ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

悪の軍団フラッシャーを相手に ぼくらのヒューマン大活躍

(当時のTVガイドに掲載された番宣広告より)

概要

舞台の公開録画」スタイルを取ったヒーローショー形式の特撮番組で、「ヒューマンに変身する主人公がピンチになると、会場に来ている子供達(+テレビを見ている視聴者達)がヒューマン・コール(声援)を送り、更に「ヒューマンサイン」(上の絵で子供たちが指先に付けている赤い円盤)を回転させる事で力を得て変身すると言う、結構面倒な変身プロセスが採用されている。なお変身の際は、観客席後方から舞台に向けて紐を伝ってヒューマンの飛行人形が飛んでいき、舞台裏に消えると共にヒューマンが現れると言う演出になっている。

当時絶大な人気を誇っていた仮面ライダーに対抗するために企画・制作された作品で、キャラクターデザインに成田亨、ナレーターに山田康雄、主演に後に宇宙鉄人キョーダインとなる夏夕介、出演陣に田中好子や八代駿とかなり気合が入っており、また制作側も「打倒・仮面ライダー」の意気込みを掲げ、放送時間も敢えてライダーと同じ土曜夜7時半と真っ向勝負を挑んだが、舞台劇故に派手な特撮が不可能な事から迫力が物足りず、主人公の体操教師という設定も上手く活かせずに奮闘虚しく1クールで打ち切りになった。

小学二年生で連載されていた漫画版は最終回2ページしかないというリアルソードマスターヤマト状態であった。

また、VTR収録だった為、本放送終了直後に数度行われた再放送の後にビデオテープ再利用のためにマスターテープが別の番組に上書きされてしまい(1970年代末までは放送用のビデオテープ、2インチVTRがたいへん高価だった為、当時のTV局では基本的に、放送後一定期間が経た番組が記録されているテープに別の番組を上書きする形で使用していた。) 、ソフト化の目途も立っておらず長い間幻の作品と呼ばれていた。

そのため当時の児童誌および特集を組んだ『宇宙船』誌のバックナンバーか、成田亨の著書以外は画像などの記録が残っていなかった。(写真も成田亨蔵)と絶望的な状況だったが、番組の放送終了後にデパートの屋上で行われたヒーローショーをアマチュアカメラマン撮影していたものが2009年に見つかり、その映像を収録したDVDが発売された。

あらすじ

大学の体操コーチ岩城淳一郎は、子供たちの体を鍛えるために全国の小学校を回る旅に出る。

彼の正体はヒューマン星からやってきた異星人で、地球を狙う侵略者フラッシャー軍団の脅威を察知し地球に潜伏していたのだ。

そしてついにフラッシャー軍団の侵略が開始。淳一郎はヒューマンに変身し、新聞記者の星山ルミ子、カメラマンの平井安兵衛、そして淳一郎の弟でヒューマン2号の淳二郎と共にフラッシャー軍団に立ち向かう。

放映リストと登場する怪獣

No.サブタイトル登場怪獣脚本収録場所収録日放送日
1ヒューマンって何だジャイロックカブトンガ藤川桂介川口市民会館9月23日10月7日
2怪獣シビレッタ3千匹!シビレッタザリゾン雪室俊一上尾市民会館9月30日10月14日
3血を吸う!怪獣ドラゴンダドラゴンダ上原正三土浦市民会館10月3日10月21日
4空飛ぶ怪獣ブランカー!ブランカーシビレゴン田村丸江東公会堂10月14日10月28日
5殺せ!!怪獣レッドロックレッドロックセグロ1号藤川桂介足利市民会館10月21日11月4日
6怪人ゲジルの死!!ゲジルキングタコラス藤川桂介府中市民会館10月28日11月11日
7怪人メガヘルツテレビ局を爆破!!メガヘルツブルゲリラ藤川桂介、田村丸草加文化市民会館11月4日11月18日
8魔の少年フラッシャー!!ギャロンダンケットドロク星人藤川桂介渋谷公会堂11月11日11月25日
9キングフラッシャーの最期バリンガー、再生怪獣軍団(ジャイロック、ザリゾン、ブランカー、キングタコラス、ゲジル)田村丸柏市文化市民会館11月18日12月2日
10英雄ヒューマンの最期!!ストックギリンガ藤川桂介大宮市民会館11月25日12月9日
11帰ってきたヒューマンスパイダーダンバラキ上原正三川口市民会館12月2日12月16日
12ヒューマン兄弟大活躍!ガラメドンギルドギラ上原正三江東公会堂12月9日12月23日
13さよならヒューマンアントギラスインパルス藤川桂介府中市民会館12月16日12月30日

余談

  • 企画はウルトラマンウルトラセブンなどで美術を担当した彫刻家、画家の成田亨自身の設立したモ・ブル。舞台で光り輝くヒーローを表現するためステンレスでマスクを作成したり、軽くて巨大な怪獣を登場させるために風船を使用するなどの工夫をおこなった。
  • 舞台劇という性質もあったのかもしれないが、登場怪獣のデザインはウルトラ怪獣よりもシュールでグロテスクなものが多かった。ほとんどの怪獣は改修され『行け!グリーンマン』にも登場している。
  • 「打倒・仮面ライダー」の意気込みから、当初は主人公役として大野剣友会(仮面ライダーの劇中アクションを担当)に所属していた中村文弥に出演オファーをしていたが、当の中村氏は「仲間の出ている番組の敵にまわりたくない」と、このオファーを断っている。なおこれにより急遽主演のオーディションが行われ、最終的に、当時ミュージシャンから俳優に転身したばかりの夏夕介が選ばれた。
  • ヒューマン役のオーディションには松田優作も参加していた。もし続いていたら武闘派のヒューマン3号が出ていたかもしれない!?
  • 80年代にバラエティ番組で本作の一部シーンが流されたという目撃談が多数ある。
  • ギャグ漫画等でパロディされる事が多い
    • ミルモでポン!』の劇中では本作をモチーフとした『Pマン』と言う作品が存在し、ミルモが「Pマンサイン」を廻して応援している事も。
    • アニメケロロ軍曹』の中でも屈指のバカ回、166話「突撃!ウエットルキングであります」は完全に『ヒューマン』のパロディ回(題名の方は『アイアンキング』(が燃料)も入っている)。その他このエピソードはちびっ子どころかお父さん世代でも匙を投げるような特撮のパロディが押し込められている。
    • 漫画しあわせのかたち』の、ナムコの舞台劇がモチーフのアクションゲーム『ワンダーモモ』のパロディ回「ワンダーオオ」では、作者の桜玉吉が直撃世代であったため、変身のために”ヒューマンサイン”ならぬ”ワンダーサイン”が回されるという描写があった。なお、このシリーズ連載中桜の元には大量の「ヒューマン」関連資料が読者から贈られたようであり、「ヒューマン博士になった」とのコメントも見られる。
  • 漫画家唐沢なをき劇団四季の『ライオンキング』を観た際、当時このノウハウがあったら…と想いを巡らせた。
  • 2014年から2015年にかけて富山、福岡、青森の3都市の美術館で開催された『成田亨 美術/特撮/怪獣 ウルトラマン創造の原点』展では、デザイン画と登場怪獣ブランカーの像が制作されて展示された。現在デザイン画はこの時に発刊された『成田亨画集』に掲載されているので見ることができる。
  • NHK Eテレにて放映された日本の文化を紹介する番組『JAPANGLE』2018年8月15日放送回ではこの作品が元ネタとおぼしきテロップが登場した
  • 「開運!なんでも鑑定団」の2024年5月21日放送回にて「ヒューマンの(実使用されたと思われる)マスク」が出品された。実際には実使用ではなく予備で作成されたマスクであったが、450万円と鑑定された。また番組及び鑑定士による解説によると・・・
    • 公開収録という特異な撮影状況から、成田亨は「ステージ照明を利用した光り輝くヒーロー」を考え、照明を反射するステンレスをマスクの素材として採用した。マスクはステンレス専門の職人が打ち出して成形した。そのため、相応の重量があるマスクになった。元々はウルトラマンもステンレスでやることを構想していたらしく、ステンレスでやるのが成田の夢でもあった。また怪獣の着ぐるみには風船を入れ、人間の大きさとの対比を図った。
    • 舞台上で可能な演出は「宙づり」や「スモーク」程度に限られていたため、敵のアクターにマジシャンを採用し、「串刺しマジック」や「断頭マジック」用いた。
    • 収録に必ず同行していた成田亨は「ヒューマンが舞台に立った時、ピカピカと輝いた姿を見た感動は今でも忘れません」と語ったという。また彼にとっての三大ヒーローは「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」、そして「突撃!ヒューマン!!」であった。
    • 第1話放送日、裏番組である仮面ライダーは第80話「ゲルショッカー出現!仮面ライダー最期の日!!」であり、ゲルショッカーが初登場する回であった。
    • 番組終了後も各地方でヒーローショーを行っており、そのショーでは放送時のスーツやマスク、着ぐるみがそのまま用いられたという。
    • そもそも依頼人がこのマスクを手に入れた経緯は、元スーツアクターの叔父・山村哲夫から「受け継いで欲しい」と託されたからである。山村哲夫はウルトラセブンの途中から参加していた方で、元々は成田亨の自宅にあったが、山村哲夫が遊びに行った際にプレゼントしていただいたとのこと。

コメント

pixivに投稿されたイラスト

すべて見る

このタグがついたpixivの作品閲覧データ

突撃!ヒューマン!!
12
編集履歴
突撃!ヒューマン!!
12
編集履歴