快速急行
かいそくきゅうこう
特急と急行の間に位置し(過去には例外あり)、急行より停車駅が少ない。特別料金を取らない種別としては最上位の存在になる。JRには存在しないが特別快速や新快速が似たような立ち位置にある。
臨時列車としては小田急電鉄が1957年に、定期列車としては1958年に南海電気鉄道が高野線において導入したのが始まりとされている。
導入している会社
大手私鉄に多く、特筆すべきは関西の大手私鉄5社とも設定していることである。
東武鉄道
現在は東武東上線に運行設定がある。朝夕に設定されていて平日は上りのみ、土休日は朝の上下線と夕方の上りでの運行。東京メトロ副都心線に乗り入れる列車もある。なお、快速急行のない日中は下位種別の快速を運行している。
- 停車駅:池袋-和光市-志木-川越-川越市-坂戸-東松山~小川町間各駅
なお東武伊勢崎・日光線系統でも、1976年から当時の急行から種別変更という形で1991年まで運行されていた。快速急行としては珍しく特別料金を必要としていた。当時の快速と同じ車両を使用しており、種別の格としては当時の有料急行の「りょうもう」より下であった。1991年より300・350系使用の急行(2006年より特急に種別変更)に置き換えられる形で種別は消滅。末期は最長で浅草駅から会津鉄道の会津田島駅までの190.7kmの運転で、これは過去を含めての日本最長の快速急行列車だったものと思われる(現在の最長快速急行は近鉄の上本町-鳥羽間の150.4km)。
西武鉄道
池袋線系統では、「Fライナー」の列車愛称を冠する東京メトロ副都心線・東急東横線方面直通列車を中心に設定されており、また池袋行きの上り列車も僅かながら設定されている。2020年までは秩父鉄道直通の池袋発着列車が存在した。
- 停車駅(東京メトロ直通):飯能-入間市-小手指-所沢-ひばりヶ丘-石神井公園-練馬-小竹向原から先は種別変更
- 停車駅(池袋行き):西武秩父から飯能までの各駅→入間市→小手指→所沢→ひばりヶ丘→石神井公園→池袋
新宿線では2012年に一旦消滅していたが、新宿から川越方面へのアクセス向上を目的として2020年に再度登場。土・休日朝に下り列車を2本設定している。
- 停車駅(本川越行き):西武新宿→高田馬場→田無→東村山→所沢→新所沢から本川越までの各駅
小田急電鉄
小田原線・江ノ島線・多摩線にて設定。日中は新宿~小田原間と新宿~藤沢・片瀬江ノ島間で運行され、両者とも20分間隔で運行される。夜の時間帯は新宿~唐木田間の列車も設定。
- 停車駅(小田原線系統):新宿-代々木上原-下北沢-登戸-新百合ヶ丘-町田-相模大野-海老名-本厚木~新松田間各駅-小田原
- 停車駅(江ノ島線系統):新宿-代々木上原-下北沢-登戸-新百合ヶ丘-町田-相模大野-中央林間-大和-湘南台-藤沢-片瀬江ノ島
- 停車駅(多摩線系統):新宿-代々木上原-下北沢-登戸-新百合ヶ丘-栗平-小田急永山-小田急多摩センター-唐木田
近畿日本鉄道
大阪線の快速急行は毎日、朝夕に急行のかわりに設定されており、大阪上本町~五十鈴川間の長距離を走る列車もある。2016年3月改正後は本数減少。2018年3月改正で鳥羽発着が復活した。なお、ほとんどが青山町発着で、松阪、宇治山田方面まで運転される列車は朝上り1本と夕方下り4本のみ。
南大阪線・吉野線は臨時で設定がある。橿原神宮前で特急待避および時刻調整を行うため大阪阿部野橋~吉野間の所要時間は急行より10分程度伸びる。
- 停車駅:大阪阿部野橋-古市-尺土-高田市-橿原神宮前-飛鳥-壺阪山-吉野口-福神(ふくがみ)-下市口-六田(むだ)~吉野間各駅
近鉄京都線にも設定されていた時期があったが、急行を一部間引きした形での設定に加え、新田辺や高の原といった主要駅を悉く通過したのが祟って短期間で廃止された。
近畿日本鉄道・阪神電気鉄道
近鉄難波・奈良線・阪神なんば線・阪神本線のものは終日設定され、基本的に神戸三宮~近鉄奈良間直通で運行されており、昼間以降は3本/hが設定されている。大阪難波~近鉄奈良間の列車や、尼崎~近鉄奈良間の列車もあるほか、平日朝には大和西大寺行き、大阪難波行き(大阪難波から東生駒行き近鉄普通列車)もあり、毎日夜には尼崎から大阪難波・近鉄奈良線方面は普通列車となるものもある。土・休日には新開地発近鉄奈良行きの列車が3本設定され、阪神の車両で運行されている。
余談だが、近鉄の大阪線快速急行と奈良線快速急行は出自が異なり、前者が急行の格上げ、後者が特急料金不要の特急からの格下げだったりする。また、阪神の快速急行は列車種別選別記号を西大阪特急から流用した為なのか、設定当初は西大阪特急の特徴を色濃く残していた。
なお、阪神は近鉄との相互乗り入れ開始前にも快速急行を走らせていた。現在のなんば線経由で奈良へ直通する役割とは異なり、夕ラッシュ時に特急・直通特急を補完する役割として、梅田(現大阪梅田)~三宮(現神戸三宮)で運行されていた。
- 2020年3月現在の停車駅
阪神本線・阪神なんば線・近鉄難波・近鉄奈良線:(新開地→高速神戸→西元町→元町→)神戸三宮-魚崎-(芦屋)-西宮-(今津)-甲子園-(武庫川)-尼崎-西九条~鶴橋間各駅-生駒-学園前-大和西大寺-新大宮-近鉄奈良
※武庫川と今津は平日昼間と土休日全列車停車。芦屋は平日全列車停車・土休日全列車通過。新開地から元町までは土休日朝に近鉄奈良行きのみ運行。
- 停車駅の変遷
阪神本線(運転開始当時):三宮-西宮-甲子園-尼崎-野田-梅田
阪神本線(1993年~2001年):三宮-魚崎-西宮-今津(夕方下りのみ)-甲子園-尼崎-野田-梅田
阪神本線(2001年~2009年):三宮-岩屋-青木-西宮-今津-甲子園-尼崎-野田-梅田
近鉄大阪線(2003年~2012年):上本町-鶴橋-五位堂-大和高田-大和八木-桜井-榛原-名張~榊原温泉口間各停-伊勢中川-松阪-伊勢市~鳥羽間各停
近鉄京都線(廃止):京都-竹田-丹波橋-大和西大寺-新大宮-奈良
阪急電鉄
京都線の最速種別。停車駅数と所要時間のバランスが良く、特急が115km/h運転・西院駅と大宮駅を通過して43分(実際は信号待ちによる遅れ多発で45~46分)に対し、快速急行は西院と大宮に停車し、且つ5km/h低い110km/h運転のハンデありきで同一の所要時間で走っていた。現在は最速44分だが、それでも最速種別の地位は揺るがないどころか快速特急A「京とれいん」よりも遥かに速い。
特急のない時間帯にかわりとして設定されており、平日は朝ラッシュまでと夕ラッシュ以降に運行され、夕方以降のものは淡路を通過する通勤特急と交互に運行される。土日は朝と深夜に設定されている。なお、快速急行は走っているのに急行が走っていない(2007年に準急に格下げされた為)、日本で唯一の本線系統の路線である。
- 停車駅:梅田-十三-淡路-茨木市-高槻市-長岡天神-桂-西院-大宮-烏丸-河原町
- 2001年までの急行停車駅をそのまま引き継いでいる。
神戸線は早朝と深夜のみの運行で、やはり特急の代わりとして設定されている。西宮北口駅の構造上の理由で準急よりも格下である。なお神戸線は特急と準急が同格の最上位種別である。
- 停車駅:梅田-十三-塚口-西宮北口-夙川-岡本-六甲-神戸三宮-花隈-高速神戸-新開地
かつては宝塚線でも走っており、2003年にそれまでの特急の停車駅に蛍池と雲雀丘花屋敷を加える形で快速急行を設定、昼間時間帯のみの運転であった。しかし2006年に急行に戻される形で消滅。結果としては1995年以前の運転形態(急行と各駅停車のペアによる遠近分離ダイヤ)にほぼ戻った形となった。
- 当時の停車駅:梅田-十三-豊中-(この間各駅)-山本-宝塚
京阪電気鉄道
平日の朝に中之島発出町柳行き、平日の朝と夕方に中之島発樟葉行き、平日の夜と土・休日の朝と夜に出町柳発淀屋橋行きの設定がある。平日の朝は守口市通過の通勤快急として出町柳・三条発中之島行きが運行される。
2008年中之島線開業と同時に設定された種別で、当初は特急の一部を置き換える形で昼間にも存在し、枚方市発着の特急とのペアで枚方市を境とする遠近分離ダイヤが組まれていた。
※通勤快急は守口市通過
その他
西日本鉄道では天神大牟田線で運行されていたが、廃止されている。
2001年から2010年まで平日朝上り急行のうち、下大利と春日原(どちらも8両編成が停車出来ない)を通過する8両編成の急行を誤乗防止目的で格上げする形での設定。4ドア車である6000形および6050形8両編成での限定運用だった。本数も大牟田発1本と西鉄柳川発1本の2本のみであった。
- 停車駅:大牟田→新栄町→西鉄柳川→大善寺→花畑→西鉄久留米→宮の陣→西鉄小郡→筑紫→朝倉街道→西鉄二日市→大橋→薬院→西鉄福岡(天神)
ちなみに神戸電鉄の「快速」の英語表記は、快速急行を表すRAPID EXP.となっており、新設当初、神戸高速鉄道新開地駅の時刻表では「快速急行」と誤記されていた事がある。