概要
1996年(平成8年)、JR西日本山陰本線の園部駅〜福知山駅間および宮福線・宮津線・北近畿タンゴ鉄道福知山駅〜宮津駅〜天橋立駅間の電化が完成、同年3月16日に実施されたダイヤ改正の際、JR西日本が北近畿地方の主要都市や観光地を結ぶ特急列車の運行形態を輸送需要に合わせ大きく再編した。この結果、運転系統が以下の4つに大別された。
(1)新大阪駅〜福知山駅間(JR西日本:東海道本線・福知山線経由)
(3)福知山駅〜豊岡駅〜城崎温泉駅間(JR西日本:山陰本線経由)
(4)福知山駅〜宮津駅〜天橋立駅〜豊岡駅間(北近畿タンゴ鉄道(※):宮福線・宮津線経由)
これらの経路が福知山駅を中心としてアルファベットのXの文字のように四方に伸びていることから、この名称が付けられた。同名の漫画やアニメ『ビッグX』に由来するともいわれている。
ネットワーク設立後、この区間を走る特急列車のヘッドマークもXの路線図をあしらっており、走行する区間を色濃く示していた(後述)。
なお、福知山駅を経由しない播但線や舞鶴線の特急もこのネットワークに含まれる。
(※)北近畿タンゴ鉄道は当初、第一種鉄道事業者として鉄道施設の保有と列車の運行を一体的に行っていたが、2015年(平成27年)4月1日に実施された鉄道事業再構築(上下分離)により宮福線・宮津線の鉄道運行事業をWILLER TRAINSに移譲した。この変更により、WILLER TRAINSが第二種鉄道事業者として京都丹後鉄道(略称:丹鉄)の名称で鉄道運行事業を行い、北近畿タンゴ鉄道は第三種鉄道事業者として鉄道施設の保有のみを行っている。同時に、宮津線は西舞鶴駅〜宮津駅間が宮舞線、宮津駅〜豊岡駅間が宮豊線の愛称で運行されるようになった。
現行の構成列車
列車名 | 運転区間 | 経由路線・線区 | イメージカラー | 運転開始 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
こうのとり | 新大阪駅〜福知山駅・豊岡駅・城崎温泉駅間 | JR西日本:東海道本線・福知山線・山陰本線 | 黄色(福知山線〈JR宝塚線〉のラインカラー) | 2011年(平成23年)3月12日 | 名の由来は北近畿にゆかりある兵庫県の県鳥コウノトリ。臨時列車が京都丹後鉄道に乗り入れることがある。 |
きのさき | 京都駅〜福知山駅・豊岡駅・城崎温泉駅間 | JR西日本:山陰本線 | 紫色(山陰本線〈嵯峨野線〉のラインカラー) | 1996年(平成8年)3月16日 | 名の由来は城崎温泉。一部列車は京都駅〜綾部駅間で「まいづる」と併結。 |
はしだて | 京都駅〜宮津駅・天橋立駅・豊岡駅間 | JR西日本:山陰本線、京都丹後鉄道:宮福線・宮津線 | 赤色(大江山の鬼伝説に登場する「赤鬼」) | 1996年(平成8年)3月16日 | 名の由来は天橋立。一部列車は京都駅〜綾部駅間で「まいづる」と併結。一部京都丹後鉄道の車両も使用。 |
まいづる | 京都駅〜東舞鶴駅間 | JR西日本:山陰本線・舞鶴線 | 橙色(京都府舞鶴市の赤れんが倉庫群) | 1999年(平成11年)10月2日 | 名の由来はそのまま舞鶴市。京都駅〜綾部駅間で「きのさき」・「はしだて」と併結。福知山駅を経由せず、全区間JR西日本の路線を走行するが、一部京都丹後鉄道の車両も使用。 |
たんごリレー | 福知山駅〜宮津駅・網野駅・豊岡駅間 | 京都丹後鉄道:宮福線・宮津線 | 設定なし | 2011年(平成23年)3月12日 | 唯一京都丹後鉄道が主体となって運転される列車。一部区間が快速列車として運転される列車もある。 |
はまかぜ | 大阪駅〜香住駅・浜坂駅・鳥取駅間 | JR西日本:東海道本線・山陽本線・播但線・山陰本線 | 設定なし | 1972年(昭和47年)3月15日 | 福知山駅を経由しない。 |
上記のうち、京都丹後鉄道の車両が使用される一部の「はしだて」「まいづる」及び「たんごリレー」「はまかぜ」は気動車で運行される。
福知山駅でそれぞれの特急列車を乗り換えた場合でも特急・グリーン料金が1つの列車として扱われる乗り継ぎ通算制度がある。
近年のインターネットを使用したチケットレスサービスの拡充に伴い、2021年3月から京都丹後鉄道運行の「たんごリレー」を除く全ての特急列車の自由席が廃止され、全車指定席へ変更された。
過去の構成列車
ここでは、1996年(平成8年)3月16日以前に廃止された列車名は記載しない。
列車名 | 運転区間 | 経由路線・線区 | イメージカラー | 運転期間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
北近畿 | 新大阪駅〜豊岡駅・城崎温泉駅間 | JR西日本:東海道本線・福知山線・山陰本線 | 黄色(福知山線〈JR宝塚線〉のラインカラー) | 1986年(昭和61年)11月1日-2011年(平成23年)3月12日 | 名の由来はそのまま北近畿地方。また1996年3月16日以前のヘッドマークにはコウノトリのイラストが描かれていた。前述の通り2011年に「こうのとり」に改称。 |
文殊 | 新大阪駅〜天橋立駅間 | JR西日本:東海道本線・福知山線、北近畿タンゴ鉄道:宮福線・宮津線 | 緑色(大江山の鬼伝説に登場する「青鬼」) | 1996年(平成8年)3月16日-2011年(平成23年)3月12日 | 名の由来は天橋立にある天橋山智恩寺の本堂「文殊堂」および同所に安置されている本尊の「文殊菩薩」。2011年、「こうのとり」・「はしだて」・「たんごリレー」に再編。 |
たんば | 京都駅〜福知山駅間 | JR西日本:山陰本線 | 青色 | 1996年(平成8年)3月16日-2011年(平成23年)3月12日 | 名の由来は走行する地域が丹波国であることから。「きのさき」に統合。 |
タンゴディスカバリー(初代) | 新大阪駅〜久美浜駅間、天橋立駅〜網野駅・久美浜駅・豊岡駅間、綾部駅〜天橋立駅間 | JR西日本:東海道本線・福知山線・舞鶴線、北近畿タンゴ鉄道:宮福線・宮津線 | 設定なし | 1996年(平成8年)3月16日-1999年(平成11年)10月2日 | 新大阪駅〜福知山駅間は「北近畿」と併結。一部列車は福知山駅を経由せず、一部区間を快速列車として運転する列車もある。「タンゴエクスプローラー」(初代)と運転系統を入れ替え。 |
タンゴエクスプローラー(2代目) | 新大阪駅〜福知山駅・宮津駅・豊岡駅間 | JR西日本:東海道本線・福知山線、北近畿タンゴ鉄道:宮福線・宮津線 | 設定なし | 1999年(平成11年)10月2日-2011年(平成23年)3月12日 | 「こうのとり」・「はしだて」・「たんごリレー」に再編。 |
タンゴエクスプローラー(初代) | 京都駅〜西舞鶴駅・網野駅・久美浜駅・豊岡駅間 | JR西日本:山陰本線・舞鶴線、北近畿タンゴ鉄道:宮津線 | 設定なし | 1990年(平成2年)4月1日-1999年(平成11年)10月2日 | 福知山駅を経由しない。「タンゴディスカバリー」(初代)と運転系統を入れ替え。 |
タンゴディスカバリー(2代目) | 京都駅〜東舞鶴駅・宮津駅・豊岡駅間、宮津駅〜豊岡駅間、西舞鶴駅〜豊岡駅間 | JR西日本:山陰本線・舞鶴線、北近畿タンゴ鉄道:宮福線・宮津線 | 設定なし | 1999年(平成11年)10月2日-2011年(平成23年)3月12日 | 一部列車は福知山駅を経由しない。「はしだて」・「まいづる」に統合。 |
ヘッドマーク
前述の通り、設立当時より485系→183系・381系のヘッドマークはXの路線図をあしらっており、走行区間を色濃く表示していた。「北近畿」と「こうのとり」のデザインはほぼ同一。なお、現在多く運行している287系・289系にはヘッドマークはない。
こうのとり | きのさき | はしだて |
---|---|---|
まいづる | たんば(廃止) | 文殊(廃止) |
関連タグ
JR西日本:東海道本線(JR京都線) 山陽本線(JR神戸線) 山陰本線(嵯峨野線) 福知山線(JR宝塚線) 舞鶴線 播但線
183系(←485系) 381系 287系 289系(←683系)
京都丹後鉄道(北近畿タンゴ鉄道):宮福線 宮津線(宮舞線・宮豊線)
あさしお - 北近畿ビッグXネットワーク創設に伴い廃止された特急列車。「はしだて」・「きのさき」・「まいづる」と走行区間がほぼ同じだった。
くろしお - 国鉄時代から車両の転配属(日根野電車区と福知山電車区)で縁がある。その為、現在の使用車両がビッグXネットワークの車両と同形式で、検査等の都合でお互いの代走に充てられることがある。こちらもビッグXと同時に全車指定席にされている。