弟「貴様は、もうおしまいだぁ!」
兄「我等が一体剣・・・受けてみよ!」(第15話より)
登場話数:第15話「げぇッ!!凄い奴」、第16話「赤猿の鬼退治」
概要
妖怪軍団の一員でもある、本作における妖怪のうちの一種。作中ではオレンジ色の体色と二本角を持つ兄、一本角と青い体色が特徴の弟の二人一組の兄弟として登場し、いずれもプロレスラーもかくやといった筋骨隆々な体躯を備えている。
原典となった「酒呑童子」は、「人間の生き肝を食らい、酒を飲むのが何よりも好き」で、決して友達になりたくない怖い妖怪と講釈師からも評されるほどの存在であるが、現代におけるシュテンドウジ兄弟はその凶暴さが妖怪にまで向けられており、過去に「酒に酔った勢いで1度に100匹の妖怪を殺害」したというとんでもない前科で、妖怪刑務所へと投獄されたという経緯を持つ。
そんな札付きの妖怪ではあるが、打倒カクレンジャーに燃える貴公子ジュニアからは正しく格好の手駒として利用価値を見出されており、釈放の見返りとして「カクレンジャーを倒す」という条件の元、彼の軍門に下ることとなる。
酒好きな部分は釈放後も全く変わっておらず、戦闘の最中でも平然と酒を呷り、アジトとしていた廃工場でも痛飲に及ぶに飽き足らず、捕らえたカクレンジャーをマムシ酒ならぬ人間酒にして飲みたいものだと豪語する程である。
戦闘においては見た目通りの豪快なパワーもさることながら、兄弟ゆえの互いに息の合った抜群のコンビネーションも目を瞠るものがある。彼等が阿吽の呼吸で大剣を振るって繰り出す「一体剣」は、兄弟がその姿を重ねるようにして相手へと突進、時間差で飛びかかって兄が大上段から一の太刀、次いで弟が横薙ぎに二の太刀を決めるという、相手の虚を突いた剣技であり、サスケをして「二人が一人に、しかしその力は二人以上」と言わしめる凄まじい威力を叩き出す。
また、カクレンジャーの繰り出す忍法をそっくりそのまま返して相手にダメージを与えることも可能な他、巨大戦ではユガミ博士の手による武器を兄弟揃って装備。上半身と両足に共通のアーマーが追加された他、兄はドリル、弟はディスクソーをそれぞれ右腕に装着している。
作中での動向
前述の通り、ジュニアの計らいで自由の身となったシュテンドウジ兄弟は、同じくジュニア配下の花のくノ一組と共同でカクレンジャー打倒作戦を展開。
くノ一組の仕掛けた罠で、彼等が森の中へ迷い込み離れ離れになったところで、囚われの身となった鶴姫を助けようとしたサイゾウをシュテンドウジ兄弟は急襲。サイゾウが変化したニンジャブルーの反攻に追い詰められる一幕こそあったものの、くノ一組によるアシストもあってこれを打ち破り、最初に罠にかかったセイカイも含めてカクレンジャーのうち3人を捕らえてみせた。
無論これだけで終わるはずもなく、一旦森からの脱出を図ったサスケとジライヤの行く手を阻み、前者をくノ一組に任せて自分達は後者へと集中攻撃を展開、ニンジャブラックの繰り出す岩地獄の術を「岩地獄返し」で破った上で一体剣を繰り出し、こちらも完膚なきまでに打ちのめしたのであった。
こうして、サスケを除く4人までも捕らえるという大金星を挙げたシュテンドウジ兄弟であったが、その油断が災いして意気揚々と酒宴に興じた結果、彼等が目を離した隙にアジトに潜り込んだサスケによって、まんまと4人を奪還されるという失態を演じてしまう。
それでも直後のニンジャレッドとの戦闘では、兄弟揃って豪快かつ息の合った動きでこれを圧倒、反撃に繰り出してきた火炎つむじの術さえも弟の「火炎返し」で跳ね返してダメージを負わせるなど、相も変わらず凶悪なまでの強さを見せつけた・・・のだが、止めに繰り出した一体剣をレッドが分け身之術で回避すると、今度は8人に分身したレッドの「分身一体剣」に翻弄された末に、隠流・満月斬りで思わぬ敗北を喫した。
巨大化後は前述の通りユガミ博士の武器を装着、相対した獣将ファイターをも一蹴してみせるが、弟がバトルサルダーを取り押さえながらも、止めを刺そうと兄が突進してきたところをギリギリかわされたために、兄のドリルによって弟が深手を負うという番狂わせが発生。この隙に乗じてカクレンジャーは獣将へと乗り換え、さらに無敵将軍へと合体。間髪を容れずに繰り出された火炎将軍剣の一閃で、兄弟まとめて撃破されたのであった。
かくしてシュテンドウジ兄弟は敗れ去ったものの、彼等と花のくノ一組、そしてその背後に潜むジュニアの、これまでの妖怪達とはまるで違う周到かつ残忍な手口は、サスケ達の胸中に一抹の胸騒ぎを残す格好ともなったのである・・・。
備考
デザインは阿部統が担当。「兄弟揃ってプロレスラー」というコンセプトのもと、WWFとかのレスラーのイメージをアメリカンな要素として盛り込んでおり、腰のチャンピオンベルトも酒吞童子であることを意識してお酒のラベルっぽくアレンジされている。また、妖怪らしく気持ち悪い感じを演出すべく、皮を剥いで肉まで見えるような出で立ちとされており、実際のスーツもどちらかと言えばメカニカルな質感が強調されたデザイン画稿に対し、生物的なニュアンスがより強調される形で造形されている。
巨大戦時の追加武装は、海外展開時にフィギュアを出す際に付けるといった話を聞かされていたと後年のインタビューにて述懐しており、実際に『パワーレンジャー』シリーズの関連商品としてフィギュア化もなされている。デザインの段階では兄の武器は鉤爪とされていたが、実際には前述の通りドリルへと改められている。
前述の通り兄の方はニンジャブラックの岩地獄の術を、弟の方はニンジャレッドの火炎つむじの術をはね返したが、一方でニンジャブルーの繰り出した水竜巻の術だけはまともに喰らい、これで一時的に劣勢に立たされていたため、2013年にニコニコ動画にて本作の公式配信が実施された際には、
「シュテンドウジ兄弟は岩属性と火属性だから、水属性の技が弱点(故に水竜巻の術に対して返し技が使えなかった)」
「ニンジャブルーだったらシュテンドウジ兄弟を倒せる」
といった趣旨のネタコメントもなされていた。
演者のうち、兄のCVを担当した渡部は『恐竜戦隊ジュウレンジャー』でのレギュラー出演(ブックバック役)から1年間を置いての再登板であり、本作を基点としてその後も5作連続で、スーパー戦隊シリーズへと関わり続けていくこととなる。弟のCVを担当した山中は『高速戦隊ターボレンジャー』でも青鬼の怪人の声を演じている。
関連タグ
ヒトツメコゾウ兄弟、ヤマンバ、ダイダラボッチ:いずれもシュテンドウジ兄弟と同様に、「兄弟」という間柄の妖怪達。このうち後二者についてはもう一人の長兄も存在する
ハイネスデューク_シュテン、超上級妖怪シュテンドウジ:いずれもスーパー戦隊シリーズの他作品における、酒呑童子をモチーフとした戦隊怪人達。
ゼウスオルグ、ポセイドンオルグ・ハデスオルグ:『百獣戦隊ガオレンジャー』に登場する敵怪人達。いずれもシュテンドウジ兄弟と同様に、「鬼をモチーフとした兄弟怪人」であるという共通項を備えている