概要
時計塔講師ロード・エルメロイⅡ世を主役としたミステリー小説。全10巻。
奈須きのこ氏曰く「完全に同じ世界、ただし三田誠スパイスにより大気濃度がちょい違う濃密魔術もの」。
上記の通り、Fateシリーズ本編である『Fate/stay night』とは数少ない同じ世界軸の物語であり、時間系列は第五次聖杯戦争の少し前から始まる。
他のシリーズと違い聖杯戦争とは直接的な関わりは無く、時計塔をはじめとする純粋な魔術師の世界にスポットを当てている。またTYPE-MOONの魔術設定に現実世界の魔術ロジックを絡めて展開されるミステリーも特徴のひとつ。
またシリーズには毎回、TYPE-MOON作品からゲストキャラクターが登場する。
2017年、月刊ヤングエースにてコミカライズ化が決定。漫画担当は東冬氏。
また、下記のアニメ放送に合わせて角川文庫版も全10巻で刊行された。
2019年の年末にTYPE-MOONではお馴染みのマテリアル本も刊行。
またその巻末で続編となる「ロード・エルメロイⅡ世の冒険」が新シリーズとして刊行される事が決定された。
ストーリー
魔術協会の総本山である時計塔。そのトップに君臨する12人のロードのひとり、「現代魔術科」の教授であるロード・エルメロイⅡ世は、貴族でもなく優れた魔術師ですらないが、とある理由から「ロード・エルメロイ」の名を受け継ぎ教師として教鞭を取っていた。
傍らにはフードを目深にかぶった助手を連れ、背後では少女が意地悪く楽しげに微笑み、慕う生徒たちはトラブルばかり起こす……。
そんな彼の関わる事件はいずれも魔術世界に関わる厄介ごとばかり。常識の通じぬ難事件を動機(ホワイダニット)から解体していく。
これは、第五次聖杯戦争より少しだけ前の事件劇。
登場人物
CV:浪川大輔 / 演:松下優也、植田慎一郎(ウェイバー・ベルベット時代)
魔術の腕は2流だが教師としての腕は時計塔随一。またその知識や推理能力も瞠目に値する。
エルメロイⅡ世の内弟子兼世話係の少女。年齢は15歳ほどで顔をいつもフードで隠している。Ⅱ世の弟子となる前は英国のとある伝統ある霊園で墓守をしていた。
CV:小野大輔
グレイが持つ疑似人格が宿った一家伝来の魔術礼装。
普段は箱のような状態で鳥籠に入れられているが、戦闘時には鎌へ変形し武器となる。
エルメロイ家現当主でロード・エルメロイⅡ世の義妹。エルメロイⅡ世をロードに仕立て、自らの管理下に置いている。
エルメロイ教室における最古参の生徒の一人。
相も変わらず魔術師らしくない気質と恵まれた才能で周囲にストレスを与えている。
エルメロイ教室における最古参の生徒の一人。
フラットからは「ル・シアン(犬)」という不本意なあだ名で呼ばれる。
時計塔を管理・監督する異端の学科「法政科」の魔術師。
事件を通じて度々エルメロイⅡ世と敵対する。
case.剥離城アドラ
遺産を狙う招待客のひとり。エーデルフェルトのご令嬢。
『Fate/hollow ataraxia』からのゲストキャラクター。
故人。「剥離城アドラ」の城主で、今回の発起人。
演:松田慎也
招待客のひとり。中近東で活動する魔術使いの傭兵。
演:花王おさむ
招待客のひとり。「蝶魔術」と呼ばれる魔術を操る老魔術師。ホムンクルスの従者(演:木村風太)に車椅子を押させている。
演:百名ヒロキ
招待客のひとり。錬金術の名門イスタリ家の出身者。
ハイネの妹。魔術師の家では珍しく兄との仲は良い。
演:木戸邑弥
招待客のひとり。右眼に眼帯をした山伏の青年。
クラウン
ルヴィアの第二従僕。
case.双貌塔イゼルマ
CV:本田貴子
「冠位」を賜った封印指定の人形師。現在は封印指定が解除中との事。
CV:福島潤
中東の魔術師。事件の裏で策略を巡らす。
アニメ『Fate/staynight [Unlimited Blade Works]』からのゲストキャラクター
アニメ版の特典ドラマCD『グレイと日記とガラスの壺』にも登場。
CV:一城みゆ希
時計塔のロードの一人。創造科の学部長。快活な老婆。
イゼルマ家の当主。黄金姫と白銀姫の父親。
黄金姫。極限の美を持つイゼルマの最高傑作。
白銀姫。ディアドラの妹。
黄金姫に仕えるメイド。
白銀姫に仕えるメイド。双子なのか、カリーナと瓜二つの容姿をしている。
お披露目会に参加していた魔術師。スパイを自称する怪しい男。所属は呪詛科。
お披露目会に参加していた魔術師。伝承科に所属する薬師の青年。
黄金姫と白銀姫のドレスを仕立てた魔術師。
case.魔眼蒐集列車(レール・ツェッペリン)
CV:小林裕介
エルメロイ教室の新入りにしてフォルヴェッジ家当主。
『Fate/Apocrypha』からのゲストキャラクター。
CV:米澤円
「天体科(アニムスフィア)」のロードの一人娘。12歳。
『Fate/Grand Order』からのゲストキャラクター
CV:平川大輔
自称・エルメロイⅡ世の親友。彼がロードとなる以前からの付き合いだが、必ずしも味方はしてくれない食えない男。
CV:岡咲美保
エルメロイ教室の生徒。エルメロイⅡ世の愛人を志望する眼帯少女。
CV:比嘉久美子
オルガマリーの付き人にして教育係。未来視の魔眼を持つ。
CV:津田英三
聖堂教会に所属する厳しい顔つきをした黒人の老神父。過去視の魔眼を持つ。
CV:山本兼平
魔術師でありながらマイナーバラエティ番組で主役を務める伊達男。
アニメ版では魔眼蒐集列車には乗車せず、獅子劫とルヴィアにある情報を提供する。
CV:行成とあ
魔眼オークショナー。
CV:江越彬紀
魔眼蒐集列車の車掌。
CV:大地葉
征服王の臣下であるサーヴァント。
CV:福山潤
現代魔術科の前学部長。現在は魔術協会から離反している。
case.アトラスの契約
アトラス院の院長。本人曰く「ちょっとしたデータ取り」で立ち寄る。
『MELTY_BLOOD』からのゲストキャラクター。
「ブラックモアの墓地」の墓守。
村の教会の司祭。
村の教会のシスター。
グレイの母。
おばば様
村の長老
case.冠位決議
秘骸解剖局職員。
秘骸解剖局職員。
全体基礎科君主。
降霊科君主。ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリやブラム・ヌァザレ・ソフィアリの父親。
アニメのみ
CV:野島裕史
降霊科君主の嫡男。
CV:金元寿子
元エルメロイ教室の生徒で、天体科に属する魔術師の家系。
父・アーネストが自宅でバラバラ死体となって発見された謎の解決を依頼する。
トリシャと交友があった事から、獅子劫とルヴィアに事情聴取される。
CV:島田敏
アーネストと共同で研究していた降霊術師。
ジャンマリオに代わる+狂言回し役として魔眼蒐集列車にも乗車する。
CV:前野智昭
時計塔の一級講師で降霊科の重鎮。暴走した父の魔術工房の調査を依頼する。
CV:緒乃冬華
上述のウィルズの父の魔術工房の所有権をコドリントン本家に移すべく化野と共に現れた魔術師。ウィルズとは幼馴染の関係にある。
CV:乃村健次
死霊魔術師にしてフリーランスの傭兵。
『Fate/Apocrypha』からのゲストキャラクター。
CV:麻生智久
時計塔召喚学科学部長。
『Fate/Apocrypha』からのゲストキャラクター。
法政科所属の魔術師。グルドア・ダヴェナント連行の際にホムンクルス達とともに登場。
『Fate/Grand Order』からのゲストキャラクター。初出は『Fate/Apocrypha』。
マイケル
CV:沖野晃司
エルメロイⅡ世の行きつけのカフェの店主。
ブリジット
CV:藤井ゆきよ
上述のマイケルの店のウェイトレス。
ガウリカ
CV:櫻井浩美
シャルダンと共にスヴィンの典位昇格式典の進行を行っていた魔術師。
CV:甲斐田裕子
IT企業のCEOを務める若き実業家。エルメロイⅡ世のかつての学友。
シリーズ一覧
case.剥離城アドラ(1巻)
第五次聖杯戦争の少し前。ロード・エルメロイⅡ世はある事情から「乖離城アドラ」と呼ばれる城で魔術師アッシュボーンの遺産相続争いにグレイと共に巻き込まれる。遺言の内容はこの城に秘められた謎を解いたものに遺産を相続させるというもの。遺産を求め集う魔術師たち。しかし、それは悲愴な事件のはじまりでもあった。
case.双貌塔イゼルマ 上・下(2、3巻)
双貌塔イゼルマでの今代「黄金姫」「白銀姫」のお披露目会。エルメロイの家督を継ぐライネスはボディーガードにグレイを連れ、そのパーティーへと出席する。会場に集うは名だたる名門魔術貴族。そして時計塔三大貴族の一角「バリェレータ」を中心に沸き起こる派閥争い。陰謀渦巻く伏魔殿でライネスに衝撃の提案を持ちかけたのは、思わぬ人物であった。
case.魔眼蒐集列車(レール・ツェッペリン) 上・下(4、5巻)
ある日ロード・エルメロイⅡ世のもとから宝物である「イスカンダルの聖遺物」が盗まれた。後に残されていたのは異名極まる魔眼オークション会場「魔眼蒐集列車」への招待状。エルメロイⅡ世は親友との絆を取り戻すために内弟子のグレイと生徒のカウレスと共に魔眼蒐集列車へと乗り込む。だがそこで彼を出迎えたのはあの親友の…。
case.アトラスの契約 上・下(6、7巻)
あれほど切望していた第五次聖杯戦争への参加を辞退すると決意したエルメロイⅡ世。師の覚悟を間近で見届けたグレイは、その想いに応えるべく目を背けていた己の過去と向き合う決意をする。
それは、ライネスとロード・エルメロイⅡ世がグレイと出会うきっかけとなった物語。とある集落で起きた、「自分」が殺され逃げるように故郷を離れた忌まわしき事件。
あの日、故郷で何が起きたのか。その真実を探るべく、Ⅱ世とグレイ達は再びかの地を訪れる。
case.冠位決議(グランド・ロール) 上・中・下(8、9、10巻)
冬木の地にて続々とサーヴァントが召喚され、第五次聖杯戦争の開戦まで最早秒読みとなった頃。倫敦では12の君主による「冠位決議」が催されるとの一報が入る。決議の議題は時計塔地下深くに広がる「霊基アルビオン」の採掘是非。ハートレスの陰謀と冬木の聖杯戦争、そしてロードの派閥争い。様々な思惑が交錯する霧の街の反対側で、遂に最後の英霊が召喚される。
2004年2月2日、深夜。それは全ての始まりとなり終局の幕開けである「運命の夜」。
TVアニメ
2018年大晦日特番『Fate Project 大晦日 TVスペシャル 2018』にて新作アニメとして第0話が放送され、その後2019年7月放送予定と発表された。
TOKYO MX、群馬テレビ、とちぎテレビ、BS11、毎日放送で放送。
正式タイトルは『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車(レール・ツェッペリン) Grace note-』。
『case.魔眼蒐集列車』が選ばれたのはアニメ映えや展開の速度を考慮した結果との事。
アニメーション制作はTROYCA。『Fate/Zero』に関連した部分が多い事もあって、同作アニメ版の監督あおきえいもスーパーバイザーとして参加している。
全14話(第0話含む)で、前半の6話までは「Ⅱ世誕生の経緯」や主要人物の"人となり"の紹介も兼ねたアニメオリジナルストーリーが展開され、後半の7話から13話で魔眼蒐集列車の本編が描かれた。
OPは「starting the case : Rail Zeppelin」、EDはASKAの「雲雀」。
2021年7月に新規エピソードの制作決定が発表された。これに合わせて、9月末から第0話も含めて再放送されることに。
その後同年大晦日の『Fate Project 大晦日TVスペシャル2021』内で放送された。
EDはASKAの「君が見た夢の物語」。アニメ版OPに歌詞をつけてリテイクしたものである。
アニメ版も合わせ全て梶原由紀が作曲編曲を担当。
ラジオ
ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 エルメロイ教室便り
土曜18時に本放送後、翌週の火曜にアニプレックス公式YouTubeチャンネルにアーカイブとしてアップされた。
ゲスト一覧
回数 | ゲスト名 | 役名 |
---|---|---|
1回 | 上田麗奈 | グレイ |
2回・3回 | 平川大輔 | メルヴィン・ウェインズ |
4回・5回 | 伊藤静 | ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト |
6回~8回・11回~12回 | 無し | --- |
9回 | 大地葉 | ヘファイスティオン |
10回 | ASCA | ED曲『雲雀』の歌手 |
13回(最終回) | 浪川大輔 | ロード・エルメロイⅡ世 |
舞台
2019年4月27日、舞台化が決定した。タイトルは『音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case. 剥離城アドラ-」』。
なお、アッドなどの音声のみで登場するキャラクターはアニメ版と同じ声優が担当している。
2019年12月15日にプレビュー公演が千葉で、2019年12月19日~23日に東京、2019年12月26日~28日に大阪、2020年1月11日・12日に福岡、2020年1月17日~19日に東京凱旋が本公演として上演。
因みに東京と東京凱旋公演は上演場所が違う。
外部関連
『Fate/Grandorder』でコラボイベントの開催が『AnimeJapan2019』にて告知。
そして2019年4月27日の生放送にてイベントタイトルが『レディ・ライネスの事件簿』である事が判明、同日21時より開催された。
2022年1月にもシナリオ追加のうえ復刻。
司馬懿の疑似サーヴァントとなったライネス及び途中合流したグレイと共に、死体で発見されたエルメロイⅡ世と不可思議なロンドンの謎を追っていく。
なお、アニメ版オリジナルエピソードは『ゼウス』、『妖精郷』(ブラックドッグとフェイが登場)、『世界卵』など『Grand Order』に密接に関わる要素が登場する事が多い。
関連タグ
TYPE-MOON Fateシリーズ Fate/staynight Fate/Zero
聖杯戦争 魔術協会 時計塔 魔眼(TYPE-MOON) エルメロイ教室