「我こそ、宇宙最強の格闘チャンピオン…鋼の魔人、グレース!
絶望へのスリーカウントを始めろ!」
データ
概要
「宇宙最強の格闘チャンピオン」、「鋼の魔人」の異名を持つ格闘家。
別次元ではあるが、かつて『ウルトラマンダイナ』に登場したグレゴール人の同族。
地球では主に人間態となっているが、どこか危険な雰囲気と不穏な空気を纏っていた『ダイナ』版のグレゴール人の人間態とは違い、温和な雰囲気でありふれた壮年の男性の姿となっている。
また、娘のミカがカナタがデッカーに変身する瞬間の写真を餌にカナタを連れてきた事を知ると、「人の弱みを握るような子に育てた覚えはないぞ」と咎め、写真を破り捨ててカナタに謝罪するなど、卑怯な事や他人に迷惑をかける事を好まない誠実さや、新生GUTS-SELECTメンバーの連携を「素晴らしいチームワークだ」と称賛するなど、高潔なスポーツマンシップの持ち主である。
さらに、自分が住んでいる町でレッドキングが暴れた時は町を守るために自ら姿を現して闘いを挑む、後述のGUTS-SELECTとの試合でもスフィアレッドキングが乱入し苦戦するデッカーを見るや勝ちを譲ってデッカーに加勢し、さらには自らの危険と引き換えに怪獣を羽交締めにして押さえ込み、自分ごと攻撃するように伝えるなど、困っている人を放っておけず、そのためなら自己犠牲も厭わない強い正義感を持ち合わせている。
こうした人物像は、自分の力を示すマッチポンプのために他人の迷惑を考えず、怪獣を暴れさせて町を壊すなどの害を及ぼしていた先代のグレゴール人とは対照的である(とは言え、あちらもグレースと同様根っからの悪人ではなく、潔く負けを認めて去っていく誠実さを持ってはいた)。
町の住人達も、最初こそウルトラマンとは違う別の宇宙人が現れた事に戸惑いを見せていたが、自分達に一切危害を与えずレッドキングを追い払ったその勇姿を見て、彼に感謝してグレースの名をコールしており、地球人からは侵略目的の宇宙人と見られる事無く、素直に受け入れられていた。
第5話に登場したピット星人ユウコと同様、彼らもまたスフィアの被害を受けた難民である。
元々は「超古代の光の巨人」に決闘を申し込むために地球に来訪したが、地球がすっかり平和になっていた事で諦めて故郷に帰ろうとしたところ、今度はスフィアの侵略によって故郷に帰れなくなってしまった。
やむを得ず地球で働きながら生活する事になるが、元々格闘技一本の人生を歩んできた事もあってか、どの仕事も上手く行かなかったとの事(劇中、ミカはどこからか貰ってきた大量のパンの耳を夕飯として食べようとしており、満足な食事も摂れないほどに困窮した生活を送っていたようである)。
「宇宙最強の格闘チャンピオン」という異名は伊達ではなく、格闘でレッドキングを翻弄し、一度は退散させるほどの高い実力を持っている。
…が、最近は高齢化に加えてあまり闘う事が無かったため体が鈍ってしまい、さらに若い頃の無茶が祟って体調も悪化しており、度々古傷がある胸の部分を押さえていた。
そのため全盛期ほどの実力は出せない模様で、その事は本人も自覚しているらしく、「私はもう長くない」と語っていた。
娘の想いもあってGUTS-SELECTとの試合に臨み、ムラホシ隊長もミカの願いとグレースの熱意を受けて、訓練への協力という形で試合を受諾する。
そして試合当日…GUTS-SELECTの全勢力を用いた攻撃にも怯まず真っ向から奮戦するが、試合中に乱入してきたスフィアレッドキングとの戦闘では、さらに体調が悪化して苦戦を強いられる。
最終的にデッカーを庇うために突き飛ばしつつスフィアレッドキングを羽交締めにして押さえ込み、GUTSグリフォンに自分ごと攻撃するよう懇願するが、爆発に巻き込まれる寸前でデッカーが召喚したディメンションカード怪獣3体により救出され、一命を取り留めた。
しかし、激戦によりとうとう体が限界を迎えて倒れてしまい、ムラホシが手続きしたTPUの医療施設に入院する事になった。
それでも、ミカは「元気になったらまた試合をして欲しい」と願っており、グレース本人も口先では「困った子だ」と呆れつつも、まだ諦めてはいない様子であった。
グレゴール人ミカ
演:榎本遥菜
グレースの一人娘。
劇中では終始人間態の姿で活動しており、その見た目は地球人の女子中学生くらいの少女で、宇宙人としての姿は見せなかった。それでも、父の特訓のサポーターをする程の運動能力を持っている。
宇宙一の格闘家である父親を誇りに思っており、ウルトラマンとの試合を望んでいた父親の願いを叶えようとしている。
そのために、カナタの正体がデッカーである証拠写真を餌にカナタを父親の所へ連れて行くという強引な部分もあったが、自分達が暮らしていた町がレッドキングに襲われた時は父親にレッドキングと戦って町を守って欲しいと頼むなど、根は父親同様平和を愛する心優しい性格の持ち主である。
なお、彼女の母親(グレースの妻)の存在については語られていない。
上記の通り、作中では父親のためとは言え写真を使ってカナタに脅迫まがいな行動を取っていたが、『ダイナ』本編のグレゴール人の回でも、ゲストキャラとしてクドウ・ナツミというカメラマン志望の少女が登場しており、あちらも昼寝をしていたアスカ・シンの姿を写真に収めて脅迫まがいな行動を取っている。
ただし、ナツミはミカと違い宇宙人ではなく地球人であり、どちらかと言えばグレゴール人ではなくダイナ寄りの行動を取っていた。
余談
- グレースの人間態を演じた中村氏は、『デッカー』のリスペクト元である『ダイナ』でフラッシュタイプとストロングタイプのスーツアクターを務めていた。それ以外にもTDG三部作においては、『ウルトラマンティガ』でマルチタイプとパワータイプ、『ティガ』劇場版でダーラム、『ウルトラマンガイア』でスプリーム・ヴァージョンなどを担当していた。また、グレースのスーツアクターである桑原氏は前作『ウルトラマントリガー』でダーゴン、『ウルトラマンタイガ』でウルトラマンタイタスなどの中の人であり、人間態とスーツアクター両方ともゴリゴリな筋肉系担当というチョイスである。
- 娘のミカを演じた榎本女史は、『ウルトラマンジード』第1話にもゲスト出演している。また、当人は幼い頃からウルトラマンが好きであり、Twitterにも子供時代のウルトラマンのポーズをする写真やウルトラマンとの記念写真を上げている。
- スーツは、『ダイナ』当時に使用された物の流用と思われる。マントはメフィラス星人ノストラのマントの流用であり、そのためマント着用時のシルエットは『ダイナ』版と異なる。また、リング用に使用している剣は、ジュダ・スペクターの武器であるバットキャリバーの流用である。
- ウルトラ戦士ではないにも関わらず専用の変身バンクが存在し、ぐんぐんカットに剣のリングが並べられた派手な演出となっている。また、SEはニセウルトラマンダイナの変身時の物が使われている。さらに、ぐんぐんカットのポーズもスーツアクターの桑原氏がかつて担当したウルトラマンタイタスの変身バンクと同じポーズとなっている。
- これまでのシリーズでは、善良な宇宙人であっても侵略者と見なされて一方的に地球人から攻撃を受ける(時にはウルトラマンでさえその被害に遭った事もある)というパターンが多かったが、グレースは自らの意志で地球人達の前に宇宙人として姿を見せ、怪獣の脅威から町を守ったお陰で割とすぐに地球人から信頼を得る事が出来た珍しい宇宙人である(この世界の地球ではメトロン星人マルゥルのように、防衛組織に所属して力を貸している友好的な宇宙人が存在しているのも大きな要因となっているのかもしれない)。
- この時、一部の人間には当初「あれって、ウルトラマン…?」と一瞬勘違いされており、一部の視聴者からは「トリガー、デッカー、グレースの3人で(それぞれのローマ字の頭文字を取って)TDGが成立する!」とネタにされている。
- グレースが最初にレッドキングと交戦したナツミシティは、上記の『ダイナ』に登場したナツミに由来していると思われる。
- 『デッカー』での登場に合わせて、グレース名義のグレゴール人のソフビが発売。また、『デッカー』本編には登場しなかったものの、かつて『ダイナ』でグレゴール人が変身したニセウルトラマンダイナ(ミラクルタイプ)のソフビも同日に発売されている。
- 『ウルトラマンタイガ』でウルトラマントレギアの人間体の霧崎役を演じた七瀬公氏は、この回を見ていたと語っており、チビスケやナックル星人オデッサとの顛末に差がありすぎる事に触れている。
関連タグ
ダーゴン、バリガイラー:前作に登場した、正々堂々とした戦いを好む戦士系のキャラクター。特に前者とはスーツアクター以外にも、主人公達との決闘の果てに、命を賭した自己犠牲も厭わなかった点などが共通している。
ナックル星人オデッサ:戦いから離れ、地球人として平穏に暮らしていた元戦士の宇宙人。彼の最期は、かつて失った誇りを取り戻すために自らの意志でウルトラマンに戦いを挑み、命を落とすという壮絶なものだった。
ババルウ星人ババリュー:地球の子供達を守ろうとした行動により、彼らからヒーローとして認められ、信頼を得た宇宙人。
ジャグラスジャグラー:『ウルトラマンオーブ』最終回にて、敵の怪獣を押さえ込みながらウルトラマンに自分ごと攻撃するよう指示した構図がグレースと似ている。また、怪獣への変身時にはぐんぐんカットが存在する。
ウルトラマンフーマ:宣言した秒数内で相手にトドメを刺すという決めゼリフが似ているウルトラマン。