概要
『ウルトラマン』のボツシナリオ『怪獣用心棒』(後に『ぼくら』(講談社) 1967年8月号掲載の「怪獣ゴルダーの巻」にて漫画化。詳しくはウルトラマン(一峰大二版)を参照)に登場する世界征服を目論む地球人たちによって結成された(←ここ重要!!)悪の秘密結社“サン=ダスト団”が使役する組織の用心棒にして守護神を担う巨大怪獣。別名は怪獣用心棒または用心棒怪獣。
コウモリとも翼竜とも異なる恐竜型の頭部と、全身の3分の2以上を覆う巨大な翼(腕先から足のつま先まで全てを覆っている)を持つ。
巨大な翼で空を自在に飛行することも可能だが、最大の武器はこの翼を使って発生させる真空波をドリル状に収縮させて貫通力を上げた状態で放つ「ゴルダー=ドリル」で、その威力はビル街や山麓をいとも簡単に貫き、塵へと変えるほどの威力を持つ。
また、口からは“サン=ダスト団”が保有するレーザー光線銃のおよそ千倍の威力を誇る熱線を吐く能力を持っており、その威力はウルトラマンとほぼ同じ強度と思われる特殊合金で作られた原寸大サイズのウルトラマン像をいとも容易くドロドロに溶かし、スペシウム光線を相殺する程である。
これらの能力を使って2年前に某国の首都・アリーナをたった3分で壊滅へと追いやった。
反面、常日頃から凶暴という訳でもなく、“サン=ダスト団”本部(秘密基地)で暴れる事無く待機しているなど、普通の人間に御される程に大人しいが、特定の条件下(皆既日食が起きる)に置かれる事で急激に凶暴性を増すという習性を持っており、この習性を利用して“サン=ダスト団”はコルダーを自分たちの用心棒兼世界征服用の生体兵器として利用している。
得意の熱線でウルトラマンの両足の皮膚を溶かし、ゴルダー・ドリルでウルトラマンの脇腹を削るなど、ウルトラマンをぎりぎりまで追い詰める程の強豪怪獣であったが、最後は早期に決着をつけるべく放ったエネルギーを結集して作った巨大な「八つ裂き光輪」の突き刺さる胸目掛けて放たれた「スペシウム光線」の直撃を受け二つのエネルギーの大爆発に飲み込まれて木端微塵に吹き飛び絶命する。
ゴルダーの敗北を受けた総統ヒラーは自分たちの野望が潰えた事を悟り、基地の自爆装置を作動させ自決し、“サン=ダスト団”は壊滅した。
サン=ダスト団
総統ヒラー率いる世界征服を目論む悪の秘密結社。
構成員は地底人でもなければ宇宙人でもなく、ましてや異次元人でもない全員地球人と言うウルトラシリーズ類を見ない極めて珍しい悪の組織である(簡単に言えばウルトラシリーズに仮面ライダーシリーズのショッカーなどを登場させたような感じ)。
ちなみにウルトラシリーズでは個人単位で悪に心を売ったり、実際にやっている事は悪でも一応表建前は「環境保護」などの正当な目的を掲げた組織を編成した地球人達が登場しているが、その中で明確に世界征服を掲げる悪の地球人組織が映像作品に登場した事例は2024年現在確認されていない。
だが最近の作品ではこれにかなり近い組織が登場した。
...なに?フルータ星人?知らんな。
戦闘員全員に強力なレーザー銃を配備されており、特殊合金でウルトラマンの原寸大の像をこさえたり怪獣ゴルダーを使役するなど、極めて高い情報網や科学力を保有しているが、組織としての全貌は謎に包まれている。
構成員
総統ヒラー
ゴルダーを利用して世界情勢を荒らし、その隙に世界征服を目論む“サン=ダスト団”の首領。ちなみに(重要な事なので何度も書いているが)彼はれっきとした地球人である。
変装術を得意としており、自分たちの野望達成に為に最も邪魔となる存在のウルトラマンと科学特捜隊のハヤタ隊員が密接な関係であるという情報を掴み、老人に変装して行き倒れを装い、ハヤタに近付き彼を拉致することに成功する。
最後はゴルダーの敗北を受け、最早これまでと悟り、作動させた自爆装置で基地と運命を共にした。
余談
2007年、実相寺昭雄監督の一周忌を忍び一峰大二氏が書き下ろした『ウルトラセブン ゴードの巻』(実相寺氏の没シナリオ『宇宙人15+怪獣35』をコミカライズしたもの)では、イカルス星人&バルタン星人率いる怪獣傭兵団の一匹として登場。イカルスとバルタンによって蘇らされた、とあるので、恐らく前述した漫画に登場するゴルダーと同一個体と思われる。
脳改造手術を受けて東京を蹂躙し、圧倒的な物量戦でウルトラセブンを完敗させるも、ウルトラ警備隊がばら撒いた興奮剤により他の怪獣と同士討ちを始め、最後の力を振り絞って変身したセブンのアイスラッガーの前に鎮められた。
アイロス星人のような翼に特化した特異な外見で、現存はしていないが成田亨氏によるデザイン画もあったといわれる。
また、2018年に秋田書店から発売された最終決定版全2巻の追加エピソードに2代目と思われる個体が登場しており、如何やら野生の個体であるようで、そのためなのか別名が烈風怪獣へと変わっている(サブタイトルからの推測)。
今回はウルトラマンに倒された仲間の敵を討つために科学特捜隊本部を襲撃し、翼から巻き起こす突風で科特隊を翻弄するが、ウルトラマンとの決戦の際に突風を起こす為に翼を広げた一瞬の無風状態になった隙をつかれ、「八つ裂き光輪」を牙に引っ掛けられてしまい、最後はそこめがけて立て続けに放たれた「スペシウム光線」で起きたエネルギー爆発で致命傷を負い絶命するという同胞と同じような末路を迎えた。
なお、死の間際に最後の力を振り絞って岩を投げつけ、フジ隊員とホシノ少年が乗っているジェットビートルを墜落させようと目論むが、ウルトラマンに救出された為に未遂に終わっている。