概要
彼女とその娘たちに始まる牝系(母系)の競走馬は、馬名にローザ(Rosa、ラテン語で薔薇)やローズ(Rose)など、薔薇にちなんだ名付けをされる例が多いために、薔薇一族と通称される。
一族から複数の重賞馬を出しつつもGⅠ勝利にはなかなか手が届かずにいたが、2009年にローズキングダムが朝日杯フューチュリティステークスを制し、一族としてGⅠ初制覇。ローズキングダムはさらに2010年のジャパンカップを(降着繰り上がりながら)制し、一族初の古馬GⅠ制覇を果たした。
そして2022年にはスタニングローズが秋華賞を制し、三冠レースの一族初制覇を果たした(同馬はその後長く低迷するが、2024年にエリザベス女王杯を勝利。)。
ローザネイについて
まず、この一族の祖となったローザネイについて示す。
生年月日 | 1988年2月9日 |
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欧字表記 | Rosa Nay |
性別 | 牝 |
毛色 | 栗毛 |
父 | Lyphard(USA) |
母 | Riviere Doree(USA) |
母父 | Secretariat(USA) |
生国 | フランス |
戦績 | 8戦1勝 |
父リファールはフランスで現役を送り活躍。引退後の種牡馬としても凱旋門賞馬ダンシングブレーヴ(エリモシック、キョウエイマーチ、キングヘイロー、テイエムオーシャンらの父)、BCターフ勝ち馬マニラ、日本で種牡馬として成功したモガミ(メジロラモーヌ、シリウスシンボリ、レガシーワールドらの父)、ブラックタイド・ディープインパクト兄弟の母父アルザオなどを輩出する大きな成果を残した。
母リヴィエールドリーは、今なお「ビッグ・レッド」の愛称でアメリカ競馬界を代表する優駿として親しまれるセクレタリアト産駒の繁殖牝馬。
さらに遡って世界的な牝馬の血統分類では、20世紀初頭にもっとも活躍していた「1号族」、その中でも1860年生まれの牝馬クイーンバーサ(Queen Bertha)を祖とする「1-w」という分枝に属する。日本に関するところでは、ローザネイにやや近い所で1977年の桜花賞・エリザベス女王杯二冠牝馬インターグロリアや、もっと古い時代からの分岐になるが、トウショウ牧場の基幹繁殖牝馬にしてトウショウボーイの母たるソシアルバターフライなどを出した牝系である。
ローザネイ自身はフランス競馬界で8戦1勝の戦績で現役を退いたのだが、このような血統を買われて日本の社台グループが購入、日本で繁殖に入ることになった。
すると、妊娠した状態で来日し日本で出産した第1仔(いわゆる持込馬)ロゼカラーがいきなりデイリー杯3歳ステークス(GⅡ)に勝利。
さらにサンデーサイレンスとの間に産んだ第2仔ロサードはオールカマー(GⅡ)など重賞5勝の息の長い活躍を果たして種牡馬入り。
5番仔ヴィータローザもセントライト記念(GⅡ)など重賞3賞を挙げ、ローザネイは母としての活躍で一躍注目を集めることとなった。
牝系一覧
孫の代になっても、ロゼカラーの第1仔ローズバドがフィリーズレビュー(GⅡ)など重賞2賞、活躍馬の登場が続いた。
しかし、GⅡまでは勝ててもGⅠの栄冠がなかなか遠かった。ローザネイの来日から15年以上が経過した2009年、一族として実にGⅠ(+JpnⅠ)34回目の挑戦にしてローズバドの仔ローズキングダムが朝日杯フューチュリティステークスを制覇。薔薇一族に栄冠をもたらした。
ローズキングダムの引退後は10年以上重賞馬が出ていなかったが、2022年にスタニングローズがフラワーカップに勝利。そして同年の秋華賞を制し、一族久々のGⅠ勝利となった。
※太字はGⅠ・JpnⅠ級競走優勝馬
ローザネイ♀
┣ ロゼカラー♀(父Shirley Heights)
┃ ┃ ┣ ローザブランカ♀(父クロフネ)
┃ ┃ ┃ ┗ スタニングローズ♀(父キングカメハメハ、秋華賞、エリザベス女王杯)
┃ ┃ ┣ ローズキングダム♂(父キングカメハメハ、朝日杯FS、ジャパンカップ)※種牡馬入り
┃ ┃ ┗ ロザリウム♀(父キングカメハメハ)
┃ ┃ ┗ ゼルトザーム♂(父:ヘニーヒューズ)
┃ ┗ ローゼンクロイツ♂(父サンデーサイレンス)
┣ ロサード♂(父:サンデーサイレンス)※種牡馬入り
┗ ヴィータローザ♂(父:サンデーサイレンス)