ラウ・ル・クルーゼ「使ってみせるさ。あの男に出来て、私に出来ない筈はない!」
機体データ
型式番号 | ZGMF-X13A |
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分類 | ドラグーンシステム搭載型対MS戦用MS |
全高 | 18.16m |
重量 | 90.68t |
装甲材質 | フェイズシフト装甲 |
動力源 | 核エンジン(MHD発電) |
開発 | ザフト統合設計局 |
所属 | ザフト |
パイロット | ラウ・ル・クルーゼ |
概要
ザフトが技術の粋を尽くして極秘裏に開発を進めていた試作モビルスーツ(MS)。
「プロヴィデンス」は『摂理、道理』を意味する語であるが、設定では『神意』『天帝』と訳している。
ZGMF-X09A ジャスティスやZGMF-X10A フリーダムと同じくZGMF-Xシリーズ(ファーストステージシリーズ)に該当し、ニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核エンジンやフェイズシフト装甲、マルチロックオンシステムを標準搭載している。
元々は、C.E.71年5月5日にZGMF-X11A リジェネレイトとZGMF-X12A テスタメントと共にロールアウトされた格闘戦を想定した重装甲機だったが、後にザフトのエースパイロットであるラウ・ル・クルーゼの搭乗が決定したことに伴い、彼の持つ特異な空間認識能力を活かす兵装を搭載する方向にて改修が行われ、結果としてドレッドノートによって初実装されたドラグーン・システムの搭載機として改修された。また、ドラグーン・システムは本機に搭載されたものにおいて一定の完成を見ることとなった。同装備の採用によって対多数戦において敵機に接近されることなく殲滅することが可能となったが、そのために生じた重量増加と変化した機体バランスをスラスターの増設によって補っている。その重装甲に加えて大型ビームサーベルを搭載した武装を用いた白兵戦も可能であり、型式番号の「ZGMF」に違わず標準的な汎用性は担保されている。
急造の改修機なため完成度では他のZGMF-Xシリーズに劣り、特異な装備から操縦に要求される能力も頭一つ抜けて高いが、圧倒的制圧力を持つドラグーン・システムを搭載した本機の戦闘能力はC.E.71年において全てのMSの頂点に立つと言える。また、開発されたZGMF-Xシリーズの中ではプラントの最終防衛線において運用されることを想定されている。
極秘に開発されていたことからザフト内でも存在を殆ど知られていなかったこともあり、作中では「ラウ・ル・クルーゼだ。プロヴィデンス、出るぞ」の一度しか呼ばれていない。一方、機体の識別コードは有効化されており、ザフトのMSとそのパイロットは機体識別により友軍機であることを認識できる。
この他にも核搭載MSかつマルチロックオンシステム対応機種なため、ミーティアとの接続も想定されていたが、その際にはバックパックを外さなければいけない。
機体構成
核エンジンの詳細はこちらを参照。
頭部
ジャスティスやフリーダムなどの兄弟機と同様、連合軍のGAT-Xシリーズの意匠を汲んでいる。一方、ブレードアンテナ付近には搭乗者であるラウ・ル・クルーゼの仮面を模した形状のフェイスカバーが存在する。
ブレードアンテナの付け根(額)部分にはイタリア語で11を指す「UNDICI」のレリーフが施されているが、これはプラントでMSを実用化した技師がイタリア系であったことに由来する。なお、ZGMF-Xシリーズ先発のジャスティスやフリーダムと異なり型式番号のレリーフは施されていないことに加え、型式番号(X13A)とレリーフの数字も一致しないためか、デュエル(UNO X-102)やストライク(CINQUE X-105)等の前期GAT-Xシリーズ、カラミティ(SEI X-131)やレイダー(OTTO X-370)等の後期GAT-Xシリーズ、ジャスティス(X-09A NOVE)やフリーダム(X-10A DIECI)のように型式番号のレリーフは施されていない。
人体で言う頬部分に「MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲」を左右1門ずつ装備しており、これの弾倉も頭部内に備えていると思われる。
胴部
ドラグーン・システムの搭載の伴い、核エンジンを胸部、NJCを機体中央となる腰部に内蔵している。そのため、ジャスティスやフリーダムとは異なりコクピットは一般的な機体と同じく腹部に存在し、コックピットハッチもザフト旧来の開閉方式となっている。一方、コクピットの内装についてはジャスティスやフリーダムと全く同じである。
背面には非常に大型なバックパックとなるドラグーン・システム基部(ドラグーン・プラットフォーム)を接続している。この接続部もユニット化されており、ここから胸部の核エンジンに向けて左右2対のエネルギーケーブルが伸びており、腹部のコックピットに向けては左右1対の量子通信ケーブルが伸びている。ドラグーン・システム基部と核エンジンを直結させる構造により、ビーム兵器と量子通信によりエネルギーを大量に消費するドラグーン・システムへ効率的なエネルギー供給を実現している。
また、これらのケーブル類はドラグーン・システムが急遽の後付けであったために機体装甲内に収納することができず機体腹部側面から露出している。そのため、応急処置としてケーブル自体にフェイズシフト装甲を施すことにより対弾性能を上げて弱点となることを防いでいる。
胸部
ジャスティスやフリーダムに比べると大きく突き出している点が特徴となる。
前面両側にはほぼ同サイズの制気口(水平羽根付き)が内蔵されている。
また、顔部と肩部の間に「MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御用機関砲」という機関砲を搭載している。
肩部
2基の比較的大型なスラスターを搭載しており、それを覆うショルダーガード(肩部装甲)が横へ大きく伸びている。
脚部
足裏は扁平で地表との接地面積が大きい形状となっている。これにより、ドラグーン・システムの搭載により増加した重量を支え、高い汎用性を獲得している。
スラスター
メインスラスター
ドラグーン・システム基部の下部に3基1セットの大型スラスターを左右に計2セット搭載している。
サブスラスター
脹脛、脹脛側面、ショルダーガードの内側、足裏にサブスラスターを内蔵している。
足裏のサブスラスターは1基しか存在せず、脹脛、脹脛側面、ドラグーン・システム基部の推力を重視した設計となっている。
OS
Generation
Unsubdued
Nuclear
Drive
Assault
Module
(Complex)
核エンジンを運用するための新型OS[MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM]を搭載している。
表示される英文の意訳は「抑制されていない核駆動を使っている強襲モジュール複合体」、さらに意訳すれば「ニュートロンジャマーの影響を受けない核エンジンを用いた強力な兵装群を搭載したMS」となる。
武装
MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御用機関砲
頭部および胴体上部に計4門内蔵された対空迎撃用機関砲。「ピクウス」はラテン語で「キツツキ」を意味し、名の通り連射力は高い。ジャスティスを除くZGMF-Xシリーズには共通して装備されている。マイウス・ミリタリー・インダストリー社製。
初期GAT-Xシリーズの「75mm対空自動バルカン砲塔システム 『イーゲルシュテルン』」を参考にした装備であり、接近する敵MSの分散または対空防御および牽制において効果を発揮する。所謂バルカンなため威力は低いが、イーゲルシュテルンよりは大口径な分高威力であり、ミサイルの他に戦闘機や戦闘ヘリも撃墜できる。
MA-M221 ユーディキウム・ビームライフル
肩掛け式の大型ビームライフル。「ユーディキウム」はラテン語で「審判」を意味する。マティウス・アーセナリー社製。
ドレッドノートの「MA-M22Y ビームライフル」を大型高出力化した改良型であり、ジャスティスやフリーダムの「MA-M20 ルプスビームライフル」より3世代、ゲイツの「MA-M21G ビームライフル」より2世代新型となる。
ベースとなったMA-M22Yの銃床をライフルの全長分だけ延長したような形状をしており、大型故に取り回しにはやや難があるものの、通常のビームライフルを凌駕する威力を持つMA-M20さえも上回る出力を持ち、本機の火器内では最高火力を誇る。
運用
ドラグーン・システムにて陽動をかけることにより取り回しの悪さを補い、確実かつ高威力な一撃を当てるために用いられた。
後継
本装備からプロヴィデンスザクの「MA-BAR76T 高エネルギービームライフル」を経由してレジェンドの「MA-BAR78F 高エネルギービームライフル」へと発展した。
余談
- 2017年に発売されたマスターグレード(MG)のプラモデルでは、銃身先端からグリップにかけた機関部がルプスと共通であるという解釈がなされ、この部分は先行発売された「MG フリーダムガンダムVer.2.0」の金型を流用している(機体の内部フレームの一部も同様)。
- C.E.73年終盤にハイパーデュートリオンエンジンに対応したデスティニーの「MA-BAR73/S 高エネルギービームライフル」やレジェンドのMA-BAR78Fが登場するまでC.E.最強のビームライフルだった。
MA-V05A 複合兵装防盾システム
対ビームコーティングが施されたシールドに大型ビームサーベルとその両脇に2門のビーム砲を内蔵した複合兵装。マティウス・アーセナリー社製。
連合から強奪したGAT-X207 ブリッツの「攻盾システム 『トリケロス』」を参考に、先行して開発されていたゲイツの「MA-MV03 二連装ビームクロー」を発展させたものとなる。
両脇のビーム砲からビームを発振・滞留させることによりビームサーベルとして機能させることもでき、この際の外見はゲイツのビームクローと酷似している。
左前腕にはめ込む形で装備する。そのため、持ち替えは非常に難しいが、攻防の転換を素早く行える強みを持つ。その反面、本機はこれ以外に近接武装を装備していない。
運用
複合兵装の名に違わず、白兵戦・砲撃戦・防御と、様々な場面にて用いられる。しかし、ビームサーベルとシールドが一体化してしまっているため白兵戦ではサーベルとシールドを別々に持つMSのようにサーベルで斬りかかりつつシールドで防ぐという殺陣を行うことができず、相手から斬りかかられた場合は防ぐしかなくなり、腕力で強引に押し返すかドラグーン・システムで迎撃することになる。
ドラグーン・システム
本機の主力兵装。本機の場合は、背面のドラグーン・システム基部と、円錐形・大型の攻撃端末3基と長方形・小型の攻撃端末8基の合計11基もの無線誘導式ビーム砲台により構成され、攻撃端末は量子通信とマルチロックオンシステムにより制御される。
基部に大型端末3基と小型端末2基を、サイドおよびリアの腰部装甲に小型端末6基(一側面辺り2基ずつ)マウントしている。また、基部にマウントされた小型端末はマウント部に前後への可動域が存在するため、マウント状態の攻撃端末を前方へ向けることができる。なお、小型端末は基部、サイド腰部装甲、リア腰部装甲にマウントされているものごとに細かい形状が異なる。
攻撃端末はマウント部との接続部付近にあるメインスラスターと各所にある複数の姿勢制御スラスターにより機敏に移動する上、大型端末で9門・小型端末で2門と複数のビーム砲を有しており、全攻撃端末の合計砲門数は43門(他の火器を含めば合計砲門数は50門)にも及ぶ。この砲門数は『SEED』に登場するドラグーン・システム搭載機の中で、大型無人支援機を追加の攻撃端末としているブラックナイトスコード カルラに次いで多い(MS単機としてはトップ)。一方、ビームの威力は若干低く、通常装甲程度であれば一撃で貫通可能なものの、フェイズシフト装甲となると装甲を破壊するのが精々となる。加えて、純粋な加速性能もそこまで高くないため、圧倒的な加速能力を持つ相手には振り切られてしまうことがある。さらに、ビーム砲は埋め込み式で可動域を一切持たないため、複数のビーム砲で一か所を集中的に狙うのは構造的に不可能となっている。
第1世代ドラグーン・システムに該当し、特異な空間認識能力を必要とするため本機は事実上のラウ・ル・クルーゼ専用機となっているが、その膨大な砲門数も相まって制圧力・殲滅力は非常に高く、ミーティアの加速頼りなフリーダム、ないしSEEDを発動したキラ・ヤマトの駆るフリーダムでなければ対処できない。
運用
複数の攻撃端末にて敵を包囲し、四方八方からビームの集中砲火を浴びせるのが基本となる。機動力等により集中砲火を避けてくる相手に対しては、本命のユーディキウムを当てるための陽動として使用された。
また、本機は近接戦を比較的不得手としているため、近接戦に持ち込まれた際に距離を取るために用いられた他、大量の対艦ミサイルを迎撃するためにビームをカーテン状に発射したこともある。
活躍
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦2日目(C.E.71年9月27日)にて、ジェネシスの2射目と同時にヤキン・ドゥーエ基地の開発ドックから出撃する。パイロットであるラウは出撃直前に機体専属の技術者からドラグーン・システムの理論についての説明を受け「使ってみせるさ。あの男にできて、私にできないはずはない!」と独り言ちており、この出撃が本機の初乗りだった。
出撃後は、ヤキン・ドゥーエの防衛に就き、ドラグーン・システムを駆使して多数のストライクダガーを一蹴していたが、ラウの気配を探知したムウ・ラ・フラガが駆るエールストライクが単独にて先行してきたためこれと交戦する。ドラグーンによるオールレンジ攻撃は同じく空間認識能力を持つムウには見切られ回避されるも、砲門数に物を言わせビームライフルを撃ち落とす。ビームライフルを撃ち落とされたエールストライクからビームサーベルによる白兵戦を仕掛けられるも複合兵装防盾システムを用いて余裕をもって対応し、距離が開いた隙にドラグーンを再射出して完全に包囲した上でビームの集中砲火を浴びせ、右腕と左脚を破壊、コックピット内部にもダメージを与えて戦闘不能・撤退に追い込む。
撤退したエールストライクを追跡したが、ドミニオンとの交戦により中破状態だったアークエンジェルを発見し、ビームライフルの狙いを定める。それをバスターの射撃により妨害されたため、射撃を回避すると同時に迎撃のためにドラグーンを射出する。そこを間髪入れずにラウの気配を探知して戻ってきたミーティア装備のフリーダムから高エネルギー収束火線砲で狙撃されるも、直前にラウがキラの気配を探知したことにより間一髪で回避が間に合った。そのままビームソードで斬りかかってきたフリーダムを避けつつ、ドラグーンをバスターとフリーダムの二手に割き、バスターの方はその上半身を集中的に砲撃して即座に戦闘不能へ追い込む(フリーダムには初見ながら全て回避された)。バスターを無力した後はドラグーンをフリーダムに集中させるが、その砲火はミーティアの推力により振り切られる。しかし、砲火を振り切りきりながらミーティアが発射した計77発の対艦ミサイルをドラグーンからカーテン状に発射したビームにより全て迎撃し、迎撃された対艦ミサイルの爆炎に紛れながらのビームライフルの射撃によりミーティアの右アームユニットを破壊する。そのままビームライフルで牽制をかけつつ複合兵装防盾システムからビームサーベルを発振して急接近し、それを迎撃しようとしたビームソードを回避してミーティアの左アームユニットも斬り落とす。両アームユニットを無くしたミーティアとフリーダムから対艦ミサイルを軸にした弾幕により応戦されるもドラグーンや本体の機動力をもって対応し、逆にドラグーンの集中砲火によりミーティアの右舷エリナケウスと左舷スラスターを破壊、さらに集中砲火に紛れて接近して右舷スラスターをビームサーベルで破壊する。これによりミーティアが航行不能となって足を止めたためドラグーンの砲火を集中させ完全に破壊した。しかし、その直前にフリーダムはミーティアをパージしてその場から離脱しており、近くを航行していたフレイ・アルスターらのドミニオンクルーが乗る脱出艇に向かっていた。クルーゼからのキラへの嫌がらせとして脱出艇をビームライフルで撃ち落とそうとするも爆散直前のミーティアから射出されたシールドに防がれるが、間髪入れずにフリーダムの死角に配置していたドラグーンを使って撃ち落とす。この脱出艇の爆発にフリーダムが巻き込まれるも、その場で撃墜することはせず、持ち場であるヤキン・ドゥーエへ向かった。
ヤキン・ドゥーエへの道中、ジェネシスを破壊しようとしていたクサナギ・エターナル・M1アストレイ隊を発見、これをドラグーンの一斉掃射により蹂躙する。M1アストレイ隊を全滅させたところで、追いついてきたフリーダムに死角から射撃されるが、またも気配の探知が間に合ったため間一髪で回避し、そのままフリーダムと再交戦に入る。先ほどと異なりキラがSEEDに覚醒していたため、四方八方から繰り出すドラグーンの砲火は殆ど見切られ、逆にドラグーンを次々落とされてくが、負けじとビームライフルでフリーダムの右脚を破壊し返す。そのまま30分近く交戦を続け徐々にジェネシス付近まで追い込まれたが、ジェネシスの破壊へ向かうジャスティスとストライクルージュにキラが気を取られた隙にドラグーンによりフリーダムの右ショルダーガードと左クスィフィアスの砲身を破壊する。しかし、フリーダムからのビームライフルによるカウンターを左肩に食らい複合兵装防盾システムごと左腕を失う。その後、ビームライフルでフリーダムの右腕をビームライフルごと破壊したことにより、武装的にも時間的にも追い込まれたフリーダムがビームサーベルをアンビデクストラス・ハルバード形態で起動して残った左手に握って特攻を仕掛けてきたためビームライフルで迎撃するも、その全て躱されて肉薄を許してしまい右腕をビームライフルごと斬り落とされる。携行火器共々両腕を失ったことから窮地を悟って即座に距離を取るため後退しつつ、残ったドラグーン(大型端末と小型端末が1基ずつ)を間に割り込ませて迎撃を試み、変わらぬ勢いで特攻してくるフリーダムの頭部とコックピット脇の右制気口を破壊する。しかし、ドラグーンの低威力なビームでは特攻を止めるほどの破壊には至らず、両腕を失っていたため抗う手段もないままに、ジェネシスの砲口前で腹部(パイロットのすぐ脇)をビームサーベルで貫かれ機能を停止する。
その直後、ジェネシスから発射されたガンマ線レーザーが直撃したため核エンジンが誘爆し、キラが自身を止めてくれた安堵から笑みを浮かべたラウと共に跡形もなく消滅した。なお、フリーダムは直前にジェネシスの射線上から離脱しており直撃こそ避けたものの、本機の核爆発に巻き込まれ大破した。
このジェネシスの事実上最後の一射は、本機の核爆発により一次反射ミラーが破壊されたために威力と射程距離が低下していたところに、ジェネシス内部におけるジャスティスの自爆という追い打ちが合わさったことにより不発に終わっている。世界を終末に導くべく暗躍したラウだったが、その最期は己の死と引き換えに世界の終末を回避させるというものであった。
バリエーション
プロヴィデンス(初期型)
完成当初の本機。背部バックパックに4本の大型ビームサーベルを装備しており、前述通り格闘戦を中心とした重装甲機体となる予定であった。
PS2用ゲーム「機動戦士ガンダムSEED 終わらない明日へ」のMSV編のオープニングにワンカットだけ登場するが、2024年に劇場版が公開されて以降も詳細は明かされていない。
ZGMF-X666S レジェンド
本機の後継機。こちらは設計段階からドラグーン・システムの搭載を前提としている。
詳細はリンク先参照。
ZGMF-X3000Q プロヴィデンスザク
第2世代ドラグーン・システムの性能実証用に開発された機体でありレジェンドの前身。
詳細はリンク先参照。
LN-ZGMF-X13A ニクスプロヴィデンス
「ライブラリアン」による再設計機。
詳細はリンク先参照。
立体物
ガンプラ
1/144はコレクションシリーズとHG SEED1/144、1/100はSEED 1/100がリアルタイム時に発売。
ドラグーンはコレクションシリーズ以外全て分離可能。しかし最近ではスタンダードになっている飾り用の台座はない。
HG SEED1/144は当時としてはかなり色分けが優秀でシールが少なく、パッケージ横にもそれが宣伝されていたほど。要塗装箇所はバルカンやセンサー、肩ダクトの先端くらいしかない。
1/100も同様にシールが少なく、HGで要塗装だった箇所も色分けされており非常に出来が優秀だったが、それゆえMGが出しづらい状況にあった。
放送15年目の2017年3月にようやくMGが発売された。MGフリーダム Ver.2.0のフレームをベースに作られているが、こちらは過剰なアレンジはなく、これまでの立体物同様のギミックが盛り込まれたほかディテールの細分化により情報量を増やしたに留まっている。
ザフトロゴマークの台座とフリーダムと共用のデカール付きのハイエンド版のG.U.N.D.A.M エディションと同時発売。初回生産ロットのみ箱が箔押し加工という仕様だった。ちなみにファーストステージシリーズで表舞台に出た残りの一体であるジャスティスも三ヶ月後にMG化している。
後にプレミアムバンダイ限定で各所をメッキやグロスインジェクションに変えたスペシャルコーティング版が発売された。
アクションフィギュア
リアルタイムでの展開はなく、DESTINYの放送後にMS IN ACTIONが発売された。
こちらも全ドラグーンが脱着出来る。
その後、プレミアムバンダイ限定でROBOT魂が発売された。
ドラグーン射出エフェクト付きとはいえ、18m系機体では異例の10000円越えが衝撃を呼んだ(同シリーズのフリーダムとジャスティスはおよそ半分の5500~6000円)。また、同シリーズのフリーダム初回限定ロットに付属したデカールに対応している。
2021年にはMETAL ROBOT魂でも発売された。クシャトリヤ顔負けの大量のドラグーンエフェクトが付属している。ROBOT魂から価格が1.5倍に跳ね上がっているが、2倍以上に値上がりしているフリーダムやジャスティスと比べれば大分安く感じる。
2024年にはMETAL BUILDでも発売された。エフェクト関連はビームサーベルとドラグーン用の台座程度だが、値段は46,200円と、同シリーズではGNアームズ TYPE-E(58,300円)に次いで高額となっている(ちなみに最新のフリーダムは30,800円)。全体的にアレンジが多く、ショルダーガード内側のサブスラスターが1基増えていることに加え、ドラグーン・システムも全体的にゴツゴツしており基部に至っては展開ギミックが搭載され、展開時にはクルーゼのマスクを連想させる模様が浮かび上がる。
これにより、ようやく同シリーズ常連だったフリーダムが並べられる宿敵が揃うこととなった。
カプセルフィギュア
ガシャポンSDガンダムフルカラーシリーズにラインナップ。※現在、入手困難
余談
製作エピソード
本機については当初登場予定がなく、設定も用意されていなかった。しかし、福田監督が「ガンダムでないと今のキラ達に太刀打ちできない」と判断したことから、デザイナーの大河原邦男氏に急遽デザインが発注され(彼は1週間で作成したという)、設定が作られた。
『SEED』シリーズの設定製作に参加した下村敬治によると、本機のデザインは早期に完成していたものの登場がPHASE-48と最終盤であり、本放送中にプラモデルの発売が難しかったことから、隠し玉として雑誌社やバンダイへの提供は後になった。そのため、雑誌等にて事前情報が公開されることは無くPHASE-48にて初披露され、視聴者に衝撃を与えた(サンライズ内でも本放送版OPに登場させないなど、隠し玉として徹底されていた)。また、『SEED』にはすでに3機の悪役ガンダムが登場していたため、それらを超えるインパクトが必要という理由もあり、ガンダムシリーズでは定番となっているファンネルの要素を取り入れたデザインになった。
ジャスティスとフリーダムのデザインは2クール目開始時点で完成して(OP映像に映って)おり、アスランが味方化することが決定した=ラスボスがアスランではなくなったのが3クール目に入る辺りなため、3クール目放送中にデザインと設定が生まれたと考えられる。
デザイン
設計が終わった段階の機体にドラグーンを後付けした急ごしらえの改修で、ガンダム世界におけるMSのアドバンスが人型ゆえの姿勢制御能力に起因する事を鑑みれば、そのコンセプトは旧来式のMAや戦闘ポッドの特性も加味されたと言える。
機体色はRX-78を意識したトリコロールで、プロヴィデンスという機体名も1stガンダムを神となぞらえた小ネタが入り込んでいる。また本編ではジオングをも意識したためかダークトーンであるが、立体商品ではトリコロールを強調するために明るいカラーリングがなされることも多い。
また、背部のバックパックは神の象徴となる光背をかたどったようにも見え、神意にまつわる機体らしさを強調する。一方でラウ・ル・クルーゼの声優を務めた関俊彦氏は「亀」になぞらえていたり(後にSDガンダム用デザインで本当に甲羅を背負ったプロヴィデンスが描かれもした)、その形状をさいたまと呼ぶネットミームもみられる(なんでさいたまなのかは該当タグの投稿を参照のこと)。
そのマッシブな威圧感がドラグーン・システムによるものが大きいのは当然であるが、実はそれを背面から外した状態でも『SEED』はおろか『SEED』シリーズに登場するどのMSと比べても体格が随一にゴリマッチョである。前述の通り元は格闘戦重視で設計されていたとあるが、機動性よりもパワーでゴリ押すタイプだったのだろうか?
頭部のレリーフについて
ジャスティスやフリーダムと異なり型式番号(X13A)とレリーフの数字も一致しないが、これは放送当時の設定ではX11A(リジェネレイト)とX12A(テスタメント)が欠番であり、フリーダム(X10A)の次に完成したためである。
人気
僅か3話(活躍したのは1話半)しか登場しなかったものの、機体デザインのインパクトの強さと、フリーダムに敗れたとはいえラスボス機に相応しい圧倒的な戦闘能力を見せつけたことからパイロットのクルーゼ共々人気の高いMSの一機となっている。実際、NHKの『全ガンダム大投票 40th』では91位(『SEED』シリーズ内9位)、サンライズの『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ グランプリ2024』では16位(『FREEDOM』の新規機体を除けば同じく9位)である。ちなみにラウの方は全ガンダム大投票で65位(『SEED』シリーズ内11位)、グランプリ2024で15位である。
関連動画
関連イラスト
関連項目
登場作品
所属(組織・分類)
ザフト製MS・戦艦 ZGMFシリーズ ZGMF-Xシリーズ(ファーストステージシリーズ)
関連機体
後継機
兄弟機(ZGMF-Xシリーズ)
ZGMF-X09A ジャスティス ZGMF-X10A フリーダム
ZGMF-X11A リジェネレイト ZGMF-X12A テスタメント
その他関連機体
YMF-X000A ドレッドノート:技術的下敷き。
ZGMF-X3000Q プロヴィデンスザク:後のレジェンドの試作機。
董卓プロヴィデンスガンダム:『SDガンダムシリーズ』の作品、『SDガンダムワールド 三国創傑伝』に登場するプロヴィデンスガンダム(及び董卓)モチーフの登場人物
ガンダムエピオン、ガンダムヴァサーゴチェストブレイク:プロヴィデンスと同じ形番に13を持つラスボス機体。
ガンダムデスサイズ、ガンダムデスサイズヘル、ガンダムデスサイズヘルカスタム:上述のレジェンドと合わせて同じ中の人が演じるキャラが搭乗するガンダムタイプ。
ガンダム・キャリバーン:「SEED」から20年後の「水星の魔女」の物語終盤で登場した主人公の新たな専用機。こちらも本機と同じく雑誌等に前情報が一切無く、唐突に作中にて存在が明かされた。