ビンボーガミ(カクレンジャー)
げんだいのびんぼうがみ
第49話「突然!!ビンボー」に登場する妖怪軍団に与する妖怪の1体。
昔は極悪非道の金貸し妖怪であり、あこぎな取り立てで稼いで大金持ちになっていたが、当時起きた一揆に便乗した打ち壊しに遭い、結果全財産を奪われ一文無しになってしまった経緯がある。
「おのれぇ…見ていろ!キサマ等みんな、貧乏にしてやる……ビンボーにしてやるー!!」
現代のビンボーガミは犬神のような風貌に、両肩に牙の生えた口の開いた黄色いリッチな服を着たピエロのような姿をしているが、後ろ姿はボロボロで尻も丸出しと、まさにビンボーガミならではの姿。
ちなみにかなりの喫煙者。
武器として両端に顔のある杖を持っている。
この杖は口の中に「貧」の文字があるドクロの顔と、「金」の文字がある福々しい顔を持ち、前者からは「チェンジ・ビンボー!マルビビーム」、後者からは「チェンジ・金持ち!マル金ビーム」を放つことができる。
この他、普通に「攻撃ビーム」を撃つこともできるが、何よりもマルビビームが一番の脅威。
このビームを浴びると、物理的にも精神的にも貧乏になってしまい、絵にかいたようなステレオタイプの「貧乏人」ビジュアルになってしまう上、心が弱ることで欲に飲まれやすくなってしまう。
「財産」の範疇に入るのなら何でもいいらしく、建物は老朽化どころか古い時代の建造物になってしまい、自動車は中身がイカレて運転不能になる。
さらにはカクレンジャーの武器やアイテムに対しても同様の効果を及ぼし、このビームを受けてしまえば最後、ボロボロになって完全に無力化されてしまう。
逆にマル金ビームの方財布を豪華にして所持金を増やす以上の効果がない。失う物の方が明らかに大きい辺りはさすがにビンボーガミである。
ちなみにこれらの効果はビンボーガミに依存しており、パワーが途切れると効果も消えて元に戻ってしまう。
通常エピソードとしては最後の敵であるだけに恐るべき強敵だが、実は上記の出自ゆえの意外な弱点があり……。
バブル崩壊後もまだまだ豊かな人間の生活を見て逆恨みを募らせ、手始めに二宮一家(このエピソードの冒頭でカクレンジャー達が猫丸に乗せて連れて帰っていた出稼ぎのサラリーマン)の住むアパートにマルビビームを食らわせる。
結果、アパートは一昔前の旧式に戻り、住人達は揃ってビンボーになってしまった。
突然の異常事態にパニックに陥る住人達の前に現れ、今度はマル金ビームで財布の中身を復活させ、自分が人々を裕福にも貧乏にもできることを示し、人々を大魔王に服従させ洗脳した。
その後、二宮一家が助けを求めたカクレンジャーと対決になるが、マルビビームで5人の装備を全て老朽化させて一方的に圧倒(ついでに5人の姿もリサイクルショップで買い揃えたようなボロボロのダサい衣装に変えられた)。「これからは、ビンボー戦隊カクレンジャーと名乗るが良いぜ!」と豪語してみせた。
変身能力の外にあるカクレンジャーボールをゴムボールに、シャークドライバーをオンボロ自転車と立て続けに使えなくされたカクレンジャーは二宮一家と一緒に猫丸に乗って逃走を図るが、追撃のマルビビームを食らった猫丸はまともに走れないボロ車になってしまい、おまけに二宮の妻子が放り出されてしまった。
その後、三人を人質にカクレンジャーをおびき寄せようとするが、そこに空飛ぶ雲に乗ったニンジャマンが登場。
ニンジャマン「正義の味方、ニンジャマン! 希望の光は、空の彼方からやってくるのさ!」
ビンボーガミ「柄にもないことほざきやがって!」
若干メタなツッコミをかましつつ攻撃ビームで撃ち落とそうとするが、回避されてしまい失敗。ならばとマルビビームに切り替えたところ見事に命中、オンボロロボになってしまったニンジャマンに加え、空飛ぶ雲はぼろ雑巾になってしまい、墜落してしまった。
そして追い詰められたカクレンジャー達だったが、ニンジャマンから上記のビンボーガミの過去話を聞いたサスケは何かを閃き……。
その後、カクレンジャーがいつまで経っても現れないためしびれを切らしたビンボーガミ。
見せしめとして人質を処刑するよう命じるが、その瞬間、ビンボーに囚われた者達の前に光輝く小判が雨あられと降って来るのを目撃。
これはカクレンジャーが高台から盛大に撒いていたのだが、洗脳されて金の亡者と化した人々は小判拾いに夢中になってしまい、ビンボーガミの言うことを聞かない。これぞまさしく金遁の術。
それどころか、この様を見たビンボーガミの脳裏には、かつて全てを失った打ち壊しの時の光景がよぎり、
「お……俺の小判だ…!俺の小判だぁ!!やめろ、やめろぉ!! 俺の小判だ、俺の小判、俺の小判、俺の小判だぁ! ……えっ、あれっ?」
パニックを起こして人々を押しのけながら小判をかき集めようとするが、突然煙と共に力がなくなり、金貸し妖怪の姿に戻ってしまう。
元々成金の金貸し妖怪だったビンボーガミは、富裕層への恨みをパワーの源としていた。
そのため、その恨みを忘れて文字通りボロを出してしまえば、ビンボーガミとしての能力も消えてしまうという致命的な弱点があったのだ。
サスケ「やいビンボーガミ! お前は元は金貸し妖怪……」
鶴姫「ホントはお金がだ~い好きなのよね?」
サイゾウ「オレ達の作った偽小判に目がくらんで、ビンボーガミのパワーが失くなっちゃったってワケ!」
実はこの小判はジライヤの「隠流忍法・枯れ葉小判の術」によって生み出された偽物の小判であり、これに目がくらんだビンボーガミは力が一時的に消失してしまったのである。
結果、ビンボーガミの力が無くなったことで人々の洗脳は解け、カクレンジャー達も元に戻った。
この隙をついて一緒に来ていた二宮が家族を解放、洗脳されていた人々を連れて逃亡している。
騙されたことに気づいた金貸し妖怪は怒りの力でビンボーガミの姿に戻り、変身したカクレンジャーを相手にドロドロを消しかけて正面対決。
隙を突いてニンジャレッドにマルビビームを放つが、「カクレマル・忍返し」で弾かれたビームは何と近くを飛んでいたガイコツ城内の妖怪大魔王を直撃。
大魔王「な、何とぉ!? ボロボロ大魔王になってしまった~ん!? 恥ずかしい~……」
そんな大失態を嘆く間もなくカクレンジャーボールを受けて敗北するが、直後に妖怪エネルギーの落雷を受けて巨大化。
攻撃ビームで牽制しつつ、性懲りもなくニンジャマンにマルビビームを放つも、割り込んできた無敵将軍に反射され今度は自分がボロボロになってしまい、最期は無敵将軍とサムライマン(例によって「青二才」と罵倒してしまった)の攻撃で怯んだところに隠大将軍の「鉄拳ゴッドフィニッシュ」でぶっ飛ばされて撃破。
「やっぱりお金持ちになりたかったーッ!!」
と叫んで妖怪エネルギーの梵字と化して爆発四散、封印の世界へ送り返された。
金貸し妖怪時代にはあくどい手で客から金を取り立てて貧乏人を作り、現在はマルビビームで相手をビンボーにしている彼は、妖怪達の外見同様、時代ごとに異なる形で人間を貧乏にしていると言える。
また、サルガミ同様カクレンジャーの奇策によって形勢逆転された妖怪(どちらも名前の最後に「ガミ」が付いている点も共通)であり、サスケとサイゾウはいずれのケースでもカッパに騙されて封印の扉を開けさせられた意趣返しを果たした形になる(今回は奇しくも、カッパ同様他の物体を金に変化させる手口を使っていた)。更にいえば、キュウビノキツネが大魔王からの報酬を木の葉と疑った事態が現実になっていた。
彼の登場した第49話には、幼少期の時東ぁみ女史(クレジットは「小松幸江」)が尚美役でゲスト出演している。
コナキジジイ:『忍者戦隊カクレンジャー』に登場する妖怪でこちらもピエロをモチーフにした所も共通している。
上級妖怪ビンボウガミ:『手裏剣戦隊ニンニンジャー』に登場する貧乏神繋がりの後輩。
ゴミジゲン(プータン):こちらもあらゆるものを劣化させるビームを放つ怪人。
地獄先生ぬ~べ~:こちらのアニメ版も最後の単発エピソードのゲスト妖怪が貧乏神だった。