概要
新沢基栄の漫画家デビュー作であり、後継シリーズや『ボクはしたたか君』の基礎、アシスタントを務めた佐藤正のデビュー作『燃える!お兄さん』のモチーフとなった奇人変人コメディ漫画作品。全6巻。
構成
東京都のどこかにある『一応中学校』(いちおうちゅうがっこう)を笑いの渦に叩き込む名物集団『奇面組』の構成員(一堂零、冷越豪、出瀬潔、大間仁、物星大)を中心に物語が展開し、「変態」と呼ばれる所以となった強烈な個性と非常識な能力で巻き起こす騒動の日々を描いた学園ギャグ漫画。
連載当初からすでに零、豪、潔の3名は留年2回、残る仁と大も留年1回を経験して中学校に自主残留しているという奇天烈な設定であり、作中でさらに留年を重ねたためにヒロインを務める2年生の河川唯、宇留千絵両名の進級に伴って同級生となった。
中学校卒業式当日、零たちが進む『一先高校』(ひとまずこうこう)と唯たちが進む『応生高校』(おうせいこうこう)が合併して『一応高校』(いちおうこうこう)が設立され、『3年奇面組』連載終了の翌週から始まる『ハイスクール!奇面組』の布石となった。
問題点
以下の例にもあるように、奇面組シリーズの根幹を成す作品でありながら主要出演者の生年と中学校入学年から見た留年数が合致しない場合が多く、そもそも生年すら定かでない者も多く含まれているために「各集団の正しい留年回数は何回か」が長く議論の対象となっており、これを受けて後継シリーズでは少しずつ修正が加えられる運びとなる。
例1:似蛭田妖と一堂零
似蛭田は1964年(昭和39年)に生まれ、1977年(昭和52年)に一応中学校に入学。『番創高』(ばんそうこう)の受験に失敗した折、似蛭田の「来年があるさ」に対して米利堅作が続けた「去年も聞いたぜそのセリフ」の発言から少なくとも留年2回目の事実が示されたが、同年齢同学年の零が3回目の留年を記録したにも関わらず似蛭田の留年回数が3回目であるか否かは明らかにされていない。
例2:一堂零と河川唯
零が生年1966年(昭和41年)の唯と同級生として1年間を過ごした年度時点で留年3回生の条件を成立させるためには音成久子と同じ生年1963年でなければ成立せず、零の生年そのものが留年回数と矛盾している。
この記事に限っては「生年月日が明確である奇面組を除く各集団の生年不詳者はリーダーと同年齢の同級生」と見なし、且つ「奇面組の最終留年数を基準に留年組の色男組、番組、御女組、腕組各リーダーの生年と単純照合した結果から導き出された留年回数」を記載するものである。
主要人物
名物集団
共通の主義主張、あるいは人並み外れた一芸を持つ者同士が集まった5人組。3年8組だけは集団が存在しない反面、3年10組だけは集団が2つ存在する。
3年1組『骨組』(ほねぐみ)
「目指せ東大、覗くな番台。我々の辞書には色、恋、女の文字は無い」のスローガンを掲げ、実技教科の授業中ですら寸暇を惜しんで受験勉強に没頭する狂信的ガリ勉集団。留年なし。
屈指の進学校『尾利高』(おりこう)進学以降の動向は不明。アニメ化に際し、「名前の読みに問題がある」という判断から来津の名前が『河津輝』(かわつ てる)に差し替えられた。
3年2組『婦組』(ふくみ)
美少女アイドル並みの美形を利用して男子生徒を手玉に取り、影に隠れてほくそ笑む陰険な遊び「ふくみ(笑い)ゲーム」を楽しむ清純派集団。最終留年数は不明だが、メンバーの松茂が一応高校入学式を近日に控えた頃に「問代はまだ16だから」と発言している点から、婦組もまた1回の留年を経験した可能性が高い。
最終盤に登場した最後の名物集団であり、一応中学校在学中に出演できなかった不遇を嘆いた一方、一応高校進学後は『クラブ挑戦シリーズ』バレーボール部編で雲童命が主将を務めた当時の女子バレーボール部に所属している姿が早々と描かれ、同挑戦シリーズ中の扉絵にも登場する活躍を見せた後、メンバー入りを希望する新たな5名と共にバレンタインデーのエピソードに出演し、代替わりした女子バレーボール部でも引き続き出演するなど意外な息の長さを見せつけた。
名前 | 読み | 声優 |
---|---|---|
子役締ひろ | こやくしまる ひろ | 安藤ありさ |
小河井菜緒 | こかわい なお | なし |
斉藤つか | さいとう つか | なし |
吉和原かしえ | よしわばら かしえ | なし |
松茂問代 | まつも といよ | 佐藤智恵 |
3年3組『色男組』(いろおとこぐみ)
知能も体力も人並み以下だが、それを補って余りある抜群の美貌とナンパ術を最大の武器として選り取り見取りの学生生活を謳歌する美男子集団。最終留年数2回。
『江々格高』(ええかつこう)受験時に隣席の女子を口説いて行ったカンニングが発覚して不合格処分となり、これに懲りて翌年に受験した一先高校では真面目に試験に取り組んで合格を果たす。
3年4組『番組』(ばんぐみ)
「権力にも負けず暴力にも負けず、汚い金の力にも負けない!そんな人間に俺らはなりたい!」を目標に、百戦錬磨の腕っぷしで喧嘩に明け暮れる硬派集団。最終留年数3回。
『番創高』受験時に試験官に対する暴力行為で不合格処分となり、翌年に受験した一先高校でも暴力沙汰になりかけつつも合格を果たす。
3年5組『取組』(とりくみ)
「全てにおいて人並み以上の能力を持つ」と声高に自負する一方、「自分の内申評価を上げるため」の本音を綺麗事の建前で包み隠して生徒会を運営する仮面集団。留年なし。
原作終盤から登場した集団の1つだが、応生高校受験時の顔見せを最後に自然消滅した。アニメ版未登場。
名前 | 読み | 声優 |
---|---|---|
立前正義 | たてまえ せいぎ | なし |
白毛鳥洋子 | しらけどり ひろこ | なし |
曽田予科郎 | そだ よかろう | なし |
気品薫 | きしな かおる | なし |
文武両道 | ぶんぶ ふたみち | なし |
3年6組『ルッ組』(るっくみー)
一年に一度の大舞台である文化祭に向けてバンド活動に全力を傾ける音楽集団。留年なし。
一応高校受験時の顔見せを最後に自然消滅したが、沢木だけアニメ版に数シーンの出演を果たした。
3年7組『御女組』(おめぐみ)
平凡で緩やかな世間に虚しさを覚えて刺激を求めるために道を外れ、番組と双璧を成す実力を誇るスケ番集団。最終留年数2回。
『可愛子振高』(かわいこぶりこう)受験時に試験官に対する暴力行為で不合格処分となり、翌年に受験した一先高校では合格を果たすも邪子の肝いりで厄祓いに赴く天邪鬼に付き合わされた。
3年9組『腕組』(うでぐみ)
天性の運動能力を日々欠かさぬトレーニングで磨き続け、あらゆるスポーツを得意とする運動集団。最終留年数2回。
『駆津高』(かけつこう)受験当日、零とのバスケットボール勝負で生じた一時的変態化の後遺症が現れ、5人揃って遅刻した末に不合格処分となる。翌年に受験した一先高校でも塊の後遺症が再発したためにあわや腕組解散の危機に直面したが、どうにか無事に合格を果たす。
3年10組『奇面組』(きめんぐみ)
「世の中の味付けをする調味料になろうではないか」の号令の下、何者にも染まらない強烈な個性を第一とする変態集団。零、豪、潔は最終留年数3回、仁と大は最終留年数2回。
敷居の低さで有名な『不格校』(ぶかつこう)を受験し、周囲の予想を覆す5人全員合格の奇跡を以って卒業式に臨んだ当日、高校側の手違いが発覚して合格取り消し処分となる。翌年に受験した一先高校では不合格となったが、同校に合格した後述の多組全員が進学辞退を希望した事で繰り上げ合格を果たした。
3年10組『多組』(たくみ)
何から何まで人並みの当たり障りの無さをこそ第一とし、地味でも堅実な人生を送るべく世の中を巧みに渡り歩く事を信条とする凡庸集団。留年なし。
安全確実な合格を狙って一先高校の受験を決めたものの、当日になって奇面組を始めとする留年組にルッ組を加えた名物集団の面々が同校の試験に参加していた事実に驚き、「中学と変わらない不安な学校生活を送るよりマシ」として進学辞退を希望した上で滑り止めの高校に移って姿を消し、それ以降の動向は不明。アニメ版未登場。
名前 | 読み | 声優 |
---|---|---|
高望見千 | たかのぞみ せん | なし |
武南普通男 | ぶなん ふつお | なし |
人山市沿 | ひとやまいち えん | なし |
大志田古都中郎 | たいしたこと なかろう | なし |
織増田懐 | おりました かい | なし |
その他生徒
一応はごく普通の一般生徒だが、奇面組との長い付き合いを保つだけあって実は何かがズレている。
教員
各クラスを代表する問題児に頭を悩ませ、日夜奮闘する教職員。
海武、西南、目手物、歯反を除く担任教員は零たちの卒業年度を以って一先、応生両校にそれぞれ赴任する段取りが整っていたが、二校合併による一応高校設立で再び顔を交える運びとなった。
名前 | 読み | 担当 | 教科 | 声優 |
---|---|---|---|---|
海武ツヤ | かいぶ つや | 3年1組 | 家庭科 | 青木和代 |
色音好 | いろおと こう | 3年3組 | 代講 | 伊沢弘 |
西南会造 | さいなん あうぞう | 3年4組 | 社会科 | 喜多川拓郎 |
目手物雄三 | めでもの ゆうぞう | 3年5組 | 不明 | なし |
葉反度礼美 | はそらし どれみ | 3年7組 | 音楽 | なし |
石砂拓真 | せっさ たくま | 3年9組 | 体育 | 安原義人 |
伊狩増代 | いかり ますよ | 3年10組 | 国語 | 勝生真沙子 |
豊年満作 | とよとし まんさく | 2年10組 | 数学 | 龍田直樹 |
家族
一堂家
母の直利は、零が8歳の時に発覚した末期の悪性脳腫瘍によって34歳で早逝しているが、未だに遺影を通じて家族全員に深く愛されている。
河川家
絵画制作の依頼で生活費を稼ぐ画家の板造、病弱で床に伏したままの理矢、4歳下の一平が出演。
宇留家
生花店『フラワーショップ うる』を経営する才蔵と冴、お調子者の聖也が出演。
後年の新沢曰く「最初に浮かんだアイデアのまま出してみたが、それほど動いてくれるキャラにもならず、性格上いないほうがいいと思った」「豪と千絵の仲がややこしくなってしまう」という考えを示し、後継シリーズでは聖也が存在しない3人家族に書き換えられた。
その他出演者
長い顎と奥目が特徴の兄貴分『ひまわり あにき』(身長:210cm、体重:200kg、声優:佐藤正治)、大きな唇と出目が特徴の弟分『ちゅーりっぷ おとうと』(身長200cm、体重210kg、声優:戸谷公次)から成るはぐれヤクザの2人組。
傍若無人な振る舞いと常識外れの強面で見る者全てを震え上がらせ、喧嘩自慢の似蛭田をも軽々と叩き伏せる桁外れの怪力の持ち主。新沢曰く「愛するマスコットキャラクター」であり、連載序盤での出演後もこの2人を主人公に据えた番外作品が執筆され、後に『ハイスクール!奇面組』『フラッシュ!奇面組』にも早々に登板する破格の厚遇を受けることとなった。
- 一日一善(ひとひ かずよし)
勤労青年で有名な一応町早朝名物の牛乳配達員。声優は三ツ矢雄二。
出演した最終話では顔見せ程度で名前は明かされず、新沢による「どこかで見たような」のコメントが枠外に添えられただけだが、実は最終話以前に新沢初の単独読切作品『教師のらいせんす』に主人公として出演しており、この時に姓名に加えて後に登板する『ハイスクール!奇面組』でも語られなかった出身高校『芽支学園高』(めしがくえんこう)の名称も明かされ、さらに日々の配達業で鍛えられた握力でリンゴを握り潰すという力自慢の一面(最低でも握力80kg前後)も披露した。