチーフのライダー怪人。
ムカデ怪人:ムカデンパンジーと似たような作戦を行ったムカデモチーフのライダー怪人。
ズ・ジャモル・レ:『仮面ライダークウガ』において、同じく13号のナンバーを冠するライダー怪人。
バッタモンダー:20年後のニチアサ作品に登場する、虫モチーフの悪役繋がり。こちらでも冷酷なやり方で主人公の大切な人に危害をくわえていた。
なお、大切な人を傷付けられた主人公は敵に対して激しい怒りを露にした。
彼はその後、紆余曲折の末に改心・和解した。