「ホッホッホッホッ…! 人に有って我らに無い物は、情けっ!」
「さあ来い、王よ! ジェラミーよ! さっさと来ないと殺し尽くしてしまうわい? ホ〜ホッホッホッ!」
登場話:第14話「もっふんといっしょ」
データ
身長/186cm(異常成虫時/46.3m)
重さ/149kg (異常成虫時/371.0t)
分布/イシャバーナ(昼・夕)
好物/組み手
観察ポイント/若者とのフレッシュな戦いには、血が湧くようである。
概要
地帝国バグナラクがイシャバーナへ送り込んだ、水上をスイスイ移動する虫「アメンボ」のBNAを備えた怪ジーム。
大きな波紋を描いて水面を移動するアメンボを上から見た漢字の「水」に見える顔面に、水色と山吹色のラインが波紋状に配されたカラフルな拳法道着を身に着けた虫の格闘家の様な姿をしている。
また両腰からは、アメンボが刺繍されている長裾が伸びている。
その見た目に違わず、頭を覆う様に付いたリング『波紋レーダー』で敵の気配を読みながら攻撃を華麗に受け流し、己が身体一つで繰り出す『バグナラク拳法』で相対する者を打ち倒す、昆虫界のカンフーキング。
バグナラク拳法は水の如きしなやかな動きと怒涛の重い一撃を両立させたもので、白兵戦の実力はずば抜けている。この他にも掌へ瞬時に水球を生成、敵に打ち出す技も持っており、これまでの怪ジームと比べると卓越した戦闘能力を備える。
そして、真骨頂たる自身の昆虫最終奥義は水の上を自在に駆け回る高速移動手段・アメンウォーダーダッシュ。しかも水上移動中に攻撃を受けても咄嗟の受身で体勢を立て直す等のテクニックも身に付けた、戦闘の熟達者でもある。
長い年月をバグナラク拳法の研鑚に捧げて来た老境の戦士らしく、自らの理想を燃やして行動する若者のフレッシュさに血が湧く程の感銘を覚え、スキンシップ感覚での組み手や戦闘を挑んで来る癖がある、おせっかいさのある飄々とした性格。たとえそれが自国の王相手であっても態度を崩す事は無い。
その性格とバグナラクの価値観が噛み合った事で、相対した者の激情や信念等を素直に受け止め、それに自分が負けても良しと割り切れる、格闘家として未練無く死合いを楽しむある意味さっぱりとした、自らに近く訪れる末後を受け入れた死生観も有していた。
ただし、自身より弱い者への興味や情けは皆無で、戦う相手を燻り出す為なら無力な人々を苦しめ、奈落に落とす非道も厭わない、血に飢えた残酷な侵略者なのもまた事実である。
活躍
第14話
かの三大守護神すら操る力を持つゴッドタランチュラを知ったバグナラクは、それこそがシュゴッドを操って国家の勢力図を書き変える『チキューを引っ繰り返す真の秘宝』だと再定義。それをジェラミーより奪取すべく彼を補縛する当面の方針を決めた。
「流石、強く猛々しい! 若さの特権でありますなぁ」
デズナラク8世「爺ィ!今ここで死ぬかっ!?」
その一番手として招集されたアメンジームは、挨拶代わりにデズナラク8世と彼の悲願成就に燃える熱意が籠った拳を軽い口調で称賛しつつ、会話を交えながらの組み手を行い、傍らでジェラミー捕縛を急かすカメジムの言葉も 「はて? 老いぼれ故、難しい事が分からぬのでございます」 と飄々とかわして組み手を続ける。
その直後 「下等生物共を、殺し尽くせっ!!」 とデズナラクから人間たちを危害を加えれば、手っ取り早くキングオージャーやジェラミーが誘き出せると提案を受け、「ホホホホ…この私にお任せを…!」と納得の言葉を呟き命令を了承。サナギム達を率いてイシャバーナへと出向いた。
イシャバーナに到着するや否や、ジェラミーを誘き出すべく破壊活動を決行、無差別にイシャバーナの住民達を襲っていると迎撃に現れたキングオージャー4人と交戦(リタはゴッカンでジェラミーを裁判に掛けていた)。
ギラ/クワガタオージャーから果敢な剣戟を浴びせられても無駄の無い動きかつ波紋レーダーで動きを見切ってかわし、カウンターのバグナラク拳法で容赦無く地面に転がし圧倒。 「若い、若い…」 と余裕の挑発をかます。
ヒメノ「若くして女王である意味が、分からない様ね!」
すると、そこを気の立っているヒメノ/カマキリオージャーに背後を取られ、彼女の華麗だが荒れ狂う剣戟に押されながらも、 「何とっ! 幾年ぶりに血が湧くゥッ!!」 と本気になり水球を放つも、相手は難無く水球を打ち落とし間髪入れず大上段からオージャカリバーとキングズウエポン鎌モードで斬り掛かる。
この光景にふと 「美しい…」 と武闘家として感動の言葉を漏らすも、当然隙だらけになりまともに二刀流を浴びた挙句、続けざまの追撃で木々を巻き込みながら遠くへ吹っ飛ばされてしまった。
それから、ヒメノとジェラミーの和解劇の裏で異常成虫を行い巨大化。ついでに目的のジェラミーも見付けたので 「血が湧き返る~っ!」 と言いながら交戦を再開する。
対する王様戦隊はジェラミー/スパイダークモノスの呼び出したゴッドタランチュラをセンターに、ゴッドカブトへクワガタ、ゴッドスコーピオンへカマキリ、ゴッドホッパーへトンボオージャーが搭乗し迎撃に移る。当初はスパイダーの操作で連携をしようとするも、操られるのを拒否する王様達を尊重したスパイダーが操り糸を外すと3人は思い思いの動きで守護神を操りアメンジームを袋叩きにし、それにスパイダーも続く。
次第にシュゴッド達の攻撃を捌き切れなくなったアメンジームだが、吹き飛ばされて距離が開いた所で 「やるな…だが、ついて来れるかな?」 とアメンウォーダーダッシュでイシャバーナの湖面を滑走。
逃走を図るもゴッドタランチュラはフラピュタル城の土台に糸を放ち、そこを起点とした振り子移動で先回り。ビームを撃たれて転倒するも何とか立て直したが、僅かにスピードが落ちた瞬間を見逃されず後ろから横一閃で切り裂かれて敗北。
「若さの時代か…! オ~ッホッホッホ~!!」 と、未来へ往く若者との死合いを楽しめた事を喜ぶ辞世の句を残して爆散、夕焼けを背に散る末後と相成った。
第46話
自身の正体を知り、生まれた時から死ぬに死ねない存在だと理解したグローディ・ロイコディウムに蘇生させられた、ゾンビ怪ジーム軍団の一体として登場。
幾らキングオージャーに倒されても復活を繰り返して戦い続けたが、ヒメノとジェラミーによって永遠の命に近しい力が秘められたジェラミーの「王の証」をグローディの肉体に移植された事で不死の特性を喪失。カグラギ/ハチオージャーのとリタ/パピヨンオージャーの同時必殺技を喰らい、ゾンビヲゲラジーム共々灰化した。
余談
- アメンボモチーフの戦隊怪人は初で、特撮全体に絞れば「仮面ライダーZX」のアメンバロイド以来。
- ちなみにこのアメンバロイド、漫画作品『仮面ライダーSPIRITS』では拳法家というキャラ付けが為されている。一方で「老いを恐れるあまり人外に転じた」とも描写されており、その点は老いをも楽しんでいた節のあるアメンジームとは真逆と言える。
- 巨大化前にヒメノに倒されたシーンは飛翔白麗に似ているとの声もある。
- また、メンバーと真面目に会話したのも彼が初めてである。